著者
橋本 亘 谷口 真一郎 柴田 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.363-366, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
8

急性大動脈解離(acute aortic dissection: AAD)に類似した症状を呈し,診断に苦慮した急性特発性脊髄硬膜外血腫(acute spontaneous spinal epidural hematoma: ASSEH)の1例を経験した。症例は49歳の男性。ゴルフプレー中に背部痛が出現し救急搬送された。搬入時は苦悶表情で心窩部痛と背部痛を認め,血圧は192/100mmHgと高値であった。搬入後,一過性に両下肢脱力を認めたが改善した。発症様式や症状から急性大動脈解離などの循環器疾患を疑い精査を進めた。しかし諸検査を行ったが確定診断は得られなかった。入院後も背部痛は続いており,一過性に両下肢脱力を認めていたことより磁気共鳴画像検査(magnetic resonance imaging: MRI)を行ったところ頸椎~胸椎レベルに脊髄硬膜外血腫を認め,ASSEHと診断した。神経症状が安定しており保存的加療を行い後遺症なく自宅退院となった。ASSEHの発生は稀であるが,急性期の診断や治療の遅れが後遺症を残す可能性がある疾患であり,救急鑑別疾患のひとつとして認識することが重要である。
著者
谷口 真理 佐藤 由佳 角道 弘文
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.I_19-I_27, 2021 (Released:2021-01-12)
参考文献数
38

日本固有種ニホンイシガメの生息に影響を及ぼす環境要因を明らかにするために,兵庫県宍粟市のため池10箇所で2015年5月から11月に現地調査を行い,本種の個体数(/m2)を目的変数に,環境17項目を説明変数に,重回帰分析を行った.甲羅干し場(箇所/m2),ため池周囲の林地以外の接地割合が影響のある項目として抽出され,日当たりが良く,体温維持等に必要な甲羅干し場が複数存在する環境が必要であると推測された.また,雌の産卵期6月の移動範囲を明らかにするために,データロガー付GPS機器を用いて追跡したところ,移動範囲は最大12,640m2で,放流地点からの最大移動距離は210mであった.本種は様々な環境で出現し,特にため池周縁部と一部の水田で出現地点が集中した.本種の生息地の保全には,ため池だけでなく,その周辺の陸地も含めた対策が必要であることが確認された.
著者
谷口 真由美
出版者
大阪国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の少子化が進行している背景の一つには、「リプロダクティブ・ライツ」が保障されていないことが挙げられる。また、何故それが保障されていないのかといえば、「リプロダクティブ・セキュリティ(性と生殖の安全保障)」が確保されていないからであると考える。女性やカップルは、子どもを「産まない」という理由だけではなく、「産めない」(産みたいのに産めない・産んでも育てられない)という事情がある。安心して産める・生んで育てられる社会とはどのような社会なのか。リプロダクティブ・ライツやリプロダクティブ・セキュリティの観点から明らかにする。
著者
谷口 真生子
出版者
大阪音楽大学
雑誌
大阪音楽大学研究紀要 (ISSN:02862670)
巻号頁・発行日
no.53, pp.62-73, 2015-03-01

ガットマンモーネは、イタリアで品行の悪い子どもに対する脅かしのために引き合いに出される怪物のことである。ガットマンモーネの名称とその存在はディーノ・ブッツァーティの作品から知った。どうやらイタリア以外の国では見かけない怪物のようであり、さまざまな描写や解釈がなされているようである。本稿ではガットマンモーネという名称とその履歴をイタリアの怪物にからめて考察し、さらに数種類のガットマンモーネについてを記述し、ガットマンモーネとは何であるか、という到達目標に向かう途中経過を報告するものである。
著者
谷口 真吾 橋詰 隼人 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.340-345, 2003-11-16
参考文献数
17
被引用文献数
1

鳥取大学蒜山演習林のトチノキ林において,果実の成熟過程における落果時期と内部形態の解剖学的な観察をもとに,発育途中における未熟果実の落下原因を調べた。未熟果実は6月中旬から7月下旬までの間に全体の80〜90%が落下した。未熟落果の形態として,「虫害」タイプ,「胚珠の発育不全」タイプ,「種子内組織の崩壊」タイプ,「胚珠の発育不全」タイプの四つが挙げられた。虫害による未熟落果は6月と7月下旬以降に多く発生した。6月の虫害は果肉摂食型幼虫によるもの,7月下旬以降の虫害は子葉摂食型幼虫によつものであった。「胚珠の発育不全」タイプの落果は主に6月にみられ,受粉・受精の失敗によって胚珠が種子に成長しなかったことが原因として考えられた。「種子内組織崩壊」タイプの落果は7月上旬以降にみられ,種子内の組織が死滅して内部が空洞化していた。「胚の発育不全」タイプの落果は7月下旬以降にみられ,胚の発育が途中で止まったものであった。トチノキの未熟落果の大部分を占める「胚珠の発育不全」と「種子内組織の崩壊」は,落下果実の内部形態から判断して,「胚珠の発育不全」タイプは受粉・受精の失敗が主要因であり,「種子内組織の崩壊」タイプは資源制限による発育中断が主要因である可能性が高いと考えられた。
著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 濱井 和夫 関 満徳 井上 健 谷口 真也 小林 浩 平鍋 健児 羽生田 栄一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2020-SE-204, no.17, pp.1-8, 2020-02-24

