著者
北村 歳治 佐藤 次高 店田 廣文 桜井 啓子 山崎 芳男 吉村 作治 長谷川 奏 及川 靖広 鴨川 明子 高橋 謙三 保坂 修司 北村 歳治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

1)系譜研究:農業分野では精糖技術の復元、窯業分野ではイスラム陶器の分析研究、薬学分野では医薬技術と社会意識との接点の研究を通して、前イスラムの時代から近代直前期まで幅広い時代のイスラム技術の系譜が紐解かれた。2)広域研究:中東イスラム、東南アジア、中央アジアの動向分析を通して、地域に育まれた豊かな経済が新たな資源の登場によって消滅していく過程や、イスラム圏の各地でITがさまざまな形で積極的に利用されている動向も明らかになった。
著者
竹村 和久 岩満 優美
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

これまで描画や風景構成法は、解釈における客観性が乏しいという問題ががあったため、本研究では、社会的認知を測定するための投影的方法ついての統計的画像解析技法を提案した。本研究では、(1)画像の走査と分割、(2)濃度ヒストグラム法(GLHM)、空間濃度レベル依存法(SGLDM)、濃度レベル差分法GLDM)などのテクスチャー解析、(3)特異値分解、(4)フーリエ解析、(5)風景構成画や描画の心理的解釈という手続きである。我々は、今回提案した統計的画像解析で分析を行い、心理過程を考察した。併用した不安や抑うつに関する心理テストなどからも、これらの画像特徴との関係性があることがわかった。
著者
田中 妙子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.17-40, 1998-03-31

<先取り>は, 相手の発した一発話が完全に終わらないうちに, 言語化されていない部分の内容を予測し, それに関わりのある何らかの言語表出を行うことである.本稿では, 日常会話とテレビ番組の会話を主な用例資料として, この<先取り>に関する分析を行った.<先取り>の性質は, 何を予測するかという点に注目した「予測の内容」と, 予測した内容をどのように言語化するかという点に注目した「言語化の方法」によって規定される.予測の内容は, (1)発話内容を予測する, (2)文末の述べ方を予測する, (3)発話が終わることを予測する, という三種に分類された.また, 言語化の方法は, (1)<代弁先取り>, (2)<相づち先取り>, (3)<返答・発展先取り>の三種に分類された.<先取り>という言語行動が会話の中で果たす役割については, 「効果」という語を用いて説明した.<先取り>の効果は, ・対人的な効果として, (1)理解・共感・一体感を表す, (2)からかい・皮肉を表す, (3)否定的感情・反発を表す, という三種に分類された.また, 会話展開上の効果として, (1)発話に要する時間を短縮させる, (2)会話が途切れることを防ぐ, (3)相手の発話や話題の打ち切りを示唆する, という三種に分類された.
著者
青柳 肇 細田 一秋
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.33-41, 1994-03-25

前処置とテスト課題の間に同種または異種の課題を挿入した際のテスト課題の成績および帰属の変化,コントロール感の変化,および随伴性の認識について検討する事を目的とした.実験は,3つのセッションからなっている.第1セッションでは,190名の大学生に前処置として50%しか解答できない数的処理課題を行わせた.その後第2セッションでは,被験者を4群に分け別々の課題を与える.LI群は,10個のアナグラムでそのうち半分は解答不能である.LS群は,10個の解答可能なアナグラムを与える.MI群は,10個の数的処理課題で,そのうち半分は解答不能である.MS群は,10個の解答可能な数的処理課題であった.その後第3セッションとして,全群に対してテスト課題として解答可能な数的処理課題10問与える.第1セッションと第2セッション,第2セッションと第3セッションの間に帰属スタイル尺度(ASQ)を実施し,実験終了後に随伴性の認識について聞いた.主な結果は,以下の通りである.(1)挿入課題で数的処理を行った群は,アナグラムを行った群より高得点である.とりわけ,解決可能な数的処理課題は,テスト課題での成績がよい.(2)挿入課題で解決可能なアナグラムを行うと課題全体の成績がよくなる.(3)解決不可能なアナグラム課題を与えられると帰属スタイルは,内的統制得点が低くなる.それ以外は大きな変化はない.(4)解決不可能なアナグラムと数的処理課題が与えられるとコントロール感が減少する.(5)随伴性の認識は,解決可能なアナグラム課題が与えられたとき最も強くなる.これらのことは,学習性無力感解消には,テスト課題と同種の解決可能課題を与えることだけが有効なのではなく,異種の解決可能な課題を与えることも有効であることを示唆するものである.
著者
高橋 淳一
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.5-81, 2015

