著者
舩津 保浩 西村 由紀子 石下 真人 上馬塲 和夫 西尾 由紀夫 寺島 晃也 真船 直樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.367-372, 2008-08-15 (Released:2008-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

豆乳や豆腐の副産物として排出される「おから」の有効活用を目的として,おからをケーキに利用した製品(「おからケーキ」)の一般成分,血糖値上昇抑制効果および官能的特性について従来の小麦を利用した製品(「対照ケーキ」)のそれらと比較検討を行った.その結果を下記に示す.(1)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の一般成分を調査したところ,食物繊維量,とくに不溶性食物繊維量が前者は後者よりも多い点に特徴がみられ,糖質量やエネルギー値でも前者が後者よりも低かった.(2)実用面を考慮した「おからケーキ」と「対照ケーキ」の100g同量摂取試験の結果,前者の食後15分,30分,45分および120分の血糖値は後者のそれらに比べて有意に低い値を示した.(3)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の50g糖質摂取試験を実施したところ,前者は食後30分の血糖値を有意に抑制した.また,両者のGIを比較したところ,前者のGIは後者のそれより39.1%低い値であった.(4)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の官能評価を実施したところ,外観,香り,大豆臭および甘味については両者に有意差はみられなかった.しかし,食感,飲み込みやすさおよび全体味では前者が後者より有意に好ましく,受容性でも高い傾向が認められた.以上の結果より,「おからケーキ」は,食後の血糖上昇しにくい食品であり,嗜好面でも「対照ケーキ」に比べて大きな違いがみられないことから,糖尿病予防食の一つとして利用可能であることが明らかとなった.
著者
出口 浩一 横田 のぞみ 古口 昌美 中根 豊 深山 成美 西村 由紀子 小田 清次 田中 節子 加藤 三枝子 佐藤 久美子 福本 寅雄
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1600-1622, 1988

1987年後半に分離した入院患者由来グラム陰性桿菌に対するMonobactam系抗生物質 (Carumonam (CRMN), Aztreonam (AZT)) の抗菌力をPenicillin系抗生物質 (PCs)(Piperacillin (PIPC)), Cephem系抗生物質 (CEPs)(Ceftazidime (CAZ), Cefotaxime (CTX), Latamoxef,(LMOX), Cefsulodin (CFS)), Carbapenem系抗生物質 (Imipenem (IPM)), そしてPyridonecarboxylic acid系抗菌剤 (Norfloxacin (NFLX), Ofloxacin (OFLX)) を加えて検討した。<BR>検討に供した株は<I>Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa</I>, そして<I>Haemophilus influenzae</I>の合計13菌種400株である。<BR>1. Monobactam系抗生物質であるCRMN, AZTの抗菌力はほぼ同等であり, <I>E. coli, Klebsiella spp., Proteus spp., M. morganii, P. rettgeri</I>, そして<I>H. influenzae</I>の耐性菌はなく, <I>S. marcescens</I>の耐性菌は少ない。<I>C. freundii, Enterobacter spp., P. aeruginosa</I>の Monobactam系抗生物質の耐性菌は比較的高率であるが, これらの菌種に対するPCs, CEPs 耐性菌はMIC値≥50μg/mlのいわゆるResistant (R株) が高率であるが, Monobactam 系抗生物質の耐性菌はMIC値が12.5~25μg/mlのいわゆるIntermediate (I株) の占める割合が高い成績だった。<BR>2. PCsのPIPC耐性菌は検討に供した株のいずれにも平均して高率にみられた。<BR>3. CEPsの抗菌力は菌種によって異なっていた。CTX, CAZ, LMOX耐性菌は<I>C. freundii, Enterobacter spp., S. marcescens</I>に共通して高率であるが, <I>C. freundii, Enterobacter spp</I>. のLMOX耐性菌はI株の占める割合が高く, CTX耐性菌は<I>P. vulgaras,. M. morganii</I>にもみられた。なお, P. aeruginosaのCEPs耐性菌 (1株を含む) はCFS28%, CAZ12% だつた。<BR>4. Carbapenem系抗生物質であるIPMの抗菌力は13菌種のいずれに対しても耐性菌が皆無もしくは, 耐性菌が少なく最も安定した抗菌力を示したが, <I>Klebsiella spp., P. mirabilis</I>, そして<I>H. influenzae</I>にはMonobactam系抗生物質, CEPsの抗菌力に劣つていた。<BR>5. Pyridonecarboxylic acid系抗菌剤であるNFLX, OFLXの抗菌力はほぼ同等であるが, <I>P. vulguris, M. morganii, P. rettgeri, S. marcescens</I>, そしてP. aeruginosaの耐性菌 (I株を含む) が高率である他, K. pneumoniae, C. freundii, E. aerogenes, <I>H. influenzae</I>の耐性菌も散見された。