著者
吉福 康郎 唐沢 康弘 阿部 雅子
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.37-46, 2006-10-30
被引用文献数
3

This is a report on speech we observed in 75 cleft palate children during the period of one to five years after operation. The results are summarized as follows:<BR>1) Cases of successful palatal repair<BR>i) About one half of the cases repaired at one year of age showed no deviation in speech throughout the course of observation, while most of the cases repaired at ages of two to three years showed articulation disorders.<BR>ii) Manifestation of articulation disorders appeared to be closely related to speech (articulatory) development of the children. The hyperrhinolalia and the glottal stop were observed less frequently with cases where the palatal repair w as performed at a lower age.<BR>iii) The hyperrhinolalia, which becomes manifest at the age of 1.5 to 2.5 years old, is a direct reflection of the velopharyngeal function, and disappeared spontaneously within a year after the operation.<BR>iv) The glottal stop, the nasal articulation, and the palatalized articulation (use of the body of the tongue instead of the tip or blade, making the articulatory contact with the palate instead of the teeth or the alveolar region) were noted as faulty articulations and were manifest at the age of 1.5 to 2. 5, 2 to 2. 5, and 2.5 to 3 years old respectively. Spontaneous postoperative recovery was observed in the nasal articulation and the glottal stop, but not in the palatalized articulation.<BR>v) From the point of view of speech development, the speech of the mentally retarded children showed a pattern similar to that of the non-retarded children.<BR>vi) There was no case with the pharyngeal fricative articulation which is mentioned in earlier reports. Instead, the palatalized articulation was noted in the present cases, especially those with the complete cleft. This seems to be a new pattern of cleft palate speech where the palatal repair is done early in childhood. This type of faulty articulation appears to be more difficult to correct by training than the glottal stop.<BR>2) Twelve cases underwent repeated surgery after unsuccessful palatal repairs. All of them manifested articulation disorders regardless of the age of the first surgery. The speech was fairly good in cases a satisfactory velopharyngeal function was achieved by the age of 3 years old.
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017-08-31

