著者
岩田 惠美子 後藤 昌弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.113, 2022 (Released:2022-09-02)

【目的】ブロッコリーやコマツナなどのアブラナ科野菜を低温スチーミング加熱した場合,アスコルビン酸含量が増加することをこれまでに報告した。他のアブラナ科植物でも同様の作用が見られるかを検討するため,同じアブラナ科で,奈良県の伝統野菜の一つである『大和まな』を低温スチーミングで加熱し,アスコルビン酸含量の変化を調査した。【方法】『大和まな』は仲卸業者から購入し,外葉部と内葉部ならびに葉身部と葉柄部に分けてオーブンレンジ(東芝製ER-SD5000)の低温蒸し機能を用いて60℃と80℃加熱を行った。加熱前と加熱5,10,15分時の総アスコルビン酸含量と酸化型アスコルビン酸含量の測定は,ジニトロフェニルヒドラジン法を用いた。検定は一元配置分散分析の後,Tukeyの多重解析を行いp<0.05を有意とした。【結果・考察】総アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に増加した。80℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に減少したが,内葉・葉柄部のみ15分加熱で増加し,加熱前と差が無くなった。酸化型アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に増加した。80℃加熱では,外葉・葉柄部で加熱前と5分加熱で差がなかったものの,他の部位では加熱後5分で増加し,その後はすべての部位で減少した。還元型アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に減少した。80℃加熱では内葉・葉柄部で5分と10分加熱で減少したが、加熱15分では増加して加熱前と差が無くなった。しかし,その他の部位では加熱により有意に減少した。本研究は,JSPS科研費(JP18K02197)の助成を受けたものである。
著者
谷澤 容子 松本 美鈴 宇都宮 由佳 福永 淑子 石井 克枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

○谷澤容子1)松本美鈴2),宇都宮由佳2),福永淑子,3),石井克枝4)1)甲子園大,2)大妻女子大,3)川村学園女子大,4)千葉大【目的】、タンパク質を多く含む食品の調理に注目し、日本、タイ、台湾、フランス、イタリアなど各地域における食生活の国際比較を行うことにより、それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか浮き彫りにし、各地域の食生活の方向性を読み取ることを試みようとしている。本発表では、イタリアとフランスの特徴を把握することを目的とした。【方法】イタリアの調査は、2011年11月~2012年4月にイタリアに居住する19歳以上の男女35名を対象者とし、イタリア語による調査用紙にて留め置き自記式調査法により調査を実施した。内容は、対象者の属性、連続した平日2日間の食事の記録(料理名、食品名、調理方法、調達方法、食事場所など)とした。フランスは、2002年11月~2003年2月に実施した調査を参照した。アンケートの集計と解析には、統計用ソフトSPSSを用い、単純集計、クロス集計およびχ2検定などを行った。【結果】イタリアの食事の調査数は、朝食67件、昼食70件、夕食68件であり、フランスは、朝食210件、昼食214件、夕食214件であった。タンパク質を多く含む食品の出現数は両国とも朝食は夕食、昼食に比べ少なく、朝食の殆どが乳類で、昼食は、肉類、乳類、魚介類、卵類の順であった。夕食については、イタリアは昼食と同順であったが、フランスは乳類が最も多く、肉類、卵類、魚介類となった。(本研究は、2011年度~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている。)
著者
