40 0 0 0 OA ICU‐AWとその後

著者
中西 信人
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.48-52, 2023-04-15 (Released:2023-05-15)
参考文献数
38

集中治療後症候群 (PICS:Post Intensive Care Syndrome) の身体機能障害の原因として,重症疾患罹患後の筋力低下であるIntensive Care Unit‐Acquired Weakness (ICU‐AW : ICU獲得筋力低下) がある.ICU‐AWはICUに入室する重症患者の25%‐80%に認められ, ICU退室後の5‐10年後の身体機能低下とも関係している. ICU‐AWの診断にはMedical Research Councilスコアの他に超音波やタイチンなども近年では用いられる. ICU‐AWの予防には早期リハビリ, 神経筋電気刺激療法などのリハビリ補助機器の使用, 栄養などの介入が重要である. ICU‐AWの予防がPICSの改善につながるかのエビデンスは十分ではないものの, ICU‐AWの予防こそが, PICSの身体機能障害を予防するための鍵であると考えている.
著者
中西 信人 小谷 穣治
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.229-234, 2022-12-15 (Released:2023-01-15)
参考文献数
39

救急・集中治療領域では重症状態にある消化器外科手術患者の管理をすることが多い. 重症患者の栄養管理において, 早期経腸栄養,経静脈栄養 , 蛋白質 , カロリー , リフィーディング症候群 , 急性期後における栄養管理の重要点をまとめた. 早期経腸栄養は48時間以内に開始する必要がある. しかし, ノルアドレナリンを約0.2 μg/kg/min以上使用するような超重症な病態では非閉塞性腸管虚血をきたす可能性があり, 経腸栄養を遅らせるのが望ましい. 経静脈栄養は急いで投与する必要はなく, 約1週間以上経腸栄養が開始できない場合に検討が必要である. 蛋白質は筋萎縮を予防するためにも1.2‐2.0 g/kg/day程度必要であり, 透析を施行している患者などより蛋白質が必要な患者にはさらの高容量の蛋白質が必要である. カロリー投与は間接熱量計を使用して消費エネルギー量に基づいて投与するのが望ましいが, 間接熱量計を使用できない場合は25 kcal/kgなどの計算式を用いて過剰にならないように, Permissive underfeedingで投与する必要がある. 一方で, 栄養開始後のリフィーディング症候群に関しては常に注意する必要があり,リスクの高い患者では連日の血中のリンの値を測定することが望ましい. 急性期離脱後は十分量の蛋白質とともにカロリーもフルフィーディングに移行していく. これらの栄養管理は栄養士とともに多職種で行うことが望ましく, 多職種で重症患者の栄養状態向上して, 社会復帰を目指していく必要がある.
著者
田中 孝平 片山 翔 大倉 和貴 岡村 正嗣 縄田 佳志 中西 信人 篠原 史都
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.273-280, 2021-12-15 (Released:2022-01-15)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

重症患者において骨格筋は身体機能に重要な役割を果たし,骨格筋の評価は重要である.骨格筋の評価にはComputed Tomography(CT),超音波検査,生体電気インピーダンス法(BIA法:Bioelectrical Impedance Analysis),バイオマーカーなどが用いられる.CTは正確な骨格筋量の評価が可能であり,第3腰椎レベルでの骨格筋量評価がゴールドスタンダードである.CTでの評価は放射線被曝の影響やCT室への移動を伴い,後方視的に骨格筋量の評価が行われることが多い.一方,超音波や体組成計は非侵襲的で,ベッドサイドで骨格筋量の経時的な測定が可能であるが,正確な測定には知識や技術を要する.重症患者は水分バランスの変動が大きく体組成計での測定では浮腫に注意する必要がある.さらに近年では骨格筋量評価のためのさまざまなバイオマーカーも報告されている.適切な骨格筋評価を本邦でも普及させることで,重症患者の社会復帰につながる栄養やリハビリテーションへの介入が期待される.
著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.124-128, 2022-08-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
5