【目的】日本調理科学会平成24~26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理のおやつの特徴について報告する。<br /><br />【方法】平成 25 年 10 月~27 年 2 月に群馬県内の8地域において,各地域 2 名以上(60 歳~80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後、嬬恋村において追加調査を行った。<br />【結果】群馬県は,冬期の日照時間が長く、乾燥した気候で、水はけのよい土地であるため、小麦の生産に適し、平坦地では米と麦の二毛作が行われている。小麦粉はおっきりこみやうどんなど主食として食するほか、いろいろなおやつが作られている。中でもまんじゅう類は種類が多く、炭酸まんじゅう(ふかしまんじゅう)、ゆでまんじゅう、すまんじゅう、そばまんじゅう、焼きまんじゅうなどがある。焼きまんじゅうは、すまんじゅうを竹串に刺し、たれ(赤みそ、砂糖、水)をつけて香ばしく焼いたもので、祭りや縁日の屋台で売られ、群馬のソウルフードともいえるおやつである。また小麦粉に野菜などを入れた焼いた焼きもち(ふちたたかっしゃい、もろこしおべった)や、たらし焼、じり焼き、甘ねじなどもある。米粉を使ったものでは、あんぴんもち、草だんご、きびもち、すすり団子などのもちや団子も喜ばれた。また、いも類のおやつでは、さつまいもを蒸して干した乾燥いもや油焼き、里芋をゆでて串にさしたれをつけたいも串、じゃがいもでは、いも餅やいも串などがある。様々なおやつの工夫がみられる。
著者
綾部 園子 堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】日本調理科学会平成24〜26年度の特別研究で,次世代へ伝え継ぐ資料とし群馬県内で聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め,群馬県の家庭料理の副菜の特徴について報告する。</p><p>【方法】平成25年〜27年に群馬県内の8地域において,各地域2名以上(60 歳〜80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後,嬬恋村・片品村において追加調査を行った。</p><p>【結果および考察】群馬県は首都圏に近く気候にも恵まれ,いろいろな野菜が生産され,旬には山菜やきのこなどの利用も多い。これらの野菜を使って多様な野菜料理が作られているが,中でも「きんぴら」はそれぞれの家庭の味つけで鍋いっぱいに作る常備菜で,おかずはもちろん麺類の「こ」としてもよく登場した。また,自宅でとれた野菜をたっぷり入れたみそ汁は副菜を兼ねるもので,牛蒡,大根,にんじん,里芋,ねぎなどの野菜に油揚げ,豆腐,こんにゃく等をいれたけんちん汁はその代表ともいえる。野菜の煮物にはさつま揚げなど「買ったもの」を入れることも多かった。漬物(ぬか漬け,梅干し,沢庵,白菜づけ,紅しょうが,らっきょう,きゅうりの味噌漬け,きゅうりやなすの塩押し,山菜漬け,きのこ漬け等)はそれぞれ自家製の野菜を樽で漬けた。ゆでた野菜はうどんの「こ」にする他,お浸しや胡麻よごしとしても食べた。大根葉,切り干し大根,いもがら,ぜんまいなどの乾燥野菜や切り昆布は戻して煮物にした。野菜の天ぷら,花豆などの煮豆,特産のこんにゃくを使った田楽や白和えも来客時や日常食として食されている。</p>
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 阿部 雅子 高橋 雅子 永井 由美子 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】群馬県は日本の中央部に位置し、かつては養蚕業が盛んであったが、現在では兼業農家が多く、首都圏向けの農業物を生産している。この度、日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』に参加し、群馬県内5地域で調査を行ったので報告する。<br>【方法】平成25年10月~26年2月に群馬県内の5地域において、各地域2名以上(60歳~80歳代、居住年数40年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い、調査の同意を得た上で、調査票に沿って対話したものを記録した。<br>【結果】群馬県内全体では、昭和30年代までは現金収入としては、養蚕、水稲、麦、豆が中心であり、日常の食では、飯には押し麦を混ぜ、1日1食はうどん、おきりこみやすいとんなどの小麦粉を使った料理を食していた。内陸県のため、魚は行商から購入した干魚や缶詰、川魚を食した。野菜の煮しめ、けんちん汁、お焼き、きんぴら、まんじゅうも共通する料理である。ハレの食としては、北部のみなかみ町では、赤飯、うどん、そば、草餅のあんぴん、ぼたもち、まんじゅう、山菜の天ぷら、野菜の煮しめ、車麩の煮物、切り昆布の煮物など、赤城町では、餅、煮しめ、きんぴらなど、群馬町では、ザクニや天ぷら、赤飯、ふかしまんじゅうなど、中央部の前橋市田口では煮物、寿司、けんちん汁、ぼたもちなど、南部の太田市では、赤飯、けんちん汁、巻きずし、煮物などがあった。現在、みなかみ町や赤城町には農業環境と観光とを連携したが施設あり、地域の農産物を直売するとともに、そば打ちやこんにゃくつくりなどを体験でき、地域の家庭料理を伝える場ともなっている。
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会平成24〜26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理 行事食の特徴について報告する。</p><p>【方法】平成 25 年 10 月〜27 年 2 月に群馬県内の8地域において,特別研究の方法に従い,各地域 2 名以上の調査対象者に対して同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録し,その後の追加調査の結果も加えた。</p><p>【結果】群馬の行事食では、赤飯ときんぴらの組み合わせやけんちん汁の頻度が高い。赤飯にはもち米だけでなくキビやアワ加えることもあり、豆は小豆、ささげ、いんげん豆、花豆などを用いて色をつける。小麦の産地なので、日常食として手打ちうどんやそばを食するが、行事食としても供される。また、蒸かし饅頭も行事の折(田植え、農休み、七夕、釜の口開けなど)に作る。焼き饅頭は、初詣、初市、地域の祭りなどでは必ず屋台がたつ。代表的な年中行事の行事食は、正月(雑煮、きんぴら、なます、煮物、煮豆)、七草(七草がゆ)、小正月(小豆粥)、どんど焼き(まゆ飾り、餅花)、節分(しもつかれ、ざく煮、福豆、いわし)、ひな祭り(ちらしずし、菱餅、草餅、きんぴら)、お彼岸(ぼたもち、おはぎ、天ぷら)、端午の節句(柏餅、鯛の塩焼き、赤飯)、田植え(おにぎり、田植えにしん)、お盆(煮しめ、うどん、天ぷら、きんぴら)、十日夜(けんちん汁、もつ煮、だんご)、えびす講(ざく煮)、屋敷祭り(けんちん汁、いわし)、冬至(かぼちゃの煮物、おっきりこみ)、年越し(晦日そば、きんぴら、年越しそば)など,通過儀礼では初誕生(一升餅),結婚式(太巻き、ざく煮)などがある。</p>
