著者
山根 望 名島 潤慈
出版者
山口大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13468294)
巻号頁・発行日
no.21, pp.231-247, 2006

Gender Identity Disorder (GID) has been attracting social attention in Japan since 1998, when Sex Reassignment Surgery (SRS) was officially approved by Saitama Medical School. It may occur that the number of GID patients will increase. However, many Japanese GID patients are still distressed by the hostility and misunderstandings. Many GID patients have experiences of school refusal, suicidal ideation, or other psychiatric illnesses. Taking these distresses into account, more psychological and social supports for GID patients are necessary in order for them to live with satisfaction. In the paper, we would like to introduce current psychological studies both in Japan and in the world, most of which were written in the 21st century and some of which referred to "transgender." Examining these studies, it appears that psychologists and psychotherapists will have to explore more (1) psychological and social support for students with GID in school, (2) psychological change after SRS, (3) psychological interventions for couples when the other confesses his or her GID, (4) psychological change in real life experience and psychological support for GID patients, and (5) studies on mental health of aging GID patients.
著者
石井 由理
出版者
山口大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13468294)
巻号頁・発行日
no.26, pp.81-94, 2009

備考 (<タイトルの訳>アジアの学校教育における音楽的アイデンティティー : 普遍的音楽原理と地域的アイデンティティーの間で), 文化のグローバル化の影響は我々の生活のあらゆるところに見出すことができる。アジアの国々では、それはしばしばグローバルな標準だと考えられている西洋文化の採用とそれに対する適応として現れる。グローバル化のこの側面は文化の収斂あるいは普遍化といった表現で述べられるが、文化のグローバル化は決してこの側j面のみから成り立つわけではない。これに対抗するかたちで文化の発散、あるいは特殊化という現象も存在する。何らかの形で自分たちの文化の特徴を維持しようというアジアの国々の試みは、このような現象の一例である。グローバル化におけるこれらの対照的な特徴が生み出すのは、文化の混成である。本稿の目的は、この文化の収斂、発散、混成に国家がどのように関わっているかを探ることである。この目的のために、本稿は日本およびその他のいくつかのアジアの国々における学校音楽教育政策に焦点をあてる。本稿でとりあげるアジアの国々の音楽教育政策においては、音楽文化の収斂の側面として西洋の記譜法と音楽理論を採用していること、発散の側面として各国の伝統音楽の伝承を主張していること、そして混成あるいは妥協の側面として、自民族の作曲家によって作られ、その言語の歌詞をもつ、西洋音楽理論に基づいた教科書音楽が広く教えられていることが、共通の現象として見られる。