著者
田原歩美
出版者
福山大学
雑誌
福山大学こころの健康相談室紀要 (ISSN:18815960)
巻号頁・発行日
no.4, pp.59-66, 2010

The purpose of this study was to construct a sexual self-determination scale and examine the effect of sex experienceon sexual self-determination. A questionnaire which included items on sexual experience and dating violence, andsexual self-determination scale was administered to 117 university students as a part of the requirement of a socialpsychology course. Sexual self-determination was found to be constructed from four factors: sexual diversity, sexualself-receptiveness, sexual liberty, and sexual health/rights. However, both the reliability based on alpha coefficients andthe criterion-related validity were not sufficient. It was found that women without sexual experience are able torecognize sexual diversity. In addition, men were found to be more sexually liberated than women, and those who hadhad sexual experience were more sexually liberated than their counterparts.
著者
宇都宮 睦男
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-17, 2001-03-01

大久保彦左衛門忠教の『三河物語』には、初稿本系統の蓬左文庫本と自筆本などがある。この二本を比較すると、用語と表記に大きな相違がみられる。特に表記では、自筆本に宛字、誤字などが多く、蓬左文庫本が後人による転写であるにしても、その余りの違いに驚かされる。忠教の無学故に、このような宛字・誤字がみられるのであろうか。このことを検証するために、自筆本から七年後に成った、忠教自筆の「釈教和歌釈義」の用語・表記を調べてみた。結果は、むしろ蓬左文庫本の用記・表記に近い。このことからすると、自筆本の宛字・誤字が忠教の無学故とは一概に言えないように思われる。
著者
引野 亨輔
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-76, 2006-03-01

これまで神仏習合は、日本古来の伝統である神祇崇拝と、外来宗教である仏教とを混淆させた、不合理な信仰とみなされてきた。しかし、現実社会に存在するところの神仏習合は、合理性の発達に伴い徐々に姿を消していくようなものではない。本稿では、江戸時代の在地社会に焦点を絞る事で、新たな視角から神仏習合が否定されていく過程を探ってみた。
著者
奥田 邦男 奥田 久子
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.55-67, 2003-03-01

本稿では、3つの視点から、最近のアメリカ合衆国における外国語学習の動向を明らかにすることを試みた。(1) アメリカ応用言語センターが実施したアンケート調査に基づく報告書『外国語教育-アメリカ合衆国は他の国々から何を学ぶことができるか-』(2000) を分析し、最近のアメリカ合衆国の外国語学習をより活性化するためにどのような方策をとるべきであるかという提言を検討した。(2) アメリカ合衆国で急成長している「双方向バイリンガル教育」の特徴を明らかにし、幼児期から第1言語および第2言語の能力を最大限に伸ばすためのアプローチがどのような内容であるかを明らかにした。(3)『21世紀のアメリカ合衆国における外国語学習の基準』(1999) の内容を分析し、外国語学習の5つの目標として、「コミュニケーション能力、文化の学習、教科内容との連携、言語及び文化の比較対照、地域社会との連携」の内容を明らかにした。アメリカ合衆国の外国語教育 (日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、ロシア語、古典語 (ラテン語、ギリシャ語)) のそれぞれの言語教育の学習内容の基準を示すと同時に、幼稚園から大学までの学習基準を提案していることは、大いに評価されるべきであることを論じた。
著者
青野 篤子
出版者
福山大学
雑誌
福山大学こころの健康相談室紀要 (ISSN:18815960)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-9, 2008

The purpose of this study was to research parents' understanding of the concepts of "gender" and "gender free", the attitudes towards gender-related traits and the treatment of girls and boys without distinction of sex . Three hundred ninety-three mothers' data were analyzed (responses from fathers were very few). The results were as follows: 1) The number of mothers who knew the words "gender" or "gender free" was not very high, but they understood the connotation of social constructedness. 2) Their knowledge of the words affected how they thought about the origins of gender differences. 3) Many mothers' thought traditional activities like girls' and boys' festivals were important as cultural perpetuators, but interchangeable with regards to sex.. 4) Few mothers opposed the use of co-ed changing rooms or toilets for children. Therefore, it is believed that the concepts of "gender" or "gender free" are understandable to the general public and need to be popularized.
著者
八重樫 文
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.123-133, 2006-03-01