著者
阿部 雅子 小澤 好夫 森光 康次郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】ショウガ科植物であるミョウガ(Zingiber mioga Roscoe)は特有の香りとさわやかな辛味を有し、薬味や漬物、汁の実として広く利用されてきた日本古来の香辛野菜である。これまでに演者らはミョウガの辛味関連化合物としてMiogadial(aframodial)及び新規Miogatrialを同定し、これらの化合物が抗菌活性、血小板凝集阻害活性などを有することを報告してきた。本研究ではミョウガを調理することにより、これらの化合物がどのように変動するのか精査した。【方法および結果】市販の新鮮ミョウガを洗浄後、加熱調理としてスライスしたミョウガを試料とし、茹でる・炒めるなどの調理、また非加熱調理(漬物)として2分割したミョウガを試料とし塩漬け・酢漬け・味噌漬け・糠漬け・粕漬けなどの加工を施した。漬物は60日間を貯蔵期間として、それぞれ定期的に一定量を酢酸エチルで抽出しHPLCにてMiogadial 及びMiogatrialの定量を行い、新鮮ミョウガとその含有量を比較した。加熱調理においては5分以内の短時間の加熱では茹で操作、炒め操作ともにミョウガ花蕾中におけるMiogadial 、Miogatrialは約60%残存していた。調理中のミョウガからの溶出も検討するため茹で汁、炒め油について同様に分析した結果、油中への溶出が一部認められた。非加熱調理においては60日後のMiogadial 、Miogatrialの残存率が最も高いものは酢漬けであり、著しく減少したものは糠漬け、粕漬けであった。Miogadial 及びMiogatrialの変動に及ぼす要因について、現在検討中である。
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.220, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】日本調理科学会平成24~26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理のおやつの特徴について報告する。【方法】平成 25 年 10 月~27 年 2 月に群馬県内の8地域において,各地域 2 名以上(60 歳~80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後、嬬恋村において追加調査を行った。【結果】群馬県は,冬期の日照時間が長く、乾燥した気候で、水はけのよい土地であるため、小麦の生産に適し、平坦地では米と麦の二毛作が行われている。小麦粉はおっきりこみやうどんなど主食として食するほか、いろいろなおやつが作られている。中でもまんじゅう類は種類が多く、炭酸まんじゅう(ふかしまんじゅう)、ゆでまんじゅう、すまんじゅう、そばまんじゅう、焼きまんじゅうなどがある。焼きまんじゅうは、すまんじゅうを竹串に刺し、たれ(赤みそ、砂糖、水)をつけて香ばしく焼いたもので、祭りや縁日の屋台で売られ、群馬のソウルフードともいえるおやつである。また小麦粉に野菜などを入れた焼いた焼きもち(ふちたたかっしゃい、もろこしおべった)や、たらし焼、じり焼き、甘ねじなどもある。米粉を使ったものでは、あんぴんもち、草だんご、きびもち、すすり団子などのもちや団子も喜ばれた。また、いも類のおやつでは、さつまいもを蒸して干した乾燥いもや油焼き、里芋をゆでて串にさしたれをつけたいも串、じゃがいもでは、いも餅やいも串などがある。様々なおやつの工夫がみられる。
著者
阿部 雅子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.239-250, 1987
被引用文献数
3 5

鼻腔構音と称していた構音障害について観察し, 以下の知見を得た.<BR>1) 鼻咽腔構音の音声をサウンドスペクトログラフにて分析した結果, 破裂音や摩擦音に相当する部位に, 低音部から高音部にわたるspike fillやフォルマント構造をもつ弱い雑音成分が認められた.また, 母音に相当する部分には鼻腔共鳴をあらわすフォルマントが認められた.<BR>2) X線映画, ファイバースコープ, ダイナミックパラトグラフにより, 構音器官の動態を観察した結果, 鼻咽腔構音の構音点は鼻咽腔閉鎖の行われる場所にあり, 破裂や摩擦の音は軟口蓋と咽頭壁でつくられる.そして, その際, 舌が口蓋に接して口腔が閉鎖され, 呼気や音声は鼻腔から出されることが明らかになった.<BR>3) この構音障害を表わす用語を検討した結果, 「鼻咽腔構音」 (nasopharyngeal articulation) が適切であると考えた.
著者
海瀬 俊治 菅野 久美子 安達 清子 阿部 雅子 服部 修作 丹治 義勝 富田 健 柵木 智男 松川 明
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-70, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13

人間ドックにおける梅毒血清反応生物学的偽陽性(BFP)例について検討した。1989年度から1991年度までの3年間に当所人間ドックで受診した14,337名中26名(0.18%)にBFPが認められた。BFP例の検査成績や質問表を検討したところ,習慣性流産や血小板減少などより4例が抗リン脂質抗体症候群と考えられた。BFP例に遭遇した場合のこのような症候群の存在についても考慮すべきと思われた。