著者
丹菊 逸治
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.129-143, 2011-03

サハリン島(樺太)北部の先住民ニヴフ民族は、第二次世界大戦終了まで一部が旧日本領南樺太の住民だった。彼らはウィルタ民族とともに、日本の行政当局が敷香(現ポロナイスク)に設置した集住地「オタスの杜」の主要な構成員となり、アイヌ民族とは異なった扱いを受けていた。比較的知られたニヴフ人奥田桃太郎とその息子奥田長次の足跡が表すように、日本に「引き揚げ」ずサハリン島にとどまった旧日本領南樺太のニヴフ民族は北部のニヴフ人社会に再統合された。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.159-178, 2017-03

本稿は、日本のレズビアンたちによる集合的な活動が発信したテクストを分析し、その主要な言説を跡づけようとするものである。1970年代から1980年代前半までのミニコミ誌が、1960年代に一般に流通した「レズビアンには男役(タチ)と女役(ネコ)がある」という言説へどのように介入したのかを中心に記述する。なお、本稿は、近代日本形成期(1910年代から1960年代まで)の「女性同性愛」の言説史を整理した拙稿(杉浦2015)の続編に位置づけられるものであり、レズビアン解放運動がさらなる盛り上がりを見せる1985年以降の言説分析へと橋渡しされるものである。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.215-228, 2014-03-05

松井(1990, 2000)や飛田(1991)は、青年期の恋愛行動の分類を行い、恋愛行動の進展プロセスについて明らかにしているが、どの程度の交際期間でそれらが進展するのかについては明らかにしていない。そこで、本研究では、交際期間に伴う大学生の恋愛行動の進展を明らかにすることを目的とした。全3 回の縦断調査において、同一の恋人と交際していた大学生126 名(男子38 名、女子88 名)を対象に、各調査時点における恋愛行動の経験の有無を尋ねた。その結果、松井(1990, 2000)の第4 段階に位置づけられるような行動も、交際8 ヶ月程度までには多くの大学生が経験しており、その後、親密さを示す行動や親密になる過程で生じる葛藤行動が徐々に増えるが、結婚に関わる行動は、ほとんど経験されないことが明らかになった。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.159-178, 2017-03-10

本稿は、日本のレズビアンたちによる集合的な活動が発信したテクストを分析し、その主要な言説を跡づけようとするものである。1970年代から1980年代前半までのミニコミ誌が、1960年代に一般に流通した「レズビアンには男役(タチ)と女役(ネコ)がある」という言説へどのように介入したのかを中心に記述する。なお、本稿は、近代日本形成期(1910年代から1960年代まで)の「女性同性愛」の言説史を整理した拙稿(杉浦2015)の続編に位置づけられるものであり、レズビアン解放運動がさらなる盛り上がりを見せる1985年以降の言説分析へと橋渡しされるものである。
著者
白井 千晶
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.55-75, 2014-03-05

妊娠・出産した女性が養育困難である場合、子どもを養子とする(養子に出す)ことによって親権を終了する特別養子縁組という選択がある。本稿では、当事者が養子縁組を決めるまでの経緯を語った語りをもとに、どのような背景と意思決定があって特別養子縁組で子どもの養育を託すことに決めたのかを分析する。データは筆者がおこなった15人の女性へのインタビューである。養子に出す意思決定に影響する要素は、①フォーマルな福祉へのアクセス、②インフォーマルな福祉へのアクセス、③自分が養育しないことを最善とみなす、④人工妊娠中絶の非選択、⑤養子縁組以外の選択肢の非選択、⑥若年、である。公的福祉制度があってもそれへのアクセスを拒否すること、アクセス不能である場合があること、養子に出す意思決定は複合的で、当事者性、プロセス性があることを提起した。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.7-24, 2022-03-17

