著者
深川 美帆 濱田 美和 深澤 のぞみ
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.6, pp.29-40, 2007-10

本稿では, 日本社会におけるIT化の実情や留学生のITリテラシーの現状を明らかにして,留学生教育で行うべき支援,教育内容を検討する。様々な調査結果に裏付けられるように, 日本のIT環境は世界最先端レベルに達しており,ITは今や私たちの生活に広く深く浸透しつつある。このような社会で生活する留学生にとって, 日本語環境のIT機器を使いこなすには、日本語力に加えて日本語IT用語、日本語入力、そして日本における著作権やセキュリティに対する考え方などが問題となっている。こうした点を3、まえて,留学生に対するITリテラシーの授業や,教科書及び用語集の作成が行われている。また,インターネット上には留学生にとって学習や情報収集の助けとなるサイトがあり,今後も発展していくことが予想される。留学生に対するITリテラシー養成や支援は,日本語教育の中で積極的に扱うべきであると考える。
著者
濱田 美和 高畠 智美
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-8, 2013-09

本研究の最終目標は,日本語学習者同士で効果的に練習を行えるような漢字教材を開発することである。受講者の習得状況の開きが大きいため,複式で授業を行っている漢字クラスにおいて,学習者同士で練習を進めていくグループ練習の時間を設けている。本稿では,このグループ練習用のワークシート,カード教材に焦点を当て,実際の活動の中で,学習者が適切に使用できているかどうかを,グループ練習時の学習者同士のやり取りの音声データ等をもとに観察した。そして,教師の援助なしで学習者だけで円滑にグループ練習を進めるためには,より指示文を簡潔に提示すること,練習内容を平易にすること,学習者による例文等の作成は扱わないこと,例文の提示方法や解答の与え方を工夫すること,一度に使用するカードの種類や枚数を制限すること,ゲーム的要素の取り入れに注意を要すること,これらの改善が必要であることが分かった。
著者
副島 健治
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.51-52, 2013-09

1998年の日韓首脳会議における「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」の構築の合意に基づき,具体的な行動計画として「日韓共同理工系学部留学生事業」が立ち上げられた。この事業は,韓国で選抜された高校卒業生を,留学生として日本の国立大学の理工系学部が受け入れるプログラムである。1999年に第一期生の募集が開始され10年間の第1次事業を経て,2009年の募集から新たな第2次事業が行われている。富山大学はこれまでにこのプログラムに基づく留学生(以下,「日韓生」とする)をのべ9人受け入れた。現在2人の日韓生が富山大学に在学中である。
著者
副島 健治
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.12, pp.9-16, 2013-09

独立行政法人北方領土問題対策協会は,1998 年より「北方領土」に日本語講師を派遣し日本語コースを開いてきた。これまでのべ3000 人以上の現地のロシア人住民が日本語を学んだ。2011 年からこの事業のための教科書開発の検討会が設けられ教科書の開発に取り組んでいる。「北方領土」という特殊な地で実施される日本語教育のための日本語教材であり,教材開発は諸所において色々な配慮のもとに具現化されていった。その特徴は,「ビザなし交流」の場面を意識したダイアローグを「小会話」として積み重ねる,キリル文字による日本語表記,日本語には適宜ロシア語訳を付ける,必要な説明や解説はすべてロシア語で行う,などである。この日本語コースは「ビザなし交流」の一環として,北方領土問題の解決に寄与するために行われている事業であり、何よりも教師と学習者がお互いの立場を理解し敬愛し合い,人と人とのしっかりした信頼関係が構築されていることが重要である。
著者
濱田 美和 高畠 智美 市島 佑起子
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.5, pp.17-25, 2006-10

