著者
金谷 文則
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.52-60, 2014 (Released:2014-02-04)
参考文献数
16
被引用文献数
4

Peripheral nerve injuries are usually caused by trauma and are different from peripheral neuropathy. Clinical signs include flaccid paralysis, sensory loss and rapid muscle atrophy. Peripheral nerve lacerations are best treated by early microsurgical repair. There are several defining characteristics of peripheral nerve laceration and regeneration, namely, the degeneration of distal axons (Wallerian degeneration), the misdirection of regenerating axons, slow axonal regeneration and rapid muscle atrophy. Following nerve laceration, distal axons fall into axonal degeneration and leave empty Schwann tubes. Afterwards, several regenerating axons sprout from each proximal axon and they then regenerate into distal Schwann tubes in an almost random fashion. When sprouting axons migrate into different Schwann tubes other than their original tubes, misdirection occurs and functional recovery will not occur. The speed of axonal regeneration is usually from 1 to 2 mm a day. Denervated muscle atrophy progresses rapidly and becomes irreversible after one year. Therefore, muscles more than 36 cm distal to the nerve laceration site, for example, the hand muscles after a brachial plexus injury or the foot muscles after a sciatic nerve injury will not recover even after perfect nerve repair is accomplished. So far, neither Wallerian degeneration nor axonal misdirection can be prevented via pharmacological means. At present, the best functional recovery can be obtained by microsurgical nerve repair with correct funicular matching in order to prevent joint contracture and muscle atrophy, which can be prevented to a certain degree with stretching and electro-stimulation of the affected muscles. Additionally, sensory re-education can be used to improve object recognition.
著者
仲村 一郎 屋良 哲也 伊佐 真徳 宮里 剛成 新垣 勝男 野原 博和 金谷 文則 茨木 邦夫 高良 宏明
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.1084-1087, 2000-09-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

Intraspinal osteochondroma is rare. Only 29 intraspinal osteochondromas were reported in the Bone Tumor Registry in Japan from 1972 to 1992 and this accounts for 0.4% of all osteochondromas.<br>We report a case of intraspinal vertebral osteochondroma causing thoracic myelopathy. An 8-year-old boy was noticed to fall down easily on gait by his mother. He showed spastic gait, and one week later he had difficultly in walking progressively. Neurological examination revealed hyperreflexia of both lower extremities, right ankle clonus, positive Babinski signs, and sensory change under the level of Th4. A myelogram demonstrated a right lateral extradural mass with complete spinal block at Th1. Computed tomogram (CT) demonstrated an osseous mass arising from the right facet of Th1/2. A right hemilaminectomy of Th1 was carried out, and the osseous mass including the right superior articular facet of Th2 was excised. No spinal fusion was performed. Histopathologically, it was determined to be a benign osteochondroma. Eight months after surgery, neither recurrence of the tumor nor instability of the spine was seen.
著者
石原 昌人 仲宗根 哲 平良 啓之 山中 理菜 親川 知 松田 英敏 東 千夏 神谷 武志 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.620-623, 2019-09-25 (Released:2019-12-17)
参考文献数
6

人工股関節置換術(THA)後の腸腰筋インピンジメントに対して腱切離を行い改善した1例を報告する.【症例】62歳女性.左変形性股関節症に対し左THAが行われた.術後より左股関節自動屈曲時の鼠径部痛を認めていた.歩行は可能であり鎮痛薬内服で経過観察を行っていたが,症状の改善がなく術後6ヵ月時に当院を紹介され受診した.左股関節の自動屈曲は疼痛のため不能で,血液検査で炎症反応上昇はなく,単純X線像でTHAのゆるみは見られなかったが,カップの前方突出を認め,腸腰筋インピンジメントと診断した.キシロカインテストで疼痛は消失し術後8ヵ月で手術を行った.腸腰筋は緊張しカップの前縁とのインピンジメントを認め腸腰筋腱切離を行った.術当日より疼痛は改善し術後3日目に独歩で退院した.術後2ヵ月でADL制限なく職場復帰した.腸腰筋インピンジメントの観血的治療として腱切離は低侵襲で有効な治療法と思われた.
著者
新垣 薫 大湾 一郎 砂川 憲政 大嶺 啓 山口 健 城間 隆史 池間 康成 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.228-232, 2007 (Released:2007-06-01)
参考文献数
8

