著者
西村 雄一郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.571-590, 2002-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
87
被引用文献数
1

本稿では,日本におけるジェンダーと職場の関係について,地理学の立場から論じ,日本における研究の可能性を提示することを目的とする.従来の日本の地理学では,職場におけるジェンダーの問題を限定的にしか注目してこなかった.本稿では特に,日本における空間的分業論による研究と時間地理学的研究を取り上げることによって,従来の研究におけるジェンダーの視点の欠如・限界について批判的に検討した.一方,欧米のフェミニスト地理学においては,ポストフォーディズム下での「新しいジェンダー秩序」,および職場内部のミクロな空間におけるジェンダーの構築に関する議論が進展している.そこで本稿では,日本の職場におけるジェンダー秩序の変化とその分析枠組を明らかにしようと試みた.1970年代から1980年代の日本のトヨティズム期における性別職務分離は欧米の場合と異なっていた.1990年代以降の日本経済の変化は,職場におけるジェンダー関係を変化させるだけでなく,職場と家庭の境界が不明確な新たな空間を生み出している.日本において,新たなジェンダー秩序がどのようにつくられるのかについて,職場丙部のミクロな空間性や経済的・社会的・文化的・政治的要素,ネットワークに着目することによって検証する必要がある.
著者
若林 芳樹 西村 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.60-79, 2010-01-01 (Released:2012-01-31)
参考文献数
109
被引用文献数
5 3

GISとその応用技術の普及にともない,それが地理学研究のみならず社会に及ぼす影響をめぐって,英語圏では1990年代から議論されてきた.本稿は,GISと社会をめぐる諸問題について,英語圏の動向をもとに論点を整理し,日本のGIS研究に対する意味合いを考察するものである.まず2000年以前のこうした議論を「クリティカルGIS」と呼んで整理したSchuurman(1999, 2000)の論考をもとに,三つの時期に分けて論調の変化と影響を検討した.その結果,1990年代初頭の社会理論派との反目・対立から,対話・協調へと移行した結果,GISと社会との関係を包含する地理情報科学が成立した過程が確かめられた.2000年以降になると,参加型GISの実践,フェミニズム地理学が提起した質的GIS,科学技術社会論からみたGISと社会との関わり,監視とプライバシーをめぐる法的・倫理的問題などをめぐって研究が進展している.こうした議論を日本のGIS研究に導入するにあたっては,英語圏での論点を的確にとらえた上で,GIS関連技術の普及や制度的・社会的背景の違いにも留意する必要があると考えられる.
著者
西村 雄一郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.329, 2013 (Released:2013-09-04)

1.はじめに東日本大震災以降,日本におけるGISを利用した災害支援・復興活動として,ネオジオグラファー(NeoGeographer)とVGI(Volunteered Geographic Information)による活動が注目されている.従来,GISは専門家や研究者が地理情報を分析するためのツールとして位置づけられてきたが,GeoWebと呼ばれるインターネットを通じたデジタル地図・Web-GISサービス・アプリケーションの利用が急速に拡大し,スマートフォンなどによる位置情報サービスが普及するにつれて,専門的なGISの教育や技術を受けていない人々が広くGISを利用するようになった.こうした人々はネオジオグラファーと呼ばれるようになった.また,ネオジオグラファーを含むさまざまな人々によって大量・主意的に蓄積・共有された地理情報はVGI(Volunteered Geographic Information:ボランタリーな地理情報)(Goodchild 2007)と呼ばれている(瀬戸2010).東日本大震災においては,安否情報の確認や災害情報の共有がTwitterなどのソーシャルメディア・携帯電話などを通じて行われ,こうした情報をGIS上で視覚化し共有するために,ネオジオグラファーによる活動が活発に行われた.