著者
折出 健二
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学編 (ISSN:18845142)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.155-163, 2015-03-01
著者
佐々木 亜紀子
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
no.5, pp.19-28, 2005-03-31

夏目漱石の推挙で文壇に登場した野上彌生子の「評論・随筆」「序跋」には,漱石に言及したものが五十作以上ある。だがそれらには漱石の卑近な姿や暗部を含んだ日常的な<漱石体験>しか語られていない。神格化する「夏目先生」に繋がる出版文化の恩恵のもとで八十年間の作家生活をし,「文学者として年をとるべし」という漱石のことばを「お守り」にしてきた彌生子の引き裂かれた<弟子>としてのあり方を検討した。
著者
榊原 智子 片山 悠樹
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教職キャリアセンター紀要 The journal of the Teaching Career Center (ISSN:24238929)
巻号頁・発行日
no.6, pp.131-138, 2021-03-26

本稿では、「起業家育成」に着目し、企業の課題であった「起業」が、大学生や大学を巻き込んだ「起業」へと変化していく様子を描き出す。具体的には、「起業」と「学生」が関連する新聞記事を主な調査データとして、言説分析を行った。本稿の主な結果は、次の3つである。①「起業家育成」は、1980年代に企業内で取り組まれており、「社内起業家育成」という表現が観察された。② 2000年代あたりから「社内起業家育成」ではなく「学内起業家育成」と表現され、「起業」は大学の役割のひとつであるという認識があらわれた。③ こうしたなか、大学生の起業家志向が現実的な課題として示されている。本稿は、「起業家育成」に関する企業社会の言説を分析することで、大学生を取り巻く教育や雇用への認識の変化を捉えることを試みた研究と位置付けられる。
著者
川北 稔
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学編 (ISSN:18845177)
巻号頁・発行日
no.70, pp.123-131, 2021-03-01

生きづらさを抱える人が自らの経験について社会的発言を行ったり,本人の立場による支援を実施したりすることが増えている。そうした活動に際して集合的なアイデンティティを形成することが効果的であるが,その在り方によっては集団の閉鎖性をもたらすことが懸念される。綾屋・熊谷による『つながりの作法』は障害を持つ人の立場から,経験の共通性と異質性の双方を視野に入れた集団形成を論じている。同書の示唆を受け,綾屋らによる「当事者研究」とは異なる伴走型支援の視点から社会的支援の在り方を構想する。
著者
寺中 久男
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 自然科学 (ISSN:03653722)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.43-47, 2008-03-01

銅酸化物高温超伝導体を記述するモデルとして導入された2次元t−J モデルは,平均場近似や数値解析等の枠組みでは,うまく超伝導の対形成や対の対称性が説明されたように見える.しかし,厳密な2次元系として捉えると,有限温度においてはd_<x^2-y^2>波対称の超伝導秩序は実現不可能であることがボゴリューボフの不等式により厳密に示される.
著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 片岡 繁雄 金子 修己
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.39-44, 1996-03-01

本研究は,青年期女性579名(学生332名,社会人247名)を対象にして,学生ならびに社会人の健康習慣と日常生活行動およびエゴグラムからみた性格の特性を,無記名質問紙法により,調査(平成4年9月~11月と平成5年8月~10月)し,以下に示す成績を得た。(1)健康習慣については,学生は社会人より毎日朝食をとる者が多く,栄養のバランスに気をつけており,喫煙する者が少ないことが分かった。また,社会人は学生より,起床時間,就寝時間が早く,間食をあまりとらないことが認められた。(2)健康習慣実施数の平均(標準偏差)は学生5.0(1.5),社会人5.3(1.7)であり,統計的には社会人の方が多く,学生に比べて健康的な生活態度をとっている。(3)日常生活行動では,雑誌,書籍とも社会人の方に読まない者が多く,新聞購読時間も短く,学生に比べてマスメディアとの接触が薄いことが認められた。また,学生は趣味をよく取り入れ,生活をエンジョイしている者が多く,社会人には小遣い金額が多く,化粧をよくする者が多いことが認められた。また,女性の喫煙に対する意識では学生より社会人の方が容認する割合が高かった。(4)エゴグラムは,学生,社会人ともNP(養育的・母親的要素)を頂点とするNP優位型の山形であった。要素別の比較では,NP(養育的・母親的要素)とFC(自由奔放さ)おいて,有意の差が認められ学生の方が高く,また,学生は社会人に比較して自我状態が高い値を示していることが認められた。(5)以上のことから,青年期女性における健康習慣と日常生活行動ならびにエゴグラムからみた性格特性は,学生と社会人の間に幾つか特徴ある違いがみられた。
著者
片山 悠樹
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学編 (ISSN:18845142)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.51-58, 2019-03-01

本稿の目的は、中学校教員の多忙感と子どもに対する理解との関連について、教員を対象とした調査データをもとに検討することである。近年、教員の多忙が社会的に問題視されるようになっており、政策的にもさまざまな対応策が提言されている。一方で、教師研究でも多忙問題は活発に取り上げられ、多忙の背景要因が検討されている。確かに、教員の多忙をもたらす要因にアプローチすることは重要である。しかしながら、多忙「を」招く要因に関心が集中する一方で、多忙「が」招く問題について実証的に検討した研究は必ずしも多くない。こうした認識から、本稿では教員の多忙感が教育活動にもたらす影響についての検討を試みる。具体的には、多忙感が子どもに対する理解(「子ども理解」)への不安にいかに影響するかについて検証する。また、分析に際しては、年齢を分析視点として取り上げる。教員のバーンアウトの研究の文脈では、年齢が重要な要素として取り上げられており、本稿で扱う多忙感と「子ども理解」への不安においても年齢による違いが観察されると想定するためである。分析の結果、教員の多忙感は「子ども理解」への不安を増長させる可能性があると解釈できる。しかも、そうした傾向は、30 代以降で顕著となる。こうした結果に基づき、教員の多忙「が」教育活動にどのような影響をもたらすのかを考察する。
著者
鈴木 眞雄 姜 永吉 鈴木 雅邦
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学 (ISSN:0587260X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.85-93, 1992-02-20

The purporse of this report is to compare the relations among parental psychological factors concerning with child-rearing and efficacy feeling of children in Japanese and Korean parent-child relation. The psychological factors were parental belief system, perception of family environment, attitude toward child-rearing and locus of control. Belief system, cohesiveness of family and expresson of emotional feelings differently assessed between Japanese and Korean. Korean mother attached importance to discipline and not to child centered rearing. Perception of family environment by child showed strong correlation with efficacy feeling, especially cohesiveness of family. Korean daughter perceived the family environment like her mother. There results suggested the difference of belief, attitude, efficacy feeling, and parent-child relation between Japan and Korea.