著者
西村 安博
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.3983-4066, 2009-02

論説(article)鎌倉幕府の裁判において、訴訟一方当事者に対して、応訴が要求される場合にみられる訴訟手続上の特色を明らかにする。応訴要求を行う裁判所が発給する「問状」や「召文」に関するこれまでの研究史を再検討する。加えて、近時の最新の研究成果である岩元修一氏の理解をフォローすることにより、関係史料に関する再検討を行う。以上の作業をもとに、召文や応訴をめぐる法制史理解の可能性を提示する。
著者
西村 安博
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
経済学論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.1356-1313, 2013-03

論説(Article)日本中世の裁判手続に関する理解の現状に関して、次の内容を明らかにした。第一に、「所務沙汰」において「当事者主義」は「原則」であるとする理解は、戦前の研究以降、継承されている。第二に、「検断沙汰」においては、「所務沙汰」における用語使用の例に倣って「弾劾主義」=「当事者主義」と定義され、用語使用の混乱が見られる。第三に、裁判手続の特色を描き出すためには、「証拠」法の究明が必要であるとの課題を示した。This study looks to clarify theories vis-à-vis legal procedures as practiced in medieval Japan, based on theories pertaining to the Kamakura shogunate. First, the prewar theory that the adversary system was, in principle, inherent in the trial of Shomu-sata, continued to be upheld. Second, the accusatorial principle used in the trial of Kendan-sata had come into use within the adversary system, but because of a misunderstanding; for this reason, there has been some confusion with regard the legal procedures therein. Third, the author addresses the means of establishing proof—an understanding of which is needed to clarify the realities of trials during that time.
著者
西村 安博 Yasuhiro Nishimura
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.2292-2242, 2021-02-28

平山行三氏が著書『和与の研究』(吉川弘文館、1964年)において指摘する鎌倉幕府の裁判における和与の審査手続に改めて注目し、同氏が取り上げたところの、審査の結果として和与不認可とされたという4つの事例を主な検討素材として、審査をめぐる理解の妥当性について再検討を試みる。その上で、裁判所が「和与を許さない」場合に私和与が生じたとする同氏の理解を批判的に検討することにより、私和与の新たな理解の可能性を探る。
著者
葛西 康徳 吉原 達也 西村 安博 松本 英実 朝治 啓三 小川 浩三 芹沢 悟 朝治 啓三 吉村 朋代 小川 浩三 芹沢 悟 林 智良 平野 敏彦 南川 高志 北村 麻子 桑山 由文 ゲアハルト チュール エヴァ ヤカブ シーマ アヴラモヴィッチ アデレ スカフーロ ヴォルフガング エルンスト トーマス リュフナー
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

イサイオスの法廷弁論11番及びデモステネスの法廷弁論43番、キケローの法廷弁論「カェキーナ弁護論」を素材として法廷演劇を行うことを構想し、その問題点を検討した。裁判過程全体の再構成を通して、「法」が証人や証拠と同様に位置づけられるという「事実としての」「物としての」法という仮説を提出した。裁判から古代法を見直すことが法の理解を根本から問うことになるという新しい方法論の可能性を示した。