また,2010年のハイチ地震や2011年のクライストチャーチ地震などで世界的な災害支援活動を継続的に行ってきたOpenStreetMapなどの共有型の地図作成活動が東日本大震災においても行われ,被災状況の地図の作成・公開がボランタリーになされた.こういったボランタリーな活動が広がっている基礎として,FOSS4G (Free and Open Source Software for Geospatial)などの自由に利用可能な地理情報ソフトウェアの開発の進展・普及拡大によって,地理情報のハンドリングを行うための障壁が小さくなっていることが挙げられる.2.カウンターマッピングとは こうしたGISの普及や一般の人々の利用はこれまでになかった新たなGISと社会の結びつきをもたらしうる.英語圏におけるGISと社会に関するテーマのひとつとなっている参加型GIS(Participatory GIS (PGIS))(若林・西村2010)は,周縁化された人々のためのエンパワメントをその主要な目的のひとつに掲げている.すなわち,政府や大企業など,データを占有し,自らの利益に向けた計画をGISに基づき『客観的』な地図として表象しようとする動きに対して,ローカルコミュニティ,土着の人々,エスニック・マイノリティがカウンターマッピング(counter-mapping)(Peluso 1995)を行うことで,ローカルな課題解決に向けた意思決定過程での合意形成を行う手段として参加型GISを位置づけるものである.3.日本におけるカウンターマッピング 「カウンターマッピング」は従来途上国の農村を中心とする実践において主に用いられてきたが,この概念を東日本大震災後のさまざまなマッピング活動に適用することを試みたい.日本の市民参加GISは行政主導で行われてきたこともあって(西村2010),カウンターマッピングは日本において表面化してこなかった.しかし,東日本大震災以降にその状況は一変した.地震・津波による被害が広範囲にわたり,また原子力発電所の事故も発生したことで,行政からの情報公開の遅れや提供された情報の内容が住民の必要とする日常生活レベルの空間スケールと大きく離れていたなどの問題が頻発した.また,行政がGISで読み込み可能なデータを公開しない,地理情報の処理に関するノウハウが不足しているなどの問題も明らかになった.東日本大震災を契機として作成されるようになったネオジオグラファーによる個々人の被災状況・救援物資の過不足などの支援状況に関するマッピングの事例や福島県や関東で行われている放射線量マッピングの事例を取り上げ,日本におけるカウンターマッピングの現状と今後の課題を示したい.
著者
西村 雄一郎 瀬戸 寿一 金杉 洋 吉田 大介
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-07-18

本研究は,近年活発化しているクラウドソーシングと呼ばれる一般市民からの情報によって,インターネット上の地図を編集するプロジェクトに着目し,そのようなクラウドソース型地理情報のトラストに関して,多角的な視点による研究を行う.研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち、主に以下の2つを中心に研究を実施した.・クラウドソース型地理情報の理論的位置づけに関する研究(西村・瀬戸):クラウドソース型地理情報に関する先行研究・論文は,主に英語圏におけるGISと社会に関する地理学的な研究を中心に存在するが,クラウドソース型地理情報に関する理論的な位置づけ・学術的な議論に関するレビューを行い,従来の研究を包括的に整理した.また,クラウドソース型地理情報の実践的な取り組みにも着目し,作成方法やデータの編集方法の進展について調査を行うとともに,それらを整理した.・日本におけるクラウドソース型地理情報の正確性や網羅性に関する分析(西村・瀬戸・吉田):クラウドソース型地理情報は、地理情報に関する専門的な知識や技能を必ずしも持っていない一般の市民によって作成されている.日本におけるクラウドソース型地理情報に対して,公的な組織が測量によって作成した地理情報や,商用の地理情報とその正確性や網羅性を比較した.また,クラウドソース型の地理情報の編集の特徴の一つである,コミュニティによる正確性や網羅性を実現するための試みや,データの相互チェックなど実態に関しての分析を行った.