木庭 朋子 和田 磨希子 兒嶋 高志 長谷川 峯夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.87, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 サルモネラ属食中毒は、日本で発生件数が多いもののひとつである。特に鶏卵由来とみられるSalmonella Enteritidis(以下SE)によるものが近年問題となっており、卵を使用した生菓子も原因としてよく挙げられる。一方、ムースなどの使用生地としてイタリアンメレンゲがある。これは、卵白に115~121℃の高温のシロップを加えながら泡立てたものである。高温のシロップを加える作業の目的は大きく2点ある。1点目はつやがあってしっかりした泡にする品位形成、2点目はシロップの熱による殺菌である。2点目の効果により、生食しても安全と考えられてきたが、殺菌効果に対する十分な検証が行われていない状況である。本研究では、イタリアンメレンゲの調製過程におけるSEの挙動を明らかにすることとした。 【方法】 試料は5コートミキサーを用いて、一般的なイタリアンメレンゲの配合(卵白:砂糖=1:2)で調製し、2つの試験により検証した。[A]メレンゲの温度変化測定:シロップ投入後攪拌中の温度をデータコレクタにて測定した。[B]サルモネラ消長試験:未殺菌卵白にSEを104になるように添加し、得たサンプルのSEの挙動を確認した。サンプル採取、温度測定場所はボールの側面、ホイッパーの外側と内側の3箇所とした。 【結果】 [A]場所によるバラつきが大きく、最も高いところで75.5℃、低いところは60.8℃までしか上昇せず、全体が十分に殺菌できる温度条件にならないことが示唆された。[B]25g陰性試験では全サンプルで陽性を示し、サルモネラを陰性にできないことが示唆された。原因として、(1)熱がボールにとられて品温が低下すること(2)熱がメレンゲ全体に均一に広がらず品温がバラつくこと(3)攪拌により放熱することが考えられた。以上より、イタリアンメレンゲを調製、使用する際には、使用原料や調製、保存の条件に十分に留意すべきことが確認できた。
著者
森中 房枝 浮中 菜々子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】鹿児島では法事菓子の主役として高麗餅を使用することが多い。「これがし」とか「これもち」と呼び,小豆餡と米の粉こね合わせた蒸し菓子である。高麗餅が鹿児島に伝わったのは,慶長3年(1598年)朝鮮の役により,豊臣秀吉の命を受けて出兵した島津義弘が,李朝の陶工たちを南原(ナモン)から捕虜として連れ帰った折に一緒に伝えたとされている。鹿児島県鹿屋市笠之原地域では,この高麗餅を「シロ」と呼び,地域の玉山宮では祭事や行事の際に高麗餅「シロ」を奉納し「餅返し」の儀式を行っていた。同様に薩摩焼窯元日置市東市来町美山でも,高麗餅を作っていたという記録が残されている。鹿児島における高麗餅の歴史・文化を探る糸口にする目的で調査を行った。 【方法】鹿屋市笠之原地域玉山宮に伝わる口伝を川本家が書き留めた「玉山宮由来記」を中心に,「シロ」の作り方の再現,聞き取り調査を行った。薩摩焼14代陶工沈壽官氏からの聞き取り調査,司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」文藝春秋1986,南日本新聞社著「かごしまの味」春苑堂1969,全鎮植・鄭大聲編著「朝鮮料理全集―6餅・菓子・飲料」柴田書店1986から高麗餅の由来や歴史的背景を探り,「シロ」との比較を試みた。 【結果】韓国の伝統菓子「パッシルトッ」と鹿屋市笠之原の玉山宮に代々伝えられてきた高麗餅「シロ」を再現し比較してみると,類似性が多く美山の記録も同様であった。南原から連れてこられた陶工たちは串木野の島平に上陸後,東市来町美山に移り住み,一部は時を経て笠之原に移住している。ここには陶土がなく陶芸文化は廃れたが,望郷の為に「玉山宮」を建立し,高麗餅を作って「餅返し」儀式を伝えたことが推察される。
著者
奥西 智哉 宮下 香苗
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

<br><br>【目的】新規糖質米「北陸糖237号」は親品種「あゆのひかり」と同等の水溶性多糖フィトグリコーゲンを含有しておりその特徴を生かした加工品開発が望まれている。米粉にした時の加工特性について検討した事例について報告する。<br><br>【方法】平成24年秋田県産北陸糖237号の精米を乾式気流粉砕法により米粉製造した。損傷澱粉率およびアミロース含量はいずれもMegazame社製キットを用いた。Beckman Coulter社LS13320粒度分布計を用いて平均粒径等を得た。各糊化特性値は3.5gの粉砕試料と25mLの水を用いてラピッドビスコアナライザにより得た。ブラベンダー社製ファリノグラフにより生地特性を検討した。製パンは20%グルテン含有ミックス米粉を調製し定法により行った。他に、蒸しパン、団子、スノーボール、スポンジケーキ、バターケーキ、ダックワーズ、サブレを作成した。うどんはパナソニック社製ホームベーカリーの指示に従い作成した生地をうすくのばしてパスタマシンで切断し麺線を作成し、茹でた。ルウは10%スキムミルクに米粉を加え加熱した。<br><br>【結果】「北陸糖237号」米粉は市販米粉と比較して、アミロース含量は低く、損傷澱粉は高かった。平均粒径は同等であった。特徴のあるRVAプロファイルが得られた。ファリノグラムは一般に乾式気流粉砕米粉で得られるものと同様であった。パン、蒸しパン、スポンジケーキのようなフワフワしているものには向いていないと思われる。団子もまとまりは良いが、付着が多く歯切れが悪い。一方、スノーボール、サブレのようなホロホロしているものは崩壊しやすく向いていると思われる。麺は増粘多糖の補助が必要であった。
