著者
安松 健
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.79-96, 2021 (Released:2021-04-15)

KJ法を正しく実践するためには、要素還元主義や主客二元論を乗り超える理論的な理解が必要である。そこで本研究では、KJ法の理論的展開をドゥルーズのアジャンスマン概念を用いて行い、その例証として、体験型宿泊施設のサービス開発のために作成されたKJ法図解をアジャンスマン視座にて分析し、その創出コンセプトがサービス・デザインに貢献したことを確認する。その結果、KJ法をアジャンスマン概念にて発展的に理解することは、創造的統合の実践に有用であることを示す。
著者
安松 健
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.53-67, 2019 (Released:2019-04-12)

クリエイティブ思考が注目され様々な手法があらゆる現場に導入されているが, アブダクティブな統合思考の実践は手法とその実施における課題がある. そこで本研究では, まず, 統合思考の理論と手法を確認した上でKJ法に着目し, 各手法について先行研究を元に評価し, ビジネスワークショップに適した手法を選び, さらにその改善方法を提示した. 次に, ワークショップ実施の成功要因として同意や承認ではなく反論や異見という葛藤・対立・コンフリクトの重要性を議論した上で分析枠組みを設定し, ワークショップの実施調査を行い, 定量的・定性的に分析をした結果, 「反論・異見などの対立・葛藤」が成功要因として重要であることが確認できた.
著者
奥 正廣
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-35, 2020 (Released:2020-04-17)

本研究の目的は、明治以来の日本における高等教育および教養教育政策の変遷を、信頼できる諸研究に基づき明らかにし、その知見や間題意識を創造性教育や教育改革に関心ある諸氏に提供し、そのうえで、諸氏が、自ら今後の創造性教育や教育改革の考察を深めるためのたたき台となるように、関連する個人的研究テーマ例を素描することである。具体的には、次のような内容になる。 (1)まず筆者の間題意識の原点を簡単に紹介する。 (2)次に、信頼できるエビデンスベーストの教育政策史関連の諸研究に基づき、明治期以来のキャッチアップ型近代化の特性を、高等教育における教養教育の変遷を中心に検討し、基本的間題点を明らかにする。結局、明治以降の国家教育政策の破綻していることが示される。 (3)その知見に基づき、今後の新たな教育政策の方向性を探索・構築するために、創造性教育や教育改革に関心のある諸氏が探究のたたき台にできるように、筆者自身の個人的間題意識(1)に従い、(2)の知見を踏まえ、今後の個人的研究テーマの素描を行う。そこでは、幅島原発事故の徹底解明、真実を直視する市民の科学的恩考スキルの醸成、江戸時代後半の多様な恩想状況の再検討、「道(生き方)」的な教育要素の重要性、SDGs(持続可能な発展目標)時代の教養教育や創造性教育の条件解明などが提案される。
著者
西尾 未希 牧野 泰才 白坂 成功 前野 隆司
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.4-20, 2019 (Released:2019-04-12)

人の感動経験や感性価値を考慮した製品・サービスの設計が脚光を浴びている.このため,著者らは前報において,感動のSTARフレームワークという感動経験の分析法を開発するとともに,これを用いた感動発想技法を提案した.本研究では,様々な製品・サービスにおける実際の感動経験の分析を行うとともに,その違いを比較することによって,STARフレームワークによる感動の分析(感動のSTAR分析)の有効性を示すことを目的とする.具体的には,類似業種の分析および経済的価値を含む/含まない経験の分析を行えることを示すことによって,有効性を検証する.また,これらの結果より,企業による製品・サービスに基づく感動経験や個人の感動経験を分析するための有効なツールであることについて考察する.最後に結論を述べる.
著者
紺野 登
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-12, 2023 (Released:2023-05-13)