DX(Digital Transformation)時代に向けた新たなソフトウェア工学(Software Engineering for Business and Society: SE4BS)に向けた枠組みと価値駆動プロセスを提案する.具体的には,今日においてソフトウェア「工学」として受け入れられている手法やプラクティスにおいて,顧客価値やビジネス価値に基づいてソフトウェア開発・運用を進める視点の欠落や,産業界において広く受け入れられているアジャイル開発との分断が起きているという問題を提起する.その問題意識のもと,DX 時代に必要な新たなソフトウェア工学として,ビジネスアジリティを組み入れて新規ビジネスのアイデアから,それを具体化する製品やサービスおよびユーザー体験までを結び付けるソフトウェアシステムの開発・運用に有用なモデル,手法,プラクティスを分類整理し,それらを用いる進め方としてビジネス・社会視点の価値駆動プロセスの一例を提案する.さらに,心的要素である知・情・意による分類を通じて,これからのソフトウェア工学と周辺の捉え方の一つを示す.
著者
谷口 真人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.725-738, 1987-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
18 16

新潟県長岡平野における地下水温の形成機構を解明するために,地下水温の時空間分布の観測と熱移流を考慮:した数値解析を行なった.その結果,地下水温鉛直分布の季節変化パターンは特徴的な4つのタイプに分類され,その分布域も地域的な特徴を持つことが明らかになった.また,地下水流動による熱移流を考慮した数値解析により,これらの地域的差異が,地下水の涵養・流出・移流・揚水によって生じたものであることが明らかになった。地下水流動系の涵養域および流出域に出現するタイプは,それぞれ年間を通じた0.01m/dの下向きおよび上向きのフラックスの存在により,恒温層深度が鉛直一次元の熱伝導による計算値より約5m下方および上方へ移動する.河川近傍に出現するタイプは,水平熱移流の影響を受けて全層一様に温度変化する.市街地中心部に出現するタイプは冬期の消雪用揚水により,浅層の高温な地下水が水塊状に下方へ移動することにより説明できた.
著者
谷口 真理 上野 真太郎 三根 佳奈子 亀崎 直樹 角道 弘文
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会論文集 (ISSN:24360775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-28, 2021 (Released:2021-06-25)
参考文献数
35

We developed and executed a management plan for the extermination of the invasive turtle Trachemys scripta elegans in a closed water body as a case study in the moats of Sasayama Castle, Tanbasasayama City, Hyogo Prefecture. We captured turtles using 150 traps baited with fish during 11 trapping intervals between July 2015 and September 2015, for a total of 1650 trap nights. We used the number of individuals caught per trap (Catch per Unit Effort, CPUE) as a measure of removal effectiveness and found that the CPUE of the baited traps decreased from 1.10 to 0.10 by the end of trapping in 2015. Since 2016, we used two types of traps, baited traps and basking traps, the latter designed to take advantage of basking behavior. The median CPUE of basking trapswas 1.15, whereas the median CPUE of baited traps was 0.15, indicating that the basking traps were more effective even when baited traps were present. We captured significantly more females than males with baited traps (Chi-squared test, p<0.05), while basking traps used in conjunction with baited traps captured more juveniles (plastron length less than 50 mm) than the total number of individuals captured by basking traps. These findings suggest that for the effective removal of T. s. elegans, it is important to use a combination of different trapping methods.
著者
谷口 真美
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.4-24, 2016-09-20 (Released:2017-08-28)
参考文献数
104
被引用文献数
4

多様性と成果の関係性,そこにおけるリーダーシップの影響過程は,曖昧で複雑である.そのため研究が少なく,いまだ実務の要請に応えきれていない.しかし,次の点で着実に研究が進んでいる.1)より精緻に現象を捉えるための方法論が洗練されている.2)多様性固有の局面を正確に捉え,それに対するリーダーシップの影響過程が探求されている.本稿では,個人,集団(チーム),組織レベルで,多様性と成果をつなぐリーダーシップの役割に関する既存研究を整理し,今後の研究課題を示す.
著者
西宮 康治朗 照屋 武志 羽地 龍志 谷口 真吾
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.43-52, 2022

