著者
白壁 恭子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.15-20, 2018-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
15

生物はDNA, RNA,タンパク質,糖質,脂質といったさまざまな有機化合物で構成されているが,なかでも生命現象を生み出す原動力となるのはタンパク質である.タンパク質には,修飾を受けることで活性や局在がダイナミックに変化する,というほかの化合物にはない性質があるからである.膜タンパク質シェディング(以下シェディング)は,細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質を切断し細胞外領域を可溶化するという,タンパク質の存在様式を不可逆に変換する影響力の強い修飾機構である(図1).本稿ではまずシェディングの生物学的な意義について説明し,続いて筆者の研究から明らかになったシェディングの役割や制御機構に関する知見を紹介する.
著者
榛葉 繁紀
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.794-800, 2012-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
36

ヒトも含め地球上に存在する多くの生物は,いわゆる「お日様に従った生き方」をするために体内時計を有しており,そのため多くの生理機能は概日リズム(サーカディアンリズム)を示す.しかしながらグローバリズムが席巻する現代,効率重視の昼夜交代勤務(シフトワーク),東西飛行(時差ぼけ)などにより,このサーカディアンリズムに大きな負荷が課されている.多くの疫学研究により不規則な生活が生活習慣病の発症につながっていること,そして基礎研究により,そのメカニズムとしてサーカディアンリズムの形成因子である時計遺伝子の機能異常が明らかにされてきた.ここでは時計遺伝子ならびにその関連因子のノックアウトマウスの解析をもとに体内時計と疾患との関係について考察したい.
著者
大場 裕一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.409-415, 2019-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
14

本稿では,発光生物の科学における最近の大きな進展について,2つのトピックスを紹介する.一つ目は,「発光キノコの発光メカニズムの完全解明」.もう一つは,「ホタルの全ゲノム解読」である.どちらも大掛かりな国際共同研究により達成されたが,筆者を含む日本チームがその両方に関与できたことは幸いであった.
著者
坂口 守彦 佐藤 健司
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.504-509, 1998-08-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4