人工股関節置換術後の股関節部痛の鑑別疾患として人工関節の感染,臼蓋コンポーネントのloosening,恥骨の不顕性骨折,腰椎疾患,腹部疾患などがある.今回,人工股関節置換術後に鼠径部痛を来たし,腸腰筋腱炎の診断にて腸腰筋腱切離術を施行し,疼痛が消失した症例を経験したので報告する.症例は57歳,女性.平成11年右THA,平成12年左THAを施行し,右THA術後4カ月頃より右鼠径部痛を自覚.血液検査所見,骨シンチ,関節穿刺液の培養検査より感染は否定的で,鎮痛剤により経過観察したが疼痛改善を認めなかった.関節内への局麻剤の注入にて一時的に症状が改善し,関節造影にて臼蓋カップの前方に腱性索状物が造影され,身体所見と併せて腸腰筋腱炎と診断.手術にて腸腰筋腱の切離を行ったところ術後は鼠径部痛が消失し,現在は疼痛なく経過.人工股関節置換術後の腸腰筋腱炎は臼蓋カップ辺縁が前方に突出する場合に生じることがあり,術後疼痛の鑑別疾患として念頭におく必要がある.
著者
大槻 健太 金谷 文則 山口 浩 親富祖 徹 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.340-343, 2020
被引用文献数
1

<p>【目的】髄内釘(ナカジマメディカル社 ニューストレートネイル®)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】髄内釘を用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった75例75肩(男性21肩,女性54肩)を対象とした.年齢は35~91歳(平均70歳),骨折型は2-part 33肩,3-part 29肩,4-part 13肩,経過観察期間は6~53カ月(平均13.4カ月)であった.調査項目はX線学的評価,ROM(屈曲・外旋・内旋)とした.合併症,年齢,骨折型とROMについて検討した.【結果】平均ROMは屈曲119°,外旋39°,内旋4.2点であった.合併症発生率は20%(骨頭壊死6肩,大結節障害3肩,螺子骨頭穿破2肩,螺子逸脱・骨頭壊死と螺子逸脱の合併・内反変形各1肩)であった.年齢と屈曲・外旋角度で負の相関関係を認めた.骨折型は各part骨折間ではROMに明らかな有意差を認めなかったが,75歳以上の4-part骨折では有意に屈曲が低下していた.【結語】髄内釘の治療成績は比較的良好であったが,高齢者で術後ROMは低下していた.</p>
著者
親富祖 徹 金谷 文則 山口 浩 大槻 健太 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.344-348, 2020

<p>【目的】上腕骨近位部骨折用DePuy-Synthes社製PHILOS<sup>TM</sup>プレート,(以下PHILOS)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】PHILOSを用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった65例65肩(男性16肩,女性49肩),年齢は20~87歳(平均64歳),骨折型(Neer分類)は2-part 27肩,3-part 31肩,4-part 7肩,観察期間6~64カ月(平均15カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋:内旋のみJOAスコアに基づき点数化),骨癒合,合併症であり,年齢・骨折型と関節可動域に関する検討を行った.【結果】平均肩関節可動域は屈曲116°,外旋29°,内旋3.8点であった.合併症発生率は35%であった.年齢と屈曲・外旋可動域で負の相関関係を認めた.4-partでは屈曲可動域が有意に低下していた.【結語】PHILOS固定例では年齢と屈曲と外旋で負の相関関係を認め,4-part骨折では有意に屈曲が不良であった.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 大槻 健太 親富祖 徹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.336-339, 2020

