著者
鈴木 一隆 豊田 晴義
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1774-1778, 2007-12-01 (Released:2010-01-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

High-speed,minute eye movements such as ocular microtremors(OMTs),flicks and saccades contain important information about the health of the subject.Since OMTs have a frequency as high as 100 Hz and minute angular displacement as low as 0.01 degree,measuring the speed and position of OMTs with adequate accuracy under non-contact conditions in the long-term is difficult.To measure a living sample stably and reliably,we have developed a novel system for measuring eye movement by combining an intelligent vision system and the corneal reflex method.The intelligent vision system has both high-speed and real-time parallel image processing capabilities,which measure to a high level of precision at 1 KHz.We have carried out basic experiments usinga simulated eye in conjunction with experiments on OMTs and saccade measurements.The results of these experiments confirmed that such a system is sufficiently accurate.
著者
三谷 曜子 北野 雄大 鈴木 一平
出版者
公益財団法人 自然保護助成基金
雑誌
自然保護助成基金助成成果報告書 (ISSN:24320943)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.116-122, 2020-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
18

北海道周辺におけるラッコは北方四島を除く全域にて,毛皮を目的とした乱獲により姿を消したとされていたが,2014年にラッコの親子が北海道東部(道東)で確認されて以降,徐々に目撃数が増えている.本研究では,道東沿岸域に再定着しつつあるラッコが,生態系に与える影響について定量化することを目指し,ラッコの行動観察による,行動分類と餌生物判別を行い,アラスカ個体群と比較した.ラッコの行動は,陸,および船上から,ある個体を30分間追跡するフォーカルサンプリングを行い,1分ごとに行動を記録した.行動は,採餌,遊泳,毛づくろい,他個体との接触,見回り,休息に分けた.子連れ個体の場合は,子への毛づくろい,授乳についても記録した.採餌していた場合には,潜水時間と海面に持ち帰った餌の同定,及び海面滞在時間について記録した.この結果,同定できた餌のうち,約7割は二枚貝であり,そのほか,ウニやホヤ,カニを食べていることが明らかとなった.餌生物の少ない環境では,潜水時間が長くなると知られているが,個体数の安定しているアラスカ個体群と潜水行動を比較すると,平均潜水時間は半分程度となったため,環境収容力の限界には達していないと推察できる.
著者
吉田 俊巳 加賀 誠司 盛合 理 植田 修 千葉 俊明 阿部 弘一 三浦 義明 滝川 康裕 井上 義博 中舘 一郎 班目 健夫 加藤 章信 柏原 紀文 石川 和克 鈴木 一幸 佐藤 俊一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1490-1496, 1987-11-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
19

HBe抗体陽性キャリア妊婦から垂直感染し出生50日目に出生児が急性B型肝炎を発症し,さらに患児の発症から92日目に父親がB型劇症肝炎を発症し救命しえた家族内感染例を経験した.患児は発熱・哺乳力の低下で発症.GOT 11,380U, GPT 5,060Uと上昇しプロトンビン時間(PT)10%と著明な低下を示した.HBs-Ag陽性,anti HBc (200倍)74%であった.総ビリルビン(T. Bil)が漸増し32mg/dlとなり凝固能の改善がないため,プレドニゾロンを使用したところ改善し,急性肝炎重症型と考えられた.父親は嘔気・全身倦怠感で発症.T. Bil 14.7mg/dl, GOT 1,675U, GPT 4,690U, PT12%, HBsAg陽性,IgMHBc3.29と陽性.昏睡II度となりプレドニゾロン,グルカゴン-インスリン療法,特殊組成アミノ酸などの治療にて改善した.母親から出生児に垂直感染し,患児から父親に水平感染したと思われる.HBe抗体陽性キャリア妊婦からの出生児に対してもHBIGなどの対策が必要と考えられる症例である.
著者
石川 卓 黒崎 将広 鈴木 一人 石井 由梨佳 彦谷 貴子 ワックスマン マシュー 徳地 秀士 彦谷 貴子 リー トマス 那須 仁 クー ジュリアン アダムス マイケル スクーヴィル ライアン
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、国際法規範がはたして日米同盟の実施運用そしてさらなる強化を支える「共通言語」ないし「共通のロジック」たり得るのかを検討することを目的としたものである。日米豪の専門家集団による3年にわたる検討と意見交換の結果、両国ともに日米同盟の柱となる国際法上の武力行使と自衛権の概念および枠組みを極めて重要なものとして位置づけつつも、国際法および国内法上の武力の意味、ならびに自衛権行使の発動条件および当該行使にかかる行政府(首相・大統領)と立法府(国会・議会)の権限関係といった様々なレベルで大きな違いが存在することが明らかとなった。
著者
鈴木 一人
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_56-1_75, 2019 (Released:2020-06-21)
参考文献数
21