早大学位記番号:新7133
著者
佐藤 照雄
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-120, 2015

早大学位記番号:新7121
著者
鈴木 義昭
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-15, 1998-03-31

日中両国の文体改革の流れを見ると, ともに外圧的な動きの中で形成されてきた点に類似した面がある.日本の「言文一致運動」は, 明治維新, 外来文化の流入と同時に起こったのではない.中国の文体改革運動の&Lt;文学革命&Gt;, 清末の洋務運動・辛亥革命以来の洋化運動と直接に連動して始まったものではない.「言文一致運動」が明治二十年代, &Lt;文学革命&Gt;が1910年代後半と, ある一定の慣熟期間を経て醸成して来た点でもまた同様である.本稿では, &Lt;文学革命&Gt;のスローガンである, 胡適の"八不主義"の顛末を主として眺めてみたい.すなわち;1916年8月に「寄朱経農」から始まり, 1916年10月の「寄陳独秀」, 1917年2月の「文学改良芻議」(以上三者はアメリカで書かれる)経て・1918年4月叫建設的文学革命論」に至って定稿となる.いずれも八力条からなっており, 「建設的〜〜」で初めて, 文頭に「不上字の冠された"八不主義"が完成する.&Lt;文学革命>および"八不主義"は, 様々な問題を内包したスローガンである.アメリカのニュームーブメントを主導したイマジストクリードとの関連も見逃しがたい.ただ中国では, &Lt;文学革命&Gt;は単に文学の形式を変えるというだけでな<, 「文言と白話の木目克」の解消という文体論的課題を持っている.またそれは, 「五四運動」の先駆として, 数千年来の奥深い文化的側面の改革をも意味しているわけで, とても一日にして論是られるものではない."八不主義"の生成過程を辿ることにとって, そうした一端を考えてみたい.
著者
趙 倩倩
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2015

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著者
鈴木 健夫
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

18世紀末以降にロシアに大量に移住したドイツ人移民(ロシアドイツ人。19世紀末に約180万人)は帝政末期のロシア化政策、第一次世界大戦、社会主義革命、内戦、飢饉のなかで多くの人びとがドイツや南北アメリカに移住したが、スターリン時代の1920年代末にもかなりの数が国外に、そして不法に国境を越えてハルビンにも逃げた。本研究はそうしたハルビンのロシアドイツ人難民の生活とパラグアイとブラジルへの再移住の実態を解明し、民族的なマイノリティの社会経済的諸問題を考察する。平成28年度には主としてメンノ派のハルビンからのパラグアイ移住(1932年と1934年)の経過(フランス経由、人数等)と移住直後の彼らの社会経済生活を解明したが、平成29年度にはフランスに出張し、メンノ派とルター派が1932年と1934年にハルビンからパラグアイ、ブラジルに向かった、その経由地のマルセイユ(両派到着)、ルアーヴル(メンノ派出港)、ボルドー(両派出港)における当時の地方新聞の記事を古文書館で検索し閲覧し、彼らがハルビンから何年何月何日にどのようにしてマルセイユに到着し、そしてルアーヴル、ボルドーから何年何月何日にどのようにしてパラグアイ、ブラジルに向かったかについて明らかにした。この調査結果を踏まえて平成30年1月7日に報告「ハルビン難民の南米移住 1932、34年――マルセイユ到着、ルアーヴル、ボルドーから出港」を西洋経済史研究会(早稲田大学)で行った。なお、ハルビン在住時のロシアドイツ人難民の生活については、前年度と同様、すでに収集してある史料を分析した。また、ハルビンのロシアドイツ人難民の10年前の歴史について論文「マフノ軍・赤軍に立ち向かうドイツ人移民」を作成、雑誌『セーヴェル』34号(平成30年5月刊行)に発表した
著者
小川 史
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田教育評論 (ISSN:09145680)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-23, 2004-03-31

