著者
仲西 友里奈 野白 有里子 周藤 真実 若槻 美雪 宇野 慶子 坪内 敦志 酒井 牧子 河野 通盛
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.38-48, 2021-12-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
4

当院では保険薬局からの疑義照会は医師に直接電話で行われているが,一包化や規格変更など調剤上の形式的な疑義照会が多く,医師・保険薬局それぞれに負担をかけている場合がある.形式的な疑義照会を減らし,医師・保険薬局双方の負担軽減を図る目的で,院外処方せんにおける疑義照会簡素化プロトコール(以下プロトコール)を作成し,2019年7月より運用を開始した.プロトコール導入により医師及び保険薬局の負担軽減が出来ているか評価するため,プロトコール適応件数とその内訳を集計し,医師およびプロトコール合意締結薬局を対象としたアンケート調査を行った. 院外処方せん総枚数に対する直接電話で行われた疑義照会件数の割合はプロトコール導入前後で有意に減少した.アンケート調査では医師の約50 %がプロトコール導入後に疑義照会が減ったと回答し,保険薬局の約70 %が業務負担が減ったと回答した.以上の結果から,疑義照会簡素化プロトコールの導入は医師および保険薬局の業務負担軽減につながったと考えられる.
著者
野白 有里子 今井 孝 酒井 牧子 河野 通盛
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.33-35, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
6

せん妄は入院期間の延長,転倒事故リスクの増大,医療従事者の負担増加に繋がり,医療現場において問題とされている.そのためせん妄のリスク因子を把握し,事前のせん妄対策を行うことが重要となる.本研究の目的は,せん妄発症患者における,患者背景及びせん妄リスク薬の使用状を調査し,それらがせん妄の発症に及ぼす影響を明らかにすることである.調査期間中の消化器内科病棟全入院患者は1,389 名であり,そのうちせん妄治療目的での投薬が行われた対象患者は22名であった.対象患者のうち,せん妄発症直前に服用していた,せん妄誘発リスクが高いとされる薬剤は0 剤の患者が8 名,1 剤が5 名,2 剤が5 名,3 剤が4 名であった.せん妄リスク薬のうち,BZ系及び非BZ系睡眠薬・抗不安薬服用患者,オピオイド系鎮痛薬服用患者の人数が多い傾向にあった.一方,高齢者ではせん妄リスク薬が0 剤であってもせん妄を発症していた.また,せん妄リスク薬を3 剤服用している患者は0 ~ 2 剤の患者に比べ平均年齢が低い傾向にあった.このことから,せん妄リスク薬を多剤併用している患者に対しては,年齢に関わらずせん妄発症リスクがあることを考慮し,薬剤の適正使用を検討することにより,せん妄発症を回避できる可能性が示唆された.