著者
遠藤 彰
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.117-132, 1980-06-30 (Released:2017-04-12)

Various nesting conditions of a spider wasp Episyron arrogans were examined in the context of the encounter and avoidance in the host-parasite relationship with a miltogrammine fly Metopia sauteri. When the wasps spent more time in nest burrowing and prey transporting, the nests tended to be more frequently found by the hole searching flies. The time spent in nest burrowing was principally influenced by the relative size of hunted prey to the wasp and the soil conditions of the burrowing site. That is, the wasp, which hunted the relatively small sized prey and/or preferred the sandy ground as burrowing site, reduced the chance of encounter with the flies. Furthermore, when the fly approached the nest the wasp frequently abandoned the burrow, and moved to a parasite-free site carrying the hunted prey. In the nesting behaviour of this spider wasp, there is no remarkable modification, like as 'anti-parasite adaptation' hypothetically pointed out in the sphecid digger wasps. The simple and primitive manner, that is, the wasp burrows after hunting a prey, seems to make the wasp less vulnerable to such cleptoparasites.
著者
斎藤 真澄 遠藤 彰 三木 彦一 奥田 永昭 伏崎 弥三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.547-551, 1961-03-05 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16

テルペン炭化水素の自動酸化についての研究の一環としてd-リモネンの自動酸化を行なった。d-リモネンは40~70℃という比較的低い温度で,開始剤を用いなくとも,空気により酸化されてヒドロペルオキシド(HPO)を生成した。開始剤としてBPOを使用すれば,反応初期におけるHPOの生成の速度は増大した。いずれの場合にもHPOの濃度はある一定値以上には増加しない。また触媒として重金属塩を用いるとHPOの生成速度はやはり増大するが,このHPOの最高濃度は著しく低くなる。これらのことからHPOは酸化反応中にも熱分解し,重金属塩はHPOの生成とともにその分解をも促進することがわかった。生成物としてはケトン,アルコールおよびアルデヒドの存在が認められた。ケトンおよびアルコールは還元するとメントールになるので,これらはそれぞれ3位にカルボニル基あるいはヒドロキシル基をもつことがわかり,ヒドロペルオキシドの構造もそれに相当するものであることが決定された。このほかカルボンの存在も認められたので6位でも反応がおこっていることを示す。次に反応機構をより明らかにするため反応速度を測定した。初速度と酸素圧,リモネン濃度,BPO濃度との関係を求めた結果次の速度式が得られた。γTiは熱による開始反応の速度で,BPOを用いた時にもこれを無視することはできなかγ=(γTi+kB[BPO])1/2[O2][RH]/(C[RH]+D[O2])った。この速度式の定数を実験から求め,それから計算した活性化エネルギーは21kcal/molとなった以上の結果からd-リモネンの自動酸化では主としてまず3位で酸化がおこってHPOを生成し,それが分解してアルコール,ケトンになることがわかった。その反応性はすでに行なつたα-ピネンのそれよりもやや大きく,テルピノレンよりは小さい。したがって同じモノオレフィンでは単環構造のほうが双環構造より反応し易いといえる。
著者
加納 良男 遠藤 彰 難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.55-65, 1992-03-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
19

細胞の老化と不死化は密接に関連している。ヒトの細胞は、堅固な細胞老化機構をもっていて細胞の不死化が非常におこりにくく、それが細胞の不死化機構解明を困難にしている、反対にマウスなどのローデントの細胞は容易に不死化するため不死化の原因を追及しにくい。さらにマウス等においては、myc、p53、SV40Tなどの不死化遺伝子があるが、それらがどのようなメカニズムでマウスの細胞を不死化させるのか全くわかっていない。一方、我々はヒトにおいてマウスと同じくらい高頻度にSV40Tで不死化する細胞(11p-)を見い出した。使用した2種類の11p-細胞は、老化と不死化の接点にあるクライシスに、それぞれ異なった異常を示した。第一の種類の異常は、クライシスにも多数の細胞が存在していてSV40Tによって正常の7倍の頻度で不死化するe一般にSV40Tを導入した正常細胞のクライシスでは細胞数はきわめて少なくなる。第二の異常は、クライシスが継代の若い時期から始まり、正常の50倍もの不死化率を示した。クライシスは細胞が老化してくると、老化遺伝子が発現することでひき起こされると考えられており、高い自然染色体異常と突然変異をもつ。SV40Tなどのがん遺伝子はクライシスを高め、その結果老化遺伝子自身におきる突然変異もひき上げると考えられる.そして、相同染色体に別々に2個存在する老化遺伝子に2つとも突然変異が生じて、その老化遺伝子が不活化し、老化にともなう細胞増殖の停止が起こらなくなった現象がヒト細胞の不死化と考えられる。
著者
遠藤 彰 斎藤 真澄 伏崎 弥三郎
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.593-597,A47, 1964
被引用文献数
1