著者
米山 陽子 三星 沙織 黒瀬 真弓 平尾 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.12, 2022 (Released:2022-09-02)

【目的】近年、菓子類にも健康機能を付加するものが増えているが、米菓には少ない。本実験では、生活習慣病の予防に効果的でありながら、日本人の1日の摂取目標量が不足している食物繊維に注目し、糖質が主成分である米菓への水溶性食物繊維を添加することによる影響について検討した。【方法】既報の方法を用いて、国産米菓用うるち米をロール法粉砕した米粉(40メッシュ)に、水溶性食物繊維イソマルトデキストリン((株)林原)を5%および10%添加したせんべいを調製した。物性は,テクスチャー測定と破断特性測定(RE2-3305B:山電(株))を行い、実体顕微鏡((株)島津理化STZ-171)による組織観察も行った.官能評価は7段階評点法を用い、教職員専門パネル10~20名で評価した。【結果・考察】米粉にイソマルトデキストリンを10%添加すると、焼成前の生地は付着性が低下し、せんべいはコントロールに比べて破断応力およびもろさが大となった。せんべいの生地の硬さとせんべいの破断応力・もろさの間には、それぞれ危険率5%で有意の相関が認められた。実体顕微鏡による組織観察では、イソマルトデキストリンを添加したせんべいは組織が緻密で細かい気泡が多く観察された。官能評価では、試料間に有意の差はなくコントロールと同等の評価を示したが、自由記述においては、10%添加することにより、サクサク感やザクザク感などの好ましい食感を示す旨の記述がみられた。これらの結果より、せんべいの副原料の一つとしてイソマルトデキストリンを添加することは、新たな付加価値を付与するとともに、「高い旨」の栄養強調表示に相当する10%を添加してもコントロールと同等に製造できることが示唆された。
著者
永易 あゆ子 鈴木 麻希子 近藤(比江森) 美樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.55, 2012 (Released:2012-09-24)

[目的] 加齢に伴う身体機能の低下は、高いQOLを営む上で重要な行為の一つである食事への興味・関心の低下につながる。高齢者の約90%は白内障をはじめとする視覚異常を患っている。食事に対して、その55%が視覚からの刺激を受けることから、料理の色彩や料理と盛り付け皿の色の組み合わせが食欲に与える影響は大きい。本研究では、煮豆を数種類の色の器に盛り付け、料理の判別やおいしさを感じる感覚について、正常観察および白内障模擬体験眼鏡をかけた場合を比較検討した。[方法] 調査は、本研究に対して同意が得られたO大学の栄養学科3年生40名を対象に、2011年6月に視覚調査を行った。異なる色を有する5種類の煮豆(白いんげん豆、大豆、赤いんげん豆、緑えんどう豆、黒大豆)を、白、黄、赤、青、緑、黒の6色の皿(今回は、各色のナプキンで色を演出した)に盛り付け、正常観察、次いで模擬体験眼鏡をかけた場合に、「判断しやすい」あるいは「おいしそう」と感じる組み合わせについて順位法による回答を求め、得点化した。[結果および考察] 正常観察では、「判断しやすい」と「おいしそう」の組み合わせはほぼ一致し、白皿が好まれる傾向にあったが、白いんげん豆の場合、「判断しやすい」のは黒皿であるが「おいしそう」は白皿で得点が高かった。一方、模擬体験眼鏡をかけた場合も同様の傾向を示したが、白いんげん豆では、「判断しやすい」と「おいしそう」ともにコントラストの強い黒皿で高得点となり、「おいしそう」と感じるためには、まずは「判断できる」ことが重要であることが示唆された。
著者
