著者
平野 篤
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生体内に取り込まれたナノ粒子はタンパク質と相互作用して「タンパク質コロナ」と呼ばれる複合体構造を形成することが知られている。安全なナノ粒子の開発にはタンパク質コロナの物性の解明が必須である。当該研究ではカーボンナノチューブおよび荷電性のホモポリペプチドをそれぞれナノ粒子とタンパク質のモデルとして利用し、タンパク質コロナの形成に関する基礎知見を得た。特にポリアルギニンがカーボンナノチューブへ強く結合するという知見は、ナノカーボン材料のタンパク質コロナ形成におけるアルギニン残基の重要性を示唆するものであり、芳香環を有するナノ粒子全般におけるタンパク質コロナの形成機構の理解にもつながる成果となった。
著者
二橋 亮
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

トンボは主に視覚でお互いを認識するため、翅色や体色に著しい多様性が見られる。トンボの成虫における色彩変化や色彩多型については、生態学的、行動学的な視点から多くの研究が行われてきたが、具体的な色素や体色に関わる分子機構については、全く不明であった。本研究から、日本人に馴染みの深いアカトンボの黄色から赤色への体色変化が、皮膚のオモクローム色素の酸化還元反応によって生じていることが明らかになった。この結果は、動物の体色変化に関わるメカニズムとして過去に例のないものであると考えられた。
著者
三尾 和弘
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

イオンチャネルやトランスポーター等の膜タンパク質の構造情報を得ることは、神経伝達や筋収縮、心拍のペースメーキング等に関する機構を理解し、関連疾病に対する画期的新薬を開発する上で不可欠である。我々は難結晶性タンパク質の構造解明に向けて、精製タンパク質の電子顕微鏡画像から情報学的に3次元構造を再構築する単粒子解析法の技術開発と構造解析を推進してきた。単粒子解析法を用いて、Ca^<2+>放出活性化Ca^<2+>(CRAC)チャネルの本体として近年同定されたOrai1陽イオンチャネルの構造解析を行った。動物細胞発現系を用いてOrai1タンパク質を発現・精製し、生化学検討から生理機能単位が四量体であることを突き止めた。電顕画像を元に三次元構造を21Å分解能で再構成し、高さ150Å、幅95Åの水滴形構造を持ち、小胞体膜上でCa^<2+>枯渇を感受するSTIM1と相互作用可能な細長い細胞質ドメインが示された。更に、細胞内で酸化ストレスセンサーとして働くKeap-1の構造解析を行い、サクランボ形の2つの房にβ・プロペラの数Å径の穴に相当する小さな貫通部分が見出された。周囲に存在するSH基で酸化ストレスを感知する機構が推察された。またタンパク質構造解析にもとづく薬物の作用機序解明も重要である。我々は喘息治療薬として開発が進められていたピラゾール化合物をリードにTRPC3チャネルを特異的に抑制する誘導体を見出し、その作用機序を電子顕微鏡を用いて検討した。光架橋と金粒子ラベルを組み合わせてTRPC3に結合したピラゾール誘導体を観察することで、単分子レベルでの薬物結合の可視化に成功し、細胞膜直下部を標的としていることを証明した。
著者
松田 直樹 二又 政之
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

時間分解ITO-SOWG分光法を開発し、ITO電極上にチトクロームcを吸着させ、ITO電極にパルスポテンシャルステップを印加し、酸化体と還元体を交互に生成させながら2ミリ秒ごとに吸収スペクトルの連続測定を行った。得られた吸収スペクトルでの時間依存吸収強度変化から時定数を求めたところ、チトクロームcとITO電極間の電子移動反応は10ミリ秒程度で終了しており、速度定数はk=100[s^<-1>]と概算された。
著者
今西 和俊
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

大地震の発生過程を理解するためには、絶対値まで含めた応力場の情報が欠かせない。そこで、余震のメカニズム解と本震断層のすべり量分布を用いて震源域における絶対応力場を推定する方法を提案し、それを4つの地震(1995年兵庫県南部地震、2007年新潟県中越沖地震、2007年能登半島地震、2009年駿河湾の地震)に適用した。推定結果は色々な観測事例とも調和的であり、手法の有効性も確認できた。
著者
東樹 宏和
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