脂環式炭化水素類の環に直結した炭素間二重結合を有機過酸で酸化すると,一般のオレフィンと異なり環の拡大をともなうような例が報告されている。著者らはこの種の反応を詳しく調べるために,双環テルペンのカンフェンを過酢酸,過安息香酸で酸化しその反応生成物を調べ,また過酸の消費量を測定することによって反応速度を求めた。反応生成物は主としてカンフェニランアルデヒドで,その他に過酢酸酸化ではカンフユングリコールのモノ酢酸エステル,過安息香酸酸化ではカンフェンオキシドが認められた。反応速度は2次反応速度式で表わすことができ,種々の条件で2次反応速度定数が得られた。反応は溶媒の極性が大きいほど遅いことから,オレフィンの過酸によるエポキシ化反応と同じく分子機構で反応が進むと考えられる。
著者
村田 希吉 大友 康裕 久志本 成樹 齋藤 大蔵 金子 直之 武田 宗和 白石 淳 遠藤 彰 早川 峰司 萩原 章嘉 佐々木 淳一 小倉 裕司 松岡 哲也 植嶋 利文 森村 尚登 石倉 宏恭 加藤 宏 横田 裕行 坂本 照夫 田中 裕 工藤 大介 金村 剛宗 渋沢 崇行 萩原 靖 古郡 慎太郎 仲村 佳彦 前川 邦彦 真山 剛 矢口 有乃 金 史英 高須 修 西山 和孝
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-347, 2016-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

【目的】重症外傷患者における病院前輸液と生命予後, 大量輸血および凝固異常との関連について明らかにする. 【対象と方法】Japanese Observational Study of Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) で後方視的に収集したISS≧16の外傷796例について, 28日死亡, 大量輸血 (24時間Red Cell Concentrate : RCC10単位以上), 外傷性血液凝固障害 (Trauma–Associated Coagulopathy : TAC : PT–INR≥1.2と定義) の3つを評価項目として, 病院前輸液施行の有無の影響を検討するために多変量解析を行なった. さらに年齢 (65歳以上/未満), 性別, 重症頭部外傷合併の有無, 止血介入 (手術またはIVR) の有無により層別化解析した. 【結果】病院前輸液施行85例, 非施行711例であり, 両群間における年齢, 性別, 28日死亡, 大量輸血, 止血介入に有意差を認めなかった. 病院前輸液群ではISSが高く (中央値25 vs. 22, p=0.001), TACが高率であった (29.4% vs. 13.9%, p<0.001). 病院前輸液は28日死亡, 大量輸血の独立した規定因子ではなかった. TACの有無を従属変数とし, 年齢・性別・病院前輸液の有無・ISSを独立変数とするロジスティック回帰分析では, 病院前輸液 (オッズ比 (OR) 2.107, 95%CI 1.21–3.68, p=0.009) とISS (1点増加によるOR 1.08, 95%CI 1.06–1.10, p<0.001) は年齢とともに独立したリスク因子であった. 層別解析では, 65歳未満 (OR 3.24, 95%CI 1.60–6.55), 頭部外傷合併 (OR 3.04, 95%CI 1.44–6.42), 止血介入例 (OR 3.99, 95%CI 1.40–11.4) において, 病院前輸液は独立したTACのリスク因子であった. 【結語】ISS≧16の外傷患者に対する病院前輸液は, 28日死亡および大量輸血との関連は明らかではないが, TAC発症の独立したリスク因子である. 特に65歳未満, 頭部外傷合併, 止血介入を要する症例に対する病院前輸液は, TAC発症のリスクとなる可能性がある.
著者
西嶋 規世 遠藤 彰 山口 和幸
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会 : Mechanical Engineering Congress, Japan
巻号頁・発行日
vol.2013, pp."J101022-1"-"J101022-3", 2013-09-08

Labyrinth seals have the potential to cause rotordynamic instability induced by the fluid force of seal flows. We conducted a computational fluid dynamics (CFD) study to investigate the rotordynamic characteristics of the shaft labyrinth seal of a steam turbine. The effects of different seal gap (0.42-0.85 mm) and seal length (47.6-357 mm) were systematically investigated. The predicted stiffness coefficients increased with increasing seal length as expected, but short seals (<100 mm) indicated stronger dependence on seal length. Stiffness coefficients of short seals also indicated strong dependence on seal gap, and increased inversely with decreasing gap, while stiffness coefficients of long seals depend less on seal gap.
著者
新井 隆景 遠藤 彰 永田 晴紀 杉山 弘 森田 修至
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.614, pp.3318-3324, 1997-10-25
被引用文献数
7 1

Supersonic combustion using a catalytic combustion in a cold supersonic flow field was investigated in a square duct with a backward-facing step. The free stream Mech number was M_m=1.81. Hydrogen was injected transversely behind a backward-facing step into a cold air free stream. Using a catalyst in a cold supersonic turbulent mixing layer, it was found that hydrogen reacted stably to oxygen in the air flow. The relationship between the heat release due to catalytic combustion and supersonic flow properties, which influence the supersonic combustion, was clarified experimentally. The spatial distribution of heat release generated by catalytic combustion in the supersonic turbulent mixing layer is discussed. It was found that the heat release due to the catalytic combustion had a maximum at the outer edge of the mixing layer.