著者
北村 歳治 佐藤 次高 店田 廣文 桜井 啓子 山崎 芳男 吉村 作治 長谷川 奏 及川 靖広 鴨川 明子 高橋 謙三 保坂 修司 北村 歳治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

1)系譜研究:農業分野では精糖技術の復元、窯業分野ではイスラム陶器の分析研究、薬学分野では医薬技術と社会意識との接点の研究を通して、前イスラムの時代から近代直前期まで幅広い時代のイスラム技術の系譜が紐解かれた。2)広域研究:中東イスラム、東南アジア、中央アジアの動向分析を通して、地域に育まれた豊かな経済が新たな資源の登場によって消滅していく過程や、イスラム圏の各地でITがさまざまな形で積極的に利用されている動向も明らかになった。
著者
久保 俊一 新井 祐志 高橋 謙治
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

分子シャペロンであるheatshockprotein70(HSP70)は,低酸素環境に対するストレス応答機構として軟骨細胞に誘導され,基質代謝を亢進し,細胞を保護していた.われわれは,関節軟骨にHSP70を安全に,効率的に誘導する方法としてアミノ酸であるグルタミンを関節内注射し,すでに臨床応用されているマイクロ波で温熱刺激を加える方法を開発した.このHSP70誘導療法は,動物実験で変形性関節症の進行を抑制した.グルタミンと温熱療法を併用したHSP70誘導療法は変形性関節症の新規保存療法として臨床応用につながる可能性がある.
著者
田中 恵海 高橋 謙輔 鳥海 不二夫 菅原 俊治
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.98-108, 2010-01-26

本研究では,日本の中学校の一学級を対象とし,教師のいじめ対策行動の効果を検討するためのエージェントシミュレーションモデルを,ソシオン理論とハイダーの認知的均衡理論に基づいて作成し,教師のいじめ対策行動の効果を検討した.いじめは昨今の学級形成の重要な問題となっているが,その対策は十分確立できていない.教師による学級内のいじめ対策方法を確立するためにはその効果を確認する必要があるが,そのためには長期にわたる観測を行う必要があるため,難しい.本研究では,教師および生徒をエージェントとし,エージェント間の対人関係形成の変異をコンピュータによるエージェントシミュレーションで再現し,その効果を推定する.本研究では対策行動として「班行動,出席停止,予防活動」の3つをモデル化し,それぞれに対していじめ被害者および加害者の割合,全生徒間の好感度平均,教師に対する全生徒の好感度平均から各いじめ対策行動の効果と影響を検討した.本実験から,学級におけるいじめ対策行動として最も適切である学級運営手法は「予防活動」であるとの示唆を得た.
著者
高橋 謙輔 栗原 聡 廣津 登志夫 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.1851-1860, 2009-11-01
被引用文献数
2

本論文では,センサの位置情報についての事前知識を用いずに,反応情報のみからセンサ間の隣接関係の推定法を提案する.コンピュータ機器やセンサデバイスの発展とともに様々なセンサネットワークアプリケーションが提案されてきた.これらのアプリケーションにおいて人間の行動に基づいたトポロジー情報は,人間の行動を支援するために必須のものである.しかし,大量のセンサを使用するアプリケーションにとってこの情報を手動で設定し,維持するのは簡単でない.提案手法ではAnt Colony Optimization(ACO)を用いて精度の高いトポロジーの自動推定を行う.本手法では取得したセンサデータの信頼性を推定し,ACOに適用することによって高精度化を実現する.最後に,独立した三つの環境で収集したセンサデータを用いて提案手法を評価し,従来の手法と比べすべての環境について推定誤差率がかなり向上したことを示す.
著者
古屋 聖児 高橋 謙之祐
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.183-189, 2003-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

経尿道的前立腺切除 (TURP) 術後の疼痛・不快感 (Post-TURP pain/discomfort, PTPD) に対する竜胆瀉肝湯の有効性を, The National Institutes of Health Chronic Prostatitis Symptom ndex (NIH-CPSI) 日本語版 (案) を用いて検討した。対象症例は15例で, 年令は57~77歳 (平均69.8歳), TURP術後経過年数は0.8~10年 (平均3.4年) であった。竜胆瀉肝湯 (7.5g/日) の投与前と投与後2週毎, 患者にNIH-CPSI日本語版 (案) に記入してもらった。竜胆瀉肝湯の投与終了までの期間は, 2~16週 (平均6.4週) であった。PTPDに対する竜胆瀉肝湯の効果は, 有効症例が11例 (73%), 無効症例が4例 (27%) であった。竜胆瀉肝湯投与前と投与終了時の疼痛の重症度, 疼痛の頻度およびQOLの各スコアの平均±標準偏差は, それぞれ5.8±1.5と2.6±1.9 (p=0.0014), 3.4±0.9と2.0±1.5 (p=0.0096), 4.5±0.7と2.6±1.4 (p=0.0033) で, 有意の低下を認めた。従って, 竜胆瀉肝湯はPTPDの治療薬の選択肢の一つとして有用であると考える。
著者
西須 孝 高橋 謙二 藤田 耕司 三橋 繁 森石 丈二
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.293-296, 1999-07-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The purpose of this study is to evaluate the effects of extracorporeal shockwaves on chronic calcific tendinitis of the shoulder. We studied 4 patients with chronic calcific tendinitis of the shoulder. Extracorporeal shock wave therapy was applied using Dornier Epos (Dornier Company, Germany). The JOA score, the VAS score (resting pain, night pain and tenderness) and plain radiographs before and after the shock wave treatments were studied in 4 shoulders.The average JOA score was 55.5 points (range,37-70 points) just before the start of the shock wave application. At the end of this study and over-three months after the shock wave application, it was 75.5 points (range,57-98 points). The VAS scores were decreased in all 4 patients after the shock wave application. The areas of calcification were reduced in 3 out of 4 shoulders. We concluded that extracorporeal shock wave therapy was useful for chronic calcific tendinitis of the shoulder.
著者
高橋 謙 大久保 利晃
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.237-243, 1995