<p>【はじめに】近年,上腕骨近位端骨折に対して保存療法を推奨する報告が散見される<sup>1)2)5)</sup>.上腕骨近位端骨折に対する保存療法の成績を報告する.【対象および方法】保存治療を行った21例21肩を対象とし,内訳は骨折型2-part 9肩,3・4-part 12肩,年齢は49~87歳(平均69歳)(65歳未満:5肩,65~74歳:6肩,75歳以上:10肩),経過観察期間は6~81カ月(平均25カ月)であった.調査項目はX線学的評価,肩関節可動域:屈曲・外旋・内旋であり,骨折型(2-part,3・4-part)と年齢別での患健比(%)を検討した.【結果】最終可動域は屈曲132°,外旋57°,内旋5点であり,患健比(%)は骨折型別では2-part(屈曲87%,外旋88%,内旋93%),3・4-partで(90%,75%,81%).年齢別では65歳未満(88%,96%,93%),65~74歳(90%,71%,75%),75歳以上(90%,75%,91%)であった.【まとめ】3・4-part骨折と65歳以上で外旋制限を認める傾向があったが,保存療法の成績は比較的良好であった.</p>
著者
島袋 全志 玉城 一 伊波 優輝 藤本 泰毅 仲宗根 哲 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.329-332, 2020

<p>髄内釘ASULOCK<sup>®</sup>は,ラグスクリューに加えて3本のピンやスクリューを近位骨片に挿入でき,近位骨片を強固に固定できる.今回,大腿骨転子部骨折に対してASULOCK<sup>®</sup>を用いた手術成績を検討した.対象は24例で男性5例,女性19例,平均年齢83歳(64~99歳),平均観察期間は24週(4~49週)であった.中野3D-CT分類TypeⅠの2-partAは4例,3-partAは5例,3-partBは3例,4-partは9例で,TypeⅡ は3例であった.手術時間は平均102分(61~134分),術後単純レントゲン像の正面像では外方型はなかったが,側面像で髄内型を3例に認めた.スライディング量は平均2.7 mm(0~12 mm)であった.遷延癒合を6例,ピンのカットアウトを1例に認めた.ASULOCK<sup>®</sup>使用例では,整復良好例でも合併症が多く,十分な整復による良好な骨性コンタクトが重要であると考えた.</p>
著者
勝木 亮 大久保 宏貴 金城 政樹 普天間 朝上 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.376-380, 2020

<p>30歳,男性,アフリカ系アメリカ人,米軍の消防士.5か月前,バスケットボール中に転倒し,右手をついて受傷した.同日,右第2中手骨骨折の診断で,2か月間前腕ギプス固定を行われた.右手関節痛が持続し,手背部の骨性隆起を認めたため,当院を紹介された.第2中手骨基部及び手関節背側に圧痛を認めた.手関節背屈は可能だったが,抵抗を加えると疼痛が誘発された.握力は右10 kg,左42 kgと低下していた.単純X線像及びCTにて第2中手骨基部橈側の骨欠損と手関節背側に小骨片を認め,MRIで骨片に長橈側手根伸筋(ECRL)が連続し,陳旧性ECRL裂離骨折後偽関節と診断した.ECRL腱が付着した骨片を原位置に戻して骨移植を行い,tension band wiringによる偽関節手術を行った.術後4週間の前腕ギプス固定後に,関節可動域訓練を開始した.術後4か月で骨癒合が得られた.術後8か月で手関節可動域は制限なく,握力は47 kg(健側40 kg)に改善した.手関節掌背屈時痛や圧痛はなく,原職に復帰した.</p>
著者
藤本 泰毅 島袋 孝尚 山川 慶 金城 英雄 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.195-199, 2020

