著者
高見 博 伊藤 公一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.230-233, 2012 (Released:2013-03-31)
参考文献数
13

我が国の分化型甲状腺癌に対しての放射性ヨード内用療法は年々,実施数が増えてきている。しかし,実施に必要な放射線治療病室が少なく,その稼動病室も減少してきているため,患者の待機期間が長くなってきている。しかし近年,内用療法を取り巻く環境が変わってきた。一つは,遠隔転移のない全摘術後の患者には1,110MBq(30mCi)投与の残存甲状腺に対するアブレーションが外来で実施可能となった。さらにリコンビナントヒトTSH(rhTSH,タイロゲンⓇ)にアブレーションの補助としての効能追加が認められたことである。今後,タイロゲンを併用することで,患者のQOLを低下させずにアブレーションを実施できることが期待される。
著者
山崎 知子 田原 信 高見 博
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.48-54, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
47
被引用文献数
1

近年,各癌腫にて分子標的治療の開発は目覚ましく,多くの分子標的治療薬が臨床に登場している。甲状腺癌においても近年分子標的薬の開発がとても目覚ましい。2013年ASCO(American Society of Clinical Oncology)にて放射性ヨード治療抵抗性の局所進行または転移を有する分化型甲状腺癌(Differentiated thyroid cancer以下DTC)に対してもSorafenibがプラセボとの比較にて統計学的有意に無増悪生存期間(PFS)で延長を示した。そのほかLenvatinib,Vandetanibに対する臨床試験が進行中である。甲状腺髄様癌(MTC)に対してVandetanibがプラセボとの比較にて統計学的有意に無増悪生存期間(PFS)を延長することが示され,欧米(FDA,EMA)ではすでに承認されている。従来の細胞障害性抗癌剤ではみられない副作用も観察されるため,副作用発現情報や対応方法の知識が重要である。
著者
関 智史 茂松 直之 白石 悠 深田 淳一 伊藤 公一 高見 博
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.50-56, 2012 (Released:2013-01-31)
参考文献数
23

放射線治療は外科手術,化学療法とならぶ悪性腫瘍の治療の一つの柱である。根治治療の他,治癒不能な進行例の場合でも緩和治療として広く用いられる。ここでは甲状腺癌や甲状腺機能亢進といった甲状腺疾患の放射線治療について述べる。甲状腺癌に対する放射線治療は,131Iを用いたアイソトープ内用療法と高エネルギー放射線治療装置を用いた外照射の二つがある。アイソトープ内用療法は,ヨード摂取能のある濾胞癌や乳頭癌に治療適応がある。術後の再発予防や,残存病変の治療,若年者の多発肺転移などに特に有効とされるが,本邦では法的規制が厳しく,実施可能施設が限られる。外照射は手術不能例や術後の高リスク例,緩和的治療に適応となるが,合併症を生じないよう照射法の工夫が必要である。甲状腺機能亢進症に対する放射線治療は,抗甲状腺薬不応例などに131Iアイソトープ内用療法が適応となるほか,甲状腺眼症の緩和目的に放射線外照射が適応となる。
著者
内納 正一 高下 光弘 高見 博昭 浅尾 恒徳 鳥巣 岳彦
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1133-1136, 1998-09-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
10

We report a case of pustulotic arthro-osteitis. Arthro-osteitis is a rare condition in palmoplantar pustulosis (PPP). A 60-year-old woman was admitted to our hospital with persistent low back pain and limitation of the lumbar flexion and extension. Diagnosed with PPP, surgical treatment by anterior spinal fusion was performed. She recovered well, and bone union is good today.
著者
高見 博 池田 佳史
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.95-97, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
2

著者らが考案した完全内視鏡手術である腋下アプローチについて論説した。さらに,ロボット手術の長所・短所について記した。甲状腺におけるロボット手術は腋下アプローチが基盤となっているが,なぜ著者らが考案したCO2ガスを用いた方法を用いることなく,“gasless”に走ったのであろうか。手技的にはgaslessの方が優しいが,究極の整容性を求めるなら,CO2ガスで充満させる方法の方が明らかに優れている。
著者
高見 博 花谷 勇治 堀江 文俊 根本 明久 城戸岡 謙一 浅越 辰男 四方 淳一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.2629-2633, 1990-11-01
被引用文献数
1

著者らは脾動脈瘤と非機能性副腎皮質腫瘍が併存した1手術例を経験したので報告するとともに, 手術適応を中心に両疾患の診断と治療について検討した. 症例は74歳, 女性で, 1986年3月IIc+III型早期胃癌と診断された. 選択的腹腔動脈造影と CT検査にて脾門部に石灰化した脾動脈瘤と左腎上極に副腎腫瘍陰影を認めた. 3月17日に胃全摘と脾動脈瘤切除, 脾摘, 左副腎摘出を行った. 脾動脈瘤は径10mmで動脈硬化性であり, 副腎腫瘍は径16mmで非機能性副腎皮質腺腫であった. 現在, 再発の兆候なく元気である. 本症例の脾動脈瘤は石灰化があり, 径10mmの癌であり, 破裂の可能性は少なく, また非機能性副腎腫瘍も径16mmで悪性の可能性が少ないとされているが, 胃癌の副腎転移も時にみられること, 再手術は容易でないことを考慮し手術を施行した. 本症例での両疾患の併存は偶発的なものと考えられるが, これらの手術適応を検討する上では意義のある症例といえる.
著者
梶木 慧一 高見 博 藤岡 正美
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録
巻号頁・発行日
no.29, pp.38-39, 1988-08-01

台風12号(昭和62年8月30日〜31日)が朝鮮海峡を北上し日本海へ通過したが, 風台風であったため光市室積地区の水稲へ多大な被害を及ぼし, 共済被害面積率は40.9%に達した。このため, 海岸からの距離と被害について調査, 検討した。