久保 加織 梶原 恵美 中田 理恵子 堀越 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2044, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】家庭用冷凍冷蔵庫の普及に伴い、食品の保存形態は変化した。冷凍庫内温度は-20℃に設定され、微生物の繁殖限界である-18℃を下回っているため、冷凍は有効な保存方法である。しかし、脂質酸化は-20℃でも進み、油焼けも起こる。本研究では、日常よく食されるあじといわしを用いて、家庭用冷凍庫内での保存中の成分変化について検討した。 【方法】魚(あじ、いわし)は大津市内のスーパーマーケットで購入後、直ちに三枚に卸し、ラップフィルムで1枚ずつ包み、5枚ずつを市販のジッパー付袋(冷凍、解凍用)に入れて家庭用冷凍庫内で保存した。保存後は、冷蔵庫内で12時間かけて解凍し、そのまま、あるいは焼き調理を行った後、分析に供した。ドリップ量、水分含量は定法通り、遊離アミノ酸はアミノ酸分析計により分析した。揮発性成分は40℃でSPMEファイバーに吸着させ、GCMSにより分析した。脂質をBrigh and Dyer法により抽出し、過酸化物価(POV)とカルボニル価(CV)の測定、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸分析を行うことで脂質酸化について検討した。 【結果】脂質のPOVは冷凍期間が長くなるにつれて徐々に増加し、あじは8週、いわしは12週で20meq/kgに達したが、CVの上昇はほとんどみられず、脂肪酸組成にも大きな変化はなかった。ドリップ量、遊離アミノ酸量は保存期間が長くなるほど増加した。検出される揮発性成分も冷凍期間が長くなるにつれて増加し、腐敗臭や生臭い臭をもつケトンやアルデヒドが出現した。家庭用冷凍庫で魚を保存すると、8~12週間で脂質の初期酸化が進み、過酸化物が蓄積すること、味や風味に関わる様々な問題も生じさせることが明らかになった。
著者
織田 佐知子 数野 千恵子 松本 雄大
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.76, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】近年、硬度の異なる多種類のミネラルウォーターが市販されており、飲料水の他にも、紅茶等の嗜好品や調理に幅広く使用されている。そこで、硬度の異なるミネラルウォーターで抽出した紅茶の味が味覚に与える影響を官能検査、カテキン類及びメチルキサンチン類、アミノ酸類含有量、水色、香気成分を測定し比較検討した。【方法】1)試料茶葉及び試料水:市販の紅茶葉について硬度:30、50、92、315及び1468の市販製品に加え、高純度水生成装置で調製した硬度:0のRO水を用いて調査した。2)抽出方法:茶葉2.5gに沸騰させた試料水150mLを加え蓋をして2分間静置・抽出後、20および70メッシュの篩を重ねてろ過し、10秒間静置したものを紅茶とした。3)官能検査:各試料水でお茶を入れ、香り、色、渋み、苦み、うま味、風味、飲みやすさ、総合的な美味しさを調査した。4)カテキン類及びメチルキンサンチン類、アミノ酸類含有量:HPLC及びアミノ酸全自動分析計を用いた。5)水色:測色計を用いた。6)香気成分:GC/MSを用いてSPME法により分析した。【結果】官能検査:硬度60以下の軟水で抽出したものが、香り、風味、うま味、飲みやすさの点で好まれた。硬度が高いものは、色、味、苦み、渋みが強く、好まれない傾向がみられた。カテキン類及びメチルキサンチン類:EGC、EGCG、ECの含有量は硬度が高くなるにつれ、減少する傾向がみられた。アミノ酸類含有量:テアニンが最も多く抽出されたが、大きな差はみられなかった。水色:硬度が高いものほど色が濃くなる傾向がみられた。香気成分:硬度の低いものが多い傾向がみられた。以上より、紅茶には溶出成分や水そのものの味が関与し、硬度60以下の軟水で抽出したものが好まれるという結果が得られた。
著者
小川 眞紀子 山本 いず美 北畠 直文 早川 茂
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.144, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】希少糖D-プシコース(以下Psi)は、エネルギー値がほぼゼロのノンカロリー単糖で、保水性が高く、メイラード反応が進みやすいことから、食品素材として特にベーカリー食品への利用が期待されている。本研究では、ハードタイプのクッキーであるショートブレッド(以下SB)とソフトタイプのクッキーであるソフトクッキー(以下SC)にPsiが適しているか否かを、ショ糖とPsiとの配合割合を換え、物性測定と官能評価により検討することを目的とした。【方法】ショ糖のみをコントロール(C)とし、ショ糖に置き換えてPsiを10%(P10)、20%(P20)、30%(P30)に配合した4種類のSB及びSCを作製し、物性測定と官能評価を行った。