著者
弘中 満太郎 八瀬 順也 遠藤 信幸
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

昆虫が正の走光性によって人工光源に集まることは,身近な生物現象である.昆虫走光性に関しては,コンパス理論,マッハバンド理論,オープンスペース理論という3つの主要な仮説が提案されているが,いずれも多様な走光性反応を十分に説明できてはいない.本研究では,顕著な走光性反応を示す幾つかの分類群の昆虫の飛翔軌跡と到達地点を解析し,それらの昆虫が光源と背景との境界部に向かうことを示した.本研究の結果は,既存の3つの仮説とは異なり,昆虫がその正の走光性において明暗や波長,そして偏光による視覚的エッジへ誘引されていることを示唆している.
著者
佐野 誠
出版者
浜松医科大学
雑誌
浜松医科大学紀要. 一般教育 (ISSN:09140174)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-34, 1998-03

In der folgenden Arbeit handelt es sich um eine Betrachtung der "Euthanasieaktion"der NSDAP und ihrer rechts- und geistesgeschichtlichen Hintergründe. Euthanasie leitet sich von dem griechischen Begriff euthanatos, d.h. dem schönen Tod her. Die NSDAP verstand jedoch unter "Euthanasie" die "Vernichtung lebensunwerten Lebens". Im Namen des "Gnadentodes" haben Hitler und seine Helfer in den Jahren 1939-1945 die schwer beeinträchtigten Geisteskranken und die behinderten Kinder getötet. Insgesamt 125, 000 Menschen sind durch die "Euthanasieaktion" ermordet worden, darunter 100,000 Bewohner von Heil- und Pflegeanstalten, 20,000 Anstaltsinsassen in den besetzten Gebieten Polens und der Sowjetunion und 5, 000 behinderte Kinder. In der vorliegenden Abhandlung wird versucht, das Wesen der "Euthanasieaktion"und den Einfluß der Rassenhygiene, der Erblichkeitslehre und der Wirtschaftskrise nach dem ersten Weltkrieg auf die "Euthanasieaktion"zu erklären.
著者
土屋 賢治 松本 かおり 金山 尚裕 鈴木 勝昭 中村 和彦 松崎 秀夫 辻井 正次 武井 教使 宮地 泰士 伊東 宏晃
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

背景と目的自閉症スペクトラム障害(ASD)の危険因子として父親の高年齢が指摘されている。今年度の本研究では、父親の高年齢が児の認知発達にどのような影響を与えるかについて、本研究では、父親の年齢という非遺伝的要因の発症への寄与を、関連因子の評価を交えて、prospectiveおよびretrospective二つの方向を交えた疫学的探索的研究を行った。方法(1)Retrospective研究:自閉症・アスペルガー障害または特定不能の広汎性発達障害(ASD)と診断され総IQが70以上の84名(5~27歳、女性14名)、精神科診断を持たない208名(5~34歳,女性104名)から、臨床情報を取得するとともに、母子手帳を通じて両親の生年月日を確認し、出生時の父親・母親の年齢とASD診断との統計学的関連をロジスティック回帰分析を用いて検討した。(2)Prospective研究:浜松医科大学医学部附属病院産婦人科(静岡県浜松市東区)および加藤産婦人科(静岡県浜松市浜北区)の2病院を2007年11月19日より2009年7月1日までに妊婦検診を目的に受診し、研究への参加の同意が得られた全妊婦780名と、その妊婦より出生した児809名を対象とした。この児を最長3年3ヶ月追跡し、Mullen Scales of Early Learningを用いて、運動発達および認知発達(視覚受容、微細運動、受容言語、表出言語)を3~4ケ月ごとに繰り返し測定した。また、父親の年齢と関連する生物学的要因として、生殖補助医療に関するデータを収集し、関連を解析した。結果とまとめ(1)出生時の父親の年齢が高いほど、児のASD診断のリスクが高いことが示された。母親の年齢には同様の関連は見られなかった。出生時の父親の年齢とASD診断のリスクとの関連の強さは、母親の年齢や出生順位、性別、自身の年齢を考慮に入れても変わらなかった。(2)粗大運動、視覚受容、微細運動、表出言語の発達、発達指標の到達、ASD疑い診断に、出生時の父親の年齢は統計学的に有意な関連をしていなかった。しかし、生殖補助医療の有無(なし、IVF、ICSI)は、いずれの発達変数においても、なし-IVF-ICSIの順に発達が遅れる傾向が認められた。欠損値に対する配慮からStructural equation modelingによって解析を進めたが、サンプル数の限界のため、父親の年齢と生殖補助医療の交互作用については言及できなかった。結論父親の年齢とASD発症リスクの生物学的基盤としての生殖補助医療の関与を確定することはできなかった。しかし、その可能性が示唆されるデータが一部から得られた。
著者
和久田 智靖 横倉 正倫 間賀田 泰寛 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

