著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.20-27, 2016-02-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
24

Hans Bergerがヒトの脳波の発見者であり, α波とβ波の名付け親であることはよく知られている。しかしそれ以上のことを知っている人は少ない。Bergerは脳と心の関連を解明するために脳血流を計測し, 脳温を計測し, そしてついに脳波を発見した。しかしそれは同時に, 脳波がアーチファクトかもしれないというBerger自身の, そして他の研究者からの疑念を晴らすための長くて困難な道への入口にすぎなかった。そして当時のドイツを席巻していたナチスとの関係に苦しみながら, ようやく栄光を掴んだにもかかわらず, 意に反して脳波研究をやめなくてはならなかった。Bergerの研究と生涯, 当時の社会や脳研究の実態を調べれば調べるほど, 単に脳波を発見した精神科医ではなく, まともな増幅器や記録装置がなかった時代に, 脳と心の関連を脳活動計測によって研究しようと苦闘した20世紀初頭の生理心理学者としての姿が浮かび上がってくる。その姿を三回に分けて紹介する。その1では, 脳波の研究を始める前にBergerが行った研究, それらの研究と脳波の研究との関連について述べる。その2では, Bergerが行った脳波の研究の詳細と, 脳波が当時の神経生理学に受け入れられなかった理由について考察する。その3では, 脳波が神経生理学や臨床医学に受け入れられていった過程と, その後のBerger, 特にナチスとの関係, 自殺の原因などについて述べる。
著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.106-114, 2016-06-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
54

その2で述べたように, 最初にヒトでの脳波記録に成功してから5年間の年月をかけて, 自らが記録した脳波がアーチファクトではないことを検証して論文を出したにもかかわらず, Bergerの脳波は当時の神経生理学には受け入れられなかった。その3では, Adrianによる追試をきっかけにして脳波が神経生理学や臨床医学に受け入れられていった過程と, その後のBerger, 特にナチスとの関係と自殺の原因, テレパシーを信じるようになった経緯, Bergerがノーベル賞にノミネートされていたことなどについて述べる。
著者
加賀 佳美
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-44, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)
参考文献数
47

注意欠如多動症 (ADHD) は, 多動衝動性, 不注意を主体とする神経発達症の一つとして知られている。その診断は, 保護者や教育者からの聞き取りや質問紙によって行われ, 主観的評価法が主体である。近年発達した非侵襲的脳機能評価法として, 脳波周波数解析, 事象関連電位 (ERP), 機能的近赤外線スペクトロスコピー (fNIRS) などが知られ, 神経発達症の客観的評価法として注目されている。ADHDでは, 前頭葉の機能低下などから, 異なるパターンの周波数分布やNoGo電位のようなERPの振幅低下や潜時延長, fNIRSによる前頭葉の酸素化ヘモグロビン (OxyHb) の低下などが報告されている。これらの検査法は治療の効果判定や症状の経時的変化などに有用であると報告されており, 非侵襲的脳機能測定法は神経発達症の診断や治療の点から臨床応用に期待可能な手法となっている。
著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.60-70, 2016-04-01 (Released:2017-04-14)
参考文献数
64

その1において, (1) Bergerが脳波の研究を始める前に, 神経解剖学的研究, 脳血流・脳温の計測, 脳への電気刺激など, さまざまな当時としては最先端の研究を行っていたこと, (2) それらの研究の多くは闇雲に行ったのではなく, 19世紀の自然科学に大きな影響を与えたエネルギー保存の法則に基づいたBergerなりの脳活動と精神活動に関する壮大な構想に基づいて行われた可能性があることを述べた。その2では, Bergerがヒトの脳波を発見する前に行われた動物の脳波に関する研究, Bergerによるヒトの脳波の研究を紹介し, Bergerの研究が当時の神経生理学に受け入れられなかった理由について考察する。
著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.182-192, 2019-08-01 (Released:2019-08-09)
参考文献数
56