クリシギゾウムシは、ブナ科植物の種子(ドングリ類)に産卵を行う。しかし、ブナ科の植物の多くは、ゾウムシに食害されないために、タンニンという毒物質を高濃度で種子に蓄積するよう進化している。しかし、昆虫は一般に、タンニンを分解する酵素を生成できないと考えられており、なぜクリシギゾウムシがブナ科種子を食害できるのか、明らかになっていない。そこで、クリシギゾウムシ体内に共生する細菌類に着目して、この細菌類がドングリの毒を無害化する上で「助っ人」として働いているのか、検証を行った。タンニン分解酵素(タンナーゼ)の生成は、様々な細菌類で報告されおり、この細菌の潜在的な機能に焦点をあてた。ゾウムシ体内からクローニングした細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列を調べたところ、新奇な共生細菌がクリシギゾウムシと共生していることが明らかになった。この細菌(以下、一次共生細菌)の16S rRNA配列をターゲットとした蛍光in situハイブリダイゼーションの結果、この一次共生細菌がゾウムシ幼虫体内の中腸前部に付着する「菌細胞塊」に詰め込まれていることがわかった。さらに、雌成虫の体内では、卵巣小管への感染が認められ、卵への感染を通じて、ゾウムシの世代を越えてこの一次共生細菌が受け継がれていることが推測された。この一次共生細菌の塩基配列の組成から、ゾウムシとの長い共生関係を経てゾウムシの体内でしか生存できないような進化を遂げていることが示唆され、すでにゾウムシの「体の一部」としてゾウムシの生存や繁殖に有利な機能を提供していることが推測された。
著者
赤穂 昭太郎 神嶌 敏弘
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

情報幾何の枠組みから新たな分散・統合データ解析法の構築を行った.まず,基礎となる指数分布族における次元圧縮法に基づいて,指数分布族には属さない混合分布族にも適用可能な手法への拡張,確率モデルとしての定式化によるベイズ推定の枠組みへの拡張,次元圧縮とクラスタリングの同時最適化への拡張という3つの拡張を行った.また,新たな学習パラダイムとして,少数の高品質データと大量の低品質データの統合を行う飼い慣らしという枠組みを転移学習に基づき開発した.
著者
新井 宗仁
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、α-ラクトアルブミン(α-LA)のフォールディング反応における遷移状態の構造特徴づけを、Φ値解析法を用いて行った。今年度は特に、α-LAのβドメインやCヘリックス周辺に変異を導入した一アミノ酸置換体を多数作成し、α-LAの遷移状態の構造解析を行った。平衡条件下でのアンフォールディング測定の結果、変異体はどれも野生型より不安定化しており、Φ値解析に有効な試料であった。次に、ストップトフロー円二色性スペクトル法を用いてこれらの変異体の巻き戻り反応とアンフォールディング反応を測定し、Φ値を計算した結果、I89A, I89V, I55VについてはΦ=0.4〜0.6程度であったが、W60A, K93A, L96Aについては、Φ〜0となった。これらの結果は、I89, I55の周りは遷移状態において側鎖の密なパッキングが部分的に形成されているが、W60,K93,L96周辺は、遷移状態では側鎖の秩序化はまだ起きていないことを示している。この2年間の研究結果を総合すると、α-LAの遷移状態の構造について次のような知見が得られた。(1)αドメイン内の側鎖は、天然状態様の密なパッキングをまだ形成していないが、(2)αドメインとβドメインの間、および、カルシウム結合部位近傍では、側鎖の密なパッキングが部分的に形成されている。ここで、モルテン・グロビュール(MG)状態においては、2つのドメイン間にあるCヘリックスが比較的安定なヘリックス構造を形成していることを考慮に入れると、α-LAのフォールディング反応は、MG中間体で形成され始めた構造が遷移状態に進むにつれて更に構造化していくという階層的な反応で記述できると結論づけることができる。
著者
星野 英人
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主題は、1細胞レベルで起こる転写制御の変化を生物発光技術のみによりリアルタイムかつ定量的に評価するシステムを構築することにある。ストレス応答性転写因子の経時空間的な細胞内局在変化とその転写制御機構を対象とした"リアルタイム"生物発光イメージング技術への発展と二色同時観察のための新規の生物発光プローブ群などの基盤技術を開発した。
著者
宮崎 歴 大石 勝隆 勢井 宏義
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は睡眠リズムのパターンを乱すようなこれまでの断眠ストレスとは異なる新規のストレス負荷方法 (PAWWストレス: Perpetual Avoidance from Water on a Wheel)を見いだした。PAWWストレスをマウスに負荷すると睡眠覚醒の日内リズムが乱れ、入眠障害や活動期の眠気、休息期の頻繁な覚醒などを示す。このモデルマウスに対し、食品成分の投与を行い、その睡眠に対する影響評価を行った。また、睡眠障害モデルマウスのから血液を採取し、NMRによるメタボローム解析を行い、睡眠障害のバイオマーカーになるような代謝物の差異が認められるかどうかを検証した。
著者
多田隈 理一郎 (駄本 理一郎)
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本年度は、産業技術総合研究所においてロボット制御用の触覚ディスプレイの改良を進め、それを装着した状態でロボットを操作できるマスタシステムの実験を、多くの被験者について行った。具体的な実験としては、コンピュータ上のVR空間に人型ロボットの3次元CGによるシミュレータを構築し、ロボットの皮膚にバーチャルな触覚センサを配置して、その出力を触覚ディスプレイにより操作者の腕にフィードバックする遠隔臨場制御システムを用いて、2005年にMarc Ernst博士がNature誌で発表した、「人間の中枢神経系による視覚と触覚の情報処理が、ベイズ統計における最尤法に従う」ことを、有毛部皮膚を含めた腕全体でも成り立ち得ることを示すデータを得た。また、この実験をもとに、人間の有毛部皮膚における触覚の解像度を明らかにし、その解像度に基づくロボット体表面のセンサの最適な密度と、そのセンサの感じ取った力を人間の皮膚に再現するために必要な触覚ディスプレイの刺激子の解像度の最適値を求めた。ただ、当該研究員は2008年11月から東京大学の特任講師として異動し、またマスタシステムの構築や、それを用いたVR空間でのマスタ・スレーブシステムによる人間の視触覚情報処理体系の解析に時間を費やしたために、ロボットに対するセンサの配置やロボットの制御自体はVR空間における物理シミュレーションに留まり、実環境におけるロボット用の新型触覚センサの開発を行うまでには至らなかった。そのため、現在東京大学で作製している数々の生物型ロボットに触覚を付与し、その触覚をロボット操作者の体表面にフィードバックして提示する研究を継続することで、本研究でやり残したことを随時完了させてゆく予定である。
著者
田坂 恭嗣
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

