著者
眞田 克典
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

多元環のホッホシルトコホモロジー環のリー代数構造は、コホモロジー環上に-1次のリー・ブラケットが定義され、次数付リー代数であるとともに、コホモロジー環のカップ積との間に次数付微分則が成立しているものです。これはGerstenhaber構造と呼ばれます。これまで、このGerstenhaber構造に加えて、-1次の作用素(BV作用素)の存在に関する研究が進められており、多元環によっては、リー・ブラケットがこの作用素で表現できることが知られています。この構造はBatalin-Vilkovisky構造(BV構造)と呼ばれます。BV構造は多元環に対する導来同値の不変量であることも知られ、その重要性が認識されています。すでに対称多元環のホッホシルトコホモロジー環はBV構造をもつことが知られており、次の目標として、フロベニウス多元環のホッホシルトコホモロジー環はBV構造をもつか、という問題があります。特別なフロベニウス多元環に対しては、ホッホシルトコホモロジー環に加えて、ホットシルトホモロジー、キャップ積、コンヌ作用素の組が満たす構造(Tamarkin-Tsygan calculus)を利用して、ホッホシルトコホモロジー環がBV構造をもつことが示されています。本研究課題の主要な目標は、以上を踏まえて、フロベニウス多元環に対してコホモロジーを全次元に拡張した完備ホッホシルトコホモロジー環におけるBV構造の存在性を研究すること、また具体的なフロベニウス多元環に対するBV構造を決定することです。本年度は東京理科大学の臼井智氏との共同研究でBV作用素の候補となるものを構成しました。一方で、具体的なフロベニウス多元環に関する研究としては、同大学の鯉江秀行氏、板垣智洋氏と共同で、計算例として重要な対象である自己移入的中山多元環のホッホシルト拡大の箙多元環の表示の研究に取り組みました。

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