著者
裏出 良博
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.754-762, 2013-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
44

現在日本では睡眠に不満をもつ人の割合は20%以上にもなる.私たちは内因性睡眠物質であるプロスタグランジンD2 やアデノシンによる睡眠誘発の情報伝達系をさまざまな遺伝子操作動物を用いて解析し,睡眠覚醒調節の全体像を明らかにしてきた.さらに,実験動物の脳波測定システムを応用して,睡眠覚醒調節作用をもつ天然素材の探索を進め,自宅での睡眠測定が可能な人間用の携帯型脳波計を開発した.これらの研究は睡眠の科学的な理解を深め,医療費の削減や国民の公衆衛生に大きく貢献する.
著者
塩野 貴史
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.395-401, 2018-05-20 (Released:2019-05-20)
参考文献数
22

緑茶や紅茶,コーヒーなどの嗜好飲料は日常の食生活に密着した飲みものとして広く飲用されている.しかし,これらの飲料には覚醒や利尿などの作用を示すカフェインが含まれており,体質やシーンによっては飲用を控えなければならない制約があった.従来の原料からの溶出処理によるカフェイン除去技術では,カフェイン除去とおいしさや外観といった飲料品質の両立は難しいとされてきた.われわれは,天然吸着剤であるモンモリロナイトを用いて茶抽出液から選択的にカフェインを吸着・除去する技術を開発した.その特徴と汎用性,今後の展望について解説する.

5 0 0 0 OA 泡のはなし (3)

著者
野口 駿
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.199-203, 1972-03-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
23

5 0 0 0 OA 中篇

出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.752-756, 2002-11-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
4 2
著者
仲井 まどか
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.693-701, 2013-10-01 (Released:2014-10-09)
参考文献数
15

昆虫に感染するウイルスが,害虫防除資材として使用されている.このような防除資材は,ウイルス資材 (Viral agent) あるいはウイルス殺虫剤 (Viral pesticide) と呼ばれている.ウイルス資材は,化学合成農薬と全く異なる作用機作をもち,世界各地で使用されている.本解説では,昆虫ウイルスがどのような生物学的特徴をもつのか,どのような特性が害虫防除資材として適しているのか,実際の具体例を示すとともに今後の展望について解説する.
著者
白壁 恭子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.15-20, 2018-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
15

生物はDNA, RNA,タンパク質,糖質,脂質といったさまざまな有機化合物で構成されているが,なかでも生命現象を生み出す原動力となるのはタンパク質である.タンパク質には,修飾を受けることで活性や局在がダイナミックに変化する,というほかの化合物にはない性質があるからである.膜タンパク質シェディング(以下シェディング)は,細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質を切断し細胞外領域を可溶化するという,タンパク質の存在様式を不可逆に変換する影響力の強い修飾機構である(図1).本稿ではまずシェディングの生物学的な意義について説明し,続いて筆者の研究から明らかになったシェディングの役割や制御機構に関する知見を紹介する.