著者
鬼頭 伸輔
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.131-136, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
31

経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation :TMS)は,非侵襲的に大脳皮質を刺激し,皮質や皮質下の興奮性を変化させる方法である。10 ~ 20Hz の高頻度刺激は皮質興奮性を増強し, 1Hzの低頻度刺激は皮質興奮性を抑制する。TMSによるうつ病治療では,左背外側前頭前野への高頻度刺激と右背外側前頭前野への低頻度刺激の2つの方法がある。うつ病患者では,背外側前頭前野の hypoactivityと梁下野や前頭葉眼窩野などの腹内側前頭前野のoveractivity があるとされる。著者らの研究は,TMSの治療効果が背外側前頭前野や腹内側前頭前野の脳血流量と相関していることを示唆し,右背外側前頭前野への低頻度刺激は,腹内側前頭前野のoveractivity に抑制的に作用し,左背外側前頭前野への高頻度刺激は,同部位の hypoactivity に亢進的に作用することにより,うつ病を改善させると考えられる。
著者
鬼頭 伸輔
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.38-43, 2019

<p>うつ病は,抑うつ気分,興味・関心や喜びの喪失を基本症状とする精神疾患であり,国内ではおよそ100万人の患者が治療を受けている.一方,約1/3の患者は複数の薬物療法に反応しないとされる.このような治療抵抗性うつ病に対して,わが国でも,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が新規治療法として承認された.標準的な刺激条件である左背外側前頭前野への高頻度rTMSは,うつ病にみられる前頭前野と辺縁系領域の機能的不均衡を是正し,うつ病を改善させていると考えられる.rTMSの普及には,有効性および安全性の観点からも適応となる患者に対して適切にrTMSを実施することが肝要であり,その適正使用および技術の均てん化が求められる.</p>
著者
宇川 義一 生駒 一憲 魚住 武則 鬼頭 伸輔 齋藤 洋一 谷 俊一 寺尾 安生 飛松 省三 中村 元昭 藤木 稔
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.513-515, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

最近, 国際臨床神経学会のホームページで, 経頭蓋直流電気刺激, 経頭蓋交流電気刺激の個人的な使用に関する勧告が出された。そこで, 日本臨床神経生理学会では, その日本語訳を以下に示すことにした。最終的結論に, 本学会の脳刺激委員会としても賛成である。