著者
百瀬 今朝雄
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
金沢文庫研究 (ISSN:04531949)
巻号頁・発行日
no.274, pp.p1-13, 1985-03
著者
永井 晋 野口 実 鈴木 哲雄 高梨 真行 角田 朋彦 野村 朋弘 橋本 素子 実松 幸男 佐々木 清匡 北爪 寛之
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中世に下総国下河辺庄という広域荘園が形成された地域にについて、各分野の研究者や自治体の文化財担当者と意見交換を行い、現地での確認調査・聞き取り調査を行った結果、鎌倉時代に地頭として下河辺庄を治めた金沢氏が河辺・新方・野方と三地域に分割した経営形態が地域の実情に即した適切な統治の形態であったことを確認することができた。すなわち、下河辺庄は荒川・利根川・大井川(太日川)の三本の河川が集まる水上交通の要衝という物資輸送の利便性を持つが、それは同時に、肥沃な土壌が継続的な供給される生産性の高い水田地帯という経済的優位性と水害に弱い洪水常習地帯という豊凶の落差の激しい中下流部の低地帯(新方・河辺)と、鎌倉街道中道の通る猿島台地・下総台地上の耕地帯に大きく分かれていることが明らかになった。金沢氏は、一律の基準で支配できない広域荘園に対し、本家が直轄する所領と一族や被官を郷村の地頭代(給主)に補任して治める所領に細分化し、それらを公文所が統合することで全体の管理を行っていた。本科研では、下河辺庄の成立過程を探るために、摂津源氏の東国進出と秀郷流藤原氏下河辺氏の成立に始まり、江戸時代に語られていた下河辺庄の記憶で調査年代を終えることにした。成立期の下河辺庄は秀郷流の本家小山氏との関係を重視したので野方の大野郷に拠点があったと推定される。下河辺庄の地頭が下河辺氏から金沢氏に交代すると、金沢氏は鎌倉の館に置かれた公文所が直轄して管理する体制をつくったので、下河辺庄は鎌倉の都市経済に組み込まれた。この時期に、下河辺庄赤岩郷は鎌倉に物資を輸送する集積地として発展を始めたと考えられる。南北朝時代になると、下河辺庄赤岩郷は金沢家の菩提寺称名寺の所領として残されたので、称名寺が任命した代官や現地側の担当者と称名寺がやりとりする書状や書類が多く残されるようになった。また、称名寺のリスク管理の中で年貢代銭納が行われ、上赤岩には年貢として納入するために保管されていた出土銭が発掘されている。享徳の乱によって古河公方が成立すると、下河辺庄は古河公方側の勢力圏の最前線となり、簗田氏や戸張氏といった公方側の武家が庄域を管理し、扇谷上杉側の岩槻大田氏と境界を接するようになる。この時期に、称名寺と赤岩郷の関係が確認されなくなる。江戸時代になると、下河辺庄新方は武蔵国に編入され、新方領とよばれるようになる。この地域は『新編武蔵国風土記稿』や『武蔵国郡村誌』といった詳細な地誌が残るので、地域で語られていた下河辺庄の記憶を知ることができる。本科研は、歴史学を中心とした地域総合研究として、荘園史の枠組みを超えた地域研究を行おうとしている。調査の編目は、後述する報告書掲載論文から明らかになるし、調査の詳細は報告書の本文をご覧いただきたい。
著者
瀬谷 貴之
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、現在の奈良地方(南都)で古代以来行われた、利益や奇跡をもたらす仏像である霊験仏への信仰が、その模刻などを通して全国各地へ広まりヽ日本彫刻史に大きな影響を与えていることを明らかにした。また特に鎌倉時代初期に活躍したヽ我が国で最も著名な仏師でもある運慶の造像活動が、実はこの南都を中心とした霊験仏信仰とも密接に関わっていることも明らかにした。研究成果の一部は、神奈川県立金沢文庫の展覧会においても広く一般に公開することが出来た。
著者
山地 純
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
金沢文庫研究 (ISSN:04531949)
巻号頁・発行日
no.308, pp.18-34, 2002-03
著者
瀬谷 貴之
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、運慶やその関連作品が、霊験仏信仰と密接に関わっていたことを指摘した。霊験仏信仰とは特別の由緒を持ち、利益をもたらすと考えられた仏像への信仰である。運慶による造仏は単に芸術的に優れていただけではなく、霊験仏信仰と結びつくことにより、多大な影響を与えたことを明らかにした。具体的には、運慶による建久八年(1197)の京都・東寺講堂諸尊像の修理時の「仏舎利発見」について検討した。そしてこの修理で、運慶や運慶作品へ霊験性が付与されたことを指摘した。また建保七年(1216)の鎌倉・大倉薬師堂の運慶による造仏が、霊験説話と結び付き、後の鎌倉における造仏に多大な影響を与えたことなども解明した。
著者
瀬野 精一郎
出版者
神奈川県立金沢文庫
雑誌
金沢文庫研究 (ISSN:04531949)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.p1-10, 1979-03