著者
牛島 秀暢 青木 俊介 西山 勇毅 瀬崎 薫
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2020-ITS-81, no.1, pp.1-8, 2020-05-21

交通やインフラ,スマートフォンなどから得られる様々なデータを統合的に利活用し,都市計画の継続的な改善に役立てるという都市コンピューティングが注目されている.都市コンピューティングは少子高齢化と過疎化が進行する日本においても公共インフラを有効活用し都市を維持するためにも有効である.限られた公共インフラを活用するためには人々の移動目的を推定し,交通リソースを最適化する必要があるが,既存の IC カードなどの交通データでは推定粒度に限界があった.こうした状況の中,特定の返却場所を持たないドックレス型のマイクロモビリティが急速に普及している.ドックレス型マイクロモビリティは平均移動距離が 500m 程度と短く,直接目的地に向かうため,より詳細な移動行動が検出可能である.本研究では,マイクロモビリティが都市空間で離散的に分布する点に着目した.そして,細かく単発的な移動行動を大域的に分析することで潜在的な移動パターンがあることを,Non-Negative Tensor Factrization と呼ばれる教師なし学習を用いることで明らかにした.
著者
日隈 壮一郎 西山 勇毅 瀬崎 薫
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-66, no.5, pp.1-7, 2020-05-18

近年の都市構造の変容と急激なライフスタイルの変化に伴い,人間が屋内で過ごす時間は長時間化し,逆に屋外で直射日光を浴びる時間は年々短くなっている.過度な紫外線の被曝は皮膚癌やシワ,シミの発生可能性を高めるが,一方で適度な紫外線被曝は体内でのビタミン D の生成に必要不可欠である.また,基本的に野菜に含まれていないビタミン D の不足は,カルシウム不足や低カルシウム血症,骨の軟化やうつ病などに繋がる危険性があり,長期的な健康管理において,紫外線被曝量の管理は重要である.しかしながら,紫外線センサを常に携帯することはユーザの負担が大きく,長期的な利用には日常的に計測または推定可能な手法が必要である.そこで本研究では,スマートフォンに搭載された GPS モジュールを用いて,GPS 信号の受信状態から紫外線量を推定する手法の検討を行う.
著者
西山 勇毅 柿野 優衣 中 縁嗣 野田 悠加 羽柴 彩月 山田 佑亮 佐々木 航 大越 匡 中澤 仁 森 将輝 水鳥 寿思 塩田 琴美 永野 智久 東海林 祐子 加藤 貴昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1630-1643, 2021-10-15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大にともない,多くの大学ではキャンパス内での感染予防のために,キャンパスの封鎖とインターネット越しに授業を配信するオンライン授業が導入され,学生たちは自宅から授業に参加している.このような在宅中心の新しい生活様式は,感染予防効果が見込める一方で,運動不足による二次的な健康被害が懸念される.新しい生活様式における大学生の身体活動の実態,特に学生の属性や時間帯ごとの身体活動量とその内容を明らかにすることは,二次的な健康被害を予防するうえで必要不可欠である.そこで本研究では,日常生活中の身体活動データ(歩数と6種類の行動種別)を大学生が所有するスマートフォンを用いて自動収集し,大学生の身体活動量を明らかにする.身体活動データは,必修の体育授業を履修する大学1年生305名から10週間収集した.その結果,通学(7時から10時)や教室での授業,課外活動(11時から24時)の時間帯における歩数の減少と静止時間の長時間化が明らかになった.本結果は,新しい生活様式における大学生活が平日の身体活動量の低下を招く可能性を示唆する.
著者
礒川 直大 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-8, 2015-05-04

