著者
馬場 淳
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.179-194, 2017-03

男性のホモソーシャリティ(同性間の社会的連帯)は、ミソジニーやホモフォビアと並んで、異性愛主義的男性中心社会の構成要素である。アダルトビデオ(以下、AV)の制作現場と視聴空間には、現代日本社会において抑制され、解体に向かうホモソーシャリティが依然として看取される。本論の目的は、ぶっかけというジャンルのAVを具体的な素材に、本来的に異なるこの二つのホモソーシャルな空間がいかに緊密かつ相互浸透的な関係にあるのかを記述・分析することである。とくに本論は、作品のドキュメンタリー的性格から映し出された大量の精液が制作現場のホモソーシャリティを視聴空間に運ぶ越境的局面に注目する。筆者は物質的存在(モノ)が社会的行為の遂行者(エージェント)となりうる可能性を論じた社会人類学者A・ジェルの議論を援用して、そうした精液の行為主体性(エージェンシー)を理論的に考察する。
著者
馬場 淳
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.179-194, 2017-03-10

男性のホモソーシャリティ(同性間の社会的連帯)は、ミソジニーやホモフォビアと並んで、異性愛主義的男性中心社会の構成要素である。アダルトビデオ(以下、AV)の制作現場と視聴空間には、現代日本社会において抑制され、解体に向かうホモソーシャリティが依然として看取される。本論の目的は、ぶっかけというジャンルのAVを具体的な素材に、本来的に異なるこの二つのホモソーシャルな空間がいかに緊密かつ相互浸透的な関係にあるのかを記述・分析することである。とくに本論は、作品のドキュメンタリー的性格から映し出された大量の精液が制作現場のホモソーシャリティを視聴空間に運ぶ越境的局面に注目する。筆者は物質的存在(モノ)が社会的行為の遂行者(エージェント)となりうる可能性を論じた社会人類学者A・ジェルの議論を援用して、そうした精液の行為主体性(エージェンシー)を理論的に考察する。
著者
馬場 國昭 徳田 リツ子 馬場 淳徳
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.21-32, 2020-03-25 (Released:2020-03-25)
参考文献数
16

初診日が1993年4月1日から2019年3月31日にある26年間の熱傷患者50,376例を統計解析した. 2018年の第44回日本熱傷学会総会・学術集会では25年間の症例の集計をした. その後の1年間の症例を加え5万余例になったので, 本稿では26年間の熱傷症例の集計とした. 内訳は男性17,437例, 女性32,939例, 男女比0.53であった. 最も多い受傷年代は10歳未満の15,936例 (熱傷全体の31.6%) であり, 同年代の男女比は0.98で男女差がない. 熱傷の受傷原因は熱性液体が24,105例 (47.9%), 接触17,656例 (35.0%), 火炎3,784例 (7.5%), 蒸気2,679例 (5.3%) であった. これらの四大原因で熱傷全体の95.7%を占めた. 最多の原因である熱性液体による熱傷24,105例のうち熱湯によるものは10,581例, 熱油6,023例, 茶・コーヒー2,084例, みそ汁1,439例であった. 接触熱傷のうち最多の原因はストーブなどの暖房器具による5,211例, ついでアイロンの2,258例であり, 火炎熱傷では花火によるものが多く1,070例, 蒸気熱傷では炊飯器の蒸気によるものが多く608例あった. 26年間の症例を年度ごとにみると, 集計初年度の1993年度は2,690例あったのが最終年度の2018年度では1,245例 (集計初年度の46.3%) と半数以下になった. この推移から多数例の集計に加えて, この間の変動をみることが重要であると考え, 26年間を前期と後期の2期に分け熱傷患者数のさらなる統計分析をした. 前期の症例数は29,836例, 後期は20,540例 (前期の68.8%) であり, 男女別では男性の後期症例数は前期の60.2%, 女性は73.8%であり男性の減少率が大きかった. 原因別では火炎 (50.2%) と爆発 (37.5%) による熱傷の減少率が大きかった. ストーブによる熱傷では後期は前期の44.0%になっていた. 逆に増加した受傷原因はヘアーアイロンによる熱傷が1,100%で, 約10倍になっていた.
著者
坂口 けさみ 大平 雅美 芳賀 亜紀子 島田 三恵子 徳武 千足 湯本 敦子 金井 誠 市川 元基 馬場 淳 上條 陽子 楊箸 隆哉 中村 友彦 近藤 里栄
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

正期産母子に対する分娩直後のカンガルーケアの実態について、全国の産科医療機関を対象に質問紙調査を実施した。カンガルーケアは全国の約70%の施設で導入されていたが、実施方法や実施の基準は施設によってそれぞれ異なっていた。そこで、カンガルーケアを安全にかつ快適に実施するための指標を得ることを目的に、カンガルーケア中の児の安全性について呼吸・循環機能から検討するとともに、快適性について児の自律神経機能を用いて解析した。カンガルーケア中、児の呼吸機能や循環機能は安定しており、カンガルーケアの児の安全性が確認された。またカンガルーケアが児にとって快適であるかどうかは、母親の分娩経過の影響を強く受けていることが明らかとなった。
著者
馬場 淳
出版者
法政大学経済学部学会
雑誌
経済志林 = The Hosei University Economic Review (ISSN:00229741)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.115-136, 2021-03-20

The aim of this paper is to examine the structure and practical transformation of the Family Protection Act (No. 29 of 2013) against domestic violence (hereafter DV) in Papua New Guinea, taking the Melanesian response into consideration. First, I will describe how the Family Protection Act has a comprehensive, namely civil and criminal, legal framework against DV and its components in correspondence with the socio-cultural situation in Papua New Guinea. Second, focusing on actual operation in Manus Province, I will argue the process and reasoning regarding the transformation of the Family Protection Act from its original structure. The point is that the District Court and the police interpret and make use of the Act in relation to other existing measures, such as the Protection Order Rules (2008) and the District Court Act. This study is based on the author’s fieldwork conducted in Manus Province since the Protection Order Rules and the Family Protection Act came into force. The paper can also be considered as a case study for the comparative study of laws against DV in Melanesian countries, showing the Melanesian response to the international human rights regime in general.