著者
西村 雄一郎 森田 匡俊 大西 宏治 廣内 大助
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100321, 2014 (Released:2014-03-31)

1.はじめに 東日本大震災以降、携帯電話やカーナビゲーションシステムのGPSログ、ソーシャルネットワークサービスなどにおける位置情報がついた書き込み、災害情報報道などを含むいわゆる「震災ビッグデータ」の分析が進んでおり、特にそれらに含まれる位置情報を活用したGISによるビジュアライゼーション・空間分析が行われている(渡邉 2012)。これらは、「マスメディア・カバレッジ・マップ」「報道カバレッジマップ」と名付けられており、音声の書き起こしテキストから地名を抽出し、地域区分に基づいて集計されたデータを地図化することによって、報道の地域的な偏りや報道空白地域を明らかにするものであった。 一方、これらの分析で権利処理の関係などから利用されなかったのが震災発生時の放送映像である(村上 2013)。しかし、放送映像には、多くの地理的な情報が含まれており、被災地域のフィールドワークと組み合わせることによって、被災当時の状況や変化を復元することの可能な資料として、また報道と実際の被災状況のギャップを相互に検証することの可能なデータとして利用することが可能である。そこで、本発表では、2012年度に実施された「NHKアーカイブス学術利用トライアル研究Ⅱ」において、2000年9月東海豪雨のニュース映像の閲覧に基づくデータ化・地図化を行うとともに、ニュース映像に基づくデータと被災地域における地理学的なフィールドワークの結果をオーバーレイすることで比較を行い、こうした災害映像の被災状況復元のための利用可能性や限界、また報道内容と実際の被災状況の間にどのようなギャップや齟齬が発生したのかについて検討した。2.NHKアーカイブス災害映像からの地理的情報の抽出 今回東海豪雨を対象として取り上げた主な理由としては、映像が数多く存在し、また報告者らがこれまでに複数回調査を行うなど、被災地域の地理的な環境や詳細な地理的情報を熟知しているためことによる。東海豪雨に関する映像資料の検索・閲覧は、NHKアーカイブズ(川口)で報告者自身が行った。ここでは、全国放送のニュース映像・並びに取材VTR素材の閲覧が可能であり、保存VTRの検索を行うことが可能なデータベースを利用して、東海豪雨に関連する映像の検索を行った。データベース・放送された映像のほとんどには、映像の撮影地点を特定する情報が入っていなかったため、検索された映像にみられるさまざまな地理的要素(交差点名の標識・店舗名を示す看板や広告、また道路・鉄道・街路樹等の形状や起伏、空撮の場合は道路網の形状、建物や堤防等の形状、被害状況など)を既存の地図情報や被災地域でフィールドワークによる景観的な特徴と照合し、撮影地点の特定を行った。3.報道マッピングとフィールドワークによるデータの比較分析 このようにして作成した位置つきの撮影地点情報についてGISを用いてマッピングを行った。当日の発表では、特に名古屋市や周辺地域を含むマッピングの結果ならびに、フィールドワークや実際の被災状況と比較した結果を報告する。文献 渡邉英徳:散在データ間の地理的・時間的関連性を提示するマッシュアップコンテンツの Web アクティビティによる制作,2012.https://sites.google.com/site/prj311/event/presentation-session/presentation-session3#TOC-Web- 村上圭子「震災ビッグデータ」をどう生かすか−災害情報の今後を展望する−,放送研究と調査,pp. 2-25,2012.