本稿は,特に安全衛生に関連した最近の国際労働条約を取り上げ,その特徴を明らかにした上で,総括を試みた.同分野に関連し, 1960-93年の期間中に採択された条約数は13である.これらの条約は,異なる目的をもって安全衛生分野の各領域を網羅しているため,対比的に記述した.条約は批准される必要があるため,日本の批准状況をILOおよびOECD加盟諸国と統計的に比較した.日本は, 1993年6月現在,このうちの3条約を批准したが,この水準はILO加盟国平均をわずかに上回るが, 24のOECD加盟国中11位の批准割合であった. ILO条約のうち,日本の批准割合の相対的水準は,安全衛生分野の方がそれ以外の分野よりも高かった. ILO条約は,引用や参照によって相互に関連しているため, 155号(労働安全衛生)や148号(作業環境)条約などの基本的条約の批准努力が安全衛生分野における他条約の批准を容易にすることが考えられる.
著者
北村 歳治 佐藤 次高 店田 廣文 近藤 二郎 桜井 啓子 高橋 謙三 長谷川 奏 吉村 作治 山崎 芳男 及川 靖広 岡野 智彦 鴨川 明子 北村 歳治 保坂 修司 加納 貞彦 深見 奈緒子 鈴木 孝典
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本調査研究は、歴史的系譜と地域的特性を念頭に置き、科学技術と東南アジア・中東等に焦点を当て今日的な視点で取り組んできた。具体的には、イスラーム諸地域の研究者等と直接的に連携し、天文・陶器・医薬・建築等の分野で斬新な調査活動を進め、非イスラームとの相互交流から生まれ出た歴史的なイスラーム文化の保存・育成の研究に成果をもたらした。他方、ICT利用・医療サービス・金融等の今日的な課題に取り組むイスラーム諸地域の動きに関する調査分析も行なった。これらの成果は、早稲田大学、インドネシア国立イスラーム大学等で行われた計6回のシンポジウム等で今日のイスラーム問題の躍動する建設的な側面を明らかにできた。
著者
森 幹男 槇本 由希 荻原 慎洋 谷口 秀次 高橋 謙三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.448, pp.71-75, 2004-11-12
参考文献数
11
被引用文献数
2

骨導音声を電気信号に変換する骨伝導マイクロホンはハンズフリーで,ヘッドセット型マイクロホンと比較して周囲騒音の影響も受けにくい.このため,ウェアラブルコンピュータの入力装置としての利用が期待できる.本研究では,日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声の対数パワースペクトルの差を特徴量として用いて話者識別実験を行い,雑音耐性を含めた詳細な検討を行った.その結果,気導音声のみを用いた場合と比べ雑音耐性が高いことが明らかとなった.また,骨導音声の歪み率を特徴量として用い,歌声に対して裏声判別を行った結果,表声-裏声換声点の検出が可能であり,この歪み率を話者識別の特徴量として用いることによって話者識別率の向上が期待できることが明らかとなった.
著者
高橋 謙 大久保 利晃
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.237-243, 1995 (Released:2009-03-27)
参考文献数
17

本稿は,特に安全衛生に関連した最近の国際労働条約を取り上げ,その特徴を明らかにした上で,総括を試みた.同分野に関連し, 1960-93年の期間中に採択された条約数は13である.これらの条約は,異なる目的をもって安全衛生分野の各領域を網羅しているため,対比的に記述した.条約は批准される必要があるため,日本の批准状況をILOおよびOECD加盟諸国と統計的に比較した.日本は, 1993年6月現在,このうちの3条約を批准したが,この水準はILO加盟国平均をわずかに上回るが, 24のOECD加盟国中11位の批准割合であった. ILO条約のうち,日本の批准割合の相対的水準は,安全衛生分野の方がそれ以外の分野よりも高かった. ILO条約は,引用や参照によって相互に関連しているため, 155号(労働安全衛生)や148号(作業環境)条約などの基本的条約の批准努力が安全衛生分野における他条約の批准を容易にすることが考えられる.
著者
賓珠山 務 佐伯 覚 高橋 謙 大久保 利晃
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.219-225, 1992-09-01
被引用文献数
2

