著者
Morgan Michael W.
出版者
Japanese Association of Sign Linguistics
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-43, 2005

これまで手話の類型論的研究はごくわずかしかない。これまでの研究は、全言語型論ではなく単独の特徴を中心にした研究である。このことはASLだけではなく、あまり研究されていない日本手話(JSL)についても言える。本稿はG.A.クリモフ(Г.А. Климов)の理論を応用しようと試みたものである。この理論によると、世界の諸言語は全部五つのタイプに属する: 主格・体格言語、能格言語、活格・状態格言語、など。それぞれのタイプは文法上の格役割より30以上の語彙的、形態的、統語的特徴に基づいている。この特徴はすべて意味論上の管理体(すなわちサピアのいわゆる「言語の構造的特質」(structural genius))に起因する。本稿ではこのこれまで典型的にアメリカインディアンの言語に見られる活格・状態格言タイプは、JSLも活格言語として見なすため多くのクリモフの特徴を持っていると論じる。これらのそれぞれの特徴を提示し、JSLデータをこれまで活格・状態格言語と考えられている言語のデータと比較する。本稿の主要な点の一つは、動詞の名刺項(動作主、主語、被動者、近い・遠い目的語、など)との一致と編入の役割を分析して、新しいJSL動詞類型論を提案する。JSLのデータをASL、およびその他の系統的にも地域的にも無関係な手話、並びにJSLが使われる地域に文化的に支配的である日本語と比べる。