本稿では、その概念拡大と解釈の不定性が指摘される「デザイン」に関する今後の議論の共通基盤を築くために、現代社会における「デザイン概念」の整理を行った。その結果、(1)「(英語としての)design」の語義から捉え、その解釈を人間の根源的営為にまで拡げた観点、(2)近代デザインの専門性を背景とした観点、の2つの解釈が錯綜した状況であることが確認された。
著者
塩見 浩人 井上 和恵 中村 明弘
出版者
福山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

Komodaらによってラット脳より内因性睡眠促進物質として同定された物質が酸化型グルタチオンであったことから、中枢神経系におけるグルタチオンの新たな生理作用が注目される。本研究においては、睡眠誘発作用と抗侵害作用が密接に関連していることに着目し、グルタチオン(酸化型グルタチオン:GSH、還元型グルタチオン:GSSG)の抗侵害作用の作用機序解明を中心に研究を遂行した。【結果】(1)側脳室内に投与したGSSG、GSHは、釣り鐘型の用量依存性を持つ抗侵害作用を発現させた。最大の抗侵害作用を示す至適用量はGSSGでは0.41nmol/mouse、GSHでは0.82nmol/mouseであった。(2)GSSG、GSHの抗侵害作用はモルヒネ同様ネピオイド拮抗薬ナロキソン(0.5mg/kg s.c.)の前処置で完全に抑制された。(3)GSSG、GSHの抗侵害作用はNMDA受容体拮抗薬MK-801(0.3nmol/mouse i.c.v)の併用投与でも完全に抑制されたが、モルヒネの抗侵害作用全く影響を受けなかった。(4)GSSG、GSHの抗侵害作用はアスピリン(555nmol/mouse i.c.v.)、あるいはプロスタグランジンD2の選択的な合成阻害薬であるSeCl_4(9nmol/mouse i.c.v.)の前処置で優位に抑制されたが、モルヒネの抗侵害作用はこれらの薬物の前処置では全く影響を受けなかった。(5)GSSG、GSHは自発睡眠を優位に増加させたが、ネピオイド拮抗薬ナロキソンを処置することによりその効果が抑制された。以上、本研究において、中枢適用されたGSSG、GSHが、NMDA受容体に働き、プロスタグランジン系(プロスタグランジンD2)→オピオイド系を介して抗侵害作用を発現させることを明かにした。GSSG、GSHの睡眠促進作用もネピオイド拮抗薬で抑制されたことから、GSSG、GSHの睡眠作用にも抗侵害作用機序と同様のプロセスが関与している可能性を強く示唆することができた。
著者
秋枝(青木) 美保
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.A21-A34, 2006-03-01

現代作家の中でも宮沢賢治の作品を最も多く引用している長野まゆみの作品において、その引用が童話「銀河鉄道の夜」に集中していることを示し、そこに「病む女性」という共通の要素があることを指摘する。さらに、それが一九八〇年代文化と一九二〇〜三〇年代の文化的背景との共通の問題の基盤に由来することを示唆する。
著者
佐野 稔
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.30-54, 1991-12-15
著者
宮地 功 松本 靜夫
出版者
福山大学
雑誌
福山大学工学部紀要 (ISSN:0286858X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.147-152, 2007-12