K-complexの発見者として知られるAlfred Lee Loomisは, 物理学や生物学の研究と並行して1935年から睡眠脳波の研究を始め, 5年間で10本の論文を出した。しかしその後は脳波に関する研究は行わなかった。Loomisの生涯と, 彼が行った数々の最先端の研究, 近年のK-complexに関する知見について紹介する。その1では, Loomisの経歴と人物像, Loomisが行った脳波以外の研究, 脳波の研究を中止した理由について述べる。その2では, Loomisが脳波の研究を始めたきっかけと, Loomisが製作した脳波計, 睡眠実験室と, 睡眠段階の分類に関する研究を紹介する。その3と4では, Loomisが発見し, 近年になってNREM睡眠中のslow oscillationとの関係で再び脚光を浴びているK-complexについて解説する。
著者
梶 龍兒
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.122-141, 2015-08-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
50

13 0 0 0 OA 神経根症

著者
谷 俊一 木田 和伸 武政 龍一 池内 昌彦 田所 伸朗
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.151-156, 2013-06-01 (Released:2015-02-25)
参考文献数
17

神経根症の原因の多くは椎間板ヘルニアまたは椎間孔狭窄であり, 診断にはまず頸椎や腰椎の動きが上肢症状や下肢症状を誘発するかどうかを確かめることが重要である。次に, 神経診察によりデルマトーム (感覚検査) やミオトーム (MMT, 腱反射, EMG検査) に基づいて障害神経根を特定し, それに対応する椎間レベルに一致して画像診断で異常所見が存在することを確認する。一般に, 上肢はミオトーム, 下肢ではデルマトームの信頼性が高い。運動麻痺が著しい場合, 支配神経を末梢部で最大上刺激して麻痺筋から記録されるM波の大きさは支配神経の軸索変性の割合に応じて減少するため運動麻痺の予後の指標となる。神経根症では麻痺筋からM波が誘発できないほど運動神経の軸索変性が重度であっても椎間孔 (後根神経節) より末梢側の感覚神経は軸索変性を免れるためSNAPは正常に記録されることが多い。重症例においてこの現象は末梢神経障害との鑑別に有用である。
著者
木暮 貴政 井上 智子 白川 修一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.505-510, 2013-12-01 (Released:2015-02-26)
参考文献数
19

医療介護用の電動ベッドの背を上げて (上半身を水平から0º, 10º, 20º, 30º起こして) 眠ることの影響を, 主観的睡眠感とシート型体振動計による客観的睡眠指標により評価した。24~45歳 (33.5±5.6歳) の健常者24名 (男性12名) を対象に覚醒時の寝心地を評価した結果, ベッドの背を20ºおよび30º上げた条件では有意に寝返りしにくく寝心地が悪い評価であった。24~42歳 (29.2±5.2歳) の健常男性13名を対象に自宅で4つの背角度条件を1晩ずつ無作為に施行した睡眠評価の結果, ベッドの背を20ºおよび30º上げた条件では睡眠効率が有意に低く, 睡眠感が有意に悪かった。ベッドの背を20ºより上げると寝返りがしにくくなり寝心地も悪くなり, 結果として睡眠に悪影響を及ぼすことが示唆された。
著者
秋山 翔太 大栗 聖由 山田 博之 斎藤 義朗 池口 拓哉 佐藤 研吾 廣岡 保明 小河 佳織 樋本 尚志 前垣 義弘
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.121-126, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)
参考文献数
19

不思議の国のアリス症候群 (Alice in Wonderland syndrome; AIWS) は, 特殊な視覚症状を生じる症候群であり, 片頭痛や感染, てんかんなどに併発することが多く, ヒステリーなどの精神疾患と誤って診断されやすい。今回われわれは, 定型小児欠神てんかん寛解後に異常な視覚症状を呈しAIWSと診断された10歳女児に対して視覚誘発電位 (VEP) を行い, giant VEPの所見を記録できた症例を経験した。本症例は朝方の視野の歪み, 目のぼやけ, ものが大きくまたは小さく見えるといった視覚症状を有し, てんかんの既往歴を認めた。パターンリバーサルVEP検査において潜時は正常であったが, Cz–Oz誘導においてN75–P100およびP100–N145に高振幅なgiant VEPを認めた。また, SPECTにおいて右頭頂葉に軽度血流低下を認めた。これらのことから, giant VEPはてんかん既往による皮質興奮性上昇を反映した結果と考えられた。AIWSに特異的な視覚症状を認めた場合, 精神疾患と鑑別するための補助的診断法としてVEPやSPECTを併用することで, より正確な診断を導き出すことができるのではないかと考えた。
著者
吉村 元 松本 理器 池田 昭夫 幸原 伸夫
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-52, 2019-02-01 (Released:2019-03-08)
参考文献数
19