<p>【要旨】症例は39歳,女性.1年9ヵ月前より両下肢しびれ,2ヵ月前より右下肢筋力低下が出現し,他院を受診した.MRIにて胸椎硬膜内髄外腫瘍を指摘され当科へ紹介された.両鼠径部以下のしびれ・感覚鈍麻,右下肢腸腰筋以下にMMT3の筋力低下を認めた.MRIでT10/11高位に右腹側にT1・T2で等信号,ほぼ均一に造影される硬膜内髄外腫瘍があり,さらにその左背側には信号強度の異なる腫瘍を認め,脊髄は強く圧排されていた.手術はT10・11還納式椎弓形成を用いて腫瘍摘出術を施行した.術中迅速病理では右腹側は髄膜腫,左背側は神経鞘腫であった.肉眼的に腫瘍を全摘後,硬膜焼灼処置を行った.永久病理結果も術中迅速病理と同様であった.術後3ヵ月のMRIでは腫瘍再発を認めず,術後1年の現在は両下肢しびれ軽減し,下肢筋力も正常である.</p>
著者
翁長 正道 仲宗根 哲 石原 昌人 平良 啓之 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.223-227, 2020

<p>【はじめに】THAにおいてナビゲーションを使用できない施設では,正確なカップ設置のために工夫をこらしている.今回,仰臥位前方アプローチTHA(DAA-THA)において3次元術前計画を行い,術中カップ設置支援デバイスと術中イメージを用いたカップ設置精度を検討した.【対象と方法】DAA-THAを行った125例159関節,平均62歳を対象とした.3次元術前計画では,カップは外方開角40°,前方開角10°,15°,20°のいずれかとした.術中イメージでカップの内方,上方位置を確認し,カップ設置支援デバイスを用いてカップを設置した.【結果】カップ外方開角(平均±SD)は40.5±3.1°で,前方開角は16.1±3.6°であった.カップ設置誤差は外方開角2.4±2.1°,前方開角2.5±2.2°であった.内外,前後,上下の設置位置誤差は,それぞれ2.7±1.9mm,3.2±2.4mm,2.9±2.4mmであった.【考察】ノンナビゲーションでもカップ設置角度は正確であったが,カップ設置位置の誤差は大きかった.</p>
著者
仲宗根 哲 石原 昌人 翁長 正道 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.233-236, 2020

<p>【はじめに】転位の少ない骨盤輪・寛骨臼骨折に対するハイブリッド手術室の2D/3Dナビゲーションを用いた経皮的骨盤スクリュー固定術を検討した.【対象】対象は,49例(男性22例,女性27例),平均年齢66歳であった.全身麻酔後に術中CTを撮影し,既存の針生検用のアプリケーションでスクリュー軌跡の三次元術前計画を立てた.術中リアルタイムイメージ像にスクリュー軌跡を重層させ,軌跡に沿ってガイドワイヤー,スクリューを挿入した.【結果】平均手術時間115分(42~277分),出血量9.2 g(5~30 g),術中透視時間は平均15.5分であった.合計132本の経皮的スクリューを挿入した.血管,神経孔,関節内穿破はなかった.【考察】ハイブリッド手術室における2D/3Dナビゲーションによる経皮的骨盤スクリュー固定術は有用であった.一方,手術時間や放射線被爆に課題があると思われた.</p>
著者
伊波 優輝 金谷 文則 東 千夏 山中 理菜 比嘉 浩太郎 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.274-277, 2020

<p>65歳女性.3歳時に右下腿粉砕骨折を受傷(本人申告で詳細不明),12歳までに腓骨・腸骨移植を併用し数回の手術後に骨癒合した.30歳頃にvon Recklinghausen病を指摘され,53歳頃から右足関節の外反変形が増悪し装具や靴を作製したが,症状が増悪したため65歳時に当院へ紹介された.足関節の可動域は背屈/底屈:-10°/45°で,右足関節の外反動揺性が高度であったため,荷重時・歩行時に足関節内側が接地し内果後方に胼胝を形成していた.単純X線像で腓骨遠位が4 cm遺残し,外側遠位脛骨角は67°,踵骨外反は40°だった.CTで距骨下関節の関節裂隙は保たれていた.手術は全身麻酔下に外側アプローチで切除した腓骨遠位を骨移植し,距腿関節固定術を行った.術後4週免荷,その後は装具装着下に部分荷重を開始し,術後8週で全荷重を許可した.術後1年,疼痛は軽快し市販の靴を履いて独歩可能である.</p>
著者
大槻 健太 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 宮田 佳英 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.127-131, 2020

