著者
秋田 智之 田中 純子 大久 真幸 杉山 文
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

がん検診の評価において、検診発見群と外来発見群の生存率を比較して有効性を示す場合には、リードタイムバイアスによる過剰評価が問題となる。本研究では、がんサイズの倍加時間を利用し、観察期間「発見可能なサイズになってから死亡まで」と変更することにより、リードタイムバイアスの補正をしたうえで生存率を比較する方法を提案した。これを4病院の肝がんサーベイランス発見群2,822人、外来発見群1,077人の生命予後データに対して適用したところ、補正後の生存率の差は依然認められ、サーベイランス発見群の生存率のほうが高く肝がんサーベイランスは生命予後の改善において有効であると考えられた。

言及状況

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[医学] 肝炎ウイルスキャリアに対する肝癌サーベイランス(肝がん検診)は、倫理的な理由で検診をしないという対照群をつくれないので、代替としてこういう手法で検証が試みられているのだろうと思います。
検診の、リードタイムバイアスを補正した生存時間解析。開発中の手法でありポピュラーとは言えない。そのことが、リードタイムバイアスを考慮しない、がん検診の有効性評価が危険であるのを示している、とも言える。

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