性的マイノリティの権利獲得運動では、「不可視であること」を解決すべき問題と見なし「存在や困難の可視化」を目標として共有してきた。そのため、運動を牽引する者らは、性的マイノリティの当事者として自己開示することで、一般社会と対話を重ねることを要請されてきた。しかし、たとえ活動のリーダーであっても、カミングアウトは簡単なことではない。本稿は、東北地方で性的マイノリティのための活動に取り組む団体主催者へのインタビューから、かれらが「可視化」の要請をどのように経験してきたのか、また「可視化」の要請にどのように取り組み、対処してきたのかを明らかにする。インタビュー協力者らの経験や実践を通して、市民活動の担い手の多様なあり方を示すとともに、可視化を強調する運動を「地方」の視点から批判的にとらえ直すことを試みる。本稿の問題意識は、「可視性の政治」を強調することが「地方」の性的マイノリティの生活や活動、可視化以外の運動手法を周縁化する効果をあわせもつ、という点にある。まさに周縁化の対象となってきた「東北」のアクティヴィストたちは、自らの「露出」を管理したり、「露出」を前提にしない手法を模索してきた。その実践の合理性と、その実践がもつ「周縁化」への抵抗の契機を考察する。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-34, 2013-03-19

本研究の目的は、ある時点において恋人がいる青年(大学生)を対象として調査を実施し、その対象者に対し全3回の縦断的な追跡調査を実施することにより、アイデンティティ及び「恋愛関係の影響」が恋愛関係の継続/終了の予測可能性を、明らかにすることであった。第2回調査の時点の恋愛関係の継続/終了、及び第3回調査時点での恋愛関係の継続/終了を独立変数に、アイデンティティや「恋愛関係の影響」について比較したところ、「恋愛関係の影響」の「他者評価の上昇」が短期的な恋愛関係の継続/終了を予測することが明らかになった。またアイデンティティの感覚や「恋愛関係の影響」の「充足的気分」も、短期的な恋愛関係の継続/終了を予測する可能性が示された。
著者
菅野 恵
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.103-112, 2017-03-10

This study investigated children living in foster homes, a type of child welfare institution, in Japan. Foster care provides a home environment to children who have been abused and/or neglected by parents who have parenting difficulties. Approximately 12.3% of children living in foster homes in Japan have a parent with mental illness, but despite growing concern, the psychological impact of having a parent with mental illness among foster children is currently not known. In this study, we conducted a follow-up survey of 97 children aged 3–18 years who lived in foster homes and analyzed open-ended survey questions. The major finding was that 35% of the children had a parent with mental illness. Analysis also extracted six psychological impacts of having a parent with mental illness: anxiety/confusion, repressed emotion, distorted image of parents, imitation of parents, parentification, and other. Even after having been separated from their parents and admitted to foster homes, children were disturbed and confused because of the adverse effect of their parents. These findings suggest the importance of providing psychological care for emotional support of foster children struggling with their relationship with their parents.
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.61-81, 2019-03-08

2015年、東京都渋谷区は、同性カップルのパートナーシップを認定する制度を開始した。本稿は、その制度を利用した人、利用を検討している人を対象としたインタビューを取りあげ、制度を媒介にした解釈過程で認識された同性カップルの法的保障ニーズを分析する。日本では、渋谷区の制度ができるまで、同性パートナーシップ制度を求める当事者の存在が見えづらく、制度に対するニーズが当事者に広く共有された結果として制度が作られた、という経過を必ずしもたどらなかった。また、先行研究は、当事者が同性カップルの法的保障ニーズを認識しづらいメカニズムがある可能性を指摘していた。本稿は、制度がない状況で認識されなかったニーズが、制度ができた後に認識されやすくなったのではないか、という問題意識のもと、制度の利用をめぐってなされた解釈過程に注目し、そこでどのようなニーズが認識されたのかを分析した。制度ができた後につき合い始めたカップルは、渋谷区の制度を長期的な関係を担保するものと理解していた。「生涯を共にするだろう」という予期は、パートナーとの関係で生じるニーズを認識させるだけでなく、様々な他者との関わりや出来事の可能性を想像させ、自分たちを取りまく環境に対するニーズも意識させていた。制度ができる前から渋谷区で同居してきたカップルは、「区に認めてもらうことによる安心の獲得」という個別的・心理的ニーズの存在を、制度の利用後に認識していた。
著者
大西 公恵
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-70, 2016-03-11