サルコペニアの摂食嚥下障害データベースのデータを使用して, GLIM (Global Leadership Initiative on Malnutrition) 基準の低栄養とAWGS (Asian Working Group for Sarcopenia) 2019のサルコペニアの関連を検討した. 全身のサルコペニアを評価していた460人のデータを使用して, GLIM基準の低栄養とサルコペニアのクロス解析を実施した. 低栄養を300人 (65%), サルコペニアを404人 (88%) に認めた. GLIM基準低栄養の場合におけるサルコペニアの感度71.5%, 特異度80.3%, 陽性的中率96.3%, 陰性的中率28.1%であった. GLIM現症該当の場合におけるサルコペニアの感度100%, 特異度62.5%, 陽性的中率95.1%, 陰性的中率100%であった. GLIM病因該当の場合におけるサルコペニアの感度71.5%, 特異度46.4%, 陽性的中率90.6%, 陰性的中率18.4%であった, GLIM基準低栄養でサルコペニアを正確に診断することは難しいが, 診断の参考にはなる. GLIM現症に非該当で低栄養ではないと診断できれば, サルコペニアでないことを正確に診断できる. GLIM病因単独では, サルコペニアの診断にあまり貢献しない. 低栄養とサルコペニアに関連は認めるものの別の概念であるため, 低栄養はGLIM基準, サルコペニアはAWGS2019でそれぞれ診断することが望ましいと考える.
著者
吉村 芳弘
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.137-145, 2019 (Released:2019-09-15)
参考文献数
32

リハビリテーション(以下,リハ)を行う高齢者には低栄養とサルコペニアの合併が多い.高齢リハ患者の低栄養とサルコペニアの有症率はそれぞれ49‐67%,40‐46.5%と報告されている.低栄養とサルコペニアはいずれもリハや健康関連のアウトカムと負の関連がある.サルコペニア肥満の概念も重要であるが,この領域におけるエビデンスはほとんどない.リハやプライマリ・ケアのセッティングでは,生体インビータンス分析が最も簡便で,侵襲がなく,臨床的に使用しやすいモダリティである.しかし,評価の妥当性や限界に留意しておく必要がある.リハ患者に対しては,通常のリハ評価に加えて,体組成分析による骨格筋量や脂肪量などの詳細な評価が必要である.
著者
西村 直也 坪田 未希 奥 知久 森田 拓真 白澤 進一 小川 貴久
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.73-78, 2023-04-15 (Released:2023-05-15)
参考文献数
19

【目的】大腿骨近位部骨折術後において, 炎症の高低によって入院中の体重変化に関わる栄養要因が異なるかどうかを明らかにする.  【対象および方法】当院にて大腿骨近位部骨折に対し手術を施行した60歳以上の223名を対象とした. 術後7±2日目のCRP値をカットオフとして, 高炎症群 (CRP≧3mg/dL), 低炎症群 (CRP<3mg/dL) の2群にわけ, 多変量回帰分析により, 術後1週間の三大栄養素摂取量それぞれの総エネルギー比と術後1カ月後の体重変化との関連性を検討した.  【結果】平均年齢は85.1歳 (女性165名),低炎症群は148名, 高炎症群は75名にわけられた. 体重減少に関連する有意な要因として, 高炎症群では, 炭水化物と脂質摂取量が少ないこと, 低炎症群では, エネルギー充足率が低いことが認められた.  【結論】大腿骨近位部骨折の患者にとって, 炎症が高値である場合は炭水化物または脂質, 炎症が低値の場合は, エネルギー充足率が体重減少に影響していることが示唆された.
著者
萩原 圭祐 梶本 勝文 中田 英之 神吉 秀明 竹内 麻里子 斎藤 仁美 中野 真依
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.207-215, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
7

われわれは,大阪大学ゲノム審査委員会の承認を得て,2013年1月より,日本の基幹病院において先駆けて,癌患者に対するケトン食の有用性と安全性の検討を開始し,その結果を,報告してきた.対象は,臨床病期Stage IV,PS0‐2,経口摂取可能な患者とし,他の癌治療の併用は可能とした.ケトン食は,同意取得後,管理栄養士が指導し,最初の1週間は糖質10g/日,2週~3カ月では,糖質20g/日以下,3カ月以降は,糖質30g/日以下とした.標準体重あたり30kcalを目安に開始し,エネルギー補給に際しては,MCTオイル,ケトンフォーミュラを使用した.導入3カ月後でのPET‐CTによる評価を主要評価項目とし,導入12カ月後での生存率の評価を副次評価項目とした.2018年12月現在55例の同意を取得し,現在,その結果を解析中である.癌ケトン食療法は,確かなエビデンスを構築していく段階に移行したと思われる.そのための課題や,われわれの取り組みについて紹介する.
著者
高後 裕 大竹 孝明
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.59-65, 2015 (Released:2015-12-07)
参考文献数
19
被引用文献数
2
著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.185-191, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
33
被引用文献数
1

