著者
濱口 清治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

ペンティアムの4進SRT法に基づく除算回路での設計誤りは、ルックアップ・テーブルの内容に書き間違いがあるというものであった。こうした設計誤りを通常のシミュレーションで網羅的に調べることは、膨大な時間を要するため、非現実的である。これに対して、BryantはOBDDによる組合せ回路の等価性判定の手法を用いて、網羅的な検証を試みており、SPARCstation10上で主記憶112MByte、CPU時間10分で検証に成功したと報告している。また、Bryantの手法の場合、等価性判定の比較対象として、ピットレベルの論理式を記述する必要があって、これは必ずしも容易ではないが、Zhaoらは、二分モーメントグラフ(Binary Moment Diagram)と呼ばれる新しいデータ構造を用いて、レジスタに対する加算や不等号などを許した仕様記述を、ビットレベルに変換せず、直接扱う検証手法を考案・実装して、検証に成功している。これらの手法は、算術演算回路の検証技術として現在盛んに研究されている。本チュートリアルでは、その最新の研究動向を報告する予定である。
著者
安部 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, pp.331-332, 1996-09-18

フラットパネル・ディスプレイ技術は各種の競合技術と顧客・市場性とが実に深く関連して多様化しながら進化しているが、主流はやはりTFT-LCDとCRTであろう。TFTは半尊体技術と多くの共通性を有するが、微細加工技術の進展に伴うLSI集積度の向上によるシリコンサイクルと異なり、表示画面サイズの拡大による短周期のクリスタルサイクルがあり、マジックプライス(5万円)に到達したといわれており需給バランスの制御が重要となっている。低コスト化は依然として重要課題であるが、マルチメディア対応のシステム・ディスプレイとしてはパフォーマンスにおいて部分的に顧客満足度は達成しているもののトータルの画質に関してはCRTを大きく凌いでいるとは言い難い。現状のTVに代表される映像システムとコンピュータ・通信からの情報システムの両者が融合されたマルチメディア・ディスプレイの実現に向けて、顧客の要求は複雑・多様化しているが、画質の高品位化の要求性能は自ら異なるものである。ここでは映像と情報表示の2つの側面からマルチメディア時代の高品位ディスプレイ技術を私見を交えて概観する。
著者
范 春 長尾 智晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

近年CG・画像処理技術の発展に伴い特殊効果を用いた画像を生成する技術が飛躍的に向上したが, 我が国は米国等に比較して一歩遅れているのが現状である. そこで筆者らはバーチャルアクターシステムと称する"実際の演技を伴わず, あたかもその仮想あるいは実在の人物がそのような演技をしたかのような映像を作成する"計算機によるシステムを構築中である. これまでにもそのような映像を作成した例は報告されているが, 本システムでは画橡処理技術によって必要な処理の一部を自動化することによりオペレータの作業の負担を可能な限り軽減することを目的としている. 本システムは画像処理とCGの融合システムであり, 現在は顔領域抽出など, 本システムにおける要素技術の開発を行なっている. 本稿では, 本システムの概要と課題, および動画像中の人物の顔の置き換えに関する基礎的な実験例について報告する.
著者
小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-09-18

アクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)は,平面(曲面)状に多数配列された素子アンテナ(素子)からマイクロ波信号を放射し,各素子からの信号の位相を制御することで,ビーム走査やビーム成形を自由に行うことができるアンテナである.APAAは従来主にレーダシステムで用いられてきたが,その高機能性からSPS2000などの電力伝送や通信での実用化が期待されている.ここでは,電力伝送にAPAAを適用する場合の特徴を述べ,APAAを用いる場合に必要となるビームポインティング法について示す.
著者
横田 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

人間に近似した感性対応のシステムの、内部システムとして、入力系と記憶系との、市場的交渉システムが考えられている。ここで市場的にパタンの分類等の意思決定する部分が、今までは、1個の場合として考えて来た。実際には、市場の機能、規模に応じた、ある有限の数の意思決定主体系が参加し、活動する。又、感性対応システムは、個体的な系と、集団的な系とが考えられる。前者の個体的系にも、内部的には、ニューラルネット的に集団的系になっている。どちらにしても、全ての主体者系が、直接、間接を問わず、その市場に関係する。しかし、特に、人口的規模が大になれば、普通は、代理人的な機能体を介して、間接的に意思決定をしている。今回は、回路システムの立場から、間接的、中間的システムとしての、代議的システムを考える。特に、ノイマンのゲームシステム、アローの不可能システムを背景に「決戦投票的決定システム」や「量子代議的システムにおける、選挙的意思決定システム」との関連から考える。
著者
亀井 了 長嶋 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