物性測定は、高さ測定および破断強度を測定した。官能評価は、軟らかさ、しっとり感など10の評価項目についてSD法で官能評価を行った。【結果】SB、SCともに焼き色は、C、P10、P20、P30の順に濃くなった。高さは、SBはC、P10、P20、P30の順に、SCではC、P10、P30、P20、の順に高くなった。破断強度測定から、SBはPsiの割合が多いほど破断変形は有意に高くなり、破断応力は有意に低く、破断歪率は有意に高くなった。SBは、Psiの割合が多いほど脆くて軟らかい特徴がSCよりも顕著であった。官能評価の結果から、テクスチャーはC、P10、P20、P30の順に軟らかいと感じた人が多かった。総合評価では、いずれもCよりもP10とP20で高い評価となった。今回の結果から、ショ糖の1~2割程度をPsiに置き換えることで、物性的にも嗜好的にも好ましいクッキー様焼菓子を作ることが可能であることが示唆された。
著者
小出 あつみ 間宮 貴代子 阪野 朋子 松本 貴志子 山内 知子 山澤 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2019年度大会(一社)日本調理科学
巻号頁・発行日
pp.86, 2019 (Released:2019-08-26)

【目的】セロリは18世紀中頃からサラダとして食されるようになった。現在は生食だけでなく,シチューなどの香味野菜や炒め物のアクセントとして幅広く利用されている。しかし,セロリは一般的に好まれない傾向がある。本研究では,セロリについて,生および加熱調理法別の嗜好性を明らかにし,好まれるセロリの調理法について検討した。【方法】セロリは中央部分を5mm幅に切って試料とした。試料は生と茹で・蒸し・焼き・揚げの各方法で火が通るまで加熱した。官能評価は,N女子大学生27名(平均年齢21.6歳)をパネルとして,5点尺度で色,香り,硬さ,味,歯触り,総合の6項目について分析型官能評価を採点法で,嗜好型官能評価を順位法で行った。データの統計処理は多重比較検定のTukey法とNewell & MacFarlaneで行い,統計的有意水準を5%で示した。さらに官能評価の結果に基づき,好まれるセロリ料理4品を提案した。【結果および考察】官能評価の採点法では,生と比較して茹で加熱は有意に色が薄かった。4種類の方法で加熱したセロリは生より有意に軟らかく,味が薄く,歯触りがないと評価された。香りと総合に有意差はなかった。嗜好型分析評価の順位法では,生と比較して茹で加熱の色と硬さが有意に好まれ,茹でと揚げ加熱の味が有意に好まれた。香り,歯触りおよび総合に有意差はなかった。したがって,セロリの色と味を薄くし,歯触りを弱く,硬さを軟らかくする茹で加熱法が,セロリの生および4種類の加熱法において最も好まれることが示された。この結果に基づき,セロリと豆のリボリッタ・鶏手羽元とセロリのトマト煮・夏野菜の冷やし茶わん蒸し・セロリのかき揚げを好まれるセロリ料理として提案した。
著者
西澤 千惠子 上久保 陽子 阿部 なづき 吉村 悦郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.192, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】大分県の日田地方には、真鱈のえらと胃を干した「たらおさ」を甘辛く煮た「たらおさ」という食材と料理名が同じ、盆に食べられている郷土料理がある。しかし近年は料理を作る人も知っている人も減少してきている。今回は「たらおさ」の全容を解明する研究の一環として、「たらおさ」の現状を把握することを目的とした。【方法】別府市内にある大学の学生と大分県の北部に住んでいる人を対象に、認知度についてアンケート調査を行った。またインターネットの書き込みから、食べている地方を調べた。さらに現在「たらおさ」を製造している北海道の業者に、製造方法や歴史などの聞き取り調査を行った。【結果】大分県西部の日田地方、玖珠地方、北部の下毛地方、福岡県の博多市、大宰府市、うきは市、八女市、筑豊地方で食べられていることが判明した。「たらおさ」の他に、こんにゃく、干し竹の子や干ししいたけが入る場合もあった。北前船の積み荷に「干鱈」の記述があったり、明治時代に道南の松前地方で真鱈釣り漁業が始まったりしているので、この頃に「たらおさ」が製造され始めた可能性がある。その後道南の漁獲高が減少するに伴い、製造業者は徐々に北方に移り、現在では稚内市の3業者が、鱈の獲れる冬に棒鱈とともに製造しているに過ぎない。この大部分が北部九州に出荷されている。かつて博多や北九州の問屋に輸送された「たらおさ」は、これらの周辺に広まり、さらに日田街道を通って内陸の日田まで運ばれたので、現在もこの街道沿いで「たらおさ」が食べられているものと推測された。海産物が入手しにくかった内陸地方では最高のご馳走で、盆のもてなし料理として作られていたものと考えられる。