著者
野間 晴雄 野中 健一 宮川 修一 岡本 耕平 堀越 昌子 舟橋 和夫 池口 明子 加藤 久美子 加納 寛 星川 和俊 西村 雄一郎 鰺坂 哲朗 竹中 千里 小野 映介 SIVILAY Sendeaune 榊原 加恵 SOULIDETH DR.MR. Khamamany BOURIDAM MS. Somkhith ONSY Salika CHAIJAROEN Sumalee 岡田 良平 的場 貴之 柴田 恵介 瀬古 万木 足達 慶尚 YANATAN Isara 板橋 紀人 渡辺 一生
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東南アジア大陸部に位置する天水田農業を主体とした不安定な自然環境における平原地帯(東北タイドンデーン村とラオスのヴィエンチャン平野ドンクワーイ村)における多品種の稲や植物,魚介類や昆虫など様々な動植物資源の栽培・採集・販売などの複合的な資源利用の実態とその変化の態様を地域の学際的・総合的共同調査で明らかにした。両村ともグローバル市場経済の影響が認められるが,ドンデーン村ではかつて存在した複合的な資源利用が平地林の消滅や都市近郊村落化によって失われており,ドンクワーイ村はグローバル化や森林伐採で変容を遂げつつあるが,インフラの未整備によって伝統は保持されている。
著者
西村 雄一郎
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ラオスの首都ヴィエンチャン近郊の農村地域で住民参加型GISを導入・利用し,村民・現地の研究者とともに継続的・長期的な生活環境・自然環境に関わるデータを取得することを可能にする新しい方法の開発を行った.村民の日常生活行動と周辺の環境に関わるデータを長期的に取得し,日.季節などのサイクル的な変化と都市化や開発などによる直線的な変化の両者を継続的に住民自身・現地研究者・申請者の三者で収集・分析を行うことができるしくみを作った.
著者
小口 高 西村 雄一郎 河本 大地 新名 阿津子 齋藤 仁
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

日本地理学会が運用しているツイッターアカウント(@ajgeog)は約1万5千人がフォローしており、諸学会のアカウントの中でも知名度が高く、一定の影響力を持っている。このアカウントは多くの学会のアカウントとは異なり、地理学に関連した一般的なツイートを多数リツイートしたり、フォローを返したりすることが多い。アカウントの運用は同学会の広報専門委員会が担当しており、過去5年間以上にわたり地理学に関する情報の伝達に継続的に寄与してきた。本発表では、2012年9月の同アカウントの開設と、その後の初期運用において中心的な役割を担った5名が、当時の経緯と背後で行われていた議論の内容を紹介する。
著者
竹内 裕希子 廣内 大助 西村 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1.&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; </b><b><u>はじめに</u></b><b><u></u></b> 東日本大震災の「釜石の奇跡」が例に挙げられるように,防災教育を実施する重要性とその効果が認識されている。しかし,防災教育の実施は未だ手探りである場合が多く,体系化したプログラムが提供されていないため,学校防災では現場教員の意識・知識に頼らざるを得ない状況であり,実施内容や頻度は学校において違いが生じている。 本報告では,愛媛県西条市において2006年度から取り組まれ続けてきた防災に関する「12歳教育」の現状と課題を考察する。ヒアリング調査・アンケート調査から「12歳教育」の効果と継続性の要素を整理し,地理的要素である空間認識と地域特性の理解を取り入れた総合的防災教育プログラムである「新12歳教育」の提案を行うことを目的としている。 <b>2.&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; </b><b><u>愛媛県西条市</u></b><b><u></u></b> 愛媛県西条市は瀬戸内海・豊後水道に面し,背後に石鎚山を最高峰とする四国山地に囲まれた愛媛県の東部に位置する。2004年に来襲した台風21号・23号により市内の河川が氾濫し,荒廃した山地からの流木により大きな被害が発生した。この災害を教訓として西条市は,大人に近い体力・判断能力が備わってくる12歳という年齢に着目し,防災教育や福祉や環境に関する活動などを行うことによって社会性を育て,子供たちが災害時には家庭や地域で大きな働きをなせるような力を身につけていくことを目的として2006年度から「12歳教育」に取り組んでいる。 