近年,戦時下の総動員体制についての研究が深められるなかで,それが単に上からの強圧的な支配のみによって成立したのではなく,民衆の自発性によっても基礎付けられようとしていたことが強調されている。むろん,日本の場合,総体的にみれば1930年代後半以降の総動員体制がきわめて抑圧的なものであることは明白であり,教育の領域も教化的な色彩が強い。したがって,そこに民衆の自発性をゆるす余地は大きいとは言えないかもしれない。だが,当時の論調には民衆の自発性を求めるものが多く存在し,政策サイドも実際にそうした自発性を涵養する試みを展開しているのである。それは実は生産力の増加と労働力の再生産を意図したものであった。当時にあってそうした論調が強かった分野のひとつが文化政策論,とりわけ素人演劇論であった。当時文化政策へと転回していった社会教育行政は主に法整備の面で素人演劇に関わっている。脚本の作成から上演までさまざまな団体が関わった素人演劇運動を通して,演劇による表現空間は政府および政府関連組織によって政策的に形成が目指される。総動員体制は,民衆に表現と娯楽の機会を与え自発性を引き出すことで,その存立を図ったのである。だが,その際,素人演劇運動は,警察的な抑圧を前提に自発性を引き出しつつ,同時にそれを国策的な方向へと導くという,きわめて難しい課題を引き受けねばならなかった。当時素人演劇運動が直面していたこの問題は,民衆を「国民」として規定しかつその「国民」の自発的な参与によって成り立つ政治体である近代国民国家の存立という,きわめて重要な政治的問題と密接に結びついている。ここで問題となるのが自発性の意味である。この自発性は,中性で純粋なものではなく,ある歴史的に特殊な性格を持つべく方向付けられたものである。本研究もその点を中心としつつ論を展開してゆくことになる。
著者
小川 史
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2005

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2018号 ; 学位の種類:博士(教育学) ; 授与年月日:2005/2/22 ; 早大学位記番号:新3969
著者
森山 至貴
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は、いくつかの自治体(都市部に集中している)で採用されている同性パートナーシップ制度と、ネオリベラリズムの結びつきに関して重点的に検討をおこなった。結果として、同性パートナーシップを推進する論調が抱える負の側面についての考察が主要な研究上の課題となった。その際、鍵概念として「新しいホモノーマティヴィティ」(Duggan)を考察の主要テーマとした。結果として、本年中の業績には、同性愛者のみにとってのイシューとしてだけではなく、他異性愛主義的な社会にとっての同性婚・同性パートナーシップという切り口によるものが大部分となった。 具体的には、「日本のゲイは「普通の存在」になったのか」(『ジェンダーとセクシュアリティで見る東アジア』勁草書房所収)という論文を執筆した。また、同性愛者のライフスタイルや社会運動を、同性愛者に限らないさまざまなセクシュアルマイノリティのライフスタイルや社会運動の文脈に置き直すために、クィア・スタディーズの視座に関する検討をおこなった。具体的には「「新しさ」の罠にはまらないために」『現代思想』2018年4月号所収)。本研究課題の方法論的側面に関する作業として、研究者自身の採用する方法であるインタビューについても、理論的検討をおこなった(「居場所がしんどい、現場が怖い」『現代思想』2017年11月号所収)。本年度は、研究のアウトリーチ活動として、各種媒体へのコラムの執筆、講演などもおこなった。これらの機会における聴衆の反応は、フィードバックとしてとても有意義なものであり、今後の研究に活かしていく計画である。
著者
松本 弘毅
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