<p>68歳,男性.2カ月前に転倒し受傷した.同日救急外来を受診し,単純X線像(以下,Xp)を施行されるも異常を指摘されなかった.その後も左肩痛が持続したため,受傷後1.5カ月で近医整形外科を受診し,左肩関節前方脱臼を認めたため当科へ紹介された.初診時,左肩関節の動作時痛,可動域制限,腋窩神経領域の感覚障害を認めた.左肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲45°,外旋-10°,内旋不可で,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下,JOA score)は16.5点であった.術前Xpで肩関節前方脱臼,MRIで前方関節唇損傷・腱板大断裂を認めた.手術は前方関節唇および腱板修復を行い,術後8週間は外転枕固定を行い,術後早期より手指肘のROM訓練,術後3週より肩関節他動運動,術後6週より自動介助運動,術後8週より自動ROM・腱板訓練を開始した.術後早期にはXpで亜脱臼傾向認めたが徐々に改善した.術後12カ月で骨頭壊死を認めず,疼痛,ROM(屈曲140°,外旋60°,内旋L1),JOAスコア83.5点へ改善,MRIでは腱板連続性を認めた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.123-126, 2020

<p>症例1 40歳,女性,教員.12カ月前に右乳がんに対して乳房切除術,4カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.右肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は,屈曲105°,外旋45°,内旋不可,徒手筋力テスト(以下,MMT)は,肩関節内旋のみ3レベルであった.リハビリテーション(以下,リハ)開始後12カ月でROMは,屈曲160°,外旋85°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,教職へ復帰している.症例2 42歳,女性,保育士.6カ月前に左乳がんに対して乳房切除術,2カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.左肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時ROMは,屈曲120°,外旋20°,内旋不可,MMTは肩関節内旋のみ3レベルであった.リハ開始後6カ月でROMは,屈曲160°,外旋60°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,保育士へ復帰している.</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.101-104, 2020

<p>【はじめに】広範囲腱板断裂手術例(massive rotator cuff tear,以下m-RCT)は,肩関節可動域(range of motion,以下ROM)制限が主訴となることが多い.一方,ROMの回復に関して,術後患側と非手術側(以下,健側)とを比較した報告は少ない.本研究ではm-RCTの術後ROMとROM患健比を検討したので報告する.【対象および方法】m-RCTに対し一次修復術が可能であった29例29肩を対象とした.平均年齢は66.5歳,平均経過観察期間は46カ月であった.調査項目は健側ROM(屈曲・外旋・内旋:内旋はJOAスコアに基づき点数化)と術前後患側ROMとを調査し,術前後の患側ROM変化とROM患健比を検討した.【結果】平均健側ROMは屈曲153°,外旋61°,内旋5.6点であった.患側ROMは術前(屈曲88°,外旋38°,内旋3.9点)が術後(142°,52°,5.3点)と有意に改善した(各々,p<0.05).術後ROM患健比は屈曲93%,外旋85%,内旋95%であった.【まとめ】RCTに対する一次修復術後ROMの回復は,患健比の比較でも良好な結果であった.</p>
著者
船越 雄誠 安里 英樹 金城 英雄 高江洲 美香 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.780-784, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
10