著者
渋谷 和代 左官 愛野 江端 恵加 渡部 絵里香 数野 千恵子 西島 基弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 緑茶を水道水、アルカリ電解水、およびRO水(逆浸透膜で得られた水)で抽出し、カテキン類、メチルキサンチン類、L-アスコルビン酸およびテアニンの抽出率の比較検討を行った。また、市販緑茶(18種類)中のそれらの含有量について検討した。 【方法】 緑茶の抽出は、茶葉を一定条件で抽出後、ろ液を試験溶液とした。カテキン類、メチルキサンチン類およびL-アスコルビン酸はHPLCを用いた。HPLC用カラム: J’sphere ODS – H80(4μm,4.6mmi.d.× 250mm)を用いた。L-アスコルビン酸はカラムは0.1Mリン酸一アンモニウムで置換したLiChrosorb-NH2(10μm,4mmi.d.× 250mm)を用いた。テアニンは、アミノ酸分析計で分析した。 【結果】 緑茶抽出液のカテキン類では、特にEGC、EGCG、EC、ECGが多く検出されEGC、EGCG、EC共にRO水の抽出が最も良く、次いでアルカリ電解水、水道水の順であった。ECはRO水、水道水、アルカリ電解水の順となった。メチルキサンチン類については、カフェインが最も多く検出され、RO水での抽出が最も良く、アルカリ電解水、水道水の順であった。テアニンについては、いずれの試料水も同程度検出された。市販緑茶のカテキン類は30~75mg/100mlであるが、「特保」や商品名に「濃い」と表示されているものは、100 mg/100ml以上のものが多く見られた。カフェインについても同じ製品では多く検出されたが、テアニンは特に多くはなかった。市販緑茶のL-アスコルビン酸は、3~40mg/100mlと製品により大きな差が見られた。
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 高崎 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.224, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、おやつについて分析した。本発表では、長野県各地で大切に作り継がれている多様なおやつについて報告する。【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。【結果】長野県では、農作業など共同で行う仕事の合間や日常、お茶の時間を設けて(「お茶にする」という。「まあ、お茶でも一杯・・・」から始まる)、主に日本茶におやつ(お茶請けと呼ぶことが多い)を多種類準備して、みんなで楽しく共食・休息する習慣が現在も残っている。「からっ茶を出す」(お茶請けを出さない)と恥ずかしいという文化があり、季節の漬物や煮物、煮豆、粉もの、果物のお茶請けがつきものである。お茶は注ぎ足し、注ぎ足し、何杯もお客に召し上がっていただく。 お茶請けとして地域の産物が生かされていた。漬物では、お葉漬には全県に分布する野沢菜漬をはじめ、地域の漬け菜も用いられており、その他、こしょう漬(信濃町)、すんき(木曽地方)など、他ではみられない加工法の漬物がある。以前に比べ作る量は減ったと話す人が多かったが、各種漬物が発達していた。粉ものでは、おやき(焼き餅)をはじめ、うすやき、にらせんべい、はりこしなど、煮豆では、ひたし豆、くらかけ豆、黒豆、紫花豆の煮豆、おなっとうなど、煮物ではかぼちゃのいとこ煮、大根引き、いなごの佃煮など、果物では、あんずのシロップ漬、かりんの砂糖漬、柚餅子、雲龍巻(柿巻)など、様々に工夫された季節を感じるお茶請けが、家族や近隣の人々、人寄せ(集まり)利用され、人々の交流を担っていた。
著者
小林 三智子 岡田 幸雄 戸田 一雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味覚感受性と月経周期との明確な関連性の報告は少ない。我々は、規則的な月経周期の場合には、月経期には電気味覚感受性が有意に低くなることを報告した(1)。本研究では、不規則な月経周期の場合の電気味覚閾値と、認知閾値の変化について検討した。【方法】 19~23歳の健康な女性25名を対象とし、婦人体温計を用いて3ヶ月間基礎体温を記録させた。そのうち、不規則な月経周期をもつ者12名について報告する。味覚感受性の測定には、電気味覚計とろ紙ディスク法を用いた。