著者
西田 津紀子 西村 良二
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.431-435, 2015-10-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
6

福間病院で長期臨床実習を行った作業療法学生11名を対象に, 当院で提示している課題が学生の教育にもたらす効果について調査した. 結果は, 知識面では過去の国家試験問題を再編成し利用したところ, 実習の前後で有意差はみられなかった. 技能面ではLASMIの「対人関係」と「労働または課題の遂行」の項目を利用し, 「対人関係」では有意差 (p<0.01) が認められ, 「労働または課題の遂行」では改善の傾向がみられた (p<0.10) . 態度面ではATDPを利用し, 山本らが抽出した3因子について比較した結果, 第2因子「能力の否定」について否定的な態度への変化に傾向がみられた (p<0.10) . 今回の結果から当院で提示した課題がどの程度影響を与えたかについて考察し, 今後の臨床実習についていくつかの提言をした.

1 0 0 0 ヒステリー

著者
西村 良二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1007-1009, 2013-10-15

はじめに ヒステリーという用語は精神医学の歴史の中で最も古いものの1つである。アメリカ精神医学会の精神疾患分類(DSM)ではヒステリーという言葉を使わないが,ヒステリーや神経症という用語は,精神科治療の歴史を振り返る時,今日的にも含蓄のある用語である。ヒステリーとして集積されてきた臨床知は,現在においても患者について生物学的にも心理社会的にも理解を深め,治療の方向付けや,より効果的な介入を考える上で有用であることが見直されてきている。 ヒステリー球(下腹部から咽喉のほうまで球が上ってくるような感じ,咽頭のつかえ),乳房痛,卵巣痛,ヒステリー性のクラーヴス(釘を頭に打ち込んだような,激しい限局性の頭痛)などは,以前はヒステリー特有の印(stigma)と考えられていた。しかし,今日では,そのような症状は診察時の医師の暗示によって生じたものが多いと考えられている。 転換症状や解離症状を持つ患者はヒステリー性格や,特有の発達上の特徴を持つとされ,現在でも臨床に役立つ知識と思われるが,もちろん,すべての患者にあてはまることではない。 本稿では,ヒステリー者の行動様式や発達上の精神力動に関する先人たちからの知的遺産を,専門用語をできるだけ使わず,分かりやすく解説したい。
著者
西村 良二
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-15, 2016-01-15 (Released:2018-11-15)
参考文献数
4

人はなぜ結婚するのかという動機に関して,7つの要因,すなわち愛,自分のアイデンティティの完成,生殖,性愛性,安全感と逃避,社会的な圧力や親からの圧力,無意識のニーズについて説明した。これらの結婚の理由が内在的に病理性をもっているわけではないが,結婚の動機の構成部分において無意識の要素が強ければ強いほど,将来の夫婦の不和の種となりやすいことを論じた。次に,夫婦がお互いに相手に求めていたものが相手から得られない失望と,子どもが思春期に至って挫折することとの関連を論じるとともに,思春期のこどもをもつ家族への対応の1つとして,子どもが困り果てている姿が親の目に見えてくるようになる親ガイダンスの進め方を述べた。