意識障害患者の診療において脳波は非常に有用な臨床検査である。一方で, 誤って解釈すると診断や治療に大きな影響を及ぼしうる。本稿では, 特に高齢者を対象に, 意識障害患者における脳波の有用性と注意点を, ①客観的な脳機能評価, ②非けいれん性てんかん重積状態 (NCSE) の診断, ③三相波の解釈の3点に関して概説する。すなわち, 高齢者は詳細な神経学的診察が難しいことも多く, 脳波は意識障害時の経時的な客観的脳機能評価に有用である。また, 高齢者はNCSEの頻度が高いが, その診断には脳波が必須であり, 近年ザルツブルグ基準が診断基準としてよく用いられている。最後に, 三相波は従来代謝性脳症と関連する波形と考えられてきたが, 近年ictal-interictal continuumとしての意味合いもあることが分かり, その解釈には注意を要する。神経救急・集中治療の分野で脳波が益々有効かつ適切に活用されることが期待される。
著者
畑中 裕己
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.532-540, 2017-12-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
15

ビタミンB12欠乏による神経障害は, 一般的な教科書には主な障害部位は亜急性連合性脊髄症が強調され, 後索障害, 深部感覚, 振動覚障害と記載されている。大半の医療従事者にとっては, 限定的な理解でもさほど困らないかもしれないが, 実際の臨床ではビタミンB12欠乏神経障害の病変は, 脊髄, 神経根, 末梢遠位と多岐にわたる。またMRI画像で明確な病変を指摘できない症例も多く, B12が正常値の場合もあることを強調しておきたい。病変の局在部位を認識し, 検査異常を示す電気生理学的メカニズムを理解することが, 正確な診断と病態の把握に役立つと思われる。
著者
原 恵子
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.82-86, 2020-04-01 (Released:2020-04-14)
参考文献数
15

症例は22歳男性である。11歳時に強直発作で発症し, 脳波で3 Hz棘徐波複合を認めた。全般てんかんの診断で治療開始され, 14歳以降発作は消失した。20歳時に当院に転医し, この時の脳波で6 Hz棘徐波を認めた。抗てんかん薬を減量したところ初診時にみられた6 Hz棘徐波に比べて振幅が増大し, 分布や波形の変化した活動を認めた。抗てんかん薬減量後の波形について, 6 Hz棘徐波とてんかん放電との鑑別, および6 Hz棘徐波と判断した場合のてんかん発作との関連について, 判断に難渋したが, てんかん発作との関連が強くなった可能性を疑い, 抗てんかん薬の減量を中止した。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連の強さを, その特徴からわけようとする報告がある。6 Hz棘徐波の一部はてんかん放電とは区別するべきとされる一方, 約半数にてんかん発作を認めるとの報告があり, 臨床的判断には注意を要する。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連と合わせて報告する。

4 0 0 0 OA TMSの基礎

著者
鯨井 隆
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.210-215, 2012-08-01 (Released:2014-08-30)
参考文献数
21

経頭蓋磁気刺激法TMSはヒトへの応用が開始されて約30年近くが経過した。刺激からの脳内誘導電流を介して大脳皮質のI-waveを中心とした興奮性評価や機能解剖学的結合, 可塑性誘導法, 治療応用学的な研究などの進展が目立つ。こうしたTMSの基礎的背景には動物実験などによる大脳皮質内錐体細胞の機能解剖や神経細胞の膜生理学的研究, 数理科学的な研究などがその土台と成っており, 新しいTMSの手法を通してミクロとマクロの融合的視野での理論構築を目指す方向性となっている。今後は, 脳機能のblack boxは総体的なネットワークの視点から高次脳機能学的ならびに治療学的臨床応用の基礎研究が進んでいくものと期待できる。
著者
後藤 純信 萩原 綱一 池田 拓郎 飛松 省三
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.8-18, 2012-02-01 (Released:2014-08-20)
参考文献数
24
被引用文献数
4