魚を飼い,その水槽を鑑賞することは,我々の生活に潤いと落ち着きを与えてくれる.観賞魚を飼育する上で水槽内の環境や魚の体調管理が重要となるが,観賞魚は自分の状態を飼い主に伝えることができないため,飼い主が魚の状態に基づきインタラクティブに飼育することは難しい.本研究では,観賞魚の位置情報をもとに水槽背面のディスプレイに観賞魚の状態を表示することで,飼い主に水槽内の環境や観賞魚の体調などの情報を伝えるシステム "Aqua Mapping" を提案する.本システムにより水槽を介した観賞魚とユーザのインタラクティブな飼育環境を提供する.
著者
栄元 優作 江頭 和輝 河野 慎 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 高汐 一紀 中澤 仁
雑誌
研究報告高齢社会デザイン(ASD) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2017-ASD-9, no.16, pp.1-7, 2017-08-17

近年,食習慣の悪化による肥満が社会問題となり,継続的な食習慣の改善手法が求められている.継続して日々の習慣を変えるには動機の維持向上が重要であり,ユーザの同期を持続させる手法として,ゲームのメカニズムを用いたゲーミフィケーション手法が提案されている.ゲーミフィケーション手法の 1 つである 「競争手法」 は,歩数などのユーザの行動量を可視化し,他者との優劣を意識させることで,動機の維持向上を促す.しかし食事分野では,食事指標として知られるカロリー値の正確な算出が難しく,計算には労力がかかるため,競争の適用が困難である.本研究では本問題を解決するために,ユーザ間で食事の健康度合いを競わせるシステム 「HealthFight」 を構築し有効性を評価する.本システムは食事画像を共有するソーシャルメディアであり,投稿した食事画像の 「ヘルシーさ」 をユーザ間で競わせる.競争相手は食事ごとに更新されるため,ユーザは食事ごとに違った楽しさを感じられ,継続した利用が見込める.本システムによる食習慣の変化を評価するため,7 人の被験者に対して 20 日間の実験を行った.その結果,他者の評価を気にしやすい被験者の食生活は,健康的になる傾向が見られた.
著者
西山 勇毅 加藤 貴昭 瀬崎 薫
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2023-UBI-78, no.10, pp.1-8, 2023-05-17

学生アスリートにとって心身のストレスとその回復状態を手軽に認識できることは,競技と学業生活を健康に過ごす上で非常に重要である.既存研究では,アンケート調査や血液検査,高性能な生体センサを用いて心身のストレス状態の計測が行われているが,計測負荷が大きく継続利用は難しい.そこで本研究では,市販のスマートフォン・ウェアラブルデバイスに搭載されたセンサを活用し,低負荷にアスリートのコンディションを検出するシステムを開発する.特に本稿では,アスリートのコンディション検知に向けて,データ収集基盤の設計と実装する.さらにデータ収集実験を実施し,収集データからコンディション検知に機構に向けた基礎的な調査を行う.
著者
小林 博樹 瀬崎 薫 西山 勇毅 川瀬 純也
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

本提案は申請者らが実施中の福島原発事故対応で直面している技術的な課題の解決を目指す野生動物装着センサの研究である。移動する動物にセンサを装着し、行動や周辺環境をモニタリングする構想はセンサネットワーク研究の初期から見られる。ここでの課題は電源・情報・道路・衛星インフラが存在しない高線量空間に生息する小型の哺乳類に対応可能な情報基盤技術の実現である。
著者
鈴木 凌斗 村上 弘晃 西山 勇毅 川原 圭博 瀬崎 薫
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2021-MBL-100, no.22, pp.1-6, 2021-08-26

屋内での滞在情報を正確に把握することで,混雑度の推定や集客情報,人流の把握など,様々なサービスを提供できる.Bluetooth ビーコンや WiFi の信号強度を用いた滞在場所推定手法では,低コストに滞在推定システムを導入できる.しかしながら,受信信号強度の不安定さや隣接した部屋から漏れる信号などが原因となり,単純な信号強度のみを用いた判定では,受信環境によっては滞在場所の誤判定が頻繁に発生する.本稿では,部屋ごとの滞在時間特性の違いを考慮に入れることにより誤判定を抑制する手法を提案する.提案手法では,部屋ごとの滞在時間の分布をワイブル分布にフィッティングし,生存時間解析を適用することによりユーザの状態を推定する.信号強度の強弱のみに基づく既存手法との比較のため,正解ラベル付きのデータを収集し評価実験を行った.
著者
陳 美怡 幡井 皓介 西山 勇毅 瀬崎 薫
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2021-UBI-71, no.3, pp.1-7, 2021-08-26

