著者
財津 亘 金 明哲 Wataru Zaitsu Mingzhe Jin ザイツ ワタル キン メイテツ
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:21895937)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.181-188, 2018-10-31

本研究は,文章表現において性別を偽装した場合にともなう文体的特徴の変化について実験による検証を行った.実験では,実験参加者48名(男性24名,女性24名,20代から40代で等しく人数を割り当てることで性別年代を統制)が,ブログから抽出した原文を異性の文章に書き換えるといった課題を行った.分析の結果によると,男性実験参加者が女性に偽って文章を書き換えることで,「漢字」や「助詞(連体化)」,一人称代名詞「僕」「俺」の使用率が減少し,「ひらがな」や「動詞(非自立)」,一人称代名詞「私」の使用率が増加した.他方,女性実験参加者が男性を偽る場合は,「漢字」の使用率が増加する,または一人称代名詞「私」の使用率が減少するなど,男性実験参加者とは反対の変化がみられた.この他,「品詞(名詞,感動詞など)」や「カタカナ」,「読点」,「小書き文字」,「終助詞」,「読点前の文字」の使用率における変化はみられなかった.