統合失調症は、20歳代に発病する主要な精神疾患である。症状には陽性症状(幻覚妄想)、陰性症状(感情の平板化など)、認知機能障害(記憶力障害など)があり、陰性症状と認知機能障害に対する治療法は未だ確立されていない。喫煙(ニコチン)が統合失調症の陰性症状や認知機能障害を改善させるという報告を手掛かりに、本研究では、PETを用いて統合失調症者のニコチン受容体と活性化ミクログリア結合能を測定することで、新たな創薬標的を創出することを目指す。
著者
宮地 泰士 杉原 玄一 中村 和彦 武井 教使 鈴木 勝昭 辻井 正次 藤田 知加子 宮地 泰士
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自閉症の特徴の一つである「対人的相互作用の障害」は共感性の障害に基づくと考えられている。本研究では、自閉症の共感性の障害の神経基盤を探る目的で、機能的磁気共鳴画像(fMRI)により共感が惹起された時の前部帯状回の活動を計測し、自閉症との関連が指摘されているセロトニン・トランスポーター遺伝子多型との関連を検討する。平成21年度は、以下のように研究を進めた。平成20年度において選定した成人自閉症者5例、健常対照5例を対象に、他者の痛みを感じるような画像刺激を提示し、fMRIを撮像した。撮像プロトコルはTE=40msec,TR=3000msec,In-planere solution=3.1mm,スライス厚=7mm,ギャップ=0.7mm,18スライスとした。その結果、「身体的な痛み」、「心の痛み」のいずれを惹起する課題においても、活性化する脳領域に両群で有意な差はなかった。この結果には、例数の不足による検出力低下が影響していると考えられる。今後、さらに対象者を募る予定である。また、共感性の障害において前部帯状回と深く関係する脳部位の一つに海馬があるため、成人自閉症者の海馬における代謝物量を磁気共鳴スペクトル法により測定した。その結果、自閉症者の海馬ではクレアチン、コリン含有物が健常者に比べ増加しており、その増加は自閉症者の攻撃性と有意に正相関することを見出した(Int J Neuropsychopharmacol誌に公表)。
著者
辻 尚子
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

[目的]我々はマウス敗血症性急性腎障害(AKI)の早期にミトコンドリアDNA(mtDNA)が大量に全身循環し、腎障害を惹起していることを明らかにしたが敗血症患者における全身循環mtDNAの動態や意義は明らかではない。今回我々は、血中mtDNAの存在部位の違いに着目し、エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)を必要とした敗血症患者の循環mtDNAをエクソソーム(Ex)分画と遊離(Free)分画に分けて定量検討した。[方法]2013年~2016年に当院集中治療室で敗血症性ショックと診断されPMX-DHPを施行した20名を対象に、治療直前の血漿中mtDNAを超遠心法にてFree分画とEx分画に分けRT-PCRを用いて定量した。[結果]敗血症性ショックの患者は健常者と比較しEx-mtDNAが優位に増加していた(1.4±4.9 vs 0.002±0.003 ×10^3copies/μl, p<0.05)。院内死亡例では生存例と比較し、Ex-mtDNAが優位に増加し(5.3±9.4 vs 0.1±0.3 ×10^3copies/μl, p<0.01)、Ex-mtDNA量は血中乳酸値と正の相関を示した。また、AKI合併例では非AKI合併例と比較し、Ex-mtDNA(2.0±5.9 vs 0.03±0.06 ×10^3copies/μl, p<0.05)および遊離mtDNA(8.7±2.8 vs 0.08±0.12 ×10^3copies/μl, p<0.05)が増加しており、KDIGO分類で重症度が高い程増加する傾向であった。[結論]敗血症性ショックでは血中Ex-mtDNAが増量しており、Ex-mtDNA量は敗血症の重症度やAKI合併、死亡と関連を認めた。各分画のmtDNAの腎特異的役割や意義に関しては今後さらなる検証が必要である。
著者
中村 美詠子 尾島 俊之 野田 龍也 亀山 良子 福川 康之
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