現在,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大しており,人々の生命と健康を大きく脅かしている.政府は地方自治体,保健機関は,「手洗い」や「マスクの着用」「行動記録」「外出自粛」などの感染症予防策を人々に積極的に取り続けることを推奨している.本研究では,ユーザの感染症予防行動の促進を日標とし,既存の行動記録アプリ(SelfGuard)を拡張し,感染症予防行動に対する最適なインセンティブモデルの導入を検討する.具体的には,スマートフォンとウェアラブルデバイスに搭載されたセンサを利用してユーザの感染症予防行動を認識し,行動に応じてインセンティブとして換金可能なポイントを付与する.固定・加算・減算モデルという三種類のインセンティブモデルにおいて人の行動に与える影響の違いを調査する.
著者
西山勇毅 米澤拓郎 中澤仁 徳田英幸
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-38, no.21, pp.1-8, 2013-05-09

近年,個人の動機付けや行動改善のためのアプリケーションが普及してきた.今後,研究プロジェクトチームやスポーツチームなどの明確な目標を持ち,様々な立場の人間が所属するチームでの利用が考えられる.本研究では,個人の貢献度の可視化がチームの動機づけに与える影響の調査を行った.情報共有アプリケーションを実装し,ランダムに抽出したチームに対して,他人に個人の貢献度を見せた場合と見せない場合での比較実験を行い評価した.
著者
佐々木 航 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.9, pp.1-7, 2015-05-04

「人は幸福であるが故に笑うのではなく,笑うが故に幸福である」 という言説にもある通り笑顔を形成することがユーザの幸福感につながると考えられ,これを支持する研究は多い.幸福感は周囲に伝達することが知られている.以上のことから,幸福な人からの笑顔情報によるユーザの笑顔形成への促進が,ユーザの幸福感を引き起こし,それによって幸福感が伝達していくと考えられる.そこで本研究では,他人の笑顔画像の共有によるユーザの笑顔形成への影響を評価する "SmileSpot" を実装した."SmileSpot" は個人のスマートフォン端末のディスプレイに他人の顔画像を映し出し,それを見た際のユーザの笑顔度を検知する.38 人の被験者を対象とした 15 日間の評価実験から他人の笑顔画像がユーザの笑顔形成を促進させることがわかった.それに加え,女性のほうが男性と比べて影響を受けやすく,また親密度が高い人の笑顔画像のほうが親密度の低い人の笑顔画像より影響を受けることがわかった.
著者
西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.349-361, 2015-01-15

近年,携帯端末の普及にともない誰もが日常生活中の活動情報を検知・蓄積可能なライフログ環境が整ってきた.これまでライフログデータは,個人を対象として行動変容の促進に活用されてきたが,今後は研究室やスポーツチーム,企業といった集団を対象とした行動変容の促進が可能になると考えられる.しかし,集団は個人とは異なり内部に様々な人間関係が存在するため,これまでの個人を対象とした行動変容促進手法が集団に対して効果的であるかは明らかではない.本研究では,集団の行動変容を促進するモデルとして,既存手法の「競争」と「協力」の要素を組み合わせた6種類の集団の行動変容促進モデルの提案し,効果の検証を行った.提案モデルに基づいた行動変容促進を行うAaron2を実装し,2つの集団(64名)を対象に3週間の実験を行った.1週間ごとの行動変容について考察した結果,チーム目標と直接的に関係ない活動では行動変容への効果が低く,日頃からチーム単位で競争を行っているチームでは「チーム間での競争要素」用いたモデルが最も行動変容への効果が高くなる可能性が示された.