著者
Esben Petersen 田渕 宗孝 長谷川 紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.81-90, 2020 (Released:2021-07-01)

欧州福祉国家研究の近年の文献では、教会とプロテスタンティズムは、近代的福祉国家の歴史的発展における二つの中心的変数とされている。つまり、近代的福祉国家の思想とキリスト教徒の間には関連性がある、とされるのである。本稿では、福祉国家モデルの発展における教会の重要性を議論の対象とし、そうした主張のアプローチをより詳細に考察する。本稿では、先行研究のアプローチを概観し、福祉国家の起源と発展、およびそれらが説明変数として宗教をいかに利用してきたかを分析する。これにより、多様な福祉国家レジームの発展を理解するうえで宗教に大きな役割を認めようとする近年の試みにつき、対象化の道を開く。また本稿は、諸アプローチに対する批判的議論に焦点を絞る。つまり、福祉国家、教会、宗教の間に関連があるとする主張に対し、それを支持する実証的な根拠はあるのだろうか、という議論である。
著者
長谷川 紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.67-76, 2016 (Released:2017-12-01)

ノルウェー、ヌーラン県ハットフェルダル・コムーネ(kommune)に、少数先住民族サーメ児童・生徒のための基礎学校がある。1951年、国立の寄宿制サーメ学校として創立され、特に1980年以降、南サーメ言語・文化教育をノルウェーの普通教育に取り組んだ独自の教育を展開してきた。しかし、2000年以降、徐々に児童・生徒数が減少し、現在は通年の学校として機能していない。本稿の目的は、スウェーデンにあるサーメ学校と比較の観点から、学校の教育的特徴を分析し、児童・生徒数減少の要因と実情について明らかにすることである。学校は、現在、短期セミナーや遠隔教育を駆使して南サーメ言語・文化を伝承する役割を果たしている。しかし、通年で 通う児童・生徒を確保できないがために新たな課題に直面している。この学校は、今後どのような教育機関として位置づけられていくのだろうか。
著者
長谷川 紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-82, 2013 (Released:2018-10-01)

ノルウェーでは、ナショナルカリキュラムの中で、サーメのための教育の項が設けられ、サーメが居住する地域の学校で示唆に富んだ実践が展開されている。特に、南サーメ地域は、現存するサーメ学校における言語教育の保障や、1800年代後半のノルウェー化政策期におけるサーメ学校設立の要求運動など、サーメ教育に重要な役割を果たしてきた。本稿は、南サーメ地域の教育の特質を明らかにする研究の第一段階として、キリスト教布教期の「サーメ学校」に着目した。この学校の実態を詳細に描くことにより、キリスト教布教を目的としたサーメへの啓蒙活動が、当時の南サーメの教育に与えた影響を明らかにした。キリスト教化と国防・ 国家統治を主目的とする布教活動であったが、結果的には、サーメ社会で尽力した宣教師による「サーメ学校」が、サーメの生活向上の一端を担いサーメ教師を育成した。それは、南サーメ地域における教育の源流ともいえる。
著者
長谷川 紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究
巻号頁・発行日
vol.12, pp.67-76, 2016

ノルウェー、ヌーラン県ハットフェルダル・コムーネ(kommune)に、少数先住民族サーメ児童・生徒のための基礎学校がある。1951年、国立の寄宿制サーメ学校として創立され、特に1980年以降、南サーメ言語・文化教育をノルウェーの普通教育に取り組んだ独自の教育を展開してきた。しかし、2000年以降、徐々に児童・生徒数が減少し、現在は通年の学校として機能していない。本稿の目的は、スウェーデンにあるサーメ学校と比較の観点から、学校の教育的特徴を分析し、児童・生徒数減少の要因と実情について明らかにすることである。学校は、現在、短期セミナーや遠隔教育を駆使して南サーメ言語・文化を伝承する役割を果たしている。しかし、通年で 通う児童・生徒を確保できないがために新たな課題に直面している。この学校は、今後どのような教育機関として位置づけられていくのだろうか。
著者
玉浦 裕 阿部 正紀 北本 仁孝 金子 宏 長谷川 紀子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

集光太陽ビームをセラミックスに照射し1300-1600℃に急速加熱すると、特殊な反応中間体を経由し、空気酸素分圧下で酸素放出反応が進行することを世界で初めて明らかにし、この反応で生成したセラミックス還元体が水を分解(水素生成過程)することを見出した(特開2008-094636)。これを用いるソーラー水素生産の実用化に向け、ロータリー式太陽反応炉およびビームダウン式集光システムの開発を行った。