著者
野口 陽来 松井 利樹 小森 成貴 橋本 隼一 橋本 剛
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.144-147, 2007-11-09

朝日放送が製作しているテレビ番組に「パネルクイズアタック 25」がある. このクイズ番組を見る限り, 解答者は全ての問題に答えようとしている. しかし, クイズの正解が分かっても解答しないほうが有利な状況があるのではないかと考えた. そこで局面の解析にはモンテカルロ法を用いて, どのパネルを獲得しても不利になる状況を見つけ出した. その結果不利になる局面は全体の 3.8%に上ることが判明した. また不利になる局面の代表的な例として一問目を答えた人は二問目を答えない方がよいという例を示した.さらにパネルを選択する戦略についても提案した.
著者
栗田 哲平 三輪 誠 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.172-179, 2007-11-09

将棋における画像情報を用いた精度の高い局面の自動認識は,現実の対極での棋譜の効率的取得およびユーザ支援をするにあたって重要な処理である.精度の高い自動認識をするためには,その時の状況に因ってパラメータを変え,ロバストに将棋盤の認識と局面状況の認識を行う必要がある.本研究では将棋を対象とし盤の桝目の認識と,差分情報を用いた局面の自動認識を精度高く行う事を目的としている.駒の動きは事前に得ておいた訓練例を用いて決定木を構成し分類を行い,打った駒は初期盤面の駒情報を訓練例とし逐次最小最適化法を用いた Support Vector Machine による分類によって,その種類の判断を行った.結果として,今回の実験例では 640 × 480 の解像度を持つカメラからの画像情報を用いて,桝目の認識はパラメータを調整しないで 97.0%,桝目属性の分類に 99.7%,打った駒の判断を 100%の正解率で分類を行う事が出来た.
著者
北川 竜平 三輪 誠 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.76-83, 2007-11-09

本研究では不完全情報ゲームである麻雀においてコンピュータプレイヤの教師あり学習による評価関数のパラメータの調整を行った.評価関数としては 3 層ニューラルネットワークを用いた.麻雀のゲームの記録である牌譜を用いた学習のために,コンピュータ麻雀プレイヤが最善手と判断した手と牌譜の中で実際に打たれた手との一致度を測る目的関数を最適制御理論に基づき定義した.目的関数によって求められる値を小さくすることを目的としバックプロパゲーションによって評価関数の調整を行った.結果として,コンピュータ麻雀プレイヤが最善手と判断した手と牌譜内で打たれた手との一致率はツモ局面において約 56%,鳴き局面において約 89%であった.インターネット麻雀サーバである東風荘でのレーティングは 1318 となった.
著者
大澤 博隆 今井 倫太
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.188-194, 2007-11-09

本研究では,シミュレーション上で実施されることの多い繰り返し囚人のジレンマゲームを人間のプレイヤ同士で行わせ,各エージェントの戦略を,実際の人間プレイヤ同士にプログラムさせることで,ゲーム上でのエージェントの戦略の変化を調べる.これにより,実際の人間同士の集団ゲームにおいて,人間がどのように戦略を変化させていくか分析した.本研究では Axelrod の初回の大会の条件を元に,囚人のジレンマゲームの条件を設定し,大学の授業の課題として,授業参加者 72 人の人間を対象とし,25 日間の実験を行った.その結果,Axerlod の初回の大会や,シミュレーションの結果と異なり,上位のものほど記述が複雑化する傾向が発見された.また複数のプレイヤ同士が協力する「主人−奴隷戦略」,上記の戦術に対する寄生戦略,自身の勝利を目指さず,他プレイヤを追い落とす戦略など,一見すると合理的でない,様々な戦略が確認された.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.116-119, 2007-11-09

コンピュータ将棋協会では1990年からコンピュータ将棋選手権を主催してきている.第17回世界コンピュータ将棋選手権は2007年5月3日から5日まで行われ,40チームの参加があった.この選手権では予選が1次予選と2次予選の2段階あり,最終日に決勝が行われた.2007年の選手権では,2次予選シードのうち1チームが不参加となったためシードされた15チームと1次予選からの進出9チームのうち5チームが決勝に進出する2次予選が行われたが,通常はシード16チームと1次予選からの進出8チームである.ここでは16+8の方式で用いられる対戦組み合わせシステムについて,次回採用が予定されているスイス式システムを含め,いくつかの対戦方式の評価を行ったので,それを報告する.
著者
片寄 裕 ライエル・グリムベルゲン
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.164-171, 2007-11-09

ゲーム研究において評価関数はゲームごとに改良が進められており、それぞれの研究がほかのゲームに役立つことは難しい.そこでチェス、中国象棋、将棋の3つのゲームで共通した評価を使うことができるか評価関数の共通点を調査した.これらは戦争・戦闘を模したゲームといえ、実際の戦争で勝つための法則を記した兵法書には3つのゲーム同様、位置の評価と自由度の評価が書かれている.兵法書にある評価を3つのゲームに当てはめ、実際に共通して適用できるか元のプログラムと対戦させた。結果3つ全てで位置による評価、自由度による評価が共通の考え方で作成でき、孫子の九地篇を用いた方法が共通の考え方の一つになりうるということが確認できた.
著者
是川 空 五十嵐 力 柴原 一友 但馬 康宏 小谷 善行
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.99-106, 2007-11-09

パズルは探索問題としての見地からその性質が考えられてきた.しかし数独やカックロなどのペンシルパズルでは,探索経路が一本道であり、探索問題として考えるのは意味がない.効率的な解法のためには数字を入れる図中の箇所を選ぶ順序が重要である. 本研究ではこの点に着目して新しい概念を提起し,理論化する.ペンシルパズルにおいて一般的に存在している,制約による解答の順序構造を問題の「解き筋」として定義した.解き筋を問題から抽出することで,問題の難易度や良し悪しの判定をするために使用する.効率的に解き筋を抽出するために,解き筋の中でも重複した部分を取り除いた有用な解き筋のみを得るアルゴリズムを設計する.ラテン方陣問題による実験を行い,その解き筋を得た.得られた解き筋から問題の特徴を考察する.