主権国家システムと資本主義システムは近代のシステムの両輪として発達した。しかし、ニクソンショックによって変動相場制へと移行したことで自由な資本移動が可能となり、それが主権国家の自律的な経済財政政策を困難にさせるようになってきた。開放経済の下では資本移動の自由と安定した為替と自律的な金融政策の三つが同時に成立しないトリレンマが起こるが、ニクソンショックを契機に加速するグローバルな資本移動が所与のものとなり、不安定な為替に耐えられない多くの国は実質的な自律性を失っていく。また深刻な債務危機に陥った国家はIMFによるコンディショナリティによっても自律性を失っていく。自律性を失いながらも法的な主権を維持し続ける国家は、自らの自律性を回復させる運動として、他国に対する排他的な政策、すなわち保護主義的ないしポピュリスト的な政策を取るようになる。しかし、そうした排他的な政策もそれを実行する能力の有無によって不平等な状況が生まれ、法的な平等性は維持されながらも実質的な自律的統治能力の不平等性が生まれる状況になっている。
著者
鈴木 一博
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.96-102, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
41
被引用文献数
1 6

神経系がなんらかの形で免疫系を制御していることは古くから指摘されてきた.しかし,神経系からのインプットが免疫系からのアウトプットに変換されるメカニズムは長らく不明であった.今世紀に入り,自律神経あるいは感覚神経が免疫系を制御するメカニズムが分子レベルで明らかになりつつある.自律神経系の主要な神経伝達物質であるアセチルコリンとノルアドレナリンが,多様な分子機構を介して免疫応答とそれにともなう炎症反応の制御に関与していることが明らかになった.また,自律神経系の活動性の概日リズムが免疫応答の日内変動を生み出すことも明らかになっている.本総説では,自律神経系による免疫応答の制御機構に焦点を当て,その炎症における役割について最新の知見を紹介する.
著者
正木 仁 岡野 由利 藤井 政志 渥美 隆正 左近 健一 鈴木 一成 手塚 正
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.139-145, 1987-09-30 (Released:2010-08-06)
参考文献数
2

In considering the effect of cosmetics, the moisturizing effect on the skin is most important.This consists of two components, one being the occlusivity which suppress water evaporation, and the other is water holding capacity. A new method for measuring the water evaporation rate (WER) has been developed by us. The present study was carried out in order to clarify the following: 1) The relationship between WER through the skin and skin condition. 2) The factors which determine occlusivity. In conclusion, it was recognized that the morphology of the skin surface become fine with decreasing WER and it was clarified that occlusivity could be explained in terms of lnorganic organic balance (10B), visvosity and water holding capacity.
著者
山本 哲 山本 定光 久保 武美 本間 哲夫 橋本 浩司 鈴木 一彦 池田 久實 竹内 次雄
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.173-177, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
6

北海道函館赤十字血液センター(以下函館センター)の製剤部門は2006年に北海道赤十字血液センター(以下札幌センター)に集約され,管内供給は北海道ブロックの需給コントロールによって管理されることとなった.製剤部門の集約は,在庫量の少ない血小板製剤に影響が現れやすいと考えられたので,同製剤の緊急需要(当日受注)に対する供給実態について,受注から配送に至る経過に焦点をあて回顧的に調査した.当日受注で,在庫分に由来すると思われる配送所要時間が2時間未満の血小板製剤の割合は集約直後の2006年度で減少したものの,在庫見直し後の2009年度は2005年度並みに回復した.在庫分がなく札幌からの需給調整に由来すると思われる所要時間6時間以上の割合は2005年,2006年に比べ,2009年度では半減した.時間外発注で1時間以内に配送した割合も在庫見直し後の2009年度に有意に増加し88.5%に達した.製剤部門の存在は,血小板製剤の緊急需要に対し,一時的な在庫量の増加をもたらすものの安定供給の主要な要因とはならず,適正な在庫管理が最も重要な要因であることがわかった.血小板の緊急需要に対しては,通常の需要量を基礎にして在庫量を設定すること,需要量の変化に応じてそれを見なおすことにより対応が可能であった.供給規模が小さく,在庫管理の難しい地方血液センターでは,血小板製剤の広域の需給調整を活発にすることで経済効率を保ちつつ医療機関の需要に応えるべきと考える.
著者
鈴木 一郎 正津 晃 井上 宏司 中島 功 猪口 貞樹 上田 守三 大谷 泰雄 三冨 利夫 相川 浩幸 重田 定義
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.917-924, 1990-05-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
22

東海大学病院開設以来14年間に散弾銃銃創8例を経験した.8例とも男性で,事故による被弾であり,全例に入院を要した.2例は血気胸のため胸腔ドレーンを挿入,1例は視神経に隣接した散弾による視力障害のために開頭術,1例は膝関節貫通損傷にて大腿骨・経骨の部分切除を行った.死亡例はない.試験開胸や試験開腹術を要した症例はない. 1例は創感染を生じたが治療により改善し,他の7例には早期・晩期のいずれにおいても感染はなかった. 体内に残留した散弾の完全除去は非常に困難であり,しかも不必要である.ただし,鉛は関節滑液に溶解しやすく,周囲組織に沈着しやすいので,関節内の散弾や関節周囲の偽嚢胞は除去しなければならない. 体内遺残散弾による急性鉛中毒は非常に稀であり,受傷後最長13年8ヵ月を経過しているが,未だ本症を疑わせる症例はない.
著者
川﨑 信治 鈴木 一平 新村 洋一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.79-87, 2013-06-20 (Released:2015-05-21)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

