著者
伊藤 克樹 宇佐美 範恭 寺島 常郎 清水 隆宏 福島 曜 麻生 裕紀
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.390-394, 2019-08-20 (Released:2019-08-30)
参考文献数
13

背景.右肺下葉S6に空洞性結節と周囲への散布陰影を呈し,外科的生検により診断した浸潤性粘液性腺癌症例を経験したので報告する.症例.71歳男性.肺癌検診にて異常陰影を指摘され,X年9月に精査目的で当院紹介となる.CTにて右S6に空洞を伴う結節影と周囲に散布影を認めた.X+1年11月のCTで空洞性結節は徐々に増大傾向を示したため,気管支鏡検査を施行したが,確定診断は得られなかった.炎症性病変が示唆されたが,悪性も否定できなかったため,外科的生検を施行し,浸潤性粘液性腺癌の診断を得て,右下葉切除術を施行した.周囲への散布影は全て同一葉内肺転移であった.結論.浸潤性粘液性腺癌は肺炎類似の画像所見を呈することが広く知られているが,本症例の如く空洞性結節を示す場合もあることは,画像診断上認識する必要があると考えられた.