著者
谷崎 英昭 神戸 直智 瀧 玲子 松村 由美 是枝 哲 十一 英子 宮地 良樹
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.979-983, 2007-05-20 (Released:2014-12-03)
被引用文献数
2

22歳,男性.既往歴に花粉症.フルーツ摂取時に違和感を自覚していたが,摂取制限はしていない.整形外科での手術に際して,既往歴から口腔アレルギー症候群やラテックスフルーツ症候群の可能性を疑われラテックスを含有しない使用器具が準備されたが,全身麻酔導入し気管内挿管・抗生剤投与(執刀前)をした時点でショック状態となった.当院での皮内テストの結果,投与されたジェネリック医薬品で陽性反応を認め,その先発品では陰性であった.両者は共に添加物を含まない製剤であるため,自験例では有効成分以外の,製造過程で混入する可能性がある類縁物質を原因としてアナフィラキシー反応が生じたものと推測された.医療経済の効率化からジェネリック医薬品の使用頻度が急速に上昇している今日,安全性に対しても十分な配慮が必要であることの警鐘として報告する.
著者
加畑 大輔 谷崎 英昭 荒川 明子 谷岡 未樹 高倉 俊二 大楠 清文 宮地 良樹 松村 由美
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.14, pp.3337-3342, 2011-12-20 (Released:2014-11-13)

11歳,男児.初診の3カ月前に右上腕に無症候性の皮膚結節が出現し,次第に潰瘍化し軽度疼痛を伴うようになった.他院にて切除術施行されたが再度潰瘍を呈したため2010年4月当科を受診した.潰瘍部の病理組織中に多数の抗酸菌を認め,病変部組織の遺伝子解析にて,Mycobacterium ulcerans subsp. shinshuenseに特異的な遺伝子配列を検出したため,Mycobacterium ulcerans subsp. shinshuense によるBuruli潰瘍と診断した.2%小川培地およびMGIT液体培地にて30°Cで培養したところ,6週間後に黄色コロニーの発育を認めた.リファンピシンとクラリスロマイシン投与開始にて潰瘍の増大は止まったものの,縮小傾向に乏しかったため,抗菌薬を継続したまま,投与2カ月後病変部を切除し分層植皮術を施行した.抗菌薬は計6カ月間で終了し,投与終了後1カ月経過した時点で再発を認めない.Buruli潰瘍は,本来熱帯地方に分布するM. ulceransという非結核性抗酸菌感染症である.しかし,近年その亜種であるM. shinshuenseによる皮膚潰瘍の報告が本邦で増加しており,皮膚潰瘍の鑑別診断のひとつとして念頭におく必要がある.