著者
関根 政美
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.329-346, 2005-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

現在, 経済グローバリゼーションを促進する「新自由主義経済イデオロギー」が国境の開放・自由化を求めている.他方で, 国民国家政府は, 人の自由な移動を厳しく制限・管理しようとしている.本稿ではこれを「移民 (入国管理) 政策のジレンマ」として考察する.そのためまず, 近代の人口移動のグローバリゼーションの歴史を探り, 次に, 入国管理規制の変遷について概観し, 最後に, 近年先進諸国では新自由主義経済イデオロギーのもとで移民制度の整備と入国管理規制強化が進められ, 管理能力を一段と高めていることを明らかにする.その影響としてまず第1に, 下積み職種労働者・家族呼寄せ移民の入国が困難になり, 逆説的な結果として, 難民申請者や非合法入国者が増大していることを明らかにする.また第2に, 非合法滞在者・外国人犯罪増加による社会的不安が先進諸国に醸成されるとともに, 戦後の大量移民が先進諸国の多文化社会化を促進した結果生まれた「文化戦争」状況を, 極右政党の台頭を例にみる.最後に, こうした社会・文化変動のなかで「多文化主義」の変容が進み, 新自由主義経済イデオロギーにより合致した移民政策と多文化主義が登場し, 社会的弱者の多い移民・難民は, 一度は人道主義観点から入国を許可され社会に包摂されるが, 結果的には, 社会的に排除・周辺化される傾向にあることを指摘する.
著者
松浦 正孝 山室 信一 浜 由樹子 土屋 光芳 中島 岳志 高橋 正樹 宮城 大蔵 WOLFF David 大庭 三枝 吉澤 誠一郎 姜 東局 大賀 哲 酒井 哲哉 後藤 乾一 都丸 潤子 関根 政美 矢口 祐人 高原 明生 遠藤 乾 松本 佐保
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アジア各地における多様なアジア主義のビジョンと構造を解明し相互比較すると共に、アジア主義ネットワークの生成過程を解明した。方法としては、国内外から選ばれた各地域の専門研究者と各事例を議論することで、アジア主義に共通の構造と地域それぞれに固有の特徴とを明らかにした。そうすることで、各地域におけるアジア主義を相対化して民族中心的なバイアスから解放し、アジアにおける共同体の可能性と条件、各民族・国家の共生の可能性を探ろうとした。