身体的活動性の術後早期自立を高めるリハビリテーションには,術後の早期離床・運動とプレハビリテーションがある.術後に安静臥床を継続すれば,身体的活動性の自立が遅れるのは当然と思えるが,術後の早期離床・運動に関するエビデンスは乏しい.しかし,周術期ケアの中に早期離床・運動を含むことは強く推奨されている.待機的結腸手術や待機的直腸・骨盤手術では,手術当日に2 時間の離床,手術翌日から6 時間の離床をすすめる.ICU 患者では,早期離床・運動に関するエビデンスがあり,早期から関節可動域訓練,座位・立位訓練,呼吸リハビリテーションなどを行う.  プレハビリテーションとは,術前に身体機能を強化することで術後の合併症予防,身体的活動性の早期自立,早期退院を目指す介入である.ADL,身体機能,栄養状態に問題がある高齢者には,運動療法,栄養療法,不安軽減を含めた包括的なプレハビリテーションが有用な可能性がある.
著者
飯田 有輝 陳 真規
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.134-138, 2020 (Released:2020-09-15)
参考文献数
26

ICUにおける重傷者の救命率は改善している一方, 退院後の生活復帰の低下が問題となっている. 特にICU‐acquired weakness (ICU‐AW) は回復期の身体機能やADLの獲得を遅延させ中長期的な予後に影響を与えるため, リハビリテーションと栄養療法は重要な治療の一つであると考える. 侵襲下では筋蛋白質が分解されエネルギーに転換される. また不動状態が続くことで, さらに異化が亢進し筋肉量が減少する. 一方, 侵襲下における内因性エネルギー供給増加を考慮せず栄養を投与することでover feedingとなり, むしろ予後は悪化する. 重症患者の栄養療法はtrophic feedingが推奨されているが, 高蛋白質投与の有効性について多数報告されている. 重症患者の身体機能の回復を最大限に引き上げる取り組みとして, 適切なリハビリテーションと栄養療法の併用が重要である. 本稿では侵襲下における身体機能低下の病態を概説し, 当院ICUにおける栄養プロトコールと運動療法のステップアップ基準について紹介する.

10 0 0 0 OA PICSとは何か

著者
井上 茂亮
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.43-47, 2023-04-15 (Released:2023-05-15)
参考文献数
28

集中治療室 (ICU) における機器の技術革新やガイドラインによる診療レベルの向上と標準化, 教育プログラムの充実により, 近年の重症患者の生命予後は劇的に改善した. しかしながら, 重症患者の長期予後や生活の質はいまだ改善せず, 集中治療を受けた患者の多くは身体的および精神的な障害を抱えたまま, 十分な社会復帰に至っていない. 集中治療後症候群 (Post‐intensive care syndrome;PICS) は世界中で急速に進行する超高齢社会とICU患者の高齢化を背景に浮かび上がった21世紀の集中治療医学の新たな問題点である. PICSとは, ICU在室中あるいはICU退室後, さらには退院後に生じる身体機能・認知機能・精神の障害で, ICU患者の長期予後のみならず患者家族の精神にも影響を及ぼすものとして広く認識されはじめている. PICSの提唱からちょうど10年たった今, 本章ではPICSの病態の概要とともに, ABCDEFバンドルを中心とした予防・治療に関する最新の知見を解説し, ICU患者の長期予後改善に向けた方策を提案する.
著者
山本 和義 永妻 佑季子 福田 泰也 西川 和宏 平尾 素宏 鳥山 明子 中原 千尋 宮本 敦史 中森 正二 関本 貢嗣 藤谷 和正 辻仲 利政
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.175-182, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
16