フード・インセキュリティは物理的、社会的、経済的に食料アクセスが阻害された状態であり、近年、非伝染性疾患との関連が注目されている。本研究は日本におけるフード・インセキュリティの構成要素、該当状況、栄養状態、関連疾患について調査した。観察研究の結果 (1)多忙、遅いあるいは不規則な夕食等の時間的要因が主要な構成要素の一つであること、(2)日本人一般労働者や大学生に少なからず存在すること、(3)栄養摂取の乏しさやメンタルヘルスの低さに関連していることが明らかにされた。食環境対策推進においてはライフスタイルにおける時間的要素の変革が必要だろう。
著者
杉本 健
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

炎症性腸疾患において粘膜のバリア機構はその病勢に大きく関与する。我々は、過去に腸管バリア機構を増強すると報告されてきた腸管アルカリフォスファターゼ(IAP)に着目した。遺伝子操作により IAP をマウスの腸管粘膜局所で増減させる実験系の確立を探索した。炎症性腸疾患のモデルマウスとしては、過去の報告では安定した病気の作成が困難とされたクローン病類似モデルであるマウス TNBS 腸炎を腹腔麻酔の代りに吸入麻酔を使用することにより安定したモデルにすることに成功した。これらの系を用いて、今後 IAP の粘膜防御におけるメカニズムをさらに検討していく予定である。
著者
藤田 梓 鈴木 勝昭 横倉 正倫
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

自閉症によくみられる多動性・衝動性の基盤には、脳内ドパミン系が重要な役割を果たしていると考えられている。例えば、自閉症ではこれらの症状に関係の深い眼窩前頭皮質(OFC)においてドパミン・トランスポーター結合が増加していることが分かっている。本研究では、自閉症のOFCにおけるドパミン系機能をさらに調べるために、成人自閉症者を対象にドパミンD1受容体結合をPETで計測した。その結果、自閉症ではOFCのドパミンD1受容体結合が有意に増加していたが、その増加は臨床症状と相関しなかった。この結果から、自閉症ではドパミン系が機能不全に陥っており、それを代償すべく受容体が増加しているものと推測された。
著者
平出 拓也
出版者
浜松医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2022-08-31

本研究の目的は、エクソーム解析にて原因を同定できなかった知的障害/発達遅滞患者における新しい疾患発症機序を明らかにすることで、患者管理や遺伝カウンセリングに貢献することである。網羅的遺伝学的解析において、様々な最先端のインフォマティクス解析や機械学習を導入したマルチオミクス解析を行い、膨大なバリアントのフィルタリングや解釈を行う。特に、病的なレトロトランスポゾン挿入やリピート配列伸長を含めたゲノム異常の網羅的検出に挑戦する。更に、RNA解析の検体として尿由来細胞を用いるという新しい取り組みにより、小児神経疾患の新たな遺伝子解析スキームの確立を目指す。
著者
竹市 峻
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

自閉スペクトラム症(ASD)は、抑うつ・不安症状を併発することが多いが、成人ASDの抑うつ・不安に対して有用な認知行動療法(CBT)は確立されていない。近年、ASDの認知特性とうつ病に特徴的とされる反芻思考との関連が脳画像研究で示されており、うつ病への有効性が確立された反芻思考に焦点づけた認知行動療法(Rumination-focused CBT)はASDに併存する抑うつ・不安症状にも有効性が期待される。本研究では、成人ASDの抑うつ・不安症状に対するRfCBTの治療効果を検討し、ASDの抑うつ・不安症状発現とその回復の脳内メカニズムを検討することで、ASD当事者に適したCBTの確立を目指す。
著者
松崎 秀夫 財満 信宏 岩田 圭子 小川 美香子 辻井 正次 瀬藤 光利 土屋 賢治 伊東 宏晃 間賀田 泰寛
出版者
浜松医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

自閉症者血清中の脂質VLDL分画の低下から(1)自閉症者血清中の脂肪酸解析、(2)脂肪酸所見に基づく自閉症動物モデルの確立とその解析、(3)動物モデルを用いた新規自閉症治療法を検討した。その結果、VLDL分画の低下に関連の深い脂肪酸としてω6脂肪酸を含む6種類の脂肪酸を見出した。ついでCD38KOマウスに自閉症者同様の血清中脂質VLDL分画・ω6脂肪酸の低下を認め、血中ω6脂肪酸の低下を出生直後に補うと社会認識行動の修復につながることを見出した。VLDLR-Tgラットにも多動と組織中のアラキドン酸の欠乏が示された。
著者
寺田 護 竹添 裕高 石井 明 記野 秀人 大野 民生 MOHAMED Abdu CHAN Boon T. NORHAYATI Mo NOOV HayatiM
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