<p>沖縄の伝統楽器である三線は棹が重要であると古くから言われているが,棹材として用いられる木材の科学的調査はあまり行われていない。さらに,近年これら木材の数が激減し,代用樹種を探す必要性も増している。楽器としての棹材の性能を工学的に評価する事で適正な材料選定が可能になると共に代用樹種の選定にも役立つ。本研究では棹材としてリュウキュウコクタン (<i>Diosphyrosferrea</i>) とイスノキ (<i>Distylium racemosum</i>),代用樹種の候補の一つとしてモクマオウ (<i>Casuarina equisetifolia</i>) の計3種について両端自由たわみ振動法を用いて動的ヤング率や対数減衰率を求めた。また,これらの材を用いて実際に三線の棹を製作し音色の評価も行った。その結果,特に減衰率において定性的に結果が一致した。これは原木状態での適切な棹材の選定指標の可能性を示している。また,代用樹種の候補であるモクマオウに関して,三線の棹材として利用できる可能性も示された。</p>
著者
藤本 潔 羽佐田 紘大 谷口 真吾 古川 恵太 小野 賢二 渡辺 信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br>マングローブ林は、一般に潮間帯上部という極めて限られた環境下にのみ成立することから、温暖化に伴う海面上昇は、その生態系へ多大な影響を及ぼすであろうことが予想される。西表島に隣接する石垣島の海面水位は、1968年以降、全球平均とほぼ同一の年平均2.3mmの速度で上昇しつつある(沖縄気象台 2018)。すなわち、ここ50年間で11.5cm上昇した計算となる。近年の上昇速度が年10mmを超えるミクロネシア連邦ポンペイ島では、マングローブ泥炭堆積域で、その生産を担うヤエヤマヒルギ属の立木密度が低下した林分では大規模な表層侵食が進行しつつあることが明らかになって来た(藤本ほか 2016)。本発表は、本年2月および8月に西表島のマングローブ林を対象に実施した現地調査で見出された海面上昇の影響と考えられる現象について報告する。<br><br>2.研究方法<br><br>筆者らは、西表島ではこれまで船浦湾のヤエヤマヒルギ林とオヒルギ林に固定プロットを設置し、植生構造と立地環境の観測研究を行ってきた。今回は、由布島対岸に位置するマヤプシキ林に新たに固定プロット(幅5m、奥行70m)を設置し、地盤高測量と毎木調査を行った。プロットは海側林縁部から海岸線とほぼ直行する形で設置した。地盤高測量は水準器付きポケットコンパスを用い、cmオーダーで微地形を表記できるよう多点で測量し、ArcGIS 3D analystを用いて等高線図を作成した。標高は、測量時の海面高度を基準に、石垣港の潮位表を用いて算出した。毎木調査は、胸高(1.3m)以上の全立木に番号を付し、樹種名、位置(XY座標)、直径(ヤエヤマヒルギは最上部の支柱根上30cm、それ以外の樹種は胸高)、樹高を記載した。<br><br>3.結果<br><br> 海側10mはマヤプシキのほぼ純林、10~33mの間はマヤプシキとヤエヤマヒルギの混交林、33~50mの間はヤエヤマヒルギとオヒルギの混交林、50mより内陸側はほぼオヒルギの純林となっていた。70m地点には立ち枯れしたシマシラキが確認された。立ち枯れしたシマシラキは、プロット外にも多数確認された。<br><br> マヤプシキは直径5㎝未満の小径木が46%、5~10cmが37%を占める。20m地点までは直径10cm未満のものがほとんどを占めるが、20~33mの間は直径10cmを超えるものが過半数を占めるようになる。最大直径は23.3cm、最大樹高は5.7mであった。ヤエヤマヒルギはほとんどが直径10cm未満で、直径5cm未満の小径木が74%を占める。最大直径は47m付近の13.8cm、最大樹高は5.7mであった。オヒルギは直径5cm未満の小径木は少なく、50~70mの間では直径10cm以上、樹高6m以上のものがほぼ半数を占める。最大直径は19.9cm、最大樹高は11.1mに達する。<br><br>地盤高は、海側林縁部が標高+28cmで、内陸側に向かい徐々に高くなり、45m付近で+50cm程になる。45mより内陸側にはアナジャコの塚であったと思われる比高10~20cm程の微高地が見られるが、一般的なアナジャコの塚に比べると起伏は小さい。この林の最も内陸側には、起伏の大きな現成のアナジャコの塚が存在し、そこではシマシラキの生木が確認された。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚であったと思われる起伏の小さな微高地上に分布していた。<br><br>4.考察<br><br> シマシラキはバックマングローブの一種で、通常はほとんど潮位の届かない地盤高に生育している。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚上に生育していたが、近年の海面上昇に伴いアナジャコの塚が侵食され地盤高を減じたため、冠水頻度が増し枯死した可能性がある。船浦湾に面する浜堤の海側前縁部にはヒルギモドキの小群落が見られるが、近年海岸侵食が進み、そのケーブル根が露出していることも確認された。このように、全球平均とほぼ同様な速度で進みつつある海面上昇に対しても、一部の樹種では目に見える形での影響が現れ始めていることが明らかになった。<br><br>参考文献<br>沖縄気象台 2018. 沖縄の気候変動監視レポート2018. 藤本潔 2016. 日本地理学会発表要旨集 90: 101.