本稿では創造的リスキリングを個人の創造性のそれではなく、イノベーションのための組織的創造性にかかわる知識・能力の拡充としてとらえる。イノベーションは革新的知識創造活動であるが、安定を追求する現業の現場では必ずしも歓迎されない。そこでは壁を超える協業で組織の創造性を引き上げることが課題となる。一方、組織が知識を得ても、それが価値実現に直接結びつくとは限らない。価値の方向や目的を先行的に明示することで、あるべき知識や能力、人的資本が出現すると考えるのが妥当ではないか。そこで重要になるのが目的群の創出である。個からチーム、組織に至る「目的のオーケストレーション」が組織全体の潜在的な知力、創造性を高めるといえる。本稿では「目的工学」の考え方に沿って、組織的知識創造を支援・加速する利他主義的な目的と場、それに基づく知の方法論のカリキュラムによるリスキリングを提言している。
著者
姜 理惠 東出 浩教
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.76-97, 2018 (Released:2018-04-01)

本研究は、創造産業従事者が個人の業績を上げる過程において、どのような要素が影響しているのか、他産業従事者と違いがあるのかを職場環境や個人の創造性などの観点から定量分析したものである。創造産業従事者とそれ以外を対象にした質問紙調査を実施し定量分析を行い、二群を比較した。結果、創造産業従事者は、ビジネス創造性の観点から見て、他産業従事者と異なる特徴はなく、創造産業従事者のビジネス創造性と業績には直接的な関係は見つからなかった。しかし創造産業従事者のビジネス創造性は職場環境の影響を受けていたことから、創造産業従事者のビジネス創造性と職場環境との間には何らかの関係があると考えられる。また高業績の創造産業従事者は、開放的、自律的、支援的、挑戦的、良好なチームサポート、適度な負荷のある職場環境で働いており、個人の属性としては自由主義的で、同性愛や外国人に対して寛容であり(外的寛容)、逆に自他の失敗に対して厳しい(内的不寛容)という特徴があった。これは上記の条件に適合するよう職場環境を整え、労働者の外的・内的寛容に配慮することによって、創造産業従事者の業績が上がる可能性があることを示唆している。
著者
有賀 三夏 下郡 啓夫 國藤 進 永井 由佳里
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.170-183, 2021 (Released:2021-04-15)

本研究は、芸術思考の創造プロセスの具現化に着目したワークショップのプロトタイプの設計とその効果測定に関するものである。この芸術思考ワークショップの効果を測定するためにガードナーの多重知能と、情動知能や創造性に基づく探究力を評価指標としてその有効性を調査した。その結果、芸術思考ワークショップは多重知能や探究力の向上に寄与することがわかった。芸術思考ワークショップは、被験者の多重知能8つのモジュールのすべての項目で向上が認められ、特に、対人的知能、論理・数学的知能、空間的知能の変化が大きかった。芸術思考ワークショップは、探究力の4つの主因子のすべての項目で向上が認められた。特に、状況対応力、創造力の変化が顕著であった。
著者
三冨 敬太 小林 延至 赤木 真由 高野 研一
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-78, 2021 (Released:2021-04-15)

現状、アイデアの創造から市場投入までの開発プロセスにおいて、プロトタイピングが開発プロセスの進行に与える効果については先行研究も少なく、実際に実施したプロジェクトで調査したものも少ない。したがって、本研究の目的は、プロトタイピングが開発プロセスの進行に対してどのような効果を果たしているのかを、24回のプロトタイピングを実施した製品「Your Pleasure」の開発において、「開発プロセス」と「実施プロトタイピング」をマッピングし考察を行い、開発プロセスの進行を促す効果を提示することである。結果、「プロトタイピングは調整が必要な領域を理解させ、開発プロセスを進行させる」、「プロトタイピングは開発プロセスの停滞から抜け出させ、進行させる」具体的効果が認められた。この2点の効果については、これまでの先行研究で述べられていないことから、新規性があると考えられる。
著者
古川 洋章 由井薗 隆也
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-21, 2018 (Released:2018-04-01)