全国の専属産業医に質問票を送付し, 過去5年間の従業員の突然死について調査したところ, 241人(回答率61.5%)より回答を得た. 本調査では, このうち, さらに詳細な調査に同意した53名の産業医から報告された143例(男性141例, 女性2例)の突然死症例について, その特徴を記述疫学的に検討した. 発症場所・発症状況では, 自宅または独身寮, 夜間睡眠中がそれぞれ最多であり, 職場, 通勤行程内などの報告例は少なかったが, それが, 重篤な疾病の発症数そのものの差によるのか, あるいはその発症直後に死亡にいたった数の差によるものなのかは, 不明であった. 発症時刻・発症時期では, 月曜の早朝および木・金・土曜,4・11・12月への集中傾向がみられた. 特に, 発症月が職場の繁忙期にほぼ一致しており, 環境要因が発症に関与している可能性が示唆された. 死因は, 心血管系疾患が多かったが, 剖検診断は少数しか実施されておらず, 診断の信頼性は不十分であった.(1992年2月15日 受付,1992年4月27日 受理)
著者
寶珠山 務 堀江 正知 筒井 隆夫 藤野 善久 田中 弥生 永野 千景 高橋 謙
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-376, 2005-12-01
被引用文献数
1

2002年にわが国で過重労働による健康障害防止対策の行政指針が示されてから3年が経過し, その成果が期待されている.本研究では, 長時間労働と心血管系疾患との関連について体系的文献レビューを実施し, 過重労働による健康障害の科学的根拠の最新の知見をまとめた.医学文献情報データベースPub Medを用いて, 関連キーワードによる検索および所定の条件による文献の取捨選択を行い, 原著論文12編を採択した.今回の結果から長時間労働と心血管系疾患の関連を強く支持する新たな科学的根拠は得られなかったが, 活力疲弊(Vital exhaustion)など心理社会的要因を扱ったものや交互作用項などを含む統計解析モデルを用いたものが認められ, これらの手法はわが国における今後の研究に応用できる可能性が考えられた.
著者
田中 恵海 高橋 謙輔 鳥海 不二夫 菅原 俊治
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.98-108, 2010-01-26
被引用文献数
2

本研究では,日本の中学校の一学級を対象とし,教師のいじめ対策行動の効果を検討するためのエージェントシミュレーションモデルを,ソシオン理論とハイダーの認知的均衡理論に基づいて作成し,教師のいじめ対策行動の効果を検討した.いじめは昨今の学級形成の重要な問題となっているが,その対策は十分確立できていない.教師による学級内のいじめ対策方法を確立するためにはその効果を確認する必要があるが,そのためには長期にわたる観測を行う必要があるため,難しい.本研究では,教師および生徒をエージェントとし,エージェント間の対人関係形成の変異をコンピュータによるエージェントシミュレーションで再現し,その効果を推定する.本研究では対策行動として「班行動,出席停止,予防活動」の3つをモデル化し,それぞれに対していじめ被害者および加害者の割合,全生徒間の好感度平均,教師に対する全生徒の好感度平均から各いじめ対策行動の効果と影響を検討した.本実験から,学級におけるいじめ対策行動として最も適切である学級運営手法は「予防活動」であるとの示唆を得た.We investigated the effect of a number of anti-bullying methods by teachers using the multi-agent simulation. Although bullying is a serious problem in school nowadays, the effective anti-bullying method is not established well. In addition, it requires the long-term observation to evaluate the effect of antibullying measures, so this is hardly possible. In this paper, we assumed a teacher and a student as agents and their inter-personal relationships are modelled according to the socion theory and Heider's balance theory. Then we observed the effects of a number of anti-bullying methods on the inter-personal relationships using our multi-agent simulation. We implemented three antibullying methods: group activities, suspension from school, prevention activity, and examined their influences on the relationships with each anti-bullying method. Our experiment suggested that prevention activity is the most effective method to avoid bullying at school.
著者
伊藤 敬 高橋 謙 大久保 利晃
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-18, 1996-03-01

クロムメッキ作業従事者の健康影響についての調査はまだ十分になされていない。我々はクロムメッキ作業者の死因パターンの特徴を調べるために,東京都にあるメッキ工場の従業員1,193名を対象に16年間の追跡調査を行った。同集団をクロムメッキ作業者群(623名)と非クロムメッキ作業者群(567名)に分け,1976年10月から1992年12月まで追跡した。標準化死亡比(SMR)およびその95%信頼限界(95%CI)を統計学的評価に用いた。クロムメッキ作業従事者における慢性肝炎および肝硬変の死亡リスクについて統計学的に有意な上昇(SMR 2.34; 95%CI 1.17-4.19)と,肺がんのリスクの上昇傾向(SMR 1.18; 95%CI 0.99-3.04)が示された。非クロムメッキ作業従事者においては,死亡リスクに関する有意なリスクの上昇を認めたものは無かった。我々は,各疾患における死亡数が少ないことから,今後もさらなる追跡調査が必要であると結論した。