国語教育は言語教育的側面と人格陶冶的側面のいずれを強調するか、すなわち形式主義と内容主義とのいずれを主たる目的とする教科であるかが長く論争となってきた。1930年代初期は、新教育思潮を背景として興隆した1920年代の文芸鑑賞論の潮流が、形象論にもとづき「理会」と認識を追究する形式主義へと転換する過渡期である。東京高等師範学校附属小学校で開催された第34回全国小学校訓導協議会では、国語科の教育目的が再考され、生活論と文芸鑑賞論との融合を目指して新しい国語教育の目標を構築しようとする試みがなされた。本稿では、同協議会での議論を通して、教師たちによる国語科の教育目的の再考および教科としての自律性の模索のありようを示す。
著者
瀧 大知
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.11, pp.149-168, 2018-03

本稿では、日本における排外主義勢力が、どのような言説をもって排外主義を「正当化」してきたかを考察することを目的としている。「中国」に関連した排外主義者の言説戦略が、「池袋チャイナタウン」と「横浜中華街」とでは差異があることに着目し、比較分析をおこなった。「池袋チャイナタウン」で現れた言説は、新華僑を「脅威」、老華僑を「同化」した存在であると認識することで、「同化主義」による排外主義の「正当化」がおこなわれていた。さらに「反日教育」による「反日」的な国民/民族であると規定されることによって、新華僑と老華僑が「分断」されていった。また2 つのチャイナタウンの文化的な差異にも、それが表象されていることを明らかにした。最後に、その根底に「植民地的まなざし」があることを仮説として提示している。
著者
奈良 勝行
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.77-98, 2010-03

最近日本では企業においても教育界においてもコンピテンシー、キー・コンピテンシーという用語がよく使われている。本論文では、コンピテンシーは1970年代アメリカで初めて提唱されたものであるが、その概念・内容はどんなものであるか、どのような経緯でそれがアメリカの企業で使われ、日本に波及していったかを明らかにしたい。キー・コンピテンシーは経済協力開発機構で開発された概念であるが、その内容はどのようなものかを分析し、日本の生徒の「学力」は低下したのかを検証する。PISAの学力を「PISA型学力」と称して、その調査で常に世界トップの成績をあげているフィンランドの教育メソッドに注目して日本にそれを普及しようとする動きがあり、文科省も事実上これを後押ししている。この「フィンランド・メソッド」を分析し、一面的「PISA型学力」の問題点を明らかにし、日本の教育の歩むべき道を探求したい。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.5-17, 2016-03-11

本研究の目的は、2004年4月から2013年3月までに刊行された恋愛に関する学会誌論文を概観することで、現在の日本における心理学的恋愛研究の動向と課題を明らかにすることである。検討対象となった31本すべてが質問紙法を採用しており、調査手法の偏りが明確になった。また31本のうち28本は、立脇・松井・比嘉(2005)が示した恋愛研究の4つの方向に該当していることから、方向によって進捗状況は異なるが、それぞれが着実に知見を積み重ねていることも示された。そのうえで、調査手法や調査対象者の拡充、無批判に欧米の理論や知見を取り入れ、日本での適用を確認するだけではなく、日本特有の恋愛現象・行動に着目した研究を行うこと、セクシャルマイノリティの認知・理解が広がるなか、恋人の定義を明確にすること、などの課題や展望が指摘された。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.47-60, 2019-03-08

本研究の目的は、松井ら(1983)の追試を行うことで、現在における魅力を感じる異性のパターンを抽出することであった。大学生273名を対象に、最も魅力を感じる異性を1名想起してもらい、その人物の人柄や印象・雰囲気に関する質問に回答してもらった。また、同時に、異性が魅力を感じる人物についての評定も求めた。各項目への回答率をみると、魅力を感じる異性の特徴は、松井ら(1983)と大きな差異はみられなかった。次に魅力を感じる異性のパターンを抽出したところ、男性が魅力を感じる異性は4パターン、女性が魅力を感じる異性は3パターン見出された。これらは松井ら(1983)から減少しており、魅力を感じる異性のパターンは、社会的に望ましい特性に収束していることが推測された。このことについて、男性役割と女性役割が接近しているという性役割観の変化をもとに考察を行った。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.125-136, 2022-03-17