測定時期は、月経期(月経期間中)・黄体期(月経開始前1週間)・卵胞期(月経終了後1週間)の3期とし、それぞれの期に各1日測定を実施し、3回の平均値を閾値とした。5基本味は、甘味(スクロース)、塩味(塩化ナトリウム)、酸味(酒石酸)、苦味(硫酸キニーネ)及びうま味(グルタミン酸ナトリウム)を用いた。【結果】 電気味覚閾値では、舌尖部の茸状乳頭刺激、舌縁後方の葉状乳頭刺激ともに、月経期は黄体期と卵胞期に比べ高い値となり、月経期には電気味覚感受性が低いことが認められた。一方、ろ紙ディスク法により求めた認知閾値は、甘味・塩味及び苦味では月経周期による有意差は認められなかった。しかし、酸味では茸状乳頭において、月経期 (19.6mM)は黄体期(10.4mM)・卵胞期(14.2mM)に比べ有意に高い値を示し、味覚感受性が低いことが認められた。また、うま味では茸状乳頭において、月経期には黄体期に比べ有意に味覚感受性が高いことが認められた。 (1)小林三智子、岡田幸雄、戸田一雄:日本家政学会第59回大会研究発表要旨集(2007)
著者
豊満 美峰子 松本 仲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.181-185, 2005-04-20
参考文献数
16

A questionnaire survey was conducted to examine how the color of the food, tableware and table setting influenced the taste. Color schemes of yellow, orange, red, purple, blue, green, white and black could be chosen as preferable. Jelly was used to simulate the foods, plastic plates for the tableware and papers for the table setting. Pictures were taken of the different color schemes for visual assessment by an evaluation panel. Warm color schemes were highly evaluated, the most favored being yellow, orange and white for the food, tableware and table setting, respectively. Dull color schemes were not liked, the most disliked being all black and cool colors. The color scheme of the foods and tableware was more influential than the color of the table setting.
著者
加藤 愛美 福留 奈美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】明治時代以降、西洋文化のひとつとして伝来したイタリア料理は、現在、外食だけでなく中食、家庭内食への浸透が進む。本研究は、外来の食文化の受容と普及のプロセスをとらえる研究の一環として、イタリア料理のパスタに着目し、日本の現代食生活において身近に利用されるパスタの種類と調理法の実態をとらえることを目的とする。</p><p>【方法】首都圏の小売店の販売状況を調査し、取り扱い上位のパスタの種類を特定した。また、家庭内食への影響や実態を反映する食情報のひとつとして、NHK『きょうの料理』アーカイブスに収録されたイタリア料理の中のパスタ料理と、レシピサービス『クックパッド』でパスタの種類別に検索した人気上位50品のパスタ料理を抽出し、使用食材とソース分類について集計・分析した。</p><p>【結果】大型スーパーから都市型の小規模スーパー、輸入食品を多く取り扱う酒類量販店等計20店舗の内、11店舗以上で販売されるパスタは12種類あった(2021年5月現在)。NHK『きょうの料理』のイタリア料理レシピ336品中にパスタ料理は95品あり1/3弱を占めた。『クックパッド』のパスタ料理レシピ(パスタ16種類、計800品)において、ニンニク、トマトが4割前後のレシピで使用されているのに対し、和風食材・調味料の利用はきのこ類と醤油の利用が1割前後あるものの、ネギ、海苔、大葉、明太子・たらこ等は3%前後の使用率だった。ソース分類については、マカロニ等のショートパスタでマヨネーズによるサラダの利用が、カッペリーニ等細めのロングパスタでトマトのソースが、フェットチーネやラザニア等いくつかの種類でトマトとクリームの両方を使うソースの利用が特徴的にみられた。</p>