酸素(O2)は大気中に21%存在し、水に溶けて地中深部にまで浸透する。地球上の気液相は常に対流しており、自然界で完全な無酸素環境が維持される生態系は稀である。故に、地球上に生息する全ての生物は、反応性に富むO2 に適応・進化し、今日を生きていると考えられる。古くから嫌気性菌は「O2 存在下で生育できない」と解説されることが多い。しかし嫌気性菌のO2 適応機構に関する研究を通じて、嫌気性菌は「O2 存在下では生育しない」というポジティブな意志を持った生物である印象を強く得てきた。本総説ではクロストリジウム菌やビフィズス菌、乳酸菌など絶対嫌気性〜通性嫌気性に分類される細菌が様々なO2 濃度下で見せる生育挙動を紹介し、その解析結果から推定される自然界での姿を考察する。
著者
鈴木 一裕 神田 英一郎 菅野 義彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.239-242, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

高血流量透析を行うと静脈還流量が増加し前負荷が上昇する結果, 心臓への負担を増大させるのではないかという考えに対し, 高血流と通常血流の状態で心エコーによる心拍出量測定を行い, 静脈還流量の変化を検討した. 同意の得られた維持透析患者33例に対し, 単回の透析セッション中に高血流 (360~400mL/分), 通常血流 (日本で一般的な200mL/分) 再び高血流のもと心エコーを行い, 一回拍出量を測定し, 心拍数との積 (=心拍出量 (mL/分) ) および下大静脈径を静脈還流量の指標とした. 33名中, 中等度以上の弁膜症を呈した3例は解析から除外した. 血流量を高血流から通常血流, そして高血流に戻したときの心拍出量および下大静脈径に有意な変化を認めなかった. 今回の検討から, 高血流透析により心負荷を増大させる可能性は低いと考えられた.
著者
鈴木 一之 井関 邦敏 中井 滋 守田 治 伊丹 儀友 椿原 美治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.551-559, 2010-07-28 (Released:2010-08-31)
参考文献数
40
被引用文献数
3 2

透析条件・透析量と生命予後の関係を明らかにするため,日本透析医学会の統計調査結果を用いて,後ろ向き・観察的な研究を行った.2002年末の週3回施設血液透析患者を対象に,事故・自殺を除く死亡をエンドポイントとして,患者の透析条件・透析量と2003年末までの1年死亡リスク,および2007年末までの5年死亡リスクについて,ロジスティック回帰分析を行った.2002年末の平均的透析条件は,透析時間239分,血流量(Qb)192 mL/分,ダイアライザ膜面積(膜面積)1.55 m2,透析液流量(Qd)486 mL/分であった.また,尿素の標準化透析量(Kt/V urea)は平均1.32,指数化しない透析量(Kt urea)は平均40.7 Lであった.予後解析の結果,透析時間は240分以上270未満を基準として,それより透析時間が短い患者群で死亡リスクが高く,透析時間が長い患者群で死亡リスクが低い傾向を認めた.Qbは200 mL/分以上220 mL/分未満を基準として,それよりQbが少ない患者群で死亡リスクが高く,Qbが多い患者群で死亡リスクが低い傾向を認めた.膜面積は1.2 m2未満の患者群で死亡リスクが高かったが,それ以外の膜面積と死亡リスクの関係は明確ではなかった.透析量はKt/V urea 1.4以上1.6未満またはKt urea 38.8 L以上42.7 L未満を基準として,それより透析量が少ない患者群では死亡リスクが高く,それより透析量が多い患者群で死亡リスクが低かった.以上の傾向は,残腎機能がないと仮定が可能な,調査時点で透析歴5年以上の患者で顕著であった.一般的な週3回血液透析では,平均的な透析条件・透析量よりも,透析時間の延長やQbの増加によって透析量を増大させることが,患者の生命予後の改善につながる可能性が示唆された.
著者
加藤 章信 鈴木 一幸
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.344-351, 2007 (Released:2007-03-05)
参考文献数
46
被引用文献数
2

肝性脳症は重篤な肝障害あるいは門脈大循環短絡に起因する精神神経症状である.臨床的な症状のある顕性脳症には軽症のものから深昏睡まで幅がある.また精神神経症状が明らかでなく定量的精神神経機能検査ではじめて指摘される潜在性肝性脳症がある.顕性の肝性脳症は肝機能異常,肝疾患の既往の有無,精神神経症状,高アンモニア血症,脳波異常,臨床検査成績などから他疾患を鑑別しつつ総合的になされる.潜在性肝性脳症は定量的精神神経機能検査(記号追跡試験,光や音に対する反応時間,成人型知能検査)や,電気生理学的神経検査の脳波,大脳誘発電位(聴覚,視覚)などを組み合わせて行う.