本研究の目的は、恋愛様相モデル(髙坂, 2011)の観点から異性友人関係、恋愛関係、夫婦関係の比較を行うことであった。結婚している者119 名、未婚で恋人がいる者104 名、未婚で恋人がおらず異性友がいる者96 名を対象として、恋愛様相尺度(髙坂・小塩, 2015)、関係満足度尺度、親密度項目について尋ねた。恋愛様相尺度3 下位尺度について比較したところ、「絶対性」得点や「開放性」得点において恋愛関係と夫婦関係の間で有意な差がみられたが、恋愛関係と異性友人関係との間には有意な差はみられなかった。また、恋愛様相尺度3 下位尺度と関係満足度、親密度との関連を検討したところ、恋愛関係と夫婦関係ではそれらの関連が類似していたが、これらと異性友人関係では関連の強さに有意な差がみられた。これらから、異性友人関係と恋愛関係は関係満足度や親密度との関連において質的に異なる関係であり、恋愛関係と夫婦関係は恋愛様相モデルの次元において量的に異なる関係であることが示された。
著者
鈴木 真吾
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.151-174, 2010-03

本論は『家畜人ヤプー』の作者であり、その全貌がいまなお明かされていない覆面作家沼正三と、1970年頃から沼の代理人として活動し、1983年に自身が沼だと名乗り出て以降も、沼との距離を注意深く保ってきた作家、天野哲夫に関するものである。2008年11月30日に死去した天野が沼の本体だという意見が主流を成す一方、天野が沼の本体ではないという意見は今日においてもなお支配的である。しかし、本論は沼の真の正体を考察するものではない。元来、仮想の人格を持った架空の人物として設定されていた「沼正三」が、何故、現実に存在する一個人であるという前提で語られてきたのかという点を問題にしつつ、『家畜人ヤプー』の作者の正体をめぐる騒動であった1980年代初頭の「『家畜人ヤプー』事件」を中心に、沼という覆面作家を巡る議論がどのように展開されたかを論じると共に、体系的に語られることのなかった天野について、沼としての天野ではなく、沼と対位法を成す存在としての天野を論じていく。
著者
辻 直人
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.12, pp.31-46, 2019-03

本稿は、森有正の思想において「生活」という用語がどのように用いられているのか、森有正の生活概念を検討することを目的とする。森有正にとって、1950年以降亡くなるまでの約26年間パリで生活をすることが、思索の深まりと変貌を促した。森の言う生活は決意を伴うもの、自覚的に選び取るものであった。決意が出発を促す。出発から経験を深めていく場所として「生活」が捉えられていた。経験の基礎となるのが生活であり、森有正にとって、「生活」は思索の源泉であった。森はパリでそのような経験をしたが、日本から送られてきた雑誌に載っていた庶民の手記に、国籍や文明の違いに関係ない1人の人間としての姿を、日本人庶民にも見出した。森は、自分の仕事に徹することができれば、そこが自分にとってのパリである、とも語っている。経験の成熟と共に、もはや固有の場所としてのパリではなく、象徴的な場所と変わっていった。また、森はパリの生活に秘められた潜在的力を、フランスの学校教育に見出した。
著者
上野 隆生
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.7-22, 2018-03-13

"Balilla" reminds us of the Opera Nazionale Balilla (ONB) of the Fascist regime. ONB was typically the totalitarian Fascist's way of educating the youth.This article focuses on the images of the ur-Balilla and the "Italianità" (being Italian) in Italy during and after WWI. Those two concepts have much to do with the process and the background of building up the Italian national consciousness. The analysis of the relationship between these two concepts and the Italian national consciousness is worthwhile in unraveling the structure and the formation of the Italian national consciousness.Probing into the columns of Luigi Bertelli (or Vamba, his nom du plume) in Il giornalino della domenica, some aspects could be clarified. Firstly, Balilla is integral to the "Italianità", and secondly, both of Balilla and the “Italianità” symbolize Risorgimento as well as Irredentismo. Those Vamba’s images appears to correspond to those of the Fascist regime. But in depth his images were different from those of the Fascist regime.Vamba takes it very seriously that children should be treated as independent human being. Therefore, citizenship education is quite essential for children and children have the right to commit themselves in politics. Underscoring the importance of Risorgimento and Irredentismo, Vamba seeks to build up the Italian national consciousness, which at that time was still precarious. But Vamba did not participate in the Italian Nationalist Association.The probabilities are that his way of thinking could not correspond to such associations as Opera Nazionale Balilla of Fascist regime.