3年間の研究期間において、不法移民についてはネゲリ・センビラン州レンゲンにある抑留キャンプ、合法移民についてはセランガ州にあるカレー島のヤシ油プランテーションで、それぞれ3回、計6回の調査を実施した。被験者数は総計で741名であり、その内訳は不法移民308名、合法移民221名、マレーシア人労働者212名であった。不法移民についてはインドネシアが157名と過半数を占め、以下3名のアフリカ人の他はすべてアジア諸国からの移民であった。合法移民はほとんどがインドネシア人であった。また、マレーシア人はマレー系、先住民、インド系に区別できた。全体として不法移民が他の群に比べ寄生虫感染率が高かったが、中でも病原性原虫および外部寄生虫の感染率が高く、主に衛生状態の悪さを反映する結果と思われた。合法移民については不顕性マラリアが多く見られたことが特徴であったが、追跡調査で調べられた4名の被験者はいずれも陰性であった。これは母国への一時帰国に伴って感染した典型的な輸入寄生虫症と考えられた。対照群ではそれぞれの民族性に由来する生活習慣の違いが寄生虫感染にも反映していると考えられた。不法移民では出身国や職業の違いが感染状況にも反映され、移民の寄生虫相を考える上では重要な指標であることが示唆された。全体を通してマレーシアには見られない輸入寄生虫症は見つからなかったが、移民の持ち込む寄生虫はマレーシアの寄生虫感染を一定のレベルに維持するような働きを持つことが考えられた。また、合法移民は自由に国内を行き来できることから、感染を広める上で大きな役割を果たす可能性が示唆された。入国時あるいは定期的な健康診断がこうした輸入寄生虫症の対策として重要であると考えられた。
著者
金子 昌生 岡和田 健敏 高井 通勝 佐藤 一雄 田中 博 高橋 元一郎 宮崎 洋二郎 深谷 哲昭 小山 照夫 内藤 真明
出版者
浜松医科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究は、デジタル画像の圧縮・蓄積・転送など、画像の持つ情報管理の一面があり、アナログ情報をデジタル化して保管する方法を模索する研究も含まれている。4年間の研究期間中に、この分野の電子工学的発展はめざましく、研究のカバ-すべき範囲が広いため、X線撮影時からデジタル化される Computed Radiography(CR)は紹介するだけに留めた。従来から取り組んできたフィルムのアナログ的な保管方法であるマイクロ化システムを、いかにして効率よくデジタル化して活用するかについて新知見を得た。すなわち、テレビ・カメラのレンズ系をズ-ミングによりマイクロ・フィルム情報を直接拡大して電気信号に変換し、A/Dコンバ-タ-によりデジタル化する方法を開発した。CCD方式とレ-ザ-・スキャン方式のデジタル化も基礎的臨床的に比較検討した。デジタル画像の読影、報告書作製に関する適合性を評価するため、読影結果のレポ-ト作製の方法を比較検討するとともに、音声入力の方法の有用性を実際にテストした。Radiology Information System(RIS)の一環として放射線オ-ダリングやリファリングを実現させる反面で、その見返りとしてのレポ-ティングはやはりデジタル情報としてコミュニケ-ションされるべきであろう。しかし、有用なレポ-ト作製には臨床医から充分な臨床情報を得ることが必須条件である。このためのRISの臨床情報伝達ソフトウェア開発を行っているところである。画像管理・保管と読影業務すべてを包含するTotal Information System(TIS)をより高度化するために、実現可能性の高いMini-PACSやCase Information System(CIS)を実現させ、理想的なImage Management and Communication Systems(IMACS)を完成させるべきバック・グラウンドを研究した。
著者
福家 辰樹
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

アトピー性皮膚炎に対する長期寛解維持療法として近年欧米で提唱されるプロアクティブ療法(ステロイド外用薬による予防的間欠塗布法)について、当大学皮膚科学講座および国立成育医療研究センターアレルギー科の研究協力のもと、ランダム化並行群間比較試験を行い安全性および有効性を検証した。1 年間の研究期間において、両群とも明らかな副腎抑制を来さず局所副作用に差を認めなかったが、症状スコアや血清 TARC 値はプロアクティブ療法群で有意に低下し維持された。さらに同群では総 IgE の上昇が抑えられ、ダニ特異的 IgE の感作を有意に予防した。 「抗炎症外用薬の予防的間欠塗布によって湿疹の無い状態を維持する」という新たなアプローチによって、アレルギーマーチの原因の1つであるダニアレルギーに対し経皮感作を予防する可能性が示唆された。
著者
水嶋 好美
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