養液栽培ジャガイモの根域環境と生育の関係を調査した結果、養液温度を下げることで塊茎を誘導できることが分かった。養液温度 27℃、23℃、17℃の3つの処理区で養液栽培を行ったところ、17℃処理株の生育は地上部、地下部とも劣っていたが、わずか2週間で地下部ストロンが伸びたうえ、茎の基部には異常な塊茎が誘導された。これらの結果は、根域の環境制御する方法で植物体の生育の調整や、塊茎形成を誘導できる可能性を示唆している。
著者
梅山 伸二
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

(1)計算機制御可能な回転偏光フィルタと高精度デジタルビデオカメラを組み合わせた観測システムの試作を行い、これを用いて、物体の見えからの拡散/鏡面成分の分離実験を行った。その結果、2成分の分離が良好に行われることを確認し、これを画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)において発表した。この実験においては、問題モデルの特殊性や、分離すべき成分が2個しかないという性質を利用して、分離アルゴリズムを作成した。作成したアルゴリズムは、2成分間の相互情報量を直接評価するものであり、一種の全探索アルゴリズムとなっているため、パラメータの設定等が容易であり、また安定なアルゴリズムとなっている。(2)独立成分分析を利用した物体の表面反射からの拡散/鏡面反射成分の分離手法を、対象物や照明源が移動する場合にも適用可能とするため、ハーフミラープリズムを利用した2画面同時観測システムの試作を行った。入力光はプリズムで2本に分離され、それぞれ相異なる偏光方向を持つ偏光フィルタを装着したデジタルカメラで観測される。このことにより、拡散/鏡面反射の成分比の異なる2枚の観測画像の同時観測が可能となった。このシステムにより、画像の取得だけであれば16枚/秒程度の観測が可能となり、拡散/鏡面反射の1準)実時間分離システムの可能性が開かれた。この成果は、第9回画像センシングシンポジウムおいて発表を行った。(3)手法全体のまとめを、IEEE Trans.on PAMI誌に投稿し、再録が決定した。
著者
石戸谷 重之
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

