著者
池内 克馬 高木 雅之 西田 征治 齊藤 隆一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.809-816, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
23

われわれは地域在中のがん経験者を対象にした,ピアや作業療法士との対話,活動日記の振り返り,作業に焦点を当てた目標設定,目標の経過の共有という特徴を持った教室を考案した.本報告の目的は,この教室が生活の質に与えた影響を事例の経過から検討することだった.治療完了後もしくは治療中の女性3名に対して,教室を1週間に1回の頻度で6回開催した.結果,すべての参加者が少なくとも部分的に目標を達成し,かつ生活の質が向上した.この要因として,活動日記の記録の振り返りと目標設定により参加者の作業に対する認識が向上したこと,ピアと作業療法士双方が支持的に関わったことが考えられる.
著者
宮口 英樹 石附 智奈美 宮口 幸治 西田 征治 安永 正則
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

DSM‐5による発達性協調運動症(DCD)は、生活年齢における日常生活の諸活動を著しく妨害していると表記されるが、日常生活では多岐にわたる認知機能が要求されるため、身体運動を中心とした介入プログラムでは、日常生活活動の遂行能力を実際に改善するかどうか検証はされていない。そこで本研究では、認知機能トレーニングを包含した介入プログラムを独自に開発し、医療少年院入院少年のうちDCDを有する対象者に3ヶ月間10回実施した。効果検証は、日常生活活動の運動とプロセス技能を定量的に観察評価するAMPSを用い、介入前後で有意なスコアの改善が認められた。
著者
池内 克馬 西田 征治
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.431-438, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
31

要旨:地域や在宅領域でのがん生存者に対する生活の質(以下,QOL)を高めるための効果的な作業療法プログラムの明確化を目的に,システマティックレビューを実施した.Pubmed,EBOSCOhost,医学中央雑誌を用いてQOL改善を目指した作業療法のランダム化比較試験を検索し,包含基準を満たした6論文を採用した.更にCochraneのバイアスリスク改訂版により論文の質を評価した.採用した論文のうち,成果指標に有意な改善を認めた4論文から,がん生存者と専門家やピアが協働するプログラムが参加者の高いモチベーションや日常生活活動能力を維持し,精神的な安らぎを与え,QOL や健康関連 QOL の改善に有用であることが示された.
著者
西田 征治 近藤 敏 西村 玲子 住廣 香里
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.63-70, 2011-03

我々は2005 年より三原市における認知症予防教室に参画してきた。本稿ではそのコンセプトと2007年に実施したプログラムと成果を報告する。本教室は,一般市民を対象とした目的型ポピュレーションアプローチにより,参加者の認知症予防行動が習慣化されることや自己効力感を高めることを主な目的としている。そのため,参加者はグループを構成し興味や課題と言った自分たちに何らかの意味のある活動を計画し,実行し,振り返ることを通して,認知症予防のための認知的アプローチの手法を学ぶ。その中で,我々は,彼らのエンパワメント支援を行っている。2007年のプログラムでは参加者の9割が「今までやめていたいことを家でするようになった」,8割が「日常生活でも計画― 実行― 振り返りを意識するようになった」と回答し,行動変容や意識変化の成果が認められた。また,自主化されたグループは2年半経過した現在でも活動を継続している。報告