著者
西川 豪 野々木 宏 森 典子 松尾 陽子 清水 史郎 小田 敏子 土井 修 神原 啓文
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2012

ワイヤレス12誘導心電図伝送「富士山(ふじやま)」を開発し,プレホスピタルから専門病院への伝送の有用性を検討するため実証実験を行った.<BR>方法:小型心電計からBluetooth方式でスマートフォンへ心電図データを送信,画像ファイルを伝送するシステムを用い心電図を走行車両から伝送,さらに各種施設から病院専門医へ伝送し,伝送前後の比較を行った.<BR>結果:伝送前後の心電図は変化なく,伝送時間も7~95秒(中央値23秒)で遅延はなかった.院外伝送24例では家電からのノイズ1例以外は質の高い伝送が得られた.ワイヤレス12誘導心電図は小型,軽量で様々な医療現場での活用が期待される.
著者
砂川 賢二
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.168-177, 2016 (Released:2017-01-06)
参考文献数
29
被引用文献数
1

昨今、ガイトンの循環生理学を医学部で教えるべきかどうかという議論が生理学専門誌においても取り上げられるようになってきた。ガイトンが行った実験結果の解釈が争点になっている。本総説では何が争点になっているかを明らかにし、その上で筆者の教えるべきであるという立場の根拠を説明したい。このような総説が読者の循環生理学の理解を深める一助になることを願っている。
著者
神谷 千津子
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-27, 2020 (Released:2020-05-22)
参考文献数
19

周産期心筋症は、心筋疾患既往のない女性が、妊娠から産後に重度の心機能低下に伴い心不全を発症する、未だ原因不明の心筋症である。高齢、妊娠高血圧症候群や多胎妊娠などが危険因子として知られている。息切れや浮腫などの心不全症状は、健常妊産婦も訴える症状と似ているため、診断遅延や重症化の要因となり、主な母体死亡原因疾患のひとつに挙げられる。近年、モデル動物による基礎実験を基に、病因に関する新たな知見が報告され、遺伝子解析研究により、他の心筋症との関係も明らかになってきた。心不全治療においては、周産期特有の病態を踏まえる必要がある。一方で新たな疾患特異的治療として、抗プロラクチン療法の試みが始まっている。
著者
川田 徹 杉町 勝
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.190-191, 2016 (Released:2017-01-06)
参考文献数
8
著者
小河 繁彦
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.64-71, 2018 (Released:2018-09-07)
参考文献数
58
著者
大内 秀雄
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.103-109, 2018 (Released:2018-09-07)
参考文献数
46

最近の医療の進歩の恩恵から成人先天性心疾患(adult congenital heart disease: ACHD)患者は急増し、一般の成人循環器外来で遭遇する頻度が増加している。しかし、その病態は一般循環器疾患と大きく異なることも多く、その対応にはACHD患者特有な病態の理解が必要である。後天性循環器疾患の病態が左心室機能不全に伴う左心系心不全で肺うっ血を伴うことの頻度が多いのに対し、ACHD患者では右心室機能不全に伴う全身臓器のうっ血を伴う頻度が高い。更に、後天性成人循環器疾患領域に存在しない特殊な循環病態が存在する。これらの循環病態の代表的なものに単心室血行動態であるフォンタン循環、体循環を支える心室や房室弁が必ずしも左心室や僧帽弁でない修正大血管転位や完全大血管転位に対する心房内血流転換術後の循環、そして心内短絡が存在し複雑な形態の心臓で未修復の心室により循環が支えられ、通常低酸素血症を有する循環がある。更に、特に複雑ACHD患者では上記の特殊な循環病態に加え、手術の侵襲は無視できなく心肺機能に大きく影響している。今回はこれら術後ACHD患者に共通する病態について概説する。

2 0 0 0 OA 4.SERVE-HF 研究

著者
高田 佳史
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.86-88, 2019 (Released:2019-09-12)
参考文献数
4

2 0 0 0 OA 3.運動療法

著者
能勢 博
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.121-139, 2014 (Released:2015-03-26)
著者
岸 拓弥
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.190-193, 2014 (Released:2015-03-26)
参考文献数
9
著者
後藤 幸生 中川 隆 重見 研司
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.180-189, 2018