『先代旧事本紀』の写本についての調査と検討を行い、公にした。鎌田純一の『先代旧事本紀』の写本研究を再検討する必要性は以前から感じていたため、できる限りの写本調査を行った。本研究の結果、やはり鎌田論にも修正の余地があり、また鎌田が検討しなかった写本についても見るべきものがあることがわかったため、それらをまとめて公にした。未調査の写本、また検討を仕切れていない写本も残されているので、引き続き研究を続けていきたい。
著者
沖 清豪
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は日本と英国における学生の声を活用すること、すなわち学生アンケートや直接的な参加、異議申し立てのシステム化について調査し、学生支援との関係でどのように機能しているかを検討した。その結果、(1)日本国内における異議申し立ての理念をめぐる混乱は、教育評価(質の改善)のための異議、大学運営・事務プロセスに関する異議、および学生調査を通じての満足度という形で示される異議が存在していること、(2)英国においても学生満足度調査に基づいた学生支援改革を志向する参加や学生アンケートが一部の大学で実践されていること、および(3)学生ユニオンの代表が政策立案に参加していることが明らかとなった。
著者
神尾 達之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

エイズは、①免疫不全を引き起こす点で、ヒトの身体レベルにおける自他の区別を無効にする病であり、かつ、②当初は性行為による感染がクローズアップされた点で、《他者》たちとの《つながり》の病であった。「エイズ」は単なる感染症の名称にとどまらず、《他者》による自己の侵犯をめぐる表象である。本研究はエイズから始まる《感染》の表象が、寄生、共生、インターネット、sns、微生物、絆、ともだち、ゾンビなどのイメージに転移することで、突然変異を繰り返し、変奏されるプロセスを考察する。
著者
若林 幹夫 田中 大介 南後 由和
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、消費化・情報化時代の「都市の論理」と、それを成立させる社会的過程と構造を明らかにすることを目的としている。具体的には、1990年代以降、全国の都市部や郊外地域に普及した消費空間であるショッピングセンター、ショッピングモールを主要な対象として、現代都市社会における空間の生産・流通・消費のあり方と、それが生み出す社会と文化の様態を、情報化・消費化社会における新たな「都市の論理」として分析した。
著者
平田 竹男
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、プロサッカークラブが持続的に成長していくために必要な施策や成功要因を明らかにすることである。研究方法は既存の資料分析および当事者へのインタビューを用いた。その結果、プロサッカークラブが持続的に成長していくためには、対戦チームに応じたチケット料金制の検討やユース育成に注力することがチームの成長に欠かせない要因であることが明らかとなった。
著者
高井 昌吏 谷本 奈穂 石田 あゆう 坂田 謙司 福間 良明 村瀬 敬子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ポピュラー・カルチャーのなかで形成される戦争の表象を、ジェンダーの視点から考察した。たとえば、男らしい戦争イメージの形成では、『男たちの大和』『連合艦隊』などの映画、さらに「大和ミュージアム」や知覧という観光、あるいはプラモデルなどが大きく絡んでいる。女らしさやこどもらしさについては、むしろ『ガラスのうさぎ』『火垂るの墓』などの児童書・アニメの影響が大きい。こうした点を考慮し、それぞれの戦争(沖縄戦、原爆、空襲など)が社会的に受容されるうえで主に寄与したポピュラー・カルチャーに着目し、それらを横断しながら構築される戦争イメージについて分析した。
著者
根建 金男 石川 利江
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.147-159, 1990-03-25

Recently, researchers and clinicians in psychology and medicine are showing keen interest in cognitive behavior modification (CBM) which has been developed based upon behavior modification but puts emphasis on cognition. The purpose of the present paper is to overview CBM, examine the present state of it, and suggest its future directions. The techniques, targets, and objects of evaluation, the theoretical basis, and the procedures of CBM, and so on were reconsidered. Suggested main future directions of CBM are as follows. (1) "Cognition" should not be considered as the explanatory concept but instead as the operational indepenent variable. (2) It is necessary to confirm if the belief system of the client changes when such cognitive techniques as "cognitive restructuring" and "self-instruction" are introduced. (3) Intrinsic studies concerning the nature of cognitive techniques are required. (4) The procedural validity and the effects of "imagery rehearsal" techniques should be more clarified. Cognitive behavior modification is a prospective approach, however, further research considering the above directions is needed to develop and refine it.