視覚誘発電位 (VEP) は, 誘発脳波計で容易に記録でき, 視覚路の情報処理機能をms単位 (高時間分解能) で評価できる。しかし, 異なる伝導率を有する容積導体を通して頭皮上から記録するため, 後頭葉の軽微な機能変化や機能の左右差を検出するには難がある。一方, 視覚誘発脳磁場 (VEF) は, 生体内の透磁率がほぼ等しく磁場のひずみが生じないため, 時間分解能のみならず空間分解能 (mm) にも優れ, 視覚野の一側性機能異常や軽微な左右の機能差などを鋭敏に検出できる。しかし, 微弱な磁場反応であるため磁気ノイズの混入やそれを遮蔽するための環境整備が必要不可欠である。刺激を工夫して視覚路の機能局在や機能障害の有無を検討するためには, VEPとVEFの長所と短所を知ることが必要である。本稿では, 両者を理解する上で必要な電場と磁場の基礎知識や視覚の生理学に基づく基本的記録法と解析法を解説する。さらに, これらの手法を基にした我々の臨床研究成果の一端を紹介する。
著者
由留木 裕子 岩月 宏泰 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.111-120, 2015-08-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
27
被引用文献数
3

健常者を対象にどの程度のラベンダー精油吸入で脊髄神経運動ニューロンの興奮性を抑制できるのかについて検討した。方法は濃度0%, 1%, 10%のラベンダーを2分間吸入させF波測定を行った。さらにラベンダー精油が脊髄神経運動ニューロンと自律神経にどのような影響を与えるのかについて検討した。濃度10%のラベンダーを10分間吸入, F波と同時に平均心拍数と心拍変動を測定した。これらの結果, 濃度1%と10%のラベンダー, 2分間の吸入は脊髄神経運動ニューロンの興奮性に影響を与えなかったが, 濃度10%, 5分の吸入で有意な抑制効果が認められた。また, ラベンダーが脊髄神経運動ニューロンを抑制する機序に関しては, 副交感神経が関与する可能性が示唆された。
著者
飛松 省三
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.358-364, 2014-12-01 (Released:2016-02-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
吉田 翔太 桐本 光 松本 卓也 小島 翔 鈴木 誠 大西 秀明 田巻 弘之
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.202-208, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

主動作筋の活動に先行して姿勢調節筋群が放電開始する現象は, 先行随伴性姿勢調節 (APAs) と呼ばれ, 補足運動野 (SMA) がその生成に関与すると考えられている。本研究では, SMAに対する経頭蓋直流電流陰極刺激 (陰極tDCS) が, APAsの機能に影響を及ぼすか否かを検討した。健常被験者11名が, 自己ペースで右上肢を急速拳上する課題を重心動揺計上で行い, この時の右三角筋と右大腿二頭筋の活動を表面筋電図で記録した。左側M1 (Cz上) とSMAに陰極tDCS (2 mAで15分間) 及び疑似刺激を行い, 刺激前後における両筋の放電開始時間差 (ΔEMG onset) の変化を比較した。陰極tDCS後におけるΔEMG onsetの有意な短縮はSMA刺激時にのみ認められた。APAsの生成にはSMAが重要な役割を果たし, また陰極tDCSはSMAの予測的姿勢調節機能を抑制し得ることが示唆された。
著者
人見 健文 池田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.365-370, 2014-12-01 (Released:2016-02-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

脳波記録に携わる技師は, 電極配置法, モンタージュ, 電極のタイプ, インピーダンス, フィルターの原理を理解した上で, 脳波計の設定や電極装着を行う必要がある。検査開始後は, 正常および異常の脳波, 賦活時の脳波変化などに注意しつつ脳波記録を行う。さらに近年普及したデジタル脳波計の特徴を生かして, Density modulated spectral array (DSA) の活用, あるいはモニター上で脳波記録中の表示に適切なモンタージュの切り換えを行い, リアルタイムでより適切な脳波活動の評価を行うことがのぞまれる。また検査技師も脳波の判読の過程と結果を積極的に活用して脳波判読医と互いの情報意識の共有を行う。判読者の立場も理解した上で脳波記録を行うことで, 総合的な脳波検査と判読の質的維持と向上がもたらされる。臨床発作時あるいは脳波上発作パターンが出現した場合には, 適宜医師および他の検査技師に連絡し対処する役割も求められる。