本研究では、分散ブレインストーミングの継続的な創造活動を支援することを目的としている。その方法として、ゲーミフィケーション要素を用いた分散ブレインストーミング支援ツールを提案した。ゲーミフィケーション要素として、アイデア投稿のフィードバック、アバターの生成、アバターの変更、他のプレイヤーとの競争、アバター図鑑、の 5つの機能を実装した。提案機能の有効性を確認するため、「ゲーミフィケーション要素ありツール(GE有)」と「ゲーミフィケーション要素なしツール(GE無)」を用意し、比較を行った。さらに GE有を用いて、 9日間の継続的なブレインストーミングを実施し、内因性モチベーションがアイデア創出に与える影響を調査した。実験の結果、 GE有と GE無では、 GE有がアイデアの量、アイデアの流暢性・独自性にて評価が高かった。また GE有を用いた場合に、同一テーマにて 5日目まで持続してアイデアが創出されることが確認された。
著者
近藤 健次 永井 由佳里
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.42-63, 2018 (Released:2018-04-01)

mini-cとは創造性の最も初期の段階であり,経験・活動・事象に対して個人的に意味のある新しい解釈をすることと定義されている. mini-cの育成は日常行動を変容させることであると考えられ,本稿では行動変容モデルの一つであるトランスセオレティカルモデルに着目し,その構成要素の1つである変容プロセスが変容ステージによってどのように変化するかを調査するために,先行研究に基づき測定尺度を作成し,質問票による調査を行った.調査の結果,変容プロセスには「肯定的認知と挫折回避」,「コミットメントと準備」,「他者の奨励と支援の使用」の3つの因子が見出され,また,変容ステージとこれらの因子との関係及び各変容ステージにおけるこれらの因子の関係が明らかになった.結果を踏まえ, mini-cに関する変容プロセスの特徴及び mini-cを育成するためのグループワークの留意点について考察する.
著者
石田 泰博 前野 隆司
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.22-41, 2018 (Released:2018-04-01)

モノからコト消費へのトレンド変化に伴い,商品やサービスを通した感動経験提供による差別化ニーズが高まっている.人を感動させる製品やサービスを設計する際には,ランダムではなく,時間軸上の配置を考慮した感動要素の設計が必要であると考えられる.このため,筆者らは,時間軸上の感動要素の配置を分析するためのフレームワークを提案した.すなわち,感動の対象となる感動要素を配置するタイミングの分析手法をフレームワーク化した.さらに,提案したフレームワークを実際に使用した結果の検証を行った.感情の高ぶり(Sense),知見拡大(Think),体験拡大(Act),関係性の拡大(Relate)のSTAR感動要素によって,どの時間軸で感動を喚起できるかの点から,歴代興行収入が高く多くの人に感動経験を提供した映画作品(アナと雪の女王)の感動事象を分析することで,本フレームワークの有効性を確認した.
著者
藤原 由美 水島 章広 前野 隆司
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.98-111, 2018 (Released:2018-04-01)

高等教育の場である大学や短期大学において、2011年度よりキャリア教育が義務付けられるなど、近年、キャリア教育が注目を浴びている。また、長らく続いていた経済不況による就職難のため、大学や短期大学などの高等教育機関では就職支援策を講じることが急務となり、サービス接遇にかかわる教育はキャリア教育の一環として広く実践されるようになった。一方、教育の場において相互評価が取り入れてられると共に、アクティブ・ラーニングの一環としてのグループワークに注目が集まっている。そこで本研究では、アクティブ・ラーニングによるWebカメラを用いた自己評価を特徴とするサービス接遇教育を開発・実践して、その評価をキャリア教育の視点から検証することを目的とした。本研究を通して、本科目が学生に高い満足度を与えていると、サービス接遇を身につけるために効果的であること、客観的視点に近い自己評価力が身に付くことによって、就職活動や就業してからの就業力育成に効果的であることがわかった。最後に今後の課題として、研究方法を精査する必要、研究の結果を一般化するためにサービス接遇行動の基準を確立させ、社会人にも適用するなど、けいぞくして調査を行う必要を挙げた。