著者
石澤 恵美子 坂本 恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.167, 2006

【目的】女性の社会進出と核家族化により食の外部化が進み、家庭の味や食文化の伝承が難しくなっている。現代の食環境で成長してきた若者たちが、どのような料理を受け継ぎ、次世代へ伝えたいと考えているのかを目的として、大学生を対象に調査を行ったので報告する。<br>【方法】調査対象者は本学管理栄養士課程の1年生118名とし、平成18年4月から5月に実施した。内容は次世代に伝えたい料理2品を選び料理を作成し、材料・調理方法・出来上がりの盛り付け図(写真可)を提出してもらい、併せて作成時の様子や料理する時に大切なことなどについて自由に記入してもらった。<br>【結果】作成した料理では、肉じゃが8.5%、ハンバーグ3.8%、餃子3.0%、オムライス3.0%、ロールキャベツ2.1%の順であった。また、特徴としてエスカロップ、くるみ餅、ほうろく焼きなどの地域性に富んだ料理も作られていた。調理するときに指導を受けながら作ったの回答は72.0%であった。指導は母親から受けたが64.4%と圧倒的に多く、次いで祖母5.1%、父3.4%の順であった。指導を受けながら一緒に調理をしたのは35.6%、しなかったの回答は33.1%であった。一緒に調理をしなかった者は、TVで見たのを自分流にアレンジした、電話で指導を受けた、料理本を参考にした等の回答が多かった。今回作成した時に一番大変だったことについては、味の再現(味付け)、材料・調味料の計量、じゃがいもの皮剥き等が多かった。調理する時に大切なことは、食べる側のことを考えて作る、衛生面に気をつける、心を込め丁寧に作るの回答が多かった。料理を作成した感想は、母が簡単に作っている味と同じにするのは難しいと思った。母と一緒に料理ができて楽しかった。大変ではあったが、少しでも母の味を覚えられてよかったなどであった。
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017-08-31

【目的】日本調理科学会平成24~26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理のおやつの特徴について報告する。<br /><br />【方法】平成 25 年 10 月~27 年 2 月に群馬県内の8地域において,各地域 2 名以上(60 歳~80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後、嬬恋村において追加調査を行った。<br />【結果】群馬県は,冬期の日照時間が長く、乾燥した気候で、水はけのよい土地であるため、小麦の生産に適し、平坦地では米と麦の二毛作が行われている。小麦粉はおっきりこみやうどんなど主食として食するほか、いろいろなおやつが作られている。中でもまんじゅう類は種類が多く、炭酸まんじゅう(ふかしまんじゅう)、ゆでまんじゅう、すまんじゅう、そばまんじゅう、焼きまんじゅうなどがある。焼きまんじゅうは、すまんじゅうを竹串に刺し、たれ(赤みそ、砂糖、水)をつけて香ばしく焼いたもので、祭りや縁日の屋台で売られ、群馬のソウルフードともいえるおやつである。また小麦粉に野菜などを入れた焼いた焼きもち(ふちたたかっしゃい、もろこしおべった)や、たらし焼、じり焼き、甘ねじなどもある。米粉を使ったものでは、あんぴんもち、草だんご、きびもち、すすり団子などのもちや団子も喜ばれた。また、いも類のおやつでは、さつまいもを蒸して干した乾燥いもや油焼き、里芋をゆでて串にさしたれをつけたいも串、じゃがいもでは、いも餅やいも串などがある。様々なおやつの工夫がみられる。
著者
荒田 玲子 田中 景子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.76, 2002

海藻由来のアクアミネラルは、無味、無臭で、ほとんどの調理加工品に常法で手軽に添加することが出来る天然ミネラル素材である。また、現代日本人に不足しがちなカルシウムとマグネシウムを同時に、その上安全に摂取できるミネラルでもある。また、ミネラルの強化だけでなくチョコレートや、天ぷら衣、パスタ類のおいしさの向上や調製を容易にすることを確認した。その中でチョコレートにおける添加区の優位性を確認した。特に、シード剤を使用しない手作りチョコレート菓子の調製時の調温(テンパリング)が容易であり、カカオ脂の結晶状態も優れている。官能検査においても、その口溶けの良さ、なめらかさ、好みにおいて添加区の方が評価が高かった。