著者
篠原 真毅
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究目的は(1)パルス発振、(2)変調可能な、PACMの開発である。新たなマグネトロンの開発は行わず、民生用の安価なマグネトロンを用いて外部回路での実現を目指す。我々の研究グループでは注入同期法とPLLによる陽極電流フィードバックを併用した位相(振幅)制御マグネトロンPACMを開発しており,現在までに様々な研究が行っている。しかし,過去の研究では連続波以外での駆動を検討された例が無く,さらに位相制御に約3秒必要であったため,その用途が連続波を用いたエネルギー伝送や加熱用途に限定されるという欠点があった。平成17年度に開発した安定したkHz動作のパルス駆動型位相(振幅)制御マグネトロンに引き続き、平成18年度は位相変調可能な位相(振幅)制御マグネトロンを開発した。本研究においては,位相変調方式としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)を採用し,アナログ移相器の位相が0°および180°とになるように移相器を制御した.また位相変調については,位相変調前の基準信号とマグネトロン出力とをミキサ入力としたときのIF出力電圧V_0を観測することにより確認した。実験でアナログ移相器に与えた変調周波数は10kHzである。その結果、位相切り替え後にV_0が大きくオーバーシュートした後,V_0が次第に一定値に安定する様子が観測され,位相変調後におけるPCMの位相安定が確認された。位相切り替え後から位相安定するまでの時間は,最長で36.5μSと計測された。ただし,PCMの過渡応答がアナログ移相器の過渡応答に埋もれた可能性が高く,我々のグループで開発されたPCMがどの程度の位相変調周波数まで追随可能であるかについては計測まで至っていない.今後はアナログ移相器の代わりにリング変調器(ミキサ)等を用いることにより,BPSK変調においてPCMが追随可能な位相変調周波数の計測を行う必要がある.また,BPSK復調器を用いた復調信号観測により実際の通信速度を測定することも今後の課題として挙げられる.

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電子レンジ用のマグネトロンで位相変調をやろうとした研究っぽい https://t.co/4cMjLhjJlF

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