「12歳教育」は,西条市内の小学校6年生児童を対象に総合学習の時間を用いて実施されている。各学校は4月に1年間の防災教育課題を決定し,夏休みに代表児童が西条市が実施する「防災キャンプ」に参加し,防災に関して学ぶ。その後各学校で防災教育活動を行い,2月に西条市内の全6年生が集まり「こども防災サミット」と題した発表会を行う。 <b>3.&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; </b><b><u>調査概要</u></b><b><u></u></b> 西条市教育委員会へのヒアリング調査並びに,西条市内に立地する小学校25校・中学校10校の校長・教頭にアンケート調査を実施した。ヒアリング調査は2013年12月,2014年5月に実施し,アンケート調査は2014年7月に実施した。アンケート調査は,①2006年度から実施されている12歳教育の取り組み内容,②12歳教育の防災教育効果,③総合学習の時間以外の各教科科目内での防災教育の取り扱い状況,④学校管理上の防災の課題の4つの大項目で設計した。 <b>4.&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; </b><b><u>12</u></b><b><u>歳教育の防災教育効果</u></b><b><u></u></b> 12歳教育の防災教育効果を西条市が掲げる教育理念23項目ごとに4件法で回答を求めた。 全ての学校で23. 「防災教育の充実・発展」の理念向上に12歳教育が影響を与えていると回答した。また,11.「西条市の特色ある教育」として捉えられており,17.「ふるさとを愛す態度を養う」21.「コミュニケーション能力の育成」に影響を与えていると回答した。「12歳教育」では,地域住民に話を聞き地図を作成する「防災タウンウオッチング」や学習成果を地域に広める取り組みを行っている学校が多く,それらの地域学習を通じた効果であることが推測される。
著者
今井 裕太郎 小池 則満 西村 雄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_66-I_73, 2012

木曽三川下流・伊勢湾岸の低平地においては、東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会が設置され、巨大台風に対する大規模な事前広域避難について検討がされている。そこで本研究では、名古屋市内の港区、南区、中川区の伊勢湾台風被害のあった公立小学校計6校の5年生もしくは6年生の保護者対象にアンケート調査を行った。その結果、事前広域避難そのものへの認識が低く、現状では円滑な広域避難は期待できないこと、ほとんどの家族が浸水域内に避難してしまうこと、大多数がマイカーで移動することが予想され、渋滞・駐車場対策が必要であることを述べた。また、上陸時間によって避難開始の時間が異なることから、呼びかけのタイミングが重要である可能性があることなどを指摘した。
著者
松本 博之 内田 忠賢 高田 将志 吉田 容子 帯谷 博明 西村 雄一郎 相馬 秀廣
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,グローバル化と地域景観・地域環境の変容について、特に紀伊半島における近現代を中心に検討した。その結果以下の諸点があきらかとなった。(1)1960年代後半からの外材供給の増大にともなう国内材供給量の低下は、十津川流域における植林地の変化に大きな影響を及ぼし、植林地伐採後の落葉広葉二次林景観の出現をもたらしている。(2)生活基盤が脆弱な紀伊半島和歌山県沿岸部では、近代を通じてグローバル化の2度の波があることが明らかとなった.このうち2度目は最近10年ほどの動きであり,明治期以降第2次大戦前までの1度目のグローバル化を基盤とした歴史的な地域性を引き継いでいる。(3)経済的な面でグローバル化の進行が顕著な日本社会ではあるが、高齢者個々の「生きられた世界」の構築には、地理的要素や地域の特殊性といった地域間の差異が大きく影響している。
著者
若林 芳樹 岡本 耕平 今井 修 山下 潤 大西 宏治 西村 雄一郎 池口 明子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,日本で本格的にPPGIS(参加型GIS)を実践していくための方法論的基礎を確立することを目的として,内外での既存の実践例を調査した上で,日本の実情に即したPPGIS の応用の仕方を検討した。研究にあたっては,課題を次の四つのサブテーマに分けて取り組んだ:(1) PPGISの理論的・方法論的枠組み(2) PPGIS のための技術開発(3) PPGIS の実践例の調査(4) PPGISの実践的応用。