It is very important to know Fujii Koji's career and his surroundings, in order to know the way and the philosophy of his architectural design. He was born in 1888 and died in 1938. His life can be divided into 4 periods-First period; from birth until entrance to university: Second period ; during Tokyo Imperial University: Third Period; during Takenka Komuten: Last period; during Kyoto Imperial University. He was acquainted with many intellectuals, artists, writers, prominent teachers and so on in his life. He might be affected by those people and he influenced on many people.
著者
横山 和典
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.109-135, 1996-03-25
著者
三谷 康夫 筒本 和広 中迫 昇
出版者
福山大学
雑誌
福山大学工学部紀要 (ISSN:0286858X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-8, 2005-12

In order to establish an objective approach for evaluating human emotions, Emotional Spectrum Analysis Method (ESAM) has been proposed by Dr. T. Musha et al. It is possible to estimate emotion spectrums with four basic emotional states (i.e., anger/stress, joy, sadness and relaxation) by using ESAM and the measured data of brain waves. Now, we pay attention to the emotional evaluation of music sounds. More specifically, this paper describes the influence of a change of music sounds with different tones (from a minor scale to a major scale) on human emotions. The brain waves for six subjects are measured by electroencephalogram (EEG). Each emotion spectrum can be estimated by using the emotion spectrum analysis system developed by Brain Functions Laboratory, Inc. based on ESAM. The effectiveness of ESAM is experimentally confirmed by applying it to the emotion evaluation problem of the above two kinds of music sounds. We find out the possibility of ESAM for the objective evaluation in the field of music.
著者
新谷 敏朗
出版者
福山大学
雑誌
福山大学工学部紀要 (ISSN:0286858X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.219-226, 2006-12

"Freecell" is a solitaire game with one deck of cards. The game is played with 8 rows of cards, 4 free cells and 4 home cells. It is similar to the game named "Four Companies". The rate of success is expected to nearly 100%. But the theoretical upper limit for the success rate has not been found. In this paper, I show the maximum number of the cards which are able to move from a row to another. Then I use the same algorithm as that for "Superpuzz" to solve the game. By using a program to play a game with the algorithm on personal computers, I confirmed that the rate of Success is greater than 99.97%. The rate of Success for "Four Companies" is estimated to 91.73%, which is rather less than that of "Freecell"
著者
清水 宏美 沖増 英治
出版者
福山大学
雑誌
福山大学生命工学部研究年報 (ISSN:13473603)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-27, 2003-09

ヒラメ成長ホルモン遺伝子にDNA多型があること,そして成長ホルモン遺伝子のハプロタイプとゲノタイプの種類とその発現頻度の違いが体重別グループで明らかになった。ヒラメの成長ホルモン遺伝子において認められたDNA多型は成長特性に何らかの影響を与えているのではないかと考えられる。ヒラメの成長ホルモン遺伝子におけるSau3AI断片多型のさらなる詳細な構造解析,ならびにRFLPと成長曲線の相関性を明らかにすることにより,マーカー選抜育種の応用に役立つと考えられる。成長ホルモンは,その成長促進活性に加えて浸透圧調節,電解質バランス調節,他の代謝機能等を含んでいるため,成長ホルモン遺伝子はクローニング,シークエンスが行われ,その発現の研究が盛んに行われている遺伝子の一つである。体の大きさの違いにより成長ホルモン遺伝子多型が認められ,遺伝マーカーとしての利用が可能になれば,マーカー選抜育種の一助になると考えられた。
著者
塩見 浩人 田村 豊 中村 明弘
出版者
福山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本助成金を用いたモルヒネ耐性形成機序解明について、既に掲出した本年度の研究計画に基づき研究を遂行し、以下の成果を得た。1)急性実験において、アデノシンはモルヒネ誘発鎮痛作用を抑制するがこの抑制作用はアデノシンA1受容体を介して発現することを明らかにした。2)脳実質内微量投与法を用いて、モルヒネ誘発鎮痛作用を抑制するアデノシンの脳内作用部位として延髄巨大細胞網様核(NRGC)、延髄傍巨大細胞網様核(NRPG)、中脳水道周囲灰蛋白(PAG)を同定した。3)モルヒネ耐性形成ラットにおいて、NRGC、NRPGあるいはPAGにアデノシンA1受容体拮抗薬を微量投与することによりモルヒネの鎮痛効果が有意に回復することを明らかにした。この結果は、耐性形成時、脳内アデノシン系の活性化が起こっており、遊離アデノシンがA1受容体を介してモルヒネの鎮痛作用を抑制していることを強く示唆している。4)N-アセチル-β-エンドルフィン(NABE)もNRGC、NRPGあるいはPAGの部位においてモルヒネ誘発鎮痛作用を抑制したがこの抑制作用は、アデノシンA1受容体薬を微量併用投与により拮抗され、NABEの作用はアデノシンを介するものと考えられた。5)本助成金で購入したプッシュプルポンプユニットとプッシュプルサンプリングユニットを用いて、脳実質内からアデノシン遊離量を測定した。脳内アデノシンの遊離は、NABEの適用によって増加した。さらに、モルヒネ耐性形成と共に増加した。これらの成果より、モルヒネの耐性形成機序は、モルヒネによりオピオイドペプチドの代謝が促進し、その代謝産物(特にNABE)が脳内に増加するが、このNABEがアデノシンの遊離を促進し、遊離アデノシンがアデノシンA1受容体を介してモルヒネの鎮痛作用を抑制することによることが強く示唆された。
著者
青野 篤子
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.65-79, 2007-03