この研究は、日本の看護師を対象として、「看護師の共感能力を評価する臨床対人反応性指標(原版)が共感を評価することができているか」を検証することを目的とした。この研究の対象者は、国立大学病院に所属する看護師と看護学研究者であった。分析を行った結果、臨床対人反応性指標は、18項目であり、2つの共感の要素を評価できることが明らかになった。その2つの要素は、患者の視点に立って患者を理解する「視点取得」と如何なる患者も無条件に理解しようとする「無条件の肯定的理解」を評価することが確認された。この共感の指標を用いて、共感を教育していくことで、看護師の共感の能力は向上すると考えられる。
著者
亀野 陽亮 横倉 正倫 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典 和久田 智靖
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

うつ病患者数は年々増加し、その対策は喫緊の課題である。近年、神経炎症仮説とグルタミン神経仮説に基づく新薬の治験結果が報告されたが、いずれも効果は非常に限定的であった。そこで、活性化ミクログリアとセロトニントランスポーターのダブルトレーサーPET、1H MEGA-PRESS MRS、炎症性サイトカインとトリプトファン代謝物のメタボローム解析によるマルチモダル解析を行い、神経炎症とセロトニン/グルタミン神経系と抑うつ症状の相関性を検討する。そして、うつ病病態における活性化ミクログリアとセロトニン/グルタミン神経系の相互作用の役割を明確にし、新たな治療シーズの創出を目指す。
著者
佐野 誠
出版者
浜松医科大学
雑誌
浜松医科大学紀要. 一般教育 (ISSN:09140174)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-34, 1998-03-30

In der folgenden Arbeit handelt es sich um eine Betrachtung der "Euthanasieaktion"der NSDAP und ihrer rechts- und geistesgeschichtlichen Hintergründe. Euthanasie leitet sich von dem griechischen Begriff euthanatos, d.h. dem schönen Tod her. Die NSDAP verstand jedoch unter "Euthanasie" die "Vernichtung lebensunwerten Lebens". Im Namen des "Gnadentodes" haben Hitler und seine Helfer in den Jahren 1939-1945 die schwer beeinträchtigten Geisteskranken und die behinderten Kinder getötet. Insgesamt 125, 000 Menschen sind durch die "Euthanasieaktion" ermordet worden, darunter 100,000 Bewohner von Heil- und Pflegeanstalten, 20,000 Anstaltsinsassen in den besetzten Gebieten Polens und der Sowjetunion und 5, 000 behinderte Kinder. In der vorliegenden Abhandlung wird versucht, das Wesen der "Euthanasieaktion"und den Einfluß der Rassenhygiene, der Erblichkeitslehre und der Wirtschaftskrise nach dem ersten Weltkrieg auf die "Euthanasieaktion"zu erklären.
著者
佐藤 弘明
出版者
浜松医科大学
雑誌
浜松医科大学紀要. 一般教育 (ISSN:09140174)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-30, 1993-03-31

Food restriction on elephants among the Baka, a hunter-gatherer group in northwestern Congo, was described, and its social function was also discussed. The Baka hunt and snare various forest animals ranging from rats to elephants, mainly aiming at duikers and primates. Elephants are rarely hunted. Once killed, however, an elephant could bring enormous amount of meat to many people. Nevertheless, the Baka elephant hunter and his senior close relatives don't eat any portion of the huge game, because if they eat the meat of an elephant killed by the hunter, he is believed to be incapable of catching any elephant as game thereafter. Besides elephants, there are many kinds of game which certain people should avoid eating. The game includes "anomalous", "unusual", or valueless game for food, which the previous studies on food taboos have so far considered to be susceptible to avoidance. On the other hand, an elephant is not "anomalous", "unusual", or valueless. Unlike the elephant hunter and his senior relatives, most of those who are required to avoid the game are the people at momentous stages of life such as pregnant women, new-born babies, etc. These differences suggest that the above custom of food restriction on elephants has different meanings from the ones interpreted in the previous studies concerning food taboos. I think that this custom is part of the leveling mechanism of the Baka society. Although experienced Baka elephant hunters are held in esteem, they don't have social or political power. It is possible that sharing such an enormous amount of meat as an elephant has makes receivers feel a psychological burden and helps centralize prestige on givers. But, there is not such centralization of prestige in the Baka society. I consider that it is partly because elephant hunters control themselves and partly because they can have no right to the meat under the above custom and therefore meat receivers do not need to feel obliged to the hunters. The egalitarian society of the Baka could be maintained by the leveling mechanisim including thorough sharing, the restrained attitude of elephant hunters, food restriction on elephants and so on.