陸上植物活動に伴う酸素・二酸化炭素交換比(ER)を森林生態系の呼吸・光合成量の分離評価に応用することを目標とし、飛騨高山落葉広葉樹林サイトにおいて土壌チャンバーおよび葉チャンバーにより土壌呼吸および光合成+葉呼吸による ER を観測した。併せて大気中酸素濃度の高精度連続観測装置を開発し、森林内大気中濃度変動における ER を観測した。得られた ER と森林内酸素/二酸化炭素収支の 1 box model とを用いた解析により大気-森林間フラックスにおける ER を推定し、森林内大気中濃度変動における ER との関係を明らかにした。今後は、森林生態系の呼吸・光合成量の分離評価のため、大気-森林間フラックスにおける ER の直接観測による導出が課題となる。
著者
辛 星漢
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究開発では、既存のパスワード認証方式を理論的に分析した上、効率がよくてかつ厳密な安全性証明ができる新しいパスワード認証方式を提案する理論研究とともに国際標準団体でのその標準化活動を行った。理論研究の成果としては、既存のパスワード認証方式の安全性を分析し、新たな(匿名)パスワード認証方式を提案した。国際標準化活動の成果としては、IKEv2 へ適用したパスワード認証方式(AugPAKE)の仕様が国際標準団体IETF より新たな規格 Experimental RFC 6628 として承認・発行された。
著者
富田 康治 黒河 治久 神村 明哉
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

グラフオートマトンは、構造を変化させるルールと、ルールの適用を制約する構造との間の相互作用を記述する数理モデルである。この枠組み上の構造の生成とその解析に関する研究を発展させ、局所的に周期的動作する構造がグラフ上に分散し相互作用する系の自己組織過程の研究を行った。特に、各ノードに位相を導入して振動子として取扱い、各々が蔵本モデルに基づく相互作用を行う場合を扱った。各ノードの振動数がノードのグラフオートマトンの状態によって決定される場合に、状態とグラフ構造の間の自己組織化に加えて、位相と状態の間にも自己組織的関係が導入されることを、シミュレーションを行い確認した。
著者
福原 知宏 三輪 洋靖 西村 拓一 濱崎 雅弘
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高齢者介護サービスにおける介護者の気付きを収集・分析し、サービス改善に役立てる手法を開発した。スマートフォン、タブレット端末で動作する気付き情報収集システムを開発し、実際の介護施設の申し送り業務に本システムを運用・評価した。集められた気付き情報をマイニングした結果、サービス提供場面における課題が見出され、サービスの改善が可能となった。
著者
小木曽 真樹
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グリシルグリシンと脂肪酸が結合した簡易なペプチド脂質は水中でアルカリ金属以外のほぼ全ての金属イオンを捕捉して、ファイバー状やチューブ状などのナノ構造体を形成することがわかった。金属を捕捉したファイバーやチューブの還元処理や焼成処理により金属ナノ構造体へ変換できることも明らかにした。アルカリ土類金属存在下で希少金属のみが補足できることを明らかにし、油田の随伴水処理や海水資源化などへの応用可能性を見出した。
著者
近藤 裕昭 村山 昌平 玉川 一郎 斎藤 琢 菅原 広史 石戸谷 重之 髙根 雄也
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)などによる宇宙からの二酸化炭素(CO2)の監視の究極的な目標は各発生源からの発生量を正確に求めることである。これを逆問題解法により推定するには衛星モニタリングに加えて空間分解能の高い局所CO2輸送モデルの開発が不可欠である。このためのモデル開発とそのために必要なCO2フラックス観測を山間部(岐阜県高山市)と都市(東京)において行った。これらの結果をふまえて改良した局所CO2輸送モデルを用いて観測との比較を行った結果、濃度の日変化の振幅はおおむね一致した。
著者
大谷 竜 名和 一成
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

GPS連続観測網と歪計ネットワークによる歪観測を長期に比較することで,歪計による数週間以上の時間スケールでの歪場変動の計測特性を調べたところ,場所によっては歪計とGPS歪との間に相関が見られるところがあるものの,広域的に離れた7点の異なる観測点において,歪計とGPSとの間にははっきりした相関は見られず,歪計に不規則な大きな変動があることが分かった.また先島諸島で繰り返し発生しているゆっくり地震による歪場について,断層すべりの発生間隔を同定するとともに,ゆっくり地震に含まれる様々な空間成分の時間変動を明らかにした.