大脳皮質が損なわれ意識がなくても、その皮質下の脳内情報中継基地としての視床や各種の核といった箇所からの下行性伝達情報は心臓にも反映している。そこで、重篤状態で終末期を迎えた患者で、生命が燃え尽きる寸前に一時的に高まる生命反応を分析するため、それぞれ特殊性を有する4 つの「バランス指数」を用いて、各々の角度から、これを通常の睡眠REM 期の夢みる状態や全身麻酔中の無意識状態を分析した場合と比較し検討してみた。まず、その測定分析法として、自然界の '1/f ゆらぎ音波' が我々の体内にあるゆらぎ現象に同期すると 'こころ' が癒され '心地よい気分' になるという音響学的理論をヒントに、脳中枢から心臓へ伝達されている情報に注目し、そこで生命そのものである心臓の '心拍リズムのゆらぎ変動' に隠された情動因子を検出し 'こころ' の面を分析することを考えた。その目的で、小型メモリー心拍計で1 ms という微細な時間単位で検出したゆらぎの時系列数値データをパソコンに取り込み、一定のソフトによる1/f-like spectrum analysis 法によってエクセル化した時系列数値を一定の手順で処理し、生命調節力を示す指標としての4 つの「バランス指数」を算出した。その結果、従来からの交感、副交感神経機能という2つの指標でみた反応では不明確であったが、この4つのバランス指数の中の一つSV-Bal-I(Sympatho-Vagal-Balance index)値が死直前になると急激に高まり、同時に情動反応を意味するAs-Bal-I(All-spectrum-band-Balance index)値もSV-Bal-I 値の上昇をしばしば急激に大きく上回り、情動反応が大いに高まっていることを示すものと考えられた。また、この現象が睡眠REM 期の夢現象によく似た反応であること、このAs-Bal-I 値が1.5 以下でかつ低目のSV-Bal-I値を示していた場合は平穏な終末を迎えたこと、他方SV-Bal-I 値も高くかつAs-Bal-I 値が2.0 以上と高まっていたものは、何らかの苦痛を伴う幻想を抱いての終末だった可能性が推測された。この様に、「バランス指数」は錐体外路系情報をも含む幅広い脳中枢全体からの情報を分析するための有意義な指標となると考えられた。
著者
隈元 泰輔 國徳 裕二 入江 知恵子 平岡 知江子 中野 伸彦 村上 幸太郎 藤田 ミキ 加藤 清彦 原武 義和
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.85-88, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
8

Femoral arterial and venous cannulation during cardiopulmonary bypass (CPB) can cause restriction of blood flow to the lower limb. To avoid complications, monitoring tissue oxygen saturation (StO2) of the lower limb and ensuring adequate blood flow by distal perfusion (DP) are essential. A 78-year-old man underwent mitral valve replacement via a mini-right thoracotomy. During CPB, the StO2 of the ipsilateral cannulated lower limb was decreased. Although the DP catheter was inserted into the ipsilateral femoral artery, the effect on the lower limb StO2 was transient. Because the StO2 of the ipsilateral lower limb improved by replacing the catheter, it was thought that the DP catheter had migrated into the deep femoral artery where collateral circulation was not developed. Among cases in which the StO2 does not improve, even with the use of DP, it is important to confirm whether the DP is sufficiently effective.
著者
岸 拓弥
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.67-70, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
27
著者
和田 輝明
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.6-13, 2022 (Released:2022-07-02)
参考文献数
37

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI, transcatheter aortic valve implantation)が近年、急速に普及し、適応拡大が進んでいる。欧米での大規模臨床試験において、低リスク患者に対してTAVI が外科的大動脈弁置換術(SAVR, surgical aortic valve replacement)と比較して、同等あるいはより良好な成績であることが示され、2019 年欧米において低リスク症例に対するTAVI が承認された。我が国においても2020年弁膜症治療のガイドラインが全面改訂され、2021 年低リスク症例に対するTAVI が承認された。本稿では、最新ガイドラインにおけるAS に対する診断およびTAVI を含めた手術介入に関して言及する。
著者
松本 健嗣
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.83-91, 2021 (Released:2021-12-24)
参考文献数
18

心不全患者は増加の一途を辿っており、近い将来「心不全パンデミック」が到来するといわれている。心不全の治療方針を立てる上で、あらゆる角度から多彩な情報を提供してくれる心臓MRI は、現代における心不全診療のコアイメージとしてのポテンシャルを有している。心臓MRI を臨床で最大限に活用するためには、このモダリティを「特定の疾患を評価するための特殊な画像診断法」ではなく、「心不全診療で遭遇する様々な疑問を解決する糸口を与えてくれるツール」として扱う、というパラダイムシフトが必要である。本稿では基本的な撮像法を中心に、最近のガイドラインやエビデンスに基づいた心臓MRI の立ち位置を、心不全診療の立場から症例提示を通じて提案する。