聾者のコミニケーションの一手段である手話は、手指動作と顔の表情、口形、うなずきなどによって表現される非手指動作によって構成される。著者らは手話工学の立場から、手話を工学および言語学的に解析し、日本語と手話の相互翻訳システムの構築を行っているが、現在のシステムの手話表示体系では、手指動作の表示のみにとどまっている。そこで、本報告では、システムの手話表示に非手指動作を組み込む方法について検討する。
著者
安田 彰 谷本 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

D/A変換器の精度は一般に素子精度の影響を直接受けるため、従来よりこれを改善する方法が考えられてきた。その一つとしてダイナミック・エレメント・マッチング法(DEM)がある[1]。この方法では、各々の変換においてすべてのセルを均等に用いることにより、素子精度の影響を排除している。また、複数回の変換でセルを均等に用いる"random averaging method"(RA)[2]や"individual level averaging approach"(ILA)[3]がある。また、谷らは[3]は1次のノイズシェーピングであることを示した[4]。さらに、[5]では高次のノイズシェーピング特性を持ったダイナミック・エレメント・マッチング法を提案している。本稿では、上に述べた従来方法を統一的に扱う試みとして、ノイズシェーピング・ダイナミック・エレメント・マッチング法(NSDEM)を提案する。さらに、従来方法はNSDEMのサブセットであることを示す。
著者
澤木 美奈子 村瀬 洋 萩田 紀博 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

校正や添削の記号が記入された文書や、線や記号が重なり合う譜面など、複数の情報が重畳した文書が多い。 これらの認識を行う場合、従来はある情報に着目し、他の情報を雑音として削除した後に認識処理がなされていた。しかし、多くの場合、着目した情報以外を各情報に関する知識なしに総て削除することは困難であり、高い認識率が得られなかった。 ここでは、先に提案した補完類似度を用いて、複数の情報ごとに照合を行うことにより、正しく認識できることを示す。補完類似度は、ノイズにロバストであるという性質があるため、複数の情報が重畳していても、着目した対象以外を削除せずにそれらをノイズとみなすことにより、着目対象を正しく認識することができる。そのため、複数の情報を独立に扱え、複数の情報間での影響に関する知識を持つ必要がない。 本稿では、例として、文字と記号が重畳している尺八譜の認識を対象として取り上げる。
著者
岡本 秀輔 曽和 将容
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

バリア型フェッチ機構は, アセンブリ命令を機能別に分け, それぞれスレッドとして並列に実行を行う命令レベル並列プロセッサ VFPE や PNSF において用いられている。この方式は, VLIW のように命令フイールドごとにスレッド別の命令を単一アドレス上に配置する。そして, その配置とは別に実行のための先行関係を指定する。このプログラムの指定方法により, VLIW で問題となる同期をとるためだけの不要な NOP 命令の指定を削減でき, かつ, キャッシュミスのような動的な変化においてもデータ依存の存在する部分のみのストールで実行をすすめることが出来る。 しかし, 本方式においてもスレッドごとの命令数が不均等である場合には, 依然として数合わせのための NOP を挿入する必要があり, これはプログラムサイズを増大させる他, 実行時間の無駄にもつながる。本報告ではこの問題の解決方法について述べる。
著者
系 正義 辻道 信吾 小菅 義夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-08-13
被引用文献数
1

追尾フイルタは, 距離, 仰角, 方位角からなる目標位置のレーダ観測値をもとに, 位置, 速度などの目標運動諸元を推定する. 単一レーダを使用して追尾を行う場合, レーダ観測値は時系列データとして得られるため, カルマンフィルタを用いた追尾フィルタの実現が可能である. 一方, 広域に散在する複数のレーダを使用する場合, 各レーダから追尾処理装置への観測値の転送時間は必ずしも同一でないため, 追尾処理装置で処理すべき観測値は図1に示すように非時系列なデータとなる場合がある. この場合カルマンフィルタの適用は困難となる. 本稿では, カルマンフィルタの理論を拡張して, 非時系列なレーダ観測値を処理する追尾フィルタアルゴリズムを導出したので, これを報告する.
著者
佐々木 悠 王 磊 太田 和夫 青木 和麻呂 國廣 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, 2008-09-02

本稿では,MD4を用いたチャレンジ&レスポンス型パスワード認証に対し,現実的な計算量のパスワード復元攻撃を提案する.これらの方式では,ユーザとサーバはパスワードPを事前共有する.認証の手順は以下の通り:1.サーバはチャレンジCを生成しユーザに送る.2.ユーザはレスポンスRとしてResponse(P,C)を計算しサーバに送る.3.サーバは自分でRを計算し,送られてきたRと一致したならば正規ユーザと判定する. 手順2.のRの計算方法として,MD4(P∥C)を用いるPrefix法とMD4(P∥C∥P)を用いるHybrid法が有力である.これらに対する攻撃結果を以下に示す.