著者
中北 英一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ゲリラ豪雨を予測するために、レーダーで見えない赤ちゃん雲、ひいては卵の状態がどのようであったかを解析し、さらに豪雨発生の状態から元の卵の状態まで時間的に逆推定することで、何を新たに観測すれば予測が可能となるかを明らかにし、降雨予測手法の発展へと結びつけることを研究目的としている。平成22年度には、2010年7月より試験運用を開始した国土交通省のXバンドMPレーダネットワークを用いて以下の成果を得た。1)近畿地方で発生した22事例の積乱雲を対象にレーダー反射強度の3次元画像解析を行った結果、全ての事例において大気上空3-5km高度でその卵の発生を確認することができた。22事例を平均すると約3分ほど地上降水に先行して大気上空で卵が発生しており、レーダーによる3次元観測が極めて重要であることを示した。2)降水セルの3次元追跡手法を開発し、22事例中14事例(6割強)においては自動追跡が可能となった。3次元降水セル自動追跡結果から、エコートップ高度・降水セルの重心高度・降水セルの体積などの時間変化を解析できるようになり、将来的に豪雨をもたらす積乱雲の特徴付けとなりうる指標を作成した。3)発達する卵かどうかに関連して、ドップラー風速と発生高度に着目して解析した結果、積乱雲へと発生した事例においては、ドップラー風速に収束場や渦位を確認することができた。また、卵の発生高度に関して、偏波間相関係数を用いて融解層高度との関係性を調べたようとしたが、対流性雲では融解層高度の特定が困難であった。以上、3次元偏波レーダーデータを用いて、大気上空での卵の発生をとらえ、さらに自動追跡する手法を開発し、発達する事例においてはドップラー風速との関連陸を明らかにした。今後は解析事例を増やし、他の偏波レーダーパラメータやGPSによる水蒸気量などと卵の発達具合について解析を進めていく。

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こんな研究ありました:メソ大気モデル・同化方法の時間遡上手法の開発によるレーダ探知不能な豪雨の卵推定(中北 英一) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/21656121
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