著者
北口 勝也 Katsuya Kitaguchi
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-8, 2015-03

The present research investigated the relations among praise behaviors, understanding of the applied behavior analysis (ABA), and years of experiences. The participants were 68 teachers who are working as a teacher in charge of a normal class in public elementary schools. The results showed that the more the teachers had knowledge of ABA, the more they provided praise to their students. Experience teachers showed less knowledge of ABA and praise behaviors relative to new young teachers. These results suggest that it is important to provide more effective methods to spread ABA knowledge for teachers.
著者
山口 豊 Yutaka YAMAGUCHI
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.14, pp.34-40, 2019-03

今では当たり前になっている書き言葉の口語文ではあるが、文語から口語へと移り変わる時代に岩手県で教育を受け、『春と修羅』を出版した宮澤賢治はどのような文法体系を身に付けていたのかということを『春と修羅』に用いられた語彙や表現を中心に考察・確認を行った。そこには口語の要素がいろいろと散見され、文法も口語文法が用いられていた。一方方言による表記もあり、賢治が意図的に方言での効果を狙って用いており、明治以来、標準語教育を進めてきた成果は大正末期・昭和初期の岩手県においてもしっかりと定着していたことが確認できた。
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.15, pp.36-44, 2020-03

文部省(現、文部科学省)が1988 年4 月から「校則の見直し」を指示している。その方向性は本稿執筆時(2019 年)まで変わりない。近年「校則」に関する議論が再び高まっている。「黒染め」という新たな問題も生じて、訴訟も提起されている。本稿では「校則」の歴史について判例史を含めてふりかえる。さらに1988 年におこなわれた「校則」の実態調査に比して、本稿執筆時(2019 年)の調査を行い、その調査結果報告を約30 年の間の比較視点を交えながら記述するものである。「校則の見直し」はある程度すすんでいること、「校則」の改訂にあたっては「生徒の意見を聴取する」方向には依然としてすすんでいないことなどが、新たな知見としてうかびがった。
著者
久米 裕紀子 Yukiko KUME
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-8, 2020-03

幼児教育で日常的によく使われる言葉「遊びこむ」は,幼稚園や保育園の現場で活きて働いている言葉である。「遊びこむ」という慣用語は,幼児教育の世界で幼児と関わる大人が幼児について用いる独特の「言葉」(「専門用語」)として浸透してきている。「遊びこむ」について,保育現場でのインタビューを通し,幼児教育の中で活きてきた専門用語として立証していく。また,保育者が子どもの「遊びこむ」姿をどのように捉え,見極めているのかなど,保育者の「遊びこむ」姿を捉える視点について検討し,子どもへの援助について保育者同士が共有していく必要性を明らかにする。
著者
高井 弘弥 寺井 朋子 Hiromi Takai Tomoko Terai
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.14, pp.17-25, 2019-03

Since Haidt's paper on moral judgment was published in 2001, studies of the development of morality have changed focus from Kohlbergian perspective to Haidt's moral intuition theory. The 'Trolley problem' is a symbolic moral dilemma, which reveals that moral judgments are mainly made on the basis of moral intuition, not on rational, cognitive thought. In this study, we made a moral dilemma of this kind, the moral intuition vs. utilitarian judgment, using everyday occurrences. And as a dependent variable, we used a slightly morally wrongdoing. We studied how the three independent variables, the moral intuition, empathy and the moral identity, affect this dependent variable. The results are as follows:1) If you can imagine victims of the wrongdoings easily, then empathy is a more effective inhibitor.2) If you can't, then the moral intuition is more effective.3) Moral identity plays important role in both wrongdoings.
著者
山口 豊 Yutaka Yamaguchi
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.13, pp.9-16, 2018-03

本研究の目的は,言文一致がまだ行われていない幕末のことばの様相を『海外新聞』という,幕府をはじめ大名などの権力者から制約を受けることがなかった素材を取り上げ,口語文としての兆しがどのような所に,どのような形で現れるのかということについて用例をあげて調査し,言文乖離の状況下で言文一致へと向かう様子について考察することである。そのために,『海外新聞』の持つ意義や作者たちについて触れ,ついで文語文にまぎれた口語文要素を文法面,表記面から総索引を活用して用例を拾い上げた。その結果,文法面では下二段活用の下一段化が,表記面では発音通りの表記が多く見られることを確認した。さらに外国語表記には一定性がなく,聞こえた通りの音をカタカナ表記しており,当時の人々がどのように聞こえていたのかを知る手掛かりとなることを指摘した。