Over head activityのスポーツ選手において棘下筋萎縮を生じることがある.保存的治療で一時的に改善したがプレー復帰後再発し,関節鏡視下手術によりスポーツ復帰した症例を経験したので報告する.15歳男性.高校バレーボール選手.スパイクを打つ際の右肩痛と右肩後面の脱力感,易疲労感を主訴に受診した.初診時,棘下筋萎縮及び肩甲骨下制位を認めた.MRI上ガングリオン等占拠性病変は認めなかったが著明な棘下筋萎縮を認めたため,スパイク動作による肩甲上神経の絞扼と判断した.右側でのスパイク禁止および肩甲骨下制筋群のストレッチを施行した.3カ月後,右肩痛は消失し棘下筋萎縮が改善したため右側でのスパイクを許可した.復帰後4カ月で症状が再発し,MRIで棘下筋萎縮の悪化を認めたため手術を施行した.鏡視下に上肩甲横靱帯を切離し,肩甲上神経を剥離した.術後1カ月で完全復帰し,術後5カ月のMRIで棘下筋萎縮は改善し症状なく元の競技レベルに復帰している.
著者
喜友名 翼 安里 英樹 比嘉 勝一郎 新垣 寛 知念 弘 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.326-329, 2014

高齢者でBankart病変を伴わず肩関節前方脱臼を生じ,腱板広範囲断裂を認めた2例について報告する.症例1,79歳,女性.転倒し右肩関節を脱臼し,近医で整復後,就寝中に再脱臼した.MRIでBankart病変は認めなかったが腱板広範囲断裂を認めた.受傷後3ヵ月で自動挙上が不能であったため手術を施行した.鏡視にてBankart病変は認めず,腱板広範囲断裂を認め,腱板の一次修復が困難であったため,棘下筋移行術を施行した.術後12ヵ月で,自動可動域は屈曲/外転/外旋/内旋:140°/150°/60°/Th12,JSS-SISは術前16点が62点,JOA scoreは術前8点が81点に改善し,再脱臼を認めない.症例2,73歳,女性.転倒し右肩関節を脱臼し,近医で整復後,外固定が行われた.MRIでBankart病変は認めず,腱板広範囲断裂を認めたため当院に紹介された.腋窩神経領域の麻痺は認めなかったが,受傷後12週においても自動挙上が不能であったため,鏡視下腱板修復術を施行した.術後12ヵ月で,自動可動域は屈曲/外転/外旋/内旋:140°/150°/60°/L1,JSS-SISは術前16点が67点,JOA scoreは術前15点が81点に改善し,再脱臼を認めない.腱板の再建・修復を行うことで再脱臼を防止し,肩関節機能は改善した.
著者
大中 敬子 普天間 朝上 金城 政樹 大久保 宏貴 仲宗根 素子 金谷 文則
出版者
日本マイクロサージャリー学会
雑誌
日本マイクロサージャリー学会会誌 (ISSN:09164936)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.19-23, 2020

<p>Traumatic toe amputation has been rarely reported because of the limited number of cases, difficulty of the operative procedure and fewer problems with the absence of toes than fingers. We report toe amputation in 2 children. Case 1: A 15-year-old girl with crush type, Ishikawa classification subzoneⅡ, incomplete amputation of the first toe underwent revascularization with a vein graft. Skin necrosis was observed at the crush zone, and skin grafting was required after debridement and artificial dermis transplant. Case 2: A 7-year-old girl with crush type, Ishikawa classification subzoneⅡ, incomplete amputation of the fifth toe underwent revascularization. Skin necrosis was observed at the tip of the toe and the distal phalanx was resorbed partially, but the toe survived.</p>
著者
比嘉 淳 勢理客 久 濱崎 直人 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.507-511, 2003 (Released:2005-02-18)
参考文献数
6

Many hemiplegic patients suffer from subluxation of the shoulder joint and show severe damage to rotator cuff and humerus. There were 12 hemiplegic patients with pain and subluxation of the shoulder. Application of triangular sling did not prevent subluxation. Radiological examination revealed some flexion and abduction (45 degrees abduction in the scapular plane) reduced not only subluxation but also pain in 11 patients. Pain remained in one patient whose shoulder was not reduced by flexion and abduction. The use of pillow, slings or other ways to keep the shoulder in some flexion and abduction was effective in reducing the subluxated shoulder joint.