著者
五十嵐 泰正
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

2006年度は、年度内に発表した業績は非常に少ないが、本研究課題「重層的なヒトの移動と、都市コミュニティ・アイデンティティの再編成」の総まとめとしての単著『グローバル化時代の「下町」上野』(仮題)の執筆に専念した。同書は、2007年末に刊行予定であり、S書房からの出版企画が進行中である。その中で、国際シンポジウム「カルチュラル・タイフーン2006」において、「戦後の記憶、大衆の痕跡」という大規模なセッションを企画・コーディネイトし、自らも理論的な整理を提示する口頭報告を行った。同セッションは、昭和30年代を参照する近年のノスタルジー・ブームを批判的に検討しつつ、終戦後すぐの闇市の記憶を含む都市の歴史的重層性や、コミュニティの結節点としての大衆食堂・立ち飲み屋の視点から、労働や生活が切り離された消費的な都市空間が優越してゆく都市再開発の現状を再考するものであり、このセッションの準備過程(大阪市築港地区・世田谷区下北沢でのフィールドワークを含む)は、私の上野での実証研究の深化にきわめて重要な影響をもたらした。また、昨年度の米国出張における、シカゴに再移民した元在日不法就労パキスタン人への聞き取り調査をもとに、外国人支援NGOの機関紙に、「群馬経由、シカゴ行き」という研究ノートを寄せた。同小論は、まだ萌芽的なものではあるが、グローバルなエスニック・ネットワークに媒介された現代の移民現象を考える上で、今後の研究へと発展しうる重要な論点を提起した。

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こんな研究ありました:重層的なヒトの移動と、都市コミュニティ・アイデンティティの再編成(五十嵐 泰正) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/04J09630

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