著者
中村 幸代 堀内 成子 柳井 晴夫
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.3-12, 2013-12-20

要旨 目的:冷え症の妊婦と,そうではない妊婦での,微弱陣痛および遷延分娩の発生率の相違の分析および,因果効果の推定を行うことである. 方法:研究デザインは後向きコホート研究である.調査期間は2009年10月19日〜2010年10月8日までの12ヵ月であり,病院に入院中の分娩後の女性2,540名を分析の対象とした(回収率60.8%).調査方法は,質問紙調査と医療記録からのデータ抽出である.分析では,共分散分析と層別解析にて傾向スコアを用いて交絡因子の調整を行った. 結果:冷え症であった女性は41.9%であった.微弱陣痛では,冷え症の回帰係数0.69,p<0.001,オッズ比2.00であった(共分散分析).遷延分娩では,冷え症の回帰係数0.83,p<0.001,オッズ比2.38であった(共分散分析). 結論:微弱陣痛では,冷え症である妊婦の微弱陣痛発生率の割合は,冷え症ではない妊婦に比べ,2倍であり,遷延分娩では約2.3倍であった.因果効果の推定では,冷え症と微弱陣痛ならびに遷延分娩の間で因果効果の可能性があることが推定された.
著者
國方 弘子
出版者
日本看護科学学会
巻号頁・発行日
pp.36-45, 2010-12-21

要旨 本研究の目的は,精神に病をもつ人の自尊心回復に向けた看護支援プログラムの開発をめざして,自尊心が低下した時に,浮かぶ考えやとる行動,気分の経験世界がどのように繋がっているかを記述することである.方法は,34名の地域で住む当事者を対象に,修正版Grounded theory approachを用いて分析した.結果,自尊心が低下する状況が生じた時,《否定的な自己像》が活性化し,それにより,否定的な《バランスを失った思考》が次々に引き出され,それらの思考が頭の中をグルグル回り,《追い詰められた不快な気分》,《不快な身体現象》,自己内外に対し《攻撃または守りとしての行動》が生じ,彼らはその悪循環に巻き込まれていた.悪循環は自己に対する強いこだわりの思いから生じると解釈できた.悪循環から脱出する看護支援として,《否定的な自己像》を認識する,スキーマの修正,リラクゼーション活動,肯定的自己評価を意識化できる,などの必要性が示唆された.
著者
大西 奈保子
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.34-42, 2009-09-16
参考文献数
24
被引用文献数
1
著者
田代 順子
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.135-137, 2005-06-20
参考文献数
3
著者
山本 美智代
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-46, 2005-06-20
被引用文献数
4

身体・知的障害のある同胞をもち,成人に達した29名のきょうだいに聞き取りを行い,きょうだいが同胞の障害をどうやって知り,どのように意味づけ,それに応じてどのように対応して成長してきたのかについてgrounded theory approachを使って分析した.その結果,きょうだいは両親のしつけの内容と,他の子どもの状況とが異なることにより,自分が障害者のきょうだいであるという認識をもち始める.また,社会の偏見を向けられた時から,同胞の障害を恥ずかしいと認識するようになり,高校生頃より同胞の障害について納得のいく意味を探し始める.そして,20歳前後で障害の意味づけや,その意味づけにより自分がとる行動「自分のシナリオ」を作成し,同胞への介護を行い,同胞とよい関係を築くようになる.しかし,中には同胞の障害を恥ずかしいと認識しなかったきょうだいや,納得のいく意味を探さなかったきょうだいもいた.Interviews were conducted with 29 adult siblings of the handicapped and the mentally retarded. They were analyzed using a grounded theory approach to investigate how these siblings learn about, assign meaning to, and cope with their brothers' or sisters' disability and how the situation affected their own personal development. The results suggest that the siblings first realized there brothers or sisters were disabled when they perceived the distinction between how their parents treated them and what the situation was like for other children. When faced with social prejudices, they became embarrassed and more aware of their brother or sister's disability, and from about high school they began to truly understand what it meant. As a result, at around the age of twenty they could understand the disability better and adopted appropriate behavior based on their own situation ; a situation in which they provided care and built strong relationships with their siblings. However, there were some did not think of their disabled siblings as shameful or did not try to better understand the situation.