著者
内山 弘 UCHIYAMA Hiroshi
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.7, pp.219-236, 2010-03

I have collected words and phrases used in 2channel (Ni-channel) and Nikoniko-doga,and divided them into five categories according to their characteristics: (1) grammatical,(2)phonetic,( 3) orthographical,(4 )vocabulary,and (5) style. As a result,I found that the orthographical category (inc1uding pictorial) has the greatest number of expressions,followed by the categories of vocabulary and style. In the orthographical category,there are various expressions influenced by the arrangement of Japanese letters on the key-board,the process of installing Japanese words,the similarity of letter shapes,size of letters,and omission. We find many examples of abbreviations,new words,and change of meaning in the category of vocabulary. It's especially noticeable that the words which were once deconstructed or used as parts of other words and AA (ASCII Art),are rearranged as new words. In style,there are a lot of baby words,euphemisms,and AA,which may help to convey precisely what a writer wants to tell. Based on these analyses,I noticed that there are mainly three motives for producing new Net-words: (1)the writer's desire to differentiate their own words from other writers' words,( 2) the writer's desire to make the work easier,and/or (3) the writer's desire to create novel expressions. I think writers' desires to create novel expressions,or "word neophilia",is potentially a rich source of new Net-words for the future.
著者
松尾 英輔
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.229-241, 1978-03-19

植木鉢の原点を探ってみると, 1)植物を植えるための土を保持できること, 2)水によってこわれないこと, の2点があげられる.ここでは, この原点にたって植物が植えられている容器のうち, 植物を植える目的をもって開発された容器類以外のすべてを"アイディア鉢(Idea Pot)"と称する.本調査では, 鹿児島市内の1333戸を対象として, 1)アイディア鉢の保有状態, 2)アイディア鉢として使われた素材, 3)アイディア鉢に植えられている植物を明らかにすることを目的とした.アイディア鉢の保有率は調査戸数の約30%であった.また, 屋敷内の緑が少ないほどアイディア鉢の保有率は高い傾向がみられた.アイディア鉢の種類は70種以上, その延べ総数は1423個であった.このなかには, 数こそ少なかったが, 電燈のかさ, 切り株, タイヤ, 浴用椅子, ブロックの穴, ビニール袋, 石臼など, 園芸専門家の常識では考えつきそうにないものが含まれていた.アイディア鉢の材料についてみると, 種類としては合成樹脂製品, 金属製品が多く, 数のうえでは木製品の比率が高かった.アイディア鉢への転用の仕方をみると, 種類, 保有戸数, 総数のいずれについても, 使い古したもの, 欠損したもの, あるいは, 魚箱, リンゴ箱のような, 本来の目的を達したものが多かった.アイディア鉢となったものがもともと使われていた場所の面からみると, 種類および保有率では台所用品が多く, 数のうえからは, 普通の家庭ではあまり使われないもの(たとえば, 魚箱, リンゴ箱など)が多かった.アイディア鉢の植物は260種以上に及び, 観賞植物は約70%でもっとも多かった.個々の植物の出現率についてみると, ネギがもっとも多く, ついで, ニラ, ゼラニウム, キク, シソの順であった.野菜は植木鉢にはあまり植えられていなかったが, アイディア鉢ではきわめて多かった.
著者
大塚 清恵 Otsuka Kiyoe
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 人文社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.97-123, 2009