加齢に伴う筋力,身体機能の低下と定義されるサルコペニアは各種疾患でその概念が普及し,治療アウトカムにおける影響が盛んに報告されている.われわれも高齢胃癌患者におけるサルコペニア症例が非サルコペニア症例にくらべて術前摂取エネルギー量,タンパク質量が有意に少なく,サルコペニアが胃癌術後の重篤な合併症発生の独立したリスク因子であることを報告している.つぎのステップとして,初診時にサルコペニアと診断された65 歳以上の高齢胃癌術前患者を対象にして,エクササイズとしてハンドグリップ,ウォーキング,レジスタンストレーニング,栄養介入として1 日28kcal/kg(IBW)のエネルギー量と1.2g/kg(IBW)のタンパク質の摂取およびβ-hydroxy-β-methylbutyrate(HMB)の補充を推奨する,「術前栄養+エクササイズプログラム」を作成・実践しているので,その概要について報告する.
著者
古川 健司 桂川 秀雄 重松 恭祐 岩瀬 芳江 三上 和歌子 亀田 孝子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.201-206, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
10

がん細胞では,グルコースから乳酸が作られ,好気的呼吸と嫌気的呼吸(解糖)の両方が使われている.さらに,好気的条件でも解糖系の抑制がかからないというWarburg効果は,正常細胞とは大きく異なる性質の1つとされてきた.また,がん細胞が増殖するには,細胞内へのブドウ糖の取り込みを行うグルコース・トランスポーター(GLUT)というタンパク質を増やし,莫大なエネルギー産生と核酸や細胞膜の合成が必要であるため,がんの栄養療法としては,ケトン食(糖質制限)が有効となる可能性がある. 欧米では,ステージ4の進行がん患者に対し,ケトン食の有効性の臨床研究がなされているが,食事療法単独では,時間の経過とともにがんが増悪し,がんのコントロールは不良である.そのため,われわれはケトン食と化学療法の併用療法を1年間行い,その後2年フォローを行った.今回,われわれの研究成果を中心に,進行再発癌に対するケトン食の可能性について報告する.
著者
木田 圭亮 鈴木 規雄
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.113-117, 2022-08-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
6

日本の循環器領域では,2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインでGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)は初めて取り上げられた.心不全患者においても,GLIM基準を活用し,早期診断,早期介入が求められている.そのためには,多職種でのチーム医療,心臓リハビリテーションが大いに活躍できる場と考える.そして,循環器領域ではまだ良く耳にする,「低アルブミン血症のため低栄養です.」というフレーズ,こちらについては,今回のガイドラインにおいても,血液中のアルブミン,すなわち内臓たんぱく質貯蔵量による栄養評価は,炎症,体液量増加による血液の希釈など,疾患重症度を反映し,単独では栄養状態を示す指標にならないと明記されていることを循環器内科医はもっと知っておくべきである.心不全領域での心臓リハビリテーションにおける運動療法の分野は,これまで多くのエビデンスが構築されてきたのに比べると,栄養の分野はまだ道半ばである.心不全患者に対して栄養補給なしの運動だけではより痩せるリスクもあり,ある意味“修行”になってしまうため,運動には十分な栄養補給が必要である.

8 0 0 0 OA オルニチン

著者
浅桐 公男
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.185-187, 2016 (Released:2016-12-09)
参考文献数
14

8 0 0 0 OA PAMPs,DAMPs とPRRs

著者
吉川 恵次
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.247-249, 2014 (Released:2015-04-06)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
福島 亮治
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.143-147, 2016 (Released:2016-12-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
丸山 道生
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.191-198, 2015 (Released:2016-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
5 2

「術後の食事」に関して,「手術後,消化管運動が回復してから,流動食から開始し,徐々に通常の食事にステップアップして行く」と考え方は全世界共通であった.これまで,世界各国には,それぞれの国や地域の食文化を反映した独自の術後食があり,術後食は流動食から常食までのステップアップがある段階食が一般的であった.近年,NST活動や入院期間の短縮の必要性とクリニカルパスの普及の影響などで,術後食の改革の必要性が増していた.それに加え,術後早期回復を目的としたERAS が普及することで,本邦でも術後早期の経口摂取の開始,段階食の見直しが進んでいる.これには手術が安全に行われ,かつ低侵襲化されたことが前提となっている.今後,術後栄養管理は経口栄養が主流となっていくと予想され,術後食の科学的検討が望まれる.