男女共同参画社会の担い手を育成すべき保育者が,男女平等やジェンダーに対してどのような考え方をもっているのか,また,性差や男女の特性をいかにとらえ,どのような保育方針をもっているのかを検討した。その結果,保育者は男女平等のための保育の意義を認めながら,男女の差異や女らしさ・男らしさを尊重した上で,男女を同等に扱うのが望ましいと考えていることが明らかになった。また,ジェンダー(・フリー)の知識がある人はそうでない人より,性差の社会構築性をより強く意識していることもわかった。
著者
北口 博隆
出版者
福山大学
雑誌
福山大学生命工学部研究年報 = Annual report of Faculty of Life Science and Biotechnology, Fukuyama University (ISSN:13473603)
巻号頁・発行日
no.4, pp.21-26, 2005-09

プラスチックは我々の生活に欠かせない素材であるが、廃棄されたプラスチックは、環境中に長期間滞留して様々な問題を引き起こす。海洋においては、ゴーストフィッシングやプラスチックからの化学物質の漏出による海洋生物への影響が懸念されている。このような背景から、生分解性プラスチックの開発が進められており、すでに市場に出回るものも増えている。しかし、生分解性プラスチックの分解性能は、決められた条件における分解性を基準にしており、環境中における生分解の速度はばらつきが大きい。海洋からも生分解性プラスチック分解細菌が分離されているが、海洋では生分解性プラスチックの分解性は比較的低く、数ヶ月から数年の比較的長期間かけて分解すると考えられるため、安易な投棄は避けるべきである。Plastics are indispensable to our life. But, if plastics are once left into environment, they remain for a long time and may cause various problems for organisms and environments. It is well known that fish, birds, and marine mammals are strangled by plastic detritus such as packaging and waste fishing gear. Many people are concerned about leakage of harmful chemical substances from plastics. Biodegradable plastics have been expected to be one of the solutions for such problems. Recently, the development of biodegradable plastics has been further advanced and the market of such plastics is increasing. However, the evaluation of their biodegradability in natural environment has not been well established. The degradability of these plastics is now evaluated under the definite condition, but the great diversity of environmental condition alter the biodegradability in nature. In marine environment, decomposition rate of biodegradable plastics probably be lower than cultivated land. Some data suggest that it takes from several months to several years to decompose biodegradable plastics in seawater. So, easy abandonment of plastics, even if indicated as メ biodegradable モ, should be avoided