本稿は、鹿児島大学教育学部研究紀要(人文・社会科学編)第58 号に掲載された「日本・イスラエル比較文化研究 ―日猶同祖論考―」の続編である。一般的に「秦氏」と呼ばれる3 世紀末から5 世紀にかけて朝鮮半島から渡って来たシルクロード渡来人は、時代を超越した高度な知識と技術を持っていた。彼らは、古代日本に技術革命をもたらし、政治・宗教・生産活動・文化を大きく発展させた殖産豪族集団である。この論文は、古墳文化、飛鳥文化を築いた渡来人がイスラエル系であったことを詳述した後、なぜ突然彼らが大挙して極東の島国にやって来たのか?なぜ4 世紀から5 世紀にかけて一見無意味な巨大古墳を現在の大阪の地に築いたのか?なぜ北九州と畿内が秦氏の拠点なのか?なぜ全国各地に奇妙な三本鳥居の神社を建てたのか?という日本史の謎に対して大胆な一つの仮説を立てた。
著者
井村 隆介 大木 公彦 青山 尚友 山本 琢也
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

霧島火山は,鹿児島・宮崎両県の県境に位置する第四紀の複成火山であり,歴史時代の噴火記録も多く残されている活火山である.現在は比較的静穏な状態にあるが,明治・大正期にはさかんに噴火していたことが知られている.しかし,その当時の噴火活動の実態についてはほとんど知られていなかった.本研究では,この明治・大正期における霧島火山の噴火資料収集と,それらを用いて当時の火山活動の実態解明を行うことを目的とした.当時の霧島火山の噴火に関する文書や画像資料を可能な限り収集し,データベース化した.これらの中にはこれまで知られていなかった貴重な資料が多数含まれていた.霧島火山の1800年代後半から1900年代前半の噴火の実態について,集められた写真,絵画,新聞記事,日記,目撃者の談話などから検証した.その結果,当時の霧島御鉢火山は爆発的な噴火を繰り返し,周辺の広い範囲に火山礫や火山灰を降らせていたことがわかった.これらの活動によって人的被害も生じていたが,それらは,登山客や猟師など火口に近いところに偶然いた人たちであった.御鉢火山には現在も多くの登山・観光客が訪れており,噴火の際には,まず,これらの人たちの速やかな避難が重要であることが明らかとなった.地域防災の啓蒙,教育のために宮崎県総合博物館で今回得られた資料の一部を展示・公開した.今後も明治・大正期の霧島噴火に関する展示を行い,活火山としての霧島火山を紹介して,噴火防災意識の向上に資することができた.
著者
高嶋 博 松浦 英治
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、未知の感染症(慢性脳炎)の疾患概念の確立と病原菌の同定を試みた。40-70歳代の進行性認知症4例に特殊な慢性脳脊髄炎を認め、Grocott染色陽性の病原体を確認した。病原体を含む領域に絞り、レーザーマイクロダイセクターを用いて組織を取り出した。その菌を含む組織からDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて、2症例について遺伝子配列を決定した。DNAを種別に分類した結果をもとに検索した結果、検索した2例において全く同じ種の菌を同定し、古細菌に属するHalobacterium属であった。世界で初めての古細菌によるヒト疾患の存在が確認された。
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-21, 2007

日本の現代の若者は,どのような交友関係をもっているのだろうか?。本論文,文末の【文献】にあげたとおり,日本人の交友関係について実証的に分析した研究はないことはない。しかし,「友人」の「双方」からデータをとった調査はほとんど知られていない。われわれは,さまざまな問題意識の者との「あいのり」調査(オムニバス調査)ではあったが,現実の「いま交友している友人たち(同性)」同士からデータを採集することができた。いまだ「探索的」段階ではあるが,非常に興味深い知見をうることができた。おもに,二点指摘できる。第一は,「友人同士」における「親の収入の類似」である。この現象を,「「収入」依存選択的「交友」仮説」と呼ぼう。われわれは,すでに,「恋愛中の両人」からのデータ収集を行い,そこにおいて,一見似てはいるが,異なった現象を見いだしていた(桜井2006)。すなわち,「交際中の恋人同士」は,その双方の家計の「不動産の所有の有無」が類似していたのであった。この現象を,「「資産」依存選択「交際」仮説」と呼んだ。「交友」はおもに同性の友人関係を,「交際」は恋愛関係を示すとする。以上の「交友←→収入依存」「交際←→資産依存」の対照的関係は,非常に興味深い。第二の知見は,「恋愛しているのに,性交渉をしていない」度合の,友人同士における類似である。少なくとも自己申告のアンケートから見る限り,恋愛をしていても性交渉していないカップルはある程度存在する。ただし,恋愛期間に依存するので,この恋人たちがずっとセックスレスであるとはがんがえるべきではない。友人たち同士は,この「恋愛しながらも未性交渉である」度合が,類似しているのである。ただし,この相関は,「年齢」で統制すると有意性をなくしてしまった。今後の大規模な調査が待たれる。この「恋愛しながらも末性交渉である」度合は,年齢以外にも,いくつかの変数から影響を受けている。もっとも注目されるのは,「経済的豊かさ」である。自己を「経済的に豊か」と感じている若者ほど,「恋愛しながらも未性交渉」である比率が高い。経済的格差の進行が云々される今日,この知見は非常に興味深い。
著者
秋葉 澄伯 山田 裕司 床次 眞司 新倉 礼子 川畑 政治
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.鹿児島県内11市の死亡率を比較解析したところ、1980年代に桜島火山からの降灰量が著しく高かった垂水市で、女性の肺がん死亡率が最も高かった。2.活動性火山である桜島、霧島山に隣接した居住地域である鹿児島市、霧島町、垂水市の屋外におけるラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は3Bq/m^3、霧島町は5Bq/m^3であった、これは国内平均濃度5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。しかし、垂水市内においては異例の高濃度事象(50Bq/m^3)を頻回に計測した。さらに、気象データを観測し、気象に関わる各種の変数がラドンとその子孫核種濃度に与える影響を検討した。その結果、ラドンとその子孫核種濃度と二酸化硫黄あるいは浮遊粒子状物質濃度との間には相関が見られなかったが、降灰量との間には相関が見られた。3.呼吸器疾患を持たない集団である一般対象家屋の屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は14.6Bq/m^3、牧園町は14.5Bq/m^3、垂水市は平均11(最低値5最高値24)Bq/m^3であった、これは国内平均濃度15.5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。4.肺がん、慢性呼吸器疾患等を対象に質問票調査並びに家屋での屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、家屋内の平均ラドン濃度は約10.8Bq/m^3と有意差は見られなかった。しかし、ある肺がん患者の家屋でラドン濃度が43Bq/m^3、その子孫核種濃度が90Bq/m^3と高い濃度を計測した。これらの放射能濃度を年間実効線量当量に換算すると約10mSvとなり、国際放射線防護委員会が勧告している一般公衆に対する年限度の1mSvに比べて非常に高い値となった。
著者
大塚 清恵
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 人文社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.127-146, 2006

The ancient kingdom of Israel, which consisted of 12 tribes, was in circa 922 B.C. divided into the southern kingdom of Judah and the northern kingdom of Israel. 10 tribes out of the 12 belonged to the northern kingdom and the rest to the southern kingdom. The people of the northern kingdom were exiled to Assyria in 722 B.C. never to return to Israel. They are called the Ten Lost Tribes of Israel. They were dispersed all over the world. Their descendants are found not only in the western world, but also in the eastern world especially along the Silk Road. Japan and Israel are geographically far from each other and seemingly unrelated nations. However, the two nations are remarkably similar in mythology, religious rituals, language, daily customs, etc. Some of the Japanese and Jewish scholars who are conversant with the ancient cultures of Japan and Israel claim that numerous striking similarities between the two cultures are proofs indicating that the Ten Lost Tribes of Israel came to ancient Japan. The purpose of this paper is to examine the authenticity of their claim by making a comparisonof the ancient cultures of Japan and Israel, which may help solve some of the cultural riddles of Japan such as why Japanese like rectangles or why Japanese have numbers in their names.
著者
団野 皓文 宮里 満 石黒 悦爾 西山 安夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.197-210, 1984-03-15

桜島の火山活動は1972年以来, 非常に活発になってきている.年間の爆発回数, 噴煙回数それに地震回数は驚くほど増加している.桜島からの多量の降灰は, 桜島周辺の農林産物に多大の被害を与えている.リモートセンシング技術を用いて, 圃場や森林への降灰の影響を測定した.筆者らは, 1977年より日本国土海洋総合学術診断(JAFSA)プロジェクトに参加し, 桜島の火山活動が記録されているMSSデータを解析した.1977年8月に観測したMSSデータを用いて, Ch.7に青, Ch.9に緑, Ch.11に赤を対応させたカラー合成写真を作成して, 桜島の溶岩台地の分布を明確に解析した, 降灰の影響を定量的に解析するため, 火山灰に覆われた樹木と野菜の葉面の分光反射率と, 火山灰に覆われていない樹木と野菜の葉面の分光反射率の変化を測定した.この結果を垂水地区における噴煙の流れが記録されている1977年10月のMSSデークの解析に用いた.CCTカウント比, すなわちCh.3/Ch.9,Ch.5/Ch.9とCh.7/Ch.9のディジタル演算で得られたカラー合成写真と, それに対応する濃淡マップの解析を行い, 垂水地区における圃場や森林に対する降灰の分布を明かにすることができた.一方, 火山灰の物理的性質は, 桜島火山の活動に関する多くの情報を与えるものと考えられる.火山灰中の天然放射性核種を, ゲルマニウム検出器と多重波高分析装置を用いて解析した.^<40>Kが最も多量に含まれる核種で, 火山灰中の^<40>Kの放射能は9.4〜12.0pCi/gであった.K_2Oの濃度と^<40>Kの放射能は, 最近しだいに増加していることが示された.
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.4, pp.109-125, 2007-02

Research was conducted into what kinds of students are successful in job hunting. A questionnaire was answered by students at a university in southern Kyushu, Japan during November and December 2005. Some of our findings are: 1. For male students, the level of dependency on their peers, the level of inferiority about their appearance, motivation, whether they had completed SPI study aids, and their physical strength all affected their success in job hunting to a sufficient significance level. Whether their parents' weddings were arranged also negatively affected it to a lesser extent. 2. For female students, their height, weight and empathy affected their success to a sufficient significance level. Whether they had been in a personal relationship, motivation, withdrawnness, and the level of dependency on their peers also affected success to a lesser extent. 3. These variables have never been empirically verified. However, we were able to obtain a comparatively strong explanation power (R-square=.644) by making these variables the independent variables.
著者
三輪 伸春
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.13, pp.67-100, 2016-03

本稿は,シェイクスピアを初例として,現代のイギリスの口語では日常的によく知られているgreen-eyed「嫉妬深い」という語を取り上げてその由来と成立を考察する。本来語のように見えるが,外来語に由来する語wall-eyed にシェイクスピアがgreen を加えて本来語らしく形成した語である。 語彙史の場合,英語の共時的側面と通時的側面,それに音声,語形,シンタックスという内的側面だけではなく,言語外的側面にも想定している以上に配慮しなければならない。言語の根幹をなす内的側面(ソシュールの「ラング」,サピアの「パタン」,記号論の「コード」)ばかりではなく,言語が生きて使われる側面(ソシュールの「パロール」,サピアの「スピーチ(speech)」,記号論の「メッセージ」)への考慮が不可欠である。新しく形成された語やもたらされた外来語は1語1語が英語の音声と形態という言語内的規則の干渉を受ける。そして,英語に取り入れられるか否かが決められる。さらに,歴史,文化,思想といった言語外的な人文科学のほとんどの分野の見地から英語の語彙として必要であると認められてはじめて英語に受け入れられる。特にシェイクスピアは,いわゆる学者ではないが英語の言語的特性を熟知していたこと,英語国民の歴史,文化,民族性にも通暁していたこと,芸術的才能に恵まれていたこと,語感に優れ,一般民衆により実際に生きて使われていた口語,方言の動的傾向を敏感に感じ取ることができる学匠詩人であった。そのために言語に関する思想家ともいえるシェイクスピアの造語した,あるいは導入した語は深遠な意味を持つことがある。green-eyed はその典型的な例である。その由来と成立を解明するためには徹底した文献学的な考察を必要とする。The adjective green-eyed, recorded in OED2 as first used by Shakespeare, is generally thought to be formed only by native elements. But no one has ever given sufficient explanation of the etymology of the word. This paper aims to insist, from a philological point of view, that we have to take into consideration an exhaustive knowledge concerning green-eyed in order to comprehend the meaning and nature of the word green-eyed: the historical knowledge of the Anglo-Saxons, political and social, and the composite interference and intermixture of ancient Germanic tribes. H. Bradley, one of the four co-editors of OED1, expounded thus: "It would be easy to give a somewhat long list of words, such as control (as a noun), credent, dwindle, (...), which were used by Shakespeare, and have not yet been found in any earlier writer. But such an enumeration would probably give a greatly exaggerated impression of the extent of Shakespeare's contribution to the vocabulary of English. The literature of his age has not been examined with sufficient minuteness to justify in any instance the assertion that a new word was first brought into literary use by him." (The Making of English, 1904, p.231)
著者
河野 裕次
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.8, pp.39-73, 2011-03

"In this paper, I have examined the relationship between southern Kyushu and Setouchi in the Yayoi period by referring to Setouchi pottery and cultural elements from southern Kyushu. In the first period (about BC.3-BC.1), there was contact between southern Kyushu and western Setouchi, and it is assumed that this was part of the increasing interaction over a large area of Western Japan at this time. In the second period (about AD.1-AD.2), cultural elements from southern Kyushu cannot be confirmed in Setouchi, and so the existence of the contact becomes unclear. Setouchi pottery produced in this period showed influences of the area's relationship with eastern Kyushu. In the third period (about AD.2-AD.3), pottery movement from Setouchi to Kyushu declined, and the number of excavations of Setouchi pottery decreases. However, it is in this period that the amount of Setouchi pottery excavated from the tomb areas increases. Thus, the movement of pottery and the influence of the pottery attributes were confirmed to be one direction from Setouchi to southern Kyushu through each period. Such an asymmetric relationship will become an important aspect when thinking about the background of the relationship between southern Kyushu and Setouchi in the future."
著者
梅内 幸信
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.10, pp.81-99, 2013-03

本稿において筆者は,次の5つのテーゼを提出する。テーゼ1:1つの童話が異国に伝播されるとき,その童話の文化的環境は,12(1.宗教的要素,2.人物関係,3.解決手段,4.解決方法,5.登場人物の職業,6.謝礼・報酬,7.処罰の方法,8.果物の種類,9.社会制度,10.文化の成熟度,11.性の開放度,12.良心に基づく勧善懲悪の精神)の文化的変位を被る。テーゼ2:古典落語『死神』のモチーフにおける必須成分は,11項目(1.主人公の「貧しさ」,2.死神の登場,3.生死の判別に関する死神の教え,4.医者(行者)という主人公の職業,5.病人の登場,6.病人が金持ちであること,7.呪文,8.医者が死神を騙すこと,9.ロウソクの長短, 10. ロウソクを継ぎ足すこと, 11. ロウソクが消えること) がある。テーゼ3:古典落語『死神』は, 三遊亭圓朝が(仮説:福地桜痴から『グリム童話集(第2版)』における『死神の名付け親』[KHM44] を聞いて), 明治20年代に日本的に換骨奪胎して作り, 弟子である「鼻の圓遊」に教えた。しかし, 明治30年代にこの圓遊が『全快』として直したので, その後圓朝は一緒の楽屋で二代目三遊亭金馬に本来の『死神』を教えた。六代目三遊亭圓生が二代目三遊亭金馬の『死神』を自分で聞き, これに独自の芸風と呪文を付け加えて現在の古典落語『死神』に完成した。テーゼ4: 『死神』における呪文「あじゃらかもくれん○○○○○ てけれッつのぱァ」の源流は四代目立川談志にあるが, この伝統を踏まえた六代目三遊亭圓生が, これを完成した。テーゼ5: 「寿命が可視的なロウソクに譬えられていること」「死神を騙して, 死すべき運命にある病人を長らえさせること」「死神とて, 自然の摂理に従っていること」, これら3点が『死神の名付け親』と『死神』とに共通の「不可思議なもの」を形成している。The author presents in this paper the following five theses.1. A fairytale will be changed by 12 cultural displacements, when it is diffused into a foreign country.2. There are 11 obligatory elements in the motif of the classical rakugo The Dead [Shinigami].3. The classical rakugo, The Dead, was made by Encho Sanyutei, between 1887 and 1896. Encho taughtthis rakugo to his follower Enyu Sanyutei. However Enyu changed this rakugo between 1897 and 1906to Complete Recovery. Therefore Encho taught Kimba Sanyutei the Second his original The Dead. Ensho Sanyutei the Sixth completed the classical rakugo, The Dead, adding his own style of performance andthe spell to the rakugo of Kimba Sanyutei the Second.4. The origin of the spell "Ajarakamokuren ○○○○○ Tekerettsunopaa" is in the spell of DanshiTatekawa the Fourth. This tradition of the spell was completed by Ensho Sanyutei the Sixth.5. The wonder of the classical rakugo The Dead and the fairytale The Reaper (KHM44) is composed ofthe following three elements: 1. the comparison of a candle with human life, 2. the survival of a patientby deceiving the Dead, and 3. even the Dead must obey Providence.
著者
李 竺楠
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.21-38, 2017-03-27

As one part of a comparative study of Chinese and Japanese languages of apology, this paper is aimed to make a comparison of unpleasant conditions in apologetic issues and the strategies of apology in medical accident scenes between China and Japan. All the scenes are selected from Chinese and Japanese medical TV dramas. As a result, it appears that there are more types of unpleasant conditions in Japanese dramas than in Chinese. Furthermore, among the similar types, such as "Domain Invasion" and "Slip of the Tongue", the feature is more likely to be found in Japanese dramas. From this point, it could be concluded that when doing an apology at a medical situation, the Japanese tend to care more about its influence, rather than objective facts. About the utilization of apologetic strategies, the conclusion is similar with the preceding studies. That is, in Chinese dramas, different strategies of apologies would more likely be given according to various unpleasant conditions, while in Japanese dramas, "definite apologetic expressions" is the basic strategy. 本研究では,中日の謝罪言語行動の対照研究の一環として,医療現場に焦点を当て,そこで謝罪の前提となる不快状況,および謝罪ストラテジーの利用について比較するのが目的である。TV で放映された中日の医療ドラマを素材として選び,その中から謝罪場面を抽出して分析を行った。 分析の結果,中国ドラマより日本ドラマのほうが不快状況のカテゴリーが多いということが分かった。また,中日で共通する謝罪行動のうち,「なわばり侵入」,「暴言失言」などのタイプが日本ドラマで頻出する点が特徴である。このことから,医療場面で謝罪言語行動を行う際に,日本のほうが客観的事実より,その事実が相手に与える影響を重視する姿勢が見られる。 謝罪ストラテジーの利用状況について,先行研究とほぼ同じような結論が出た。中国ドラマの場合はストラテジーの種類にこだわらず,不快状況の違いに応じて複数の異なるストラテジーを組み合わせて謝罪言語行動を達成する傾向が強い。一方,日本ドラマでは,「明確な謝罪表明」が基本的なストラテジーとなる。