日本語教育において,漢字教育は重要である。漢字は語彙の習得とも関連するものであり,また, 日本で生活する留学生の多くは,至る所で漢字を目にするため,習得の必要性を強く感じている。一般に,集中日本語コースでは漢字の体系的な指導がなされているが,コ‐ス内で十分な時間が確保できない場合,文型や語彙の習得に重点を置いて指導がなされるため,漢字は学生が自ら学ぶしかない状況にある。これには,教室における短時間指導に適した漢字教材の不足も関連していると思われる。筆者らは,専門の学習等で多忙な留学生のために,新たに短時間学習型の初級漢字教科書『留学生のための毎日のKAN」I』を開発した。本教材の特徴として,教室における短時間での導入に適している点,また,学生が自学自習しやすい工夫を行った点が挙げられる。本教材による漢字指導を始めた結果,非漢字圏の学生だけでなく,漢字圏の学生からも一定の評価を得ることができた。
著者
副島 健治
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.7, pp.15-30, 2008-10

いわゆる「ビザなし交流」の一環として「北方四島交流事業日本語講師派遣事業」が独立行政法人北方領土問題対策協会によって1998年から実施されている。これは,日本とロシアという2つの国家聞の領土をめぐる緊張した状況を抱える「北方領土」の地で,島氏に対する日本語講座を開講する事業である。事業の目的は北方領土問題の解決に寄与することにほかならない。毎年開講されているが,短期間なので受講者の学習したことが定着しにくく適当な教材も不足しているなど,困難な側面もある。しかし,島民からは概ね好意的に受け入れられており,日本語学習を通して,現地に親日的・友好的な雰囲気が生まれ,醸造されてきており,「北方領土」における本事業の日本語教育は一定の成果が上がっていると言える。しかし,本事業の趣旨である「ビザなし交流」に合致した教材の開発,効果的な講師派遣の方法や期間など,今後さらに検討し,取り組むべき課題もある。
著者
濱田 美和 深澤 のぞみ
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-9, 2011-11

IT技術が広く普及したことにより,IT用語はPC操作以外の日常的な場面でも頻繁に使われるようになった。また同時に,日本語力を有する外国人IT技術者のニーズが世界的に高まるなど,様々な目的で,日本語のIT用語の習得が,仕事や学習,また生活に不可欠なものとなってきている。そこで本稿では,普段の生活で接することの多い新聞や雑誌などの印刷物やテレビ放送を資料として用い,頻出するIT用語を抽出して,日常生活に深く浸透してきたIT用語の特徴を明らかにした。具体的には,語の出現度数や語種,ともに用いられる動詞や複合語としての用いられ方を分析した。それをもとに,一般の日本語教育の中で早くから扱う必要があることを提案し,日本語教育の中での取り上げ方についても考察した。
著者
副島 健治
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.64-65, 2008-10

1998年,当時の小渕恵三日本国総理大臣と金大中韓国大統領による日韓首脳会議が行われ,21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築するとの共通の決意を宣言したが,この合意に基づき,具体的な行動計画として「日韓共同理工系学部留学生事業」が立ち上げられた。この事業は韓国で選抜された高校卒業生を留学生として日本の国立大学の理工系学部が受け入れるプログラムである。1999年に第一期生の募集が開始された。富山大学ではこのプログラムによりこれまでのべ7人を受け入れてきた。本学に配置があった年度は2001年度,2003年度,2004年度,2006 年度であった。2001年度(第2期生)4人,2003年度(第4期生)1人,2004年度(第5期生)1人,2006年度(第7期生)1人,計7人
著者
後藤 寛樹
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-67, 2011-11

日本語教育部門では,2003年度より毎週水曜日の昼休みを利用して,日本語教育部門の専任教員が留学生からの日本語に関する相談や質問に対応する「日本語相談」を実施している。これは,日本語に関する問題であれば,日本語の授業の内容とは関係なく,アポイントなしで相談できるというシステムで,授業以外の場での日本語学習支援として機能している。2010年度も合計28回の「日本語相談」を実施し,日本語学習に関する質問・相談,作文・レポートの添削,進学・就職に関連する日本語の文章のチェックや面接の練習など,多岐にわたる目的での利用があった。以下,2010年度の「日本語相談」の実施状況について報告する。