著者
大澤 裕樹 丹下 健 小島 克己
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

アルミニウム集積に基づく耐性の分子構成要素の将来的な同定のために、アルミニウム超集積の鍵となる生理プロセスを発見する必要がある。私たちは、チャに代表される関連2科の8種の植物を調査し、7種の超集積植物の根の内皮細胞でプロアントシアニジン集積が共有されることを同定した。一方、調査対象の中の唯一の非アルミニウム集積種であるモッコク(Ternstroemia gymnanthera)では、ほとんどの通導木部においてプロアントシアニジン集積が認められなかった。葉の表現型と季節性の多様性にも関わらず、通導木部におけるプロアントシアニジン集積がこれらのアルミニウム超集積種間で共通の作用モードを持つ可能性が見いだされたことから、おそらくアルミニウムの長距離輸送がプロアントシアニジン輸送を伴うことが示唆された。しかしながら、アルミニウム集積性種の表現型の間の木部プロアントシアニジン含量にアルミニウム誘導パターンもアルミニウムとの分子化学量論のいずれも認められなかったことから、プロアントシアニジン以外の追加構成要素が木部のアルミニウム輸送に含まれる可能性があることがわかった。本成果は、定量的に木本植物種の特定科のアルミニウムおよびプロアントシアニジン集積パターンを分析した最初の包括的な研究となる。近縁種のアルミニウム集積の主要な生理学的プロセスに関するこれらの知見は、重金属、水と物質の長距離輸送、および葉の防御機構における有害金属超集積の分子進化と機能のより良い理解につながる可能性

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椿はどうして葉にアルミニウムを貯えるのか、教えてください https://t.co/ljWueO4RWA ツバキ科種のアルミニウム集積機構の解明 https://t.co/gVKB4is7al 茶葉および茶浸出液中のアルミニウムの存在形態と体内吸収特性 https://t.co/dmxHKagkZJ

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