著者
小林 和雄 大高 泉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 30 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.423-424, 2006-08-10 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

科学的な思考を科学的な探究(問題解決)の全過程における一連の思考と考えるならば,これらの諸過程における生徒の実態を把握することは科学的な思考力を育成するために不可欠である。その過程の主要な要素である仮説を設定するには「仮説」とは何かの認識が必要であり,そのような視座からAnton E. Lawsonらは未知の課題に対する問題解決のための仮説演繹的推論を行うには,「仮説」と「予想」の区別が重要であることを指摘している。本稿では,A E. Lawsonらが米国の高校と大学の生物教科書に対して実施した「仮説」と「予想」の定義に関する研究を参考にして,日本の中学生,高校生,大学生の「仮説」と「予想」に対する認識を質問紙法で調査したものである。その結果,A E. Lawsonらの定義するような「仮説」と「予想」の